
週2パート×子育て。どっちもワークで、どっちもライク
長男が私のお腹からもうすぐ生まれようとする夏、
私は、正社員で勤めていた職場を退職した。
今から15年前。
まだ「パパの育休」は希少だった時代。
夫と私の勤め先の、間をとって住んでいた借家は、
お互い通勤に1時間ほどかかる場所だった。
だんだん大きくなるお腹を抱えて、朝7時の電車に乗って通勤しながら、出産後のことをぼんやり考えた。
もし育休をとって、復帰したら、
子どもを保育園に預けてから、7時の電車に乗るのか…。
私にできる…?
というか、
私、それ、本当にしたいと思ってる…?
悩んで、悩んで、
結局、退職することを選んだ。
大好きで、やりがいのある、その会社でしかできない仕事。
手放すことは惜しかったけれど、
大きくなるお腹の中で、ぐりっと動く小さな命は、
私にとって、喜びであり、希望であり、
仕事を手放してでも、大切に守りたいものだった。
今思えば、時短にして、がんばって続けても良かったのかもしれない。
でもなぜだろう、退職することを選んでいた。
長男が生まれて、
かわいくて、
しんどくて、
ものすごく大変で、
とっても愛おしかった。
夫は朝早く出勤し、22時以降の帰宅。
自分の実家は、新幹線に乗らないと行けない距離。
いわゆる、ワンオペ育児というやつ。
長男が10か月くらいの時、
登録していた薬剤師転職サービスの担当者から、電話があった。
(定期的に、状況確認の電話がかかってくる)
「お仕事に復帰するお気持ちはございますか?」
もうすぐ1歳。
もし育休を取っていたら、そろそろ職場復帰する頃だったのかな…。
前職は、調剤薬局や病院ではなかったので、
私は「未経験」の薬剤師である。
しかも、1歳の子どもアリ。病気の時にあずかってくれる実家ナシ。
そんな条件で、雇ってくれるところはあるんだろうか…?
転職サービスの担当者に、
「家から通勤30分以内」「未経験」「子どもあり(急な病気で休む可能性あり)」「週2くらいのパート」の条件で、案件があるかどうか調べてもらうことにした。
半分、興味本位だった。
まだ、今よりも薬剤師が売り手市場だった当時。
きっと、希望に合致する案件はあるだろう。
そう思っていた。
だが、返ってきた答えは、
「ご希望に合う案件は、ございませんでした」
さらに担当者は続ける。
「これから薬剤師は増えていくので、未経験で年齢を重ねると、転職が難しくなる可能性はあります」
今なら、これが転職サービス担当者の「殺し文句」であることくらい判るが、当時の私は、この言葉に異様に焦ってしまった。
実は、この転職サービスは、いわゆる「大手」ではなく、
焦った私は、もう一つ登録していた「大手」薬剤師転職サービスにも連絡して、同じ条件で働き口を探してもらった。
すると…
「お調べしたところ、10件ほど条件に合うところがあります」
…あるじゃん(笑)
興味本位で調べた「再就職先」だったが、
なんとなく、仕事をする自分の姿を想像しては、
「仕事、してみたいなぁ」と思うようになった。
せっかく苦労してとった薬剤師の資格。
私は、いつになったら働けるんだろう?
子どもの手が離れたら…?それっていつ?
10歳?18歳?
2人目、3人目が生まれたら、
「その日」はどんどん先になる。
仕事、してみようかなぁ…。
そんな想いと同時に、
目の前にいる長男が、かわいくて、おもしろくて、
この成長を、そばでずっと見ていたいとも、思うようになっていた。
今、我が家には3歳差で3人の子どもがいるが、
それぞれに3年育児日記をつけていた。
ちょうど、1人目の日記が終わるタイミングで2人目の3年育児日記がはじまり、2人目が終わるタイミングで3人目が生まれたので、
我が家の9年間の子どもたちとの毎日は、途切れることなく、事細かに記録されている。
1日も逃したくなくて、毎日書いていた。
私の、宝物の時間の、記録。
もちろん、イライラする日もある。
思った通りにいかない日、
へとへとの日、
一人になりたい日、
まだ言葉もしゃべらない小さい子に怒って、泣かせて、自己嫌悪する日。
子育ては、見たことのない自分の醜さと対峙する日々。
それでも、子どもが愛おしくて、
「今だけ」を全部味わいたくて、
自分の手で、目で、心で、
短い幼児期を一緒に過ごしたい気持ちが強かった。
仕事もしたいし、子どもとも一緒にいたい。
結局、よくばりなんだと思う。
よくばりな私は、
長男が1歳になったタイミングで、
「週2回」のパートで調剤薬局に再就職することに決めた。
**
「週2回」のパートを始めて、
久しぶりに、大人と会話をした。
「〇〇さん」と苗字で呼んでもらった。
子どもの気配にアンテナを張らずに、自分の感覚だけを優先して動けた。
お昼ごはんを、味わって食べられた(←これ、一番嬉しかったこと!)。
雑談しながら、近所のスーパーのオススメ情報を教えてもらった。
そして何より、
薬剤師として患者さんと接するのが、楽しかった。
(この職場が、とても恵まれていたのもある)
たった週2回。
それでも、「薬剤師」として働く時間は、
「母」の中で消えかかっていた「私」を取り戻す時間になっていた。
一方、子どもと一緒に過ごす時間にも変化があった。
仕事が終わってお迎えに行くと、
離れていた分、子どもとの時間を大切にしたいと、思うようになった。
「おうち帰ったら、絵本読もうね」
「明日は仕事がないから、何をしようか」
「この日は仕事が休みだから、このイベントに行ってみようかな」
毎日一緒で、マンネリ化しつつあった子どもとの日々に、
「今日は一緒に過ごせる日だから」という付加価値がつく、と言えばいいのか。
もしくは、
仕事の日に「私」を充電し、
子どもと過ごす日には、子どもの可愛さを充電する、と言うのか。
両方かもしれない。
とにかく、私にとって週2回のパート勤めは、
精神衛生上ものすごく良かったのだ。
私にとって、仕事は文字通り「ワーク」だが、
同時に「やりたいこと=ライク」であり、
子育ても、目の前にいる我が子を育てる「ワーク」であり、
「やりたいこと=ライク」だった。
この「ワーク〈ライク〉バランス」に、
週2回のパート勤めが、ちょうど良かった。
**
子どもが生まれて、仕事をどうするかと選択を迫られるとき、
育休をとって週5日復帰(フルタイムor時短)か、
退職するかの、
0か1の選択肢しかないことが、多いように思う。
でも、
子どもとの時間も、仕事をする「私」の時間も、
両方ほしい人や、
週5日フルタイムではなく、気持ちと時間にもう少し余裕を持って子どもと向き合いたい人も、意外と多いんじゃないだろうか。
子どもと一緒に過ごせる時間は、実はすごく短いから。
ましてや、濃密な乳幼児期は、ほんの5,6年。
「ママ、ママ」と必要としてくれる時間なんて、
本当に短い。
子育てと仕事、
ベストなバランスは、きっと、人それぞれ。
仕事をバリバリ続けたい人は、続けられたらいい。
出産や育児でキャリアが途切れにくいように、
社会や周囲の支えが必要不可欠だと思う。
一方、ずっと子どもと一緒にいたい人は、仕事をやめる選択ができたらいい。
「お金のためには、仕事をやめたいけどやめられない」という人が、少なくなる社会になっていってほしいとも思う。
子育てには、どうしたって、お金がかかるから。
そこにもう一つ、
両方のバランスをとりたい人のために
「週2回パート」くらいのゆるい選択肢も、
選ぶことができたら、いいなぁと思う。
育休を取った後の、復帰後の選択肢としても、
週5回より少ない働き方が選べたら、けっこう需要があるんじゃないか…。
(もちろん、職場の協力が欠かせないけれど)
私にとってはそれが、ベストな「ワーク〈ライク〉バランス」だったから。
「週2回パート」の選択肢を、
体験談を添えて、
社会に向けて、提案したいと思う。
私のnoteの小さなつぶやきから、社会に向けて。
誤解のないようにお伝えしたいのは、
「子どもを預けて働く=接する時間が不十分」と思っているわけではない、ということです。
週5日フルタイムで働いている方々が、仕事しながら家のことも回し、
帰宅後や休みの日に子どもと向き合っているのを、
私は、心から尊敬しています。
(「子どもと十分向き合えてない!」という人がいても、生活を回しているだけで尊敬します)
一方、専業主婦(夫)として毎日ずっと子どもと一緒に過ごす方々も、心から尊敬しています。
私も専業主婦だった時期がありますが、「毎日」というのは本当に大変です。
(3食食べさせるだけでも大変!)
仕事をずっと続けたい人、
子どもと一緒にいたい人、
両方を半々くらいにしたい人、
離れる時間があるほうが気持ちに余裕ができる人、
全て自分の手をかけてあげたい人…
価値観も、ちょうどいいバランスも、
人それぞれな中で、
この記事は「私の場合」を書いたものであり、
これが「正解」だとは思っていません。
私は、幸か不幸か育休を取らない選択をしたので
出産後の仕事の仕方を、ゼロから考えることができました。
週2回でも預かってくれる一時保育が見つかり、
薬剤師という資格があったから、希望通りの勤め先が見つかり、
収入から保育料を引いても、ギリギリプラスになったのだと、
とてもラッキーな例だったと思っています。
週2パートの働き方には、越えなければならない壁がたくさんあります。
・保育料と時給との兼ね合い
(場合によってはマイナスになってしまうこともあります)
・預け先の確保
(保育園に入れる要件は満たさないので、一時保育を利用していました)
・収入面
(私も、のんきに週2パートしてる余裕はないのですが…今は子どもが大きくなって、収入を増やすべく週4に増やしてます。焦)
・勤め先を見つけること
(運良く条件に合う職場が見つかったことは奇跡)
それらが「壁」として立ちはだかることなく、
一人ひとりが希望する働き方ができる社会に
なっていくことを切に願います。
親と、子どもの、幸せのために。