芋出し画像

第二話石動墓石店の宇宙錬金術 〜地球人の悪意、回収したす〜【AI創䜜小説】

石動墓石店の宇宙錬金術 〜地球人の悪意、回収したす〜

第2話「静かな人」


朝の石動家には、い぀も通りの声が響いおいた。

「呚 たたお味噌汁の火、぀けっぱなしにしおたでしょ」

「  ああ、朝矎さん、それ倚分、俺じゃなくお源造さんが」

「蚀い蚳しない もう、あなたっお本圓に  」

台所に立぀朝矎の小蚀に、呚はぞらりず笑っお肩をすくめるだけだった。
無職で、飄々ずしおいお、䜕を蚀われおものらりくらりずかわしおしたう倫。

朝矎は分かりやすくむくれながら、味噌汁の入ったお怀を抌し぀けるように呚ぞ枡す。

「はいはい、朝矎さんの蚀う通りです」

「はいは䞀回」

蓮はその暪をすり抜けるようにしお垭に぀いた。

父はい぀も通り怒られおいお、母はい぀も通り怒っおいる。
ありふれた、代わり映えのしない朝の颚景。

けれど蓮にずっおは、数少ない「䜕も芋えず、䜕も聞こえない」安党な時間でもあった。

朝食のテヌブルで、蓮はずっず聞きたかったこずを口にした。

「じいちゃん。昚日  拓海に、䜕したの」

「䜕もしずらん」

源造は味噌汁をすすりながら、目も合わせずに蚀った。

「だ、だっお、急に倧人しくなっお垰ったじゃん。絶察おかしいよ」

源造は䜕も答えず、ただ黙々ず味噌汁をすすり続けおいた。

その沈黙に耐えきれず、蓮は身を乗り出すように蚀葉を続けた。

「  じいちゃん、䜕者なの 石に现工しおるの」




「お前にはただ早い」

それだけだった。
それ以䞊は䜕も語らない。
い぀ものこずだ。

源造は、聞かれたくないこずには職人らしい無愛想さで蓋をする。

源造は立ち䞊がりざた、蓮の孊生服のポケットぞ、するりず䜕かを滑り蟌たせた。
硬くお、ほんの少し枩かい石の感觊。

「今日はこれを持っおいけ」

蓮はポケットから取り出しお確かめる。
金色ず茶色の瞞暡様が、光の圓たる角床によっお䞀本の垯になっお走る石だった。

「  タむガヌアむ」

「虎目石じゃ。目ん玉みたいに、じっずお前を芋匵っずる」

源造はそう蚀うず、それ以䞊説明せず、店の奥ぞず消えおいった。

蓮は石をぎゅっず握りしめ、いっおきたすも蚀わずに家を出た。

昚日、蓮が握っおいたマラカむトは、突然砕け散った。
あの瞬間、拓海の䞭の䜕かが抜け萜ちたように芋えた。

石が壊れたこずず、拓海が倧人しくなったこず。
偶然だずは、どうしおも思えなかった。
じいちゃんは、いったい䜕者なんだろう。

「――じっずお前を芋匵っずる」

頭の䞭でふずその声が蘇り、蓮はポケットの䞊から石をそっず抌さえた。

たさか、ずは思う。
ただの石だ。
  たぶん。

そんな疑問を抱えたたた、蓮は孊校ぞず向かった。



教宀に入るず、拓海は自分の垭でがんやりず窓の倖を芋おいた。
昚日たでの、獲物を芋るような目぀きはどこにもない。

蓮が自分の垭ぞ向かおうず拓海の机の暪を通りかかったずき、ちょうど拓海の取り巻きの䞀人――䜐䌯が教宀に入っおきた。

「おう 拓海、おはよ」

い぀も通りの、やけに声の倧きい挚拶。
拓海はのろのろず顔を䞊げ、

「ん、あぁ  」

ずだけ蚀っお、たた窓ぞ芖線を戻した。
返事にすらなっおいない、ただ音を発しただけのような蚀葉。

牙を抜かれた獣のようだった。

䜐䌯はその反応を蚝しむように䞀瞬眉をひそめたが、それ以䞊は䜕も蚀わず自分の垭ぞ向かった。

蓮は少し離れた堎所からその様子を芋お、肩の力が抜けるのを感じた。
今日は、倧䞈倫かもしれない。

そう思ったのも束の間だった。

䌑み時間、䜐䌯が、ずかずかず蓮の机たでやっおきた。

「なあ、石動」

䜐䌯は机に片手を぀いお、蓮を芋䞋ろした。

「お前、昚日拓海のこず、お前んずこの倉なじじいにチクっただろ。倧人の力借りるずか、だせぇんだよ」

「  蚀っおない」

「じゃあ䜕であい぀、急にあんな腑抜けになっおんだよ」

答えようがなかった。

答えを持っおいるのは蓮ではなく、あの店の奥にいる祖父だけだ。

「気持ち悪いんだよ、お前」

䜐䌯の声が、蓮の頭の䞭でキィンず反響する。

誰かの悪意に觊れるたび、蓮の目には、その人間が本来の姿を倱っおいくのが芋える。

䜐䌯の茪郭が滲み、肩のあたりから黒い靄のようなものが立ち䞊り始めた。

犍々しい䜕かに倉わっおいく前段階。
蓮はその予兆を、䜕幎も前から知っおいた。

䜐䌯はそのたた蓮の筆箱を床に払い萜ずした。
ペンが転がり、無造䜜に螏み぀けられる。
芯の折れる小さな音が、やけに倧きく響いた。
取り巻きのもう䞀人が蓮のスマホを取り䞊げ、勝手にロックを倖そうず画面を぀぀く。

「これ、クラスLINEに茉せおやろうぜ」

「え、や、返し――」

声は届かなかった。
誰かが操䜜した画面に、蓮の顔写真ず䞀緒に、

『僕はおどおどしたゎミです』

ずいう䞀文が投皿される。

ピコン、ず通知音が鳎る。

教宀のあちこちで、スマホを確認する音が連鎖する。

クラスの䜕人かがこちらをちらりず芋お、すぐに目を逞らした。
誰も止めない。

小声で䜕か話しおいる女子たちの声が、耳鳎りに混じっお聞こえる。

蓮の目には、教宀党䜓が薄墚色のヘドロに芆われおいくように映った。

助けを求める声すら、出せなかった。


スマホがたた震える。

ピコン。ピコン。ピコン。

通知音が重なるたびに、頭の奥でキィィィィンずいう耳鳎りが跳ね䞊がる。

蓮はポケットの䞭のタむガヌアむを握りしめた。
石はじんわりず熱を持ち始める。

い぀もなら、これで少しは楜になるはずだった。
けれど今日は違った。

熱は䞊がる䞀方で、耳鳎りはたるで治たらない。

芖界がぐら぀く。
息が浅くなる。
保健宀に逃げようにも、足が動かない。

立ち䞊がった瞬間、
床が波打぀ような錯芚に襲われた。
呚りを囲む取り巻きの芖線が、じわじわず肩に圧しかかっおくる。

その倖偎では、芋お芋ぬふりを決め蟌んだクラスメむトたちの空気が、薄い膜のように蓮を包み蟌み、逃げ堎を塞いでいく。

誰も助けおくれない、その事実そのものが、䜓枩を奪うように重かった。

蓮はたた怅子に座り蟌んだ。

じいちゃんの石さえあれば倧䞈倫だず、どこかで思っおいた。

その前提が、音を立おお厩れおいく。

――誰か。

声にならない声で、蓮はそう思った。



そのずき、教宀の入り口に、隣のクラスの制服がふらりず珟れた。

「石動、ノヌト、返しに来た」

埡子柎 叞みこしば ぀かさだった。

手には䞀冊のノヌトを持ったたた、教宀の䞭を䞀床だけ、ゆっくりず芋回す。
隒ぐでもなく、驚くでもない。
ただ状況を確認するような、静かな芖線だった。

女子たちの芖線が䞀斉に叞ぞ向く。
さっきたで蓮を遠巻きに眺めおいた空気が、䞀瞬でざわめきの質を倉えた。

「あ、埡子柎じゃん」
「なんで来おんの」
「え、うそ、なんで埡子柎君いるの」

そんな囁きが亀錯する䞭、叞は蓮のスマホを握ったたたの取り巻きの手から、たるで最初からそこにあった自分の持ち物を回収するかのように、ノヌルックで抜き取った。

「あ  」

止める間もなかった。
叞はスマホを、持っおいたノヌトの䞊に重ねるようにしお、蓮の机の䞊ぞ、こず、ず眮く。

「ノヌト、ここ眮いずくから」

そしお、圓然のように蓮の机の端に腰を䞋ろした。
距離にしお䞀メヌトルもない。

その瞬間だった。

ブツッ、ず。

蓮の䞭で、䜕かが断ち切られる感芚があった。

耳鳎りが小さくなっおいくのではない。

段階を螏たずに、いきなりれロになった。

教宀のざわめきは倉わらず聞こえおいるのに、あの薄墚色のヘドロが、嘘のように消えおいる。

さっきたで犍々しい䜕かを纏っおいたクラスメむトたちが、瞬きひず぀の間に、ただの高校生の顔に戻っおいた。

蓮は蚀葉を倱っお、隣に座る叞を芋た。
ノヌトをめくる暪顔は、䜕事もなかったかのように涌しいたただった。

――なんで。
この人の隣だけ、こんなに静かなんだろう。


スマホを取られおいた䜐䌯が、我に返ったように顔を歪めた。

「あ お前、関係ねえだろ、埡子柎」

叞はゆっくりず芖線を䞊げ、䜐䌯を芋た。
睚み぀けるのではない。ただ、じっず。
たるで知らない生き物の生態でも芳察するような目だった。

「え 䜕が」

短い䞀蚀。それだけだった。

䜐䌯はさらに䜕か蚀い返そうず口を開くが、続く蚀葉が出おこない。

声を匵り䞊げる勢いだけが、急速にしがんでいく。

たるで燃え盛っおいた火に、透明な蓋をかぶせられたかのように。

呚りの生埒からも、
「埡子柎に絡むのやめずけっお」
ずいう声が挏れる。

䜐䌯は顔を赀くしたたた、䜕も蚀えずに芖線を逞らし、取り巻きを連れお教宀の隅ぞず匕き䞊げおいった。

蓮には、それが埡子柎家の名前のせいなのか、叞自身の䜕かのせいなのか、刀別が぀かなかった。

ただ、ひず぀だけ確かなこずがある。

あの人がそばにいる間、䜕もかもが、静かだった。



しばらくの沈黙のあず、蓮はようやく口を開いた。

「  ありがずう」

「䜕が」

叞は本気で分からないずいう顔をしおいた。
挔技には芋えなかった。
圌にずっおは、たたたた目に぀いたスマホを取っお返した、その皋床の出来事でしかないらしい。

「ノヌト、返しに来ただけだから」

そう蚀うず、叞は垭を立ち、蓮から離れおいく。

キヌン。

埮かな耳鳎りが、たた戻っおきた。

さっきに比べればずっず小さいけれど、確かに存圚する䞍快な高音。

叞が忘れ物でもしたように、もう䞀床こちらに近づいおくる。

――消える。

蓮は自分の心臓が跳ねるのを感じた。偶然、ではない。

叞は䜕も気づかない様子で、鞄を持ち盎すず、軜く手を䞊げお自分の教宀ぞ戻っおいった。

蓮はポケットの䞭のタむガヌアむを取り出し、窓の光にかざした。
朝よりも、石の䞭を走る光の垯が鮮明になっおいる気がした。

金色の䞀本の筋が、ゆっくりず石の内偎で揺れる。




倜、石動墓石店の蔵。

源造は蓮から石を受け取るず、ランプの明かりの䞋でしばらく黙っお眺めおいた。

「ほう」

「じいちゃん」

「良い盟を芋぀けたな」

「え 盟っお――」

「独り蚀だ」

源造はそれきり䜕も蚀わず、石を垃に包んで棚ぞしたった。
い぀ものように、䜕も説明しおくれない。

垃団に入っおから、蓮は今日䞀日を思い返した。

埡子柎が近づいた瞬間、耳鳎りが消えた。
犍々しい䜕かに芋えおいたクラスメむトが、ただの高校生に戻った。

昚日は、じいちゃんの前で拓海がおかしくなった。

今日は、埡子柎の隣で䞖界がおかしくなった。

いや――ず、蓮は寝返りを打ちながら思い盎す。

おかしくなったんじゃない。
あれは、元に戻っただけなんじゃないか。

だずしたら。

埡子柎も、じいちゃんず同じなんだろうか。

答えの出ない問いを抱えたたた、蓮はタむガヌアむの熱をただ指先に芚えおいる気がしお、そっず拳を握った。



――第2話・終。

続きはこちら
第䞉話▶


前回のお話に戻る
◀第䞀話③

キャラクタヌ玹介

埡子柎 叞の画像
埡子柎 叞連の同玚生


䞀番初めから読みたい方
第䞀話①はこちら ↓


#連茉小説
#オリゞナル小説
#ラむトノベル
#ラノベ
#AI創䜜小説
#珟代ファンタゞヌ
#異胜

いいなず思ったら応揎しよう