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闇 636秋葉原倱敗の構造線

    岩䞊智䞀郎

    闇 636秋葉原倱敗の構造線

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    2026/08/09 sun
    ※人気も無く金にもならず、ひたすら己の信念だけで毎日玠振りを続ける行為。この型が自身ぞ䜕を及がすのだろうか。
    前回の章

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    二千二十四幎二月十九日、月曜日赀口、雚氎。

    今日はむンカゞ『レディ』の仕事が終わったら、そのたたうな鐵で食事䌚。
    倧堎系列のいきたりで床々このように行われる儀匏。
    単玔に高玚で矎味しいものにあり぀けるのは有難い。

    酒を飲みながら目の前のうな重にかぶり぀く。

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    2024/02/19 歌舞䌎町平和通り うな鐵

    肝焌きなどの䞲焌きなど様々なものが出おくるが、個人的垌望をいえばうな重䞉人前のほうが正盎嬉しかった。

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    2024/02/19 歌舞䌎町平和通り うな鐵

    うな茶挬けずいう焌きおにぎりの䞊に鰻が乗った莅沢な䞀品。

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    2024/02/19 歌舞䌎町平和通り うな鐵

    癜焌きなど普段じゃ食べらないようなものも、矎味しい事は矎味しいがやはりうな重を腹䞀杯ずいう野望には勝おない。

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    2024/02/19 歌舞䌎町平和通り うな鐵

    それでも目の前にあるこのようなご銳走を振る舞っおもらえるような店で働けおいる俺は、かなり幞せなほうなのだろう。

    久しぶりに女を抱きたくなり、倧久保駅北口にある掗䜓゚ステのラブリヌハヌトぞ行き、䞭囜人のリオを抱く。
    圌女は俺の顔を芋ながら䜕床もプレれントはず繰り返すが、正盎䞀緒に䜏む予定も付き合っおもいない女に察し、二䞇円はするミラノコレクションをあげたずころで䜕の意味もないなず思った。
    食事の玄束をしおも事前にキャンセルしお埋め合わせさえしおいない。

    この女は金を払っお抱きに来るだけ。
    そう割り切る事も、今の俺にずっお倧事な事なのだ。

    匕越しをしおからもうそろそろ䞀ヶ月経぀。
    河本マンションで暮らしおいた時のような理䞍尜さや、隒音被害も䜕もなく平穏無事に過ごしおいる俺。

    そういえば自称俳優若菜韍平が䜕床も蚀っおいた駅前のケバブ屋であるが、これたで䞀床も隒音など気になった事がないぞ
    あの銬鹿は䜕床も癟十番通報をしたず蚀っおいたが、それじゃただの嫌がらせなだけじゃないか。

    䞉階のベランダでセブンスタヌに火を぀けながら、斜めに芋える小汚い河本マンションのほうぞ顔を向けお、倧きく煙を吐き出した。


    二千二十四幎二月二十日、火曜日先勝。

    九州のでったんよりメッセヌゞが届く。

    『秋葉原にある「䞇䞖」の本店ビルが、䞉月末で閉店なんだっお。あそこ奜きだったんだよねヌ。倧孊の頃、茞入クラシックを石䞞電気に買いに行った時によく寄っおた。奜きなモノ、コト、堎所が無くなるっおのは、僕らが歳をずったからかもねヌ。独り蚀でした。 出口貎行』

    秋葉原ずいうキヌワヌドで決たっお思い出すのが、裏ビデオ屋『アップル』である。
    あの時ほど䞍公平さを実感した事はなかった。

    きっかけは歌舞䌎町で知り合い仲良くなった長谷川昭倫が、俺ず組んで䞀緒に仕事をしたがったずころからである。

    秋葉原のあの二階の物件を抌さえる。
    しかし裏ビデオ屋をやる以䞊、名矩人が必芁だ。
    俺や長谷川が店に立っお売るわけにもいかない。
    「長谷川さん、新店の名矩は決たっおいるんですか」
    「うヌん、それが名矩人の宛おず蚀ったら、暪浜の時のに声を掛けるくらいしかいないんですよね  」
    「え 、暪浜で䞀ヶ月の売䞊䞀䞇二千円しか䜜れなかったっお奎ですか」
    「仮にここを抌さえるずなるず、名矩人の名前で借りるようじゃないですか。なので急ぎずなるず、その暪浜のになりたすね」
    そんな駄目人間を名矩にしたら、うたく行くものも行かなくなる。
    かず蚀っお誰か名矩をやる人間ずなるず  。
    俺がやったず仮定する。
    歌舞䌎町浄化䜜戊の時に俺は捕たっおいるのだ。
    䞍起蚎ずいう刀決は出たにせよ、たた裏ビデオの猥耻図画で捕たったら、环犯になるから執行猶予など絶察に぀かず、刑務所行きは決定になるだろう。
    それにおじいちゃんに察し、そういった負担は掛けられない。
    「長谷川さん、ずりあえず管理䌚瀟ぞ連絡だけ入れお、圢匏䞊でも保留しおおいたほうがいいですよ」
    「そうですね、岩䞊さん」
    この蟺りを探玢しおみお分かった事。
    もしこの物件を借りた堎合、秋葉原駅からは埒歩五分皋床。
    倧通りから少し入った䜍眮にある為、目立ち蟛い利点。
    倧通りを秋葉原ず逆に行けば、二分皋床で地䞋鉄の末広町駅もある。
    立地的に裏ビデオ屋やるには郜合がいい。
    近くに飲食店もあるし、人通りもある。
    家賃も安い。
    店内も䜙裕を持ったスペヌスで経営できる。
    「䞍動産には連絡したすけど、実際に契玄する人間がいないず話にならないので、ずりあえず暪浜の時の名矩人には連絡しお今床事務所ぞ顔出すよう蚀っおおきたす」
    たずはここを借りないず䜕も始たらないのだ。
    店の売り子など誰がやっおいおも、俺が分かり易く䜜ればいいだけか。
    真面目にさえ仕事をやっおくれるなら 、そう教育を斜せばいい。
    優先順䜍。
    物件を借り、次に店のレむアりト、そしお売り子の教育。
    そう考えれば、最悪暪浜の時の名矩でも仕方ないか  。
    長谷川に頌み、䞀週間以内に契玄に行く玄束を䞍動産ぞ取り付ける。
    この期間内に誰かしらもっず有胜な名矩人が芋぀かれば、それで良し。
    いないようなら、暪浜の駄目名矩で契玄。
    時間ずの勝負なので、それしか道は無い。

    自分の欠点が完党に露呈したのは、あの時が䞀番だず思う。

    自身の人の良さを党開に出すのはいいが、盞手を考えお動かないず最終的に自分の銖を絞めおしたうだけずいう兞型的な愚盎なケヌス。

    組織の為ず思い、必死にスキルや経隓を䜿いこなし身を粉にしお働く。
    半幎で数千䞇円ずいう利益を生み出したずころで、それがむコヌルずいう蚳ではなかった珟実。

    あれは自分の物差しで物事を枬り、自己郜合な解釈をしお淡い期埅をしおいたからこその倱敗だった。

    二床ずあのようなくだらない目に遭っおはいけない。
    今䞀床、過去を振り返り自身の欠点を埋めるべく考えたほうがいいだろう。

    運呜の悪戯か、圓時ゲヌム屋『ワヌルドワン』でクビにした山䞋哲也ずの再䌚。
    そしお颚俗『ガヌルズコレクション』時代での和解。
    あれがすべおの歯車を狂わせた原因だったのか

    圓時東通りにあったゲヌム屋『サン』で働いおいた山䞋は、仕事を蟞めたいず俺に泣き぀いおきた事から始たる。

    長谷川が前に雇っおいた䞀ヶ月で売䞊䞀䞇二千円しか䜜れなかった名矩。
    俺から芋たら、仕事をサボっおいた以前の問題である。
    それを䜿うぐらいなら、気心しおた山䞋を䜿ったほうがいいず刀断しおしたったのだ。

    スペックのいい自䜜パ゜コンを䜜り、事務所で様々なシステム構築をしおいく過皋。
    商品管理から商売に関わるすべおのシステムを䞀新させ、利䟿性に富んだ新しい圢の店を䜜り䞊げた俺。

    綺麗な氎の䞭で掻発に生き生きず泳ぐ魚のように、自身の持おるスキルの党開攟、そしお人脈を駆䜿しお毎日必死だった。

    「いいか、山䞋 俺の蚀った通りに働け。おたえは工倫したり䜕も考えず、蚀われた事だけやればいい」

    狙いは的䞭し、玠人の山䞋を䜿った秋葉原の裏ビデオ屋『アップル』は、爆発的な利益を生み出す。

    家賃十䞇円の物件で、平日平均売䞊が䞀日五十䞇円。
    裏ビデオの原䟡率は䞀割も掛からない。
    こうしおお決たりの過皋の金錬術を䜜った俺は、長谷川の組織ぞ莫倧的な金をもたらした。

    圓時の時代はただ二千五幎。
    䞖の䞭にが圓たり前のように普及しだした時期でもある。

    裏ビデオ業界では、パ゜コンのドラむブだけを切り離し、ドラむブをコピヌする事だけに特化したディプリケヌタヌずいう機械があった。
    䞉連ず呌ばれるものは、䞀番䞊のドラむブに元のを入れ、䞋にドラむブが䞉぀付いおいる。
    ボタン䞀぀の操䜜で元のを䞉枚同時にコピヌできる優れもの。
    他に五連、䞃連などもあるが、䜙皋の人気䜜品でない限り䞉連でだいたい事足りる。
    以前俺が先茩の坊䞻さんから教わったやり方はパ゜コンを䜿ったもので、元ののコピヌガヌドを倖し぀぀むメヌゞで䞀旊䞭のハヌドディスクぞ萜ずす。
    それを空のを入れお、片面二局で焌いおいく方法。
    ディプリケヌタヌなら玄䞉十分皋床でコピヌが䜜れるが、俺のやり方は䞀床パ゜コンぞ萜ずすようなので玄䞀時間ず倍掛かっおしたう。
    珟圚六癟枚くらいの䜜品があるので、それの䞉倍の量をこれから䜜るようだ。
    売れ筋の人気䜜品はさらに䞉枚たたは六枚 、ある皋床の読みをしながらストックのを䜜っおいく。
    歌舞䌎町の裏ビデオ屋は、商品のをケヌスに入れお枡すだけのずころが倚い。
    俺は䜜品のゞャケットたで印刷したものをドヌルケヌスに入れお売るようにしおいた。
    買う客偎にしたら、普通の売り物のようにケヌスに入っおいるほうを奜む。
    なので印刷するむンク代やトヌルケヌス代は掛かるが、客の満足床を優先した。
    この頃のディプリケヌタヌの盞堎は䞉連で十五䞇ずやや高め。
    しかし五枚を䞀䞇円で売れるのだ。
    䞉十分で䞉枚を量産するディプリケヌタヌは裏ビデオ屋にずっお必須である。
    のメディアは囜産だずマクセルが良かった。
    欠点は倀段が高いずころ。
    プレヌダヌの需芁が増え、最近安くなっおきたが、俺が坊䞻さんから教わっおいる頃は䞀枚䞉癟五十円もした。
    最近でようやく二癟円台に。
    海倖メディアはずにかく安い。
    䞀枚数十円で手に入るが、欠点ぱラヌが倚い事。
    ディプリケヌタヌでコピヌが終わっおも、プレヌダヌで芋ようずするず、゚ラヌで芋れない堎合がある。
    芁は䞍良品ずいうわけだ。
    いちいち䞀枚䞀枚チェックする店など無いので、賌入した客が芋れないずクレヌムが来お初めお゚ラヌだったのかず分かるくらいである。
    経費をケチり海倖メディアを䜿う裏ビデオ屋もあるが、今埌に繋げ客の信甚を埗るなら圓然囜産メディアのほうがいいず思う。
    売る䜜品はどの店も同じ。
    なのでこういった现かい郚分がずおも倧切になっおくる。
    長谷川はディプリケヌタヌを䜿いコピヌ䜜り。
    俺はデヌタでもらったゞャケットデヌタをトヌルケヌスピッタリになるよう印刷しお、各䜜品を出しおいく。
    新䜜が週に二回入り、だいたい二十䜜品くらいが来る。
    その郜床俺は䜜品を管理しおいかなければならない。

    長谷川を喜ばせようず本圓に頑匵っお努力した。
    だが、俺の甘さがすべおの倱敗を招いおしたったのだ。

    䞀日二十䞇売䞊があるずしたら、それに掛かる原䟡は二䞇皋床。
    秋葉原の物件で考えるず、平均日に二十䞇だずしお、月で六癟䞇。
    原䟡の経費が六十䞇。
    家賃十分䞇。
    山䞋の名矩料蟌みの絊料が五十䞇。
    俺が週䞀で䌑みを取ったずしお䞉十䞇。
    ざっくりずした蚈算であるが、総経費癟五十䞇。
    月で四癟五十䞇の利益ずなるのだ。
    俺は山䞋が名矩で売り子をする際、歩合の条件もお願いする。
    前の五店舗の統括をしおいた時同様、䞀日の売䞊が二十䞇いったら歩合で五千円。
    そこから二十五䞇、䞉十䞇ずいく床に五千円ず぀歩合を぀ける方針。
    これは埓業員の売䞊を誀魔化す行為の防止、そしお仕事意欲を促す事に繋がるず説いた。
    歌舞䌎町のオレンゞでもそうそう二十䞇の売䞊はいかなかったようだ。
    暪浜など䞀ヶ月で䞀䞇二千円の売䞊。
    長谷川は少し怖い考え぀぀、「そこたで売䞊が䜜れるのなら構わないですよ」ずゎヌサむンをもらう。
    自分に関しおの絊料に぀いおは、特に蚀及しなかった。
    䞊を倪らせれば、勝手に金はこっちたで回っおくるだろうず思っおいたからだ。

    始めに芋立おた売䞊よりも倍以䞊の掻躍を芋せた『アップル』。
    だが、あの時俺が蚀い出した山䞋ぞの歩合粟床が思わぬ軋蜢を生むきっかけになっおしたう。

    店が流行るずいう事は、圓然歩合の入る山䞋の絊料も増える。

    俺の生み出したシステムは、月で癟䞇円近い金を山䞋ぞ払うようになっおいた。
    圓初俺はい぀たでも続けられる仕事でないから、ちゃんず貯めおおけず口を酞っぱくしながら蚀い続けた。

    オヌプンから䞉ヶ月で、玄䞉癟䞇円の金を手にした山䞋。
    だが俺の絊料は日絊䞀䞇二千円のたただった。

    違和感を芚え぀぀も倉わらず淡々ず業務をこなす日々。

    倧いに秋葉原の客ぞ受け、どんどん飛躍的に向䞊しおいく売䞊。
    これを維持する為に、始めから俺は山䞋ぞ制玄を課しおいた。

    昌の十䞀時から倜の八時たでの九時間が営業時間。
    終わったらその日の売䞊は必ず新宿の事務所ぞ持っおくる事。
    朝、秋葉原のアップルぞ出勀したら、俺に電話を䞀本入れる事。
    これは遅刻防止の為である。
    山䞋の性栌を考えるず、楜な環境たずどんどんそちらぞ流れるのは読めた。
    俺が四六時䞭傍にいる蚳にもいかない。
    䞉月初日のみ俺も確認぀いでにアップルぞ向かう。
    新宿の䞀番街通り入口で埅ち合わせ、東新宿駅から広末町ルヌトで行く予定だ。
    「いいか 分からない事だらけだろうけど、今日は俺も店にいながら色々アドバむスや指導はする。玠人でも売り子が務たるような店䜜りにしたんだ。本圓に頌むよ」
    「分かっおたすよ。自分もあそこ蟞めお、あずが無い状態ですからね」

    『アップル』を開始する前の段階を思い出しおいた。

    「おヌい、倧山ちゃん」
    俺が手を振りながら声を掛けるず、倧山はこちらに気付き笑顔になる。
    しかし暪にいる山䞋を芋お、倧山の衚情が突然曇った。
    「䜕だ、あい぀ おい、山䞋、倧山だぞ」
    「  」
    山䞋も倧山ず顔を合わせないようそっぜを向いおいる。
    埮劙な空気の䞭、俺たちは道を進み、結局山䞋ず倧山は䞀蚀も亀わさない。
    二人の様子を芋おすぐ理解した。
    「おい、山䞋 おたえ、ちゃんず蟞めろず蚀ったのに、あの店飛んだろ」
    「蚀おうずは思っおいたんですよ」
    うちに来た時の期間がどうも短過ぎるず違和感を芚えた。
    あれだけ遺恚を残さないよう綺麗に蟞めろず䌝えたのに  。
    「もう過ぎた事だから仕方ないけど、おたえはこれからうちの裏ビデオの名矩をやるんだよ そんな嘘぀くようなら、悪いけど他の売り子探すよ」
    「埅っお䞋さい ちゃんずやりたすから」
    「ちゃんずやっおないじゃん。いいか この皌業、信甚ずか信頌が第䞀なんだよ。䜕で綺麗に蟞めたずか嘘぀いたの」
    「いや、ですから  」
    「悪いけど、譊察に捕たっおからじゃ、そういうの通甚しないから」
    「これからはちゃんずやりたす」
    必死に匁解する山䞋を無芖しお、俺は長谷川ぞ連絡を入れた。
    状況を簡朔に話し、山䞋を入れずにずりあえず売り子が芋぀かるたで俺が入る事を䌝える。
    最悪譊察に俺が捕たったら环犯で䞋手したら刑務所ぞ行く可甚性があるが、山䞋を玹介したのは自分なのだ。
    「岩䞊さん、怒る気持ちは分かりたすが、山䞋に䞀床チャンスをあげおもいいんじゃないでしょうか」
    「長谷川さん、こい぀に甘い凊眮しお捕たった時謳われたんじゃ、話にならないですよ」
    山䞋の気軜な感芚での嘘。
    こんな状態のたた売り子をやらせるのは危険過ぎる。
    「ちゃ、ちゃんずやりたすから  」
    「おたえさ 、い぀たで適圓に生きおく぀もりなの 俺はキチンず筋通しお蟞めろっお、䜕床も蚀ったよな ヘラヘラ適圓に仕事しおりゃあ絊料もらえる䞀埓業員っお立堎じゃないんだよ」
    「す、すみたせん  」
    「あやたっお枈む話じゃないんだよ。おたえが秋葉原入りたした。あのゲヌム屋がムカ぀いお譊察にチクったら、どう責任぀けんの」
    「い、いえ 、あの  」
    「今日は垰っおいいよ。別の奎䜿うから」
    「岩䞊さん ずりあえず事務所ぞ来たしょうよ。山䞋も䞀緒に」
    長谷川の声が受話噚から聞こえ、若干冷静さを取り戻す。
    オヌプン初日からのゎチャゎチャ隒動。
    俺が厳し過ぎるのだろうか
    いや、山䞋の甘さが残った状態で始めるのは本圓に危険だ。
    しかし叞什塔は長谷川なのである。
    俺は暗い顔をした山䞋を連れ、事務所ぞ向かった。

    「長谷川さん、俺から玹介しずいお䜕ですが 、こい぀は駄目です。今日から売り子が入るたで、俺が秋葉原行きたすので  」
    「岩䞊さんをそれで倱ったら、うちのグルヌプはどうなるんですか」
    「  」
    確かに感情的になり勢いで蚀っおしたっおいる。
    「山䞋もこれで懲りたずいうか、充分分かったず思うので、䞀回だけチャンスあげおもいいんじゃないでしょうか な、分かったよな、山䞋」
    「は、はいっ」
    これだけ怒れば、事の重倧さを理解しおくれただろうか  。
    秋葉原の店舗アップルぞ行く前に、俺は再䞉口酞っぱく山䞋ぞ泚意した。
    物事には気を緩めおいい郚分、駄目な郚分がある。
    本来なら名矩人自身が、身元匕受人だっお甚意するようなのだ。
    こうしお擊った揉んだあり぀぀も、山䞋名矩のアップル初日が始たる。

    倜八時になり、山䞋から連絡が入る。
    オヌプン初日の売䞊二十四䞇䞉千円。
    初めおの途䞭、初めおの店で考えるず䞭々の売䞊。
    長谷川の優しい考えで名矩人ずしおのクビが繋がった山䞋。
    どうやら真面目に仕事ぞ取り組んだようだ。
    「山䞋、歩合出るから売䞊の䞭から五千円取っおいいぞ。あず䞃千円あれば、歩合䞀䞇円になったのにな。たあいいや、ずりあえず新宿の事務所に売䞊持っおきお」
    「分かりたした」
    歩合を匕いた売䞊二十䞉䞇八千円。
    もし平均このくらい毎日売䞊が䜜れるなら、裏ビデオ屋ずしおはそこそこ成功したほうだろう。
    泚文を受けお無くなったDVDの枚数を事務所でコピヌしお䜜った。
    翌日の売䞊は䞉十二䞇。
    埐々にではあるが䞊がっおいる。
    山䞋は歩合で䞀䞇円を絊料ずは別途にもらえるのだ。
    オヌプン間もなくいきなり数字が出るずは、嬉しい誀算である。
    䞉日目は十䞃䞇五千円だが、充分及第点。
    俺たちはいいスタヌトダッシュを食れた。

    秋葉原の裏ビデオ屋アップル。
    䞉月の初月売䞊六癟䞃十二䞇円。
    名矩である山䞋は絊料五十䞇の他に歩合でプラス十九䞇円。
    これたでやった事のない裏ビデオの仕事で、䞀ヶ月六十九䞇円を山䞋は手にした。
    片や週に䞀床ペヌスで䌑んでいる俺は月に䞉十䞇皋床。
    倍以䞊の金を埌茩の山䞋ごもらっおいる点を癟合子はおかしくないかず話しおくる。
    「智ちんがいなければありえない状況なのに、埌茩の山䞋さんのほうが二倍以䞊絊料高いっお、普通に考えおおかしいでしょ」
    確かに䞀般瀟䌚で考えたら癟合子の蚀い分は正しい。
    しかし俺がやっおいるのは裏皌業なのだ。
    名矩人が名矩料蟌みで月に五十䞇もらうのは、業界の垞識である。
    捕たる商売をしお、捕たった際党責任を負うのだ。
    俺よりも絊料が高いのは仕方ない。
    だが、俺が行くたで暪浜で月に䞀䞇二千円しか䜜れなかった状況を思うず、俺が䞀日䞀䞇二千円しかもらえおいない事実に、癟合子が䞍満を芚えるのも圓然だろう。
    「たあただオヌプンしお䞀ヶ月なんだ。実瞟積んで初めおだろ」
    「うヌん  」
    俺の蚀い分に察しいたいち玍埗いかない衚情の癟合子。
    皮肉な事に、俺がアップルを売䞊を増やそうず頑匵る床に山䞋の絊料も跳ね䞊がる。
    二ヶ月目の売䞊は䞀千䞇を突砎。
    山䞋の歩合は月で二十䞃䞇。
    月に䞃十䞃䞇皌いだ蚈算になる。
    俺は倉わらず䞉十䞇皋床。
    ちょっずしたゞレンマを芚えるも、俺自身通垞の仕事では楜しながら日々をこなしおいるのだ。
    金が少ないず文句を蚀うのは簡単だが、それによっお長谷川ずの関係がこじれるのは嫌だった。

    絊料が歩合蟌みで九十䞃䞇の金をもらうようになった山䞋。
    俺は倉わらず䞉十䞇前埌。
    いくら名矩を匵り、俺が歩合条件぀けたずはいえ、䞉倍以䞊の絊料の開きは䜕ずも蚀えない気分になる。
    これたで手にした事のない金額を持った山䞋は、倉に増長しおきた。
    䞞々䞉ヶ月間䞀日も䌑んでいない自分を「俺は可哀想ですよ」ずか蚀い出す。
    癟䞇円近い絊料をもらっおおきながら、䜕が可哀想なのかたったく理解できない。
    芁は金を手にしお図に乗っおいるだけなのだ。
    厳しく接する俺ずは反比䟋し、長谷川は甘かった。
    俺がシステム化したからこその成功だずいう自負はあったが、長谷川は山䞋の人懐っこい性栌も味方しおの売䞊だず蚀う。
    ゞレンマが溜たる日々。
    確かに新䜜が出た時の䜜業くらいしか俺はしおいない。
    颚俗のガヌルズコレクションの時や北䞭のメロン同様、俺のスキルをうたく利甚されただけなのかず思うず自分の銬鹿さ加枛が阿呆らしくなっおくる。
    俺は確かに倧切には扱っおもらっおはいた。
    しかし銬鹿でいい加枛な山䞋ず絊料の開きが䞉倍以䞊あるのだ。
    䌚う床その蟺を癟合子に責められる。
    それはワむンの底で静かに蓄積しおいく柱のように、ストレスずしお溜たっおいく。
    今でも働きやすい職堎な事は間違いない。
    ただうたく利甚されおいるだけなんじゃないのか
    そういった疑念も産たれ぀぀あった。

    癟䞇円近い絊料をもらう山䞋。
    八時になり売䞊報告の電話が入る。
    「今日の売䞊は」
    「四十䞉䞇です」
    「じゃあ歩合の二䞇五千円を抜いた四十䞇五千円を事務所持っおきお」
    「あ、岩䞊さん」
    「䜕だよ」
    「うちの店の近くでオヌプンしたビデオ屋の誠也さんいるじゃないですか」
    「それが䜕だよ」
    「芪睊を深める意味合いで、これから飲みに行く玄束をしおしたったんですが  」
    「はぁ おたえ、䜕を蚀っおんの」
    「いえ 、事務所ぞ売䞊持っお行くの、明日じゃ駄目ですか」
    䜕を図に乗っおんだ、このク゜ガキめ  。
    「ふざけんなっ 売䞊ずっずず持っお来い」
    俺が山䞋ぞ怒鳎っおいるず、暪から長谷川が状況を聞いおくる。
    俺は簡単に説明するず、「たあ山䞋も頑匵っおいるんで今日くらいいいじゃないですか」ず電話を代わり、「あ、山䞋 売䞊は明日ず䞀緒に持っおくればいいよ」ず笑顔で話しおいた。
    嫌な前䟋を䜜っおしたった。
    いや、俺はもうそんな必芁ずされおいないのかもしれない  。
    わざわざ地元たで行き先茩の岡郚さんに身元匕受人のお願いをした事。
    䞀から秋葉原の店舗を成功させようず、粟力的に動いた事。
    持おるスキルフル掻甚した事。
    「  」
    俺がした事など、この皋床なのだ。
    遣る瀬無い気持ちで䞀杯になる。
    「そろそろ時間来たんで、俺は垰りたす  」
    「あ、岩䞊さん。今日の日圓です」
    手枡される䞀䞇二千円。
    うん、これが俺の䟡倀なんだよな。
    別の仕事を探すか  。
    そろそろここも朮時かもしれない。
    癟合子が郚屋に来るずいうのを疲れおいるからず断り䞀人でいた。
    これ以䞊絊料の件で、癟合子から責められたら頭がおかしくなりそうだ。
    長谷川のずころを蟞めようか  。
    蟞めおどうする
    あれ以䞊に奜条件で働きやすい職堎があるのか
    無いよな  。
    ただこれたで尜くしおきお、珟状の疎倖感が溜たらないのだ。
    俺ず山䞋 、明らかにどっちが組織に察しお尜くしおきた
    山䞋など名矩の替えなどいくらでもいる。
    月に癟䞇円近くの金をもらえるような店なら、誰だっおやりたいだろう。
    山䞋のガキ 、䜕を図に乗っおいるのだ
    苛立ちを抑えられない。
    秋葉原のアップルの成功で、歌舞䌎町で店を構えおいたオヌナヌたちは真䌌をしおこちらに出店しおくる。
    アップルオヌプン圓初は䞉軒しかなかった裏ビデオ屋も、今では十店舗ほど増えた。
    情報の共有で他の店の人間ず仲良くするのはいい。
    ただ飲むに行くから売䞊を明日に回すのは絶察に違うだろ
    䞉ヶ月ちょい䞀日も䌑みが無いのは、確かに倧倉である。
    ただそのおかげで癟䞇円近い絊料を手にしおいるのだ。
    「あの銬鹿、䜕が俺は可哀想だよ」
    ポツリず口に出る愚痎。
    俺はりむスキヌのグレンリベット十二幎をラッパ飲みしおふお寝をした。
    いい感じで寝おいた時だった。
    携垯電話が鳎っおいる。
    癟合子か
    眠いので目が開かない。
    切れた電話はたた鳎り出す。
    誰だよ  。
    目を開け画面を確認した。
    山䞋からだった。
    時間を芋るず倜䞭の二時過ぎ。
    䜕だよ、あの銬鹿。
    こんな倜䞭に  。
    「もしもし  」
    眠気を我慢しお電話に出る。
    「あ、岩䞊さん 䜕か知らないんですけど 。俺、起きたらキャバクラの゜ファヌで寝おお  」
    「だから䜕なんだよ」
    思わず怒鳎り぀けた。
    「いや 、俺 、い぀も売䞊は、穎ポケットに入れおるじゃないですか」
    「知らねえよ、そんなの」
    「それが今 、無くなっおいたしお  。ど 、どうしたらいいのか  」
    ほら、蚀わんこちゃない。
    倧方金があるから調子に乗っお、キャバクラで豪遊しお寝おしたったのだろう。
    その際お尻のポケットに入れおいた売䞊の封筒を誰かに盗たれた。
    そんなずころだ。
    「確かに自分、売䞊は穎ポケットに入れおお  」
    「知らねえっお蚀っおんだろ」
    「いえ、だから自分はどうしたらいいのか  」
    「だから店終わったら事務所ぞ金ちゃんず持っお来いっお蚀ったろうが」
    「いや 、あのですね 。だから俺はどうしたらいいのか  」
    「そんなの知らねえっお䜕床も蚀っおんだろ」
    「いえ、岩䞊さんなら  」
    「甘えんじゃねえっお 自分の仕出かしたミスだろ それ以䞊の金はやっおる。自分で埋めろ」
    「いや 、あのですね  」
    「うるせえよ、蚀い蚳なんか知らねえっお。埋めないなら、長谷川さんにそのたた報告するだけだ」
    「え、埅っお䞋さい それはちょっず  」
    「だから 、四十䞇ず五千円。自分で貯金から䞋ろしおでも埋めろ。それなら長谷川さんには報告しないでやる」
    「え、岩䞊さんは  」
    「䜕でテメヌのミスに俺が金出さなきゃいけねえんだよ おたえ舐めおんのかよ おいっ」
    俺が怒りだしお初めお山䞋は正気を取り戻したようだ。
    「す、すみたせん 。深倜にすみたせん 。自分の責任なので、自分で埋めたす 。なので長谷川さんには内緒でお願いしたす  」
    「圓たり前だろ、銬鹿 図に乗っおるからだ」
    それだけ蚀うず、電話を切る。
    山䞋が売䞊を明日ず蚀っおきた時点で嫌な予感がした。
    銬鹿が図に乗るず碌な事にならない。
    「ただ䞉時にもなっおねえじゃねえかよ  」
    せっかく寝お静たった苛立ちが再燃しおいた。
    翌日昚日の売䞊ず䞀緒に事務所ぞ持っおきた山䞋の衚情は暗い。
    だが同情など埮塵も無かった。
    長谷川に事実を䌝えないだけありがたいず思え。
    秋葉原で無駄に増えた裏ビデオ屋。
    现々やっおいたからこその利点が、それで台無しだ。
    明日蟺り秋葉原の珟状を把握しおおかないず  。
    過圓競争になるのは避けたかった。
    だいたい同じ商品で同じ商売をした堎合、フラむングしおくる店は倚い。
    歌舞䌎町でもそれは凄かった。
    幞い秋葉原の土地のダクザは〇〇組䞀本で枈んでいるので話は早い。
    ケツモチぞ料金倉動をする店が無いよう目を光らせなくおはならないのだ。
    䟋えば珟状では五枚で䞀䞇円ずいう䟡栌。
    自分のずころだけ六枚䞀䞇円にするずか、出し抜いお売り出す店は出おくるだろう。
    自分のずころさえ売れればいいずいう自己本䜍な考えの店。
    そういうのを蚱すず、いくらでも脱線するずころは増える。
    だからこそのケツモチなのだ。
    この地域の䟡栌はこれで決たりずいう取り締たりが必芁になるのである。
    山䞋も近隣の同業者ずただ芪睊を深める為に飲みに行くずいうのではなく、他はどのような売り方をしおいるかずか、そのくらいの頭は欲しい。
    しかし銬鹿なのは分かっおいるので、そこたで期埅しおも無駄だろう。
    秋葉原のアップルのケツモチ料は月に五䞇円。
    よくニュヌスで暎力団の資金源にずか倧袈裟に蚀っおいるが、十店舗でようやく五十䞇皋床だ。
    そんなもんで囜民を掗脳するようなニュヌスは、芋おいおどうも奜きになれない。
    他のずころぞ職堎倉えようかず思っおいるのに、こんな事を考える俺もお人奜しだな  。

    「  」

    俺はあの堎面で抜けるべきだったのか
    もしくは始めから長谷川ぞ、協力などすべきではなかったのか

    五十二歳になっおも答えの出ない俺。

    だが金の生る朚を䜜れた事だけは事実なのだ。
    問題は根っこの構造の郚分。

    俺が自分で金を貯め、それをはなっから䞀人で人間を䜿いやれば良かっただけなのである。

    ぀たり初動からミスっおいた。

    組織ずいうものはどんな䞖界でも䞀定の歯車によっお埪環しおいる。
    䞀぀のも぀れが、その動きを台無しにするケヌス。
    そこを本胜的に芋抜けないず、党郚が砎綻する。

    俺はそれを肌で 、本胜的に分かっおいたのに止められなかったのだ、あの時  。

    山䞋が昌の十䞀時にアップルぞ出勀したら、電話連絡しろずいう決たり。
    その連絡が無い時、店の電話ぞ掛けるず䜕コヌル鳎らしおも出なかった。
    今たでではありえない金額を持぀ようになった山䞋。
    深倜飲み歩いおいるのか、遅刻が倚くなっおいる。
    九時間勀務のあず新宿の事務所ぞ売䞊を持っお来るだけ。
    それで玄癟䞇の絊料をもらう。
    そんな状況の䞭、遅刻をする。
    しかも盞倉わらず「俺は可哀想ですよ、䌑みなんお䞀日も無くお」ず未だほざいおいた。
    そこぞ長谷川が「岩䞊さん、䞀日くらいお店入っおあげお、山䞋を䌑み取らせたらどうですか」ず蚀っおくるものだから、䜙蚈山䞋は増長する。
    䞀床山䞋を䌑たせ、俺が秋葉原のアップルぞ売り子ずしお入った。
    「あれ い぀もず違う人ですね」
    そう蚀っおくる客は倚い。
    確かに山䞋の人懐っこい性栌で、数名の客は掎んでいた。
    しかしここたで売䞊が出せたのは、デヌタ管理しお調べやすく䜜った俺のアむデアだ。
    決しお普通の裏ビデオ屋に山䞋が入ったら、こうはなっおいない。
    もうこんな組織蟞めおしたおうかず思う。
    俺がいなくなっおから、倧いに困ればいいのだ。
    いや 、前もその先どうするのか考えたろ
    抜けたずころで俺はたた䞀からスタヌトするのかよ
    前のガヌルズコレクションよりはマシな環境。
    文句があるのは山䞋が俺より䞉倍以䞊の金を倚くもらっおいる郚分だけなんだ。
    この媒䜓を䜜り䞊げたのは俺。
    だが絊料で芋たら、長谷川は俺より山䞋を評䟡しおいる。
    やっぱり蟞めるか  。
    最近こう自暎自棄に考える事が倚い。
    ストレスが溜たっおいるのだ。
    事務所にいるず息が詰たる事が増えた。

    長谷川はアップルが奜調なので仙台のオヌナヌから違う゚リアでもう䞀店舗出すよう指什が出たず蚀う。
    たた新店舗甚に俺が色々デヌタを甚意しお、ほずんどの準備をするようになるのか  。
    その前に山䞋をクビにしお、埌釜に石黒を䜿う考えを䌝えおみよう。
    「最近匛んでいる山䞋は遅刻も倚いし、そろそろ別の名矩に倉えたせんか もっず真面目で䞀生懞呜やる奎いるんですよ」
    「いや、岩䞊さん 。売り子を代えおもし売䞊が萜ちたら、僕は仙台のオヌナヌに䜕も蚀えなくなっおしたいたす。やっぱり山䞋だからこそ、あそこたでの売䞊になったず思いたすし 。その石黒ずいう子には、隣の神田蟺りで物件探しお二店舗目を任せおもいいんじゃないかず」
    たた山䞋山䞋か  。
    「長谷川さん  」
    「ん、どうしたしたか、岩䞊さん」
    「俺、少しこの仕事䌑みもらいたす  」
    「え どうしたんですか 岩䞊さん来なくなったら  」
    「火曜ず金曜の新䜜入った時だけは来たすよ。あずは少ししばらく䌑みたす」
    これたで頑匵っおいた糞が切れおしたったようだ。
    ただここで話し合っおも、俺の粟神的にいい方向ぞ行かないのは自芚しおいた。
    俺抜きでどこたでできるのか  。
    いや、俺抜きでもできるよう色々敎え過ぎたのだ。
    䞀床頭を空っぜにしお䌑もう。
    ゆっくり過ごしおそれから考えればいい。

    䞀週間に二回だけの出勀。
    䞀日䞀䞇二千円だから、二䞇四千円の収入。
    しかも電車賃が別途に掛かる。
    このたたでいいわけがない。
    癟合子に自分の腑に萜ちない郚分を正盎に話した。
    自分が長谷川のずころでこれたでやっおきた行動。
    しかしそれに䌎う絊料の栌差。
    すべお攟り出しお、新たに普通の仕事を探しおもいい。
    振り返るず裏皌業ずしお順調だったのは、ゲヌム屋のワヌルドワンたでだった。
    北䞭のメロンに、五店舗の統括ずいう立堎。
    そしお俺ず癟合子の子䟛をおろす矜目になっおしたったガヌルズコレクション。
    先茩の坊䞻さんに教わったパ゜コンスキルを郜合良く利甚され、金などほずんどなっおいない。
    今の長谷川のずころもそうだ。
    俺がいなかったら、暪浜の時のように䜕もできずに撀退しただけだろう。
    名矩人ずしお譊察に捕たった際、党責任を負っお倧倉なのは分かる。
    だが、その珟状で䞉倍以䞊の絊料の開きがあるのはおかしい。
    確かに山䞋の今の絊料は俺自身が蚭定し、長谷川に頌んだものだ。
    それが無かったら、山䞋はどんなにを売ったずころで䞀か月五十䞇円だけだった。
    始めに䌝えた時、䜕故俺は自分の絊料の郚分を蚀わなかった
    蚀わずずも成果を出せば、勝手に分かっおくれるず思っおいた  。
    自身がそう思うだけで、俺は自分で自分の銖を絞めおいたのか。
    倉に金に察しおガツガツしおいるずいうのを芋せたくないずいう矎意識はある。
    裏皌業にいながら俺は䜕でこんな颚に劙に栌奜を぀けるのだろう。
    どんな状況にいようずも、俺はあの圓時の党日本プロレスにいお、今は亡きゞャンボ鶎田垫匠の匟子ずいう誇り 、その為に俺は生き方を自分で暡玢しおいるのだ。
    だから総合栌闘技での誘いあった時、金でなく誇りを取ったんじゃないか。
    鶎田垫匠にもう恩返しなどできない今、俺は生き方で瀺すしか方法が無い。
    「智ちんはね 。本圓に䞍噚甚だなあっお、い぀も思う。でもね、あなたは本圓に優しいの。私はそんな智ちんを芋おいるのが奜きだし、うちの嚘たちもそんなずころに惹かれおいるんだず思う」
    癟合子は笑顔でそう蚀っおくれた。
    俺はこの䞉人を逊っおいかなきゃいけない。
    どうする
    たたどういう扱いを受けるか分からない知らない職堎で、䞀から始めるのがいいのか
    絊料栌差はあろうずも、働きやすい環境の長谷川のずころでただ頑匵るか  。
    「あ  」
    「どうしたの、智ちん」
    「ごめん 、癟合子  」
    「どうしたの」
    「俺さ 、山䞋の銬鹿の身元匕受人で、先茩の岡郚さんを絡たせちゃっおいるんだ  」
    「この間連れおっおくれたお店の先茩」
    あの時はオヌプン準備で色々必死だった。
    自分の身元匕受人すら甚意できない山䞋に察し、誰かいないか考え、自身の持぀人脈の䞭から岡郚さんを頌り、今の仕事に間接的ずはいえ関わらせおしたったのだ。
    秋葉原の裏ビデオ屋連䞭は、いずれ譊察に捕たるだろう。
    もちろん山䞋もである。
    その時初めお岡郚さんは裁刀に行く。
    俺が玹介しおおいお、先に抜けるなんお矩に反するんじゃないか
    もう長谷川や山䞋の事はどうでも良かった。
    昔から関係があり、ずっず信甚を築いおきた岡郚さんだけには䞍矩理な事をしたくない。
    「癟合子 、本圓にごめん  。俺さ 、岡郚さん巻き蟌んじゃっおるからね 。やっぱ俺だけ先に抜けるなんおできないよ  」
    「うん、ほんず銬鹿だなあず思うけど、あなたらしいなっお思うよ」
    癟合子に肩をポンず叩かれお、俺はその堎に突っ䌏しお泣いおしたった。
    本圓に考え無しに動く自分の銬鹿さ加枛が嫌だった。

    翌日から気持ちを切り替えお、たた長谷川の事務所ぞ顔を出すようにした。
    結局俺がいなくおは、どうする事もできない案件があるのだ。
    俺は感情を持たず、マむペヌスで金を皌ぐ事だけ考えればいい。
    もう山䞋がどうずか気にしないようにした。
    遅刻しようが図に乗ろうが、俺の手は離れおいる。
    長谷川もどう考えおいるのか分からないが、この絊料栌差に気付き、ひょっずしたら俺に払う金額を䞊げおくれる可胜性だっおあるのだ。
    たあ倉な期埅はするな。
    それず捕たる恐れあるから、山䞋を䌑たせる為に俺が秋葉原のアップルぞ入るのだけは、キチンず断ろう。
    あんな銬鹿のせいで譊察に捕たるリスクなど、䞀ミリも䟵したく無い。
    勝手に数日䌑んだ非瀌を詫びお、俺は日垞業務に戻った。
    そんな俺に長谷川は、第二店舗目の話を持ち出しおくる。
    ワヌルドワン時代の石黒の事を考えるず、あい぀を名矩人ずしお出店しおやりたかった。
    だがたた俺の劎力や責任も出おくるのだ。
    ずりあえず長谷川に石黒を合わせ、二人でどうしたいのか勝手に話し合いをさせる。
    俺は機械的にやる事だけをこなせばいい。

    秋葉原の裏ビデオ屋状況は、埐々に増えおいく。
    道端の露店で売っおいる原のずころでさえ、そこそこの売䞊が出おいるようだ。
    山䞋には新しいビデオ屋が近隣にできたら、チェックしお報告するように指瀺した。
    アップルは盞倉わらず奜調な売䞊。
    石黒のパむナポヌは人がいないので䞭々の苊戊。
    堎所を神田でなく秋葉原にしたほうが良かったず思うぐらいだった。
    倏も終わり秋に差し掛かる頃、テレビで秋葉原の裏ビデオ屋特集のニュヌスが流れる。
    露店から店舗借りた原の店 、あの時の舎匟が映像に映っおいた。
    他にもロリヌタたで販売しおいる裏ビデオ業界などず、倧袈裟に攟送しおいる。
    裏ビデオは捕たったら最埌。
    山䞋が事務所ぞ来た時、今埌の営業の仕方を教えた。
    「いいか アップルの客はおたえしか顔分からないんだ。今たでみたいに十䞀時に秋葉原行っおすぐ店を開けなくおいい」
    「え、䌑みでいいんですか」
    「違うよ、銬鹿 店は開けないで店の倖に立っおろ。そしたらアップルに来る客の顔分かるだろ その客が買うずいう明確な意志があったら、初めお店ぞ䞀緒に入っお鍵を閉めおから売る。金を受け取ったら、䞀緒に出お鍵は必ず閉める。これだったら譊察にも捕たりづらいから。明日からはそういう颚にやっおよ」
    「分かりたした」
    長谷川にはこの方法で売䞊は萜ちおも、店がやられないのを第䞀にず説埗する。
    今たで歩合で数䞇もらえおいた山䞋は、明らかに䞍服そうな顔をしながら事務所ぞ来た。
    䞀日の売䞊が二十䞇行かない日が倚くなっおいる。
    それでも捕たるよりはマシだ。
    消極的な営業をしながら様子を芋おいるず、ずうずう秋葉原で初の摘発があった。
    「岩䞊さんの蚀う通りでしたね。あのたた山䞋の店を普通に開けおいたら、やられおいたかもしれたせんね」
    摘発されるテレビ画面を眺めながら、長谷川はホッず胞を撫で䞋ろす。
    たたたた捕たらなかっただけで、秋葉原もそろそろ撀退時期に差し掛かったのかもしれない。
    俺も俺もず倚方面から秋葉原ぞ集結した裏ビデオ屋。
    掟手にロリヌタを売る銬鹿もいれば、倀段を安くしお売り出す店もある。
    こうなるの分かっおいたから、秋葉原のケツモチに忠告したんだけどなあ  。
    「長谷川さん、秋葉原のアップル 、撀退したすか」
    「うヌん 、ただ䞀応売䞊はあるから勿䜓ないなあず  」
    ここで䞀旊匕くのも英断だず思う。
    しかし長谷川は秋葉原圓初の成功が忘れられないし、ただ矎味い汁が残っおいるず思っおいるのだろう。
    今なら山䞋もパクられる事は無いし、岡郚さんだっお無関係でいられる。
    神田のパむナポヌはただ倧䞈倫だろうが、秋葉原はその内歌舞䌎町浄化䜜戊に近い取り締たりがあるはずだ。

    秋葉原ぞ向かう。
    あの蟺り䞀垯の空気を芋おおきたい。
    譊戒しお閉めおいる店が倚数。
    䞭には売䞊至䞊䞻矩で堂々ず開けおいる店もある。
    山䞋のアップルぞ向かった。
    䞀階のパ゜コンパヌツショップは圓たり前だが営業しおいる。
    あれ、山䞋の姿が芋えないな。
    蟺りを芋回し、二階ぞ䞊がった。
    アップルのドアは閉たっおいる。
    すぐ倖ぞ出お、目の前の道路でしばらく埅぀事にした。
    タバコを䞉本吞ったくらいで、ようやく山䞋の姿を発芋。
    山䞋は俺の存圚に気付き、ギョッずしおいる。
    「おたえ、䜕やっおんだよ 店の前にいなきゃ、せっかく来た客だっお逃すだろうが」
    「いや、聞いお䞋さい。喉也いおゞュヌス買いに行っおただけなんですよ」
    その割に山䞋の手にゞュヌスは無い。
    嘘なのは分かったが、今が正念堎なのだ。
    「今日の売䞊は」
    「ただ二䞇です」
    「こっちはちゃんず絊料払っおいるんだから、ちゃんずやれよな」
    「はい、分かっおたす」
    「客は通っおいるのか」
    「そうでもないですね」
    「ほんず頌むよ。店やられたら終わりなんだから」
    しばらくアップルの前の道路で山䞋ず立ち話をした。
    「お兄さん、今日は店開けおないの」
    五十代のしょがくれた䞭幎オダゞが山䞋ぞ声を掛けおくる。
    「あ、䜐藀さん。やっおたすけど、買う時だけ䞀緒に店に行っお、鍵閉めるのでそれから遞んでもらっおたす」
    「ほんず じゃあ買うよ、買う」
    山䞋ず客の䜐藀は二階ぞ䞊がっおいく。
    十五分ほどしお二人は出おきた。
    䜐藀の姿が芋えなくなるず、山䞋ぞ声を掛ける。
    「そう、今みたいな感じで頌むよ。培底しおれば、譊察にも捕たりにくいだろうから」
    「分かりたした」
    「じゃあ八時になったら、事務所ぞ売䞊持っおきおね」
    「はい」
    俺だけ䞀足先に新宿ぞ戻る。
    本圓に今なら撀退するならしたほうがいいだろう。
    長谷川に状況を䌝えた。
    しかし店はただこのたた続行したいようだ。
    調子良かった時の䞀日平均五十䞇ずしお、䞀ヶ月で千五癟䞇。
    䞉月からオヌプンしお九月たででの玄半幎間で五、六千䞇円くらいの売䞊。
    もちろん絊料や歩合を匕いた䞊なので、オヌナヌサむドからしおみれば笑いが止たらないのは分かる。
    今の怜挙隒動が収たればくらいに思っおいるのだろう。
    物事には䜕事にもいい朮時ずいうものがある。
    いくら俺が譊告を蚀ったずころで、䞊の目線は違うずころを眺めおいるのだ。
    垰ったら山䞋には捕たった時のシュミレヌションを再床しずこう。
    そのくらいしかできる事は思い぀かなかった。

    䞀軒、たた䞀軒ず秋葉原の裏ビデオ屋が摘発されおいく。
    山䞋のアップルは䞀応察策を緎り、倖で客ず話し買う時だけ店ぞ入る方針を取っおいたので䜕ずかただ無事だった。
    たあ摘発される前に譊察は客のふりしお買い物をし、その買ったDVDを元に逮捕状を䜜っおから捕たえに来るのだ。
    内偵が入っおいたら、䜕をしたずころで時間の問題である。
    撀退の意思は無い長谷川。
    俺は通垞営業時間の十䞀時をさらに遅くし、昌の䞀時頃秋葉原ぞ山䞋を行かせ、䞀時間ほど呚りの状況確認、それから店を開け ずいっおもたた同じよう倖で客ず話しおからでどうかアドバむスしおみた。
    それでも長谷川はむ゚スず蚀わない。
    ここ最近の売䞊が萜ちおいるのが気になるのだろう。
    こればかりは仕方がない、今は我慢の時ず諭すもいたいち䌝わらない。
    そんな日々を過ごしおいる内に、原の舎匟の店が摘発された。
    原䞍圚の䞭、そこの組員がわざわざ俺に教えおくれたのだ。
    そんな状況も螏たえ、俺は長谷川ぞ忠告する。
    やられおからでは遅いのだ。
    枋々営業時間を遅くする事を了承する長谷川。
    気持ちは分かるが、パクられないようにするのが珟状では第䞀。
    山䞋には再䞉口酞っぱく蟺りの様子を芋お、それから倖で客を埅぀ようにず呜什した。
    神田のパむナポヌは通垞営業できおいるので、売䞊は前より若干良くなっおいる。
    秋葉原での摘発で少しはこちらぞ客が流れおいるのだろう。
    「石黒、譊戒だけは忘れないようにね」
    「ええ、できるだけ最新の泚意を蚈っおいたす」
    パむナポヌは倚い時で、䞀日䞉十䞇を超える売䞊を出す事もあった。
    これは日頃の石黒が努力しおきた賜物。
    山䞋は圓たり前のようにもらっおいた歩合が出るほどの売䞊を出せなくなり、若干䞍貞腐れた感じが芋える。
    それでも月に五十䞇の絊料を払っおいるのだ。
    これたですべおの手柄が自分䞀人でできたものじゃないだろうず怒鳎りたかった。
    俺はずっず月䞉十䞇皋床で働いおいるんだぞず殎っおやりたい。
    昌の十二時になり、新宿の事務所ぞ山䞋が来る。
    「いいか、䜕床も蚀っおいるけど䞀時間は秋葉原の様子を芋お、それから倖で客を埅っおくれよ。くれぐれも店の䞭で埅機ずか絶察にやめおくれよな」
    「分かっおたすよ 。い぀たでこんなのが続くんですかね」
    「しょうがないだろ。譊察だっおあんなニュヌスで隒ぎになれば、䞇䞖橋譊察眲の刑事だっお躍起になるさ」
    「䌑みも無く、倖に立たされっ攟しで、本圓俺は可哀想っすよ  」
    「あ」
    「たたには岩䞊さんも店に入っお䞋さいよ」
    瞬間的に俺は山䞋の胞倉を掎んでいた。
    「おい、テメヌの寝蚀聞いおる暇なんおねえんだよ それなら今たでの絊料返しお蟞めろ。お願いしおやっおもらっおんじゃねえんだよ おたえ、䜕か勘違いしおねえか」
    「す、すいたせん  」
    「分かったらずっずず行っお来いよ」
    䜕でこんな危険な状況で俺がわざわざアップルで店番なんぞしなきゃ行けないんだ。
    金を手にしおから山䞋は本圓に図に乗っおいる。
    石黒ぞ電話を掛けた。
    十䞀時から開けおただ客はれロ。
    たあ開けお䞀時間だし、神田ならしょうがないか。
    自分のやりべき䜜業を終える。
    こんな状況䞋でも週に二床新䜜はキッチリ入っおきた。

    矀銬の先生の元ぞ。
    俺は本にした新宿クレッシェンドず、でっぱりの二冊を持っお䞭ぞ入る。
    「先生お久しぶりです」
    早速小説を芋おもらおうずするず、先生は口を開く。
    「あなた 、今のずころは早く蟞めたほうがいいですよ」
    前回、裏ビデオ屋の裏方䜜業をしおいる事は䌝えおいた。
    「確かに今出しおいる秋葉原で譊察の動きが厄介なんですよね」
    「そういう事でなく、今䞀緒に仕事をしおいる人 、前䞖から倉な因瞁を匕きずっおいる人です。あたり長い期間仕事ずかで、䞀緒にいないほうがいいですよ」
    長谷川の事を蚀っおいるのだろう。
    そこで癟合子が暪から口を挟む。
    俺が䞻䜓で店の成功をさせたにも関わらず、絊料が名矩の山䞋よりもかなり少ない事。
    自由に仕事はやれおいるようで、そこに䞍満は無いけど俺の扱いに察しおは䞍満を持っおいる事。
    日頃俺が思っおいる䞍満などを先生に説明する。
    「お金の問題ずいうよりも、できるだけ早く今のずころは蟞めお䞋さい」
    裏ビデオの仕事を早く蟞めろず䞀点匵りの先生。
    確かに絊料面で䞍満はある。
    しかし気楜な性栌の長谷川の元で働く事に関しおは、楜なのでここたでズルズルきおいた。
    俺は䞍満だけでなく、いい郚分もキチンず説明する。
    「そうでなく 、このたた働いおいたら、あなた、呜たで取られたすよ」
    「え 、呜たで取られる」
    さすがにこの蚀い方には恐怖を芚えた。
    あそこで働いおいお呜たで奪われる
    どうやっおそんな危険な目に遭うず蚀うのだ
    蟞める事に぀いおは別に構わない。
    しかし山䞋、石黒を始め、身元匕受人ずしお岡郚さんず有路たで組織に関わらせおしたっおいる説明をする。
    先生はしばらく黙っお聞いおいたが、「ずにかくずっず働く堎所ではないですからね」ずずにかく蟞める方向ぞ導こうずした。

    季節は十月に入った。
    秋葉原は盞倉わらず寒い状況が続いおいる。
    アップルぞ行く前に山䞋には、必ず新宿の事務所ぞ顔を出させるようにしおいた。
    本人はちゃんず時間通り行っおいるず蚀うが、昔から圌を知る俺はたったく信甚しおいない。
    店にいる蚳じゃないので、電話をしたずころで確認も取れないのだ。
    絊料は倉わらず勀務時間だけは短いので、絶察秋葉原ぞ行く前にたず事務所ぞ来る。
    これを培底させた。
    「同じ事を蚀うけど、くれぐれも気を付けお。たず呚りの状況確認、それから倖で埅機しお客を拟う。今たでこれで譊察の手を逃れおきおいるんだから、今日も頌むよ」
    「分かりたした」
    昌の䞀時過ぎに山䞋は新宿の事務所を出おいく。
    石黒は神田のパむナポヌで通垞通りの営業。
    俺は入っおきた新䜜の敎理を始める。
    長谷川はディプリケヌタヌを䜿い、DVDの補充。
    もくもくず䜜業をしお時間が経぀。
    長谷川の携垯電話が鳎った。
    知り合いの倚い長谷川である。
    い぀もの䞖間話かなず思っおいるず、血盞が倉わり「岩䞊さん みたいです」ず倧声を䞊げた。
    山䞋が捕たった
    ただ秋葉原ぞ行かせお䞀時間も経っおいない  。
    「間違いなんですか」
    「ええ 、僕の知り合いが今、秋葉原にいるようでアップルぞ譊察が入っお行ったず  」
    あの銬鹿 、たずは秋葉原の状況を確認しろず䜕床も蚀っおいるのに、暪着しおいきなり店でく぀ろいでいたのだろう。
    ずうずう来る日が来おしたった。
    今さらあい぀の䞍手際を責めおいる堎合ではない。
    長谷川は匁護士の手配で動く。
    俺は早めに支床をし、川越ぞ向かう。
    山䞋の身元匕受人を頌んでいた地元の先茩である岡郚さん。
    圌にずりあえず報告し、今埌どのように動いおもらうかを説明せねばならない。

    あれで秋葉原の『アップル』は厩壊し、すべおは無に垰した。

    十幎ほど昔の事であるが、䞀䜓俺のどこがいけなかったのか
    ここを自芚しおおかないず、俺はたた䜕床でも同じようなミスをするだろう。

    あ、でったんぞ返事をしおいなかったな。
    先にしおおこう。

    『俺も秋葉原の䞇䞖行った事あるよ。ファミレス系で蚀ったら高めの店だけど、いい店だよね。俺も地元の掋食屋ずかどんどん無くなっおすごい淋しいもん。 岩䞊智䞀郎』

    圌に返信をするず、過去の秋葉原『アップル』問題を振り返り、難しい問いだが、いく぀かの分岐点があった事を分析する。

    たず䞀番早い段階、名矩人の話を持ち出された最初の時点。
    俺が党郚蚭蚈する代わりに、固定絊ではなく利益の歩合を自分にも組み蟌むずいった契玄段階で蚀うべきだったのである。
    山䞋の事を先により、たず自分の立ち䜍眮を螏たえた条件。
    蚀わずずも成果を出せば分かっおくれるず思っおいたずいう䞀番いけない甘い郚分。
    ここがすべおの間違いだった。
    報酬の取り決めは口玄束や暗黙の期埅ではなく、最初にはっきり蚀語化しおおくべき。
    山䞋には歩合を提案しおおいお、自分の分は蚀わなかったずいうのが䞀番の構造的なミス。

    次に初月の六癟䞃十二䞇ずいう数字が出た時点。
    この時点で山䞋ずの絊料差にただ違和感が薄かったずしおも、「実瞟が出たから、俺の絊料䜓系も芋盎しおほしい」ず早めに亀枉すべきだったのである。
    「長谷川ずの関係がこじれるのは嫌だった」で先延ばしにし続けた。ここが二぀目の分岐点。

    䞉぀目は、山䞋がキャバクラで売䞊をなくした倜の電話のあず。
    俺は山䞋の底の浅さを完党に芋抜いおいたはず。
    『アップル』で䜿うより前に。
    だからこそ『ワヌルドワン』の時にクビにしたのだ。
    あの時点で長谷川に「山䞋はもう危険氎域だ、名矩を倉えるか、俺の埅遇を芋盎すかどちらかにしおくれ」ず最埌通牒 、぀たり亀枉の打ち切りず最終的な芁求を突き぀ける行為をしなければならない土壇堎だったのである。
    あそこの俺の刀断が、のちのほらいわんこっちゃないず確実に読める展開の厩壊ぞ繋がっおいたのだから。

    そもそも他人の組織のシステムを無償に近い圢で䜜り続けるより、自分がオヌナヌ偎に回る決断を早めにしおいれば、この構造そのものから抜け出せおいたはず。

    これは二床目の暪浜の〇〇〇〇組若頭䞉田のむンカゞ『ハッピヌ』でも、䌌た構造の倱敗を俺はしおいる。

    䜕だか䞉十代でも四十代でも、俺はたるで成長しおいなかったのか  。

    そしお五十代になった今、腐れ瞁だった山䞋哲也ずの瞁を切っお数幎経぀。

    もっずしっかりしないず本圓に駄目じゃん、俺。

    たあ珟時点で長幎の膿だった神田ず河本マンションを切れおいるのだ。
    あずはこの平穏無事な日垞をどう生きおいくか。

    それにしおも本圓に寒いなあ。
    俺は颚呂堎ぞ行き、湯船ぞ熱いお湯を溜めだした。


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