メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【いよなんつれづれなるままに】玉ねぎが嫌いなのに大袋を買う(二瓶佳子)

    二瓶佳子です。

    シナリオと小説書きです。いよなんでは諸事情あって毛石というネームで活動していましたが、今後は二瓶佳子で活動予定です。

    シナリオも小説も最終候補どまりですが、7月に関わった本が出ます。

    またしても、エッセイです。短いのでお気軽にどうぞ。


    玉ねぎが嫌いなのに大袋を買う


    玉ねぎが嫌いだ。

    辛いし、あの食感も、香りも、不快でしかない。


    ポテトサラダに入っていると、もう食べられなくなる。

    だから、居酒屋でポテサラを頼むときは、一か八かなのだ。


    よくスライスした玉ねぎをサラダで食べている人がいるが、信じられない。

    玉ねぎ一つで、料理の味を全て破壊すると私は考えているのだ。

    言うならは、玉ねぎはデストロイヤー。

    私は関わり合いになりたくはないのだ。


    特に嫌いなのが、加熱され、甘くなった玉ねぎだ。

    甘くないって! あれを甘さと理解する味覚どうなってるの!

    あの甘いと自称する加熱された玉ねぎの味は、吐きそうになるのだ。


    最近自分で作るカレーには、玉ねぎなんて入れない。


    人類の叡智、ルー様が、パルプンテ人間でも美味しく作れるように研究を重ねられていることを、私は知っている。そして、信頼していている。


    日本の食品メーカーの素晴らしさに五体投地だ。


    最近自分で作るカレーには、最悪肉のみ。肉と水とカレーだけで作る。

    少しやる気の時は、そこにじゃがいもを入れる。

    どちらも特に問題はない。


    隣県に住む友人宅に遊びに行った。

    お土産に新玉ねぎをもらった。大きくて立派な玉ねぎだ。


    「どうやって食べよう……」


    私は頭を抱えていた。

    玉ねぎなんて、何年も買っていない。

    できるだけ、玉ねぎの霊圧を無くして食べなくてはならない。大変なタスクが私に落ちてきてしまったのだ。


    そもそも野菜が全般的に嫌いだ。

    世間は野菜を食べろと声高に叫ぶが、サラダは嫌いだし、煮物も嫌い。

    唯一食べるのはキムチくらいだろうか。


    サラダは、野菜を食べるのではなくて、ドレッシングを食べるものだ。

    私がサラダを食べる時は、美味しいドレッシングが必須なのだ。


    持て余した玉ねぎは、ドレッシングにすることにした。

    ブレンダーを持っているので、それで粉砕すれば良いであろうと思ったのだ。


    S NSで見つけたレシピで作ってみる。

    玉ねぎと、醤油、サラダ油、にんじん、にんにく、卵黄をブレンダーでかき混ぜる。

    なんだかそれっぽいものができた。


    大好きなにんにく様が、なんでも解決してくれるんだ。

    キャベツを買ってきて刻む。

    そしてそれにかけてみる。


    「うまい!」


    「……苦い……」


    玉ねぎを使わなすぎて、玉ねぎのことを何一つ知らないでいた。

    どうやら苦味があるらしい。


    どうしよう、この大量のドレッシング。

    苦くてキツイ。


    途方に暮れた。


    なんとか食べられないかと、考えた。

    私の好きなもの……、それは肉。

    肉でなんとかできないだろうか。


    私は塊肉が好きである。

    執筆の傍ら、肉を煮込んでいることは日常茶飯事だし(定期的に肉の様子を見にいくから丁度いいのだ)、ステーキを焼いて食べながらワインを飲んでいることも多い。


    ステーキか。


    私は、ステーキが好きだ。塩と胡椒のみで味付けしたステーキに、焼いたニンニクを添えて食べている。特に、胡椒を大量投下して、胡椒をめちゃくちゃ使うのが好みだ。
    もはや肉を食べているのか胡椒を食べているのか、胡椒を食べるための媒介が肉なのか、そんなありさまではあるが。


    この苦い玉ねぎドレッシングは、ステーキに乗せればいけるのではないか。

    そんな考えが、私の頭をかすめた。


    しかし、塩と胡椒が私の楽しみなのである。

    それを放棄するほどの、うまさが果たして、この苦いドレッシングにあるのだろうか。

    私の楽しみを奪われる方が、ダメージはでかいのではないか。

    そう思って、二の足を踏んでいた。

    食の楽しみの比重がデカすぎて、哀れなモンスターである。


    ええい、ままよ!


    豪州産ビーフのもも肉に、投下してみた。

    (脂身のない赤身肉が好きなため、なぜか外人と呼ばれている)


    あ、うまい。


    肉の味わいで、苦味が打ち消され、食べられる。


    これはいける。

    (塩胡椒のほうが好きではあるけど)

    やはり困った時はお肉様様である。


    ドレッシングを消化するため、ステーキに山盛りのドレッシングをかけるという超贅沢仕様が爆誕した。


    それによって、玉ねぎを消化することに成功した。

    むしろそれに味をしめて、在庫ある限り何度もドレッシングを作ったのだった。


    その後、玉ねぎの在庫がなくなった頃、スーパーで大袋に入った玉ねぎを見かけた。


    「激安じゃないか……」


    買ってしまった。大袋を。


    どうするんだ私。

    どうやって食べるつもりなんだ。

    カレーもサラダも煮物も玉ねぎは嫌いなんだぞ!


    頭を抱えながら、消化の方法を探している。

     
     
    シナリオ・センター東京の卒業生で結成された作家集団です! プロのライター、コンクール通過者多数。シナリオ・小説・エッセイなどものを書く人々です。

    あなたへのおすすめ