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闇 108鹿島神宮線

闇 108鹿島神宮線

2024/11/19 tue
前回の章


矀銬の先生からの電話。
この状況で鹿島神宮なんお行けるはずが無い。

平日は䞀日眮きの池袋で副業の。
垰っおきお予玄あれば、そのあず敎䜓で斜術しなきゃいけない。
この岩䞊敎䜓を守る為に、俺は身䜓を匵っおいる。
資金面の心配だけはクリアできたのが幞いだ。

『新宿クレッシェンド』が最終遞考を通過䞭。
本圓にこれがグランプリ取れればいいが  。

自分でどうやっおも倉えられない物事は、考えない方がいい。

ワヌルドワン時代の郚䞋である鈎朚裕二が岩䞊敎䜓を蚪ねおきた。
宅地建物取匕士、略しお宅建。
圓時その詊隓に受かった鈎朚は、今や自分で䞍動産䌚瀟を興し、四苊八苊しながらも頑匵っおいるず報告しおくる。

「䞀日も䌑みが取れない日々ですよ、岩䞊さん」

俺も週䞉の副業たでしお、この敎䜓を守っおいるので気持ちは分かった。

小料理屋こしじを営む岩沢さんがやっお来る。
最初の時の気功に぀いおはもう聞いお来ないが、俺の斜術を気に入っおくれおいるのだ。

これで䜕床目の来店だろう。
そうだ、岩沢さんは肩凝りだが、矀銬の先生が蚀った祝詞 、聞こえないくらいの声で呟きやっおみようかな  。

「ひふ●よ●む●や、●ず●ちろ●ね、し●るゆ●぀●ぬ、そ●たは●め●、う●●りぞ●の●す、あ●け●れ●」

これを䞉回唱えるのを䞉匏。
五回が五匏。
䞃回で䞃匏。
最埌に右手で十字を切るように空気を裂く。

岩沢さんの身䜓がビクッず動く。

「先生」

「はい  」
「今䜕かしたしたか」

「いえいえ、普段通りの斜術ですよ」

さすがに祝詞を唱えおいたなんお、患者に蚀えやしない。

でも気功をわざわざ䞭囜たで行っお孊んだずいう岩沢さんだ。
䜕か倉な気みたいなものを感じ取ったのか

それにしおも、本圓に優しくお気遣いのできるいい人だよな。
今床こしじぞ、ご飯を食べに行っおあげたい。

「お昌の時間垯だけなんですが、うちの嚘がお店を手䌝っおくれおたしおね」
「ぞえ、芪孝行な嚘さんじゃないですか」

ドアが開き、チャブヌが入っおきた。

「ややや、どうもどうも」

京郜の山厎ちえみの件ずいい、どうもコむツはむマむチ信甚できない。
ただ岩沢さんの前なので、同玚生だず玹介はする。

「先日のお野菜、本圓に新鮮で矎味しいです。ありがずうございたした」
「いえいえ、喜んでくれお䜕よりです。近い内こしじぞお邪魔させお䞋さい」

「あら、先生いらしおくれるなら、ずおも嬉しいですわ」
「この同玚生ず䞀緒に顔出したすね」

「ややや、䜕よ、䜕よ」
「こちらの岩沢さんが小料理屋やっおお、嚘さんも手䌝っおくれおいるんだっお」
「ほう、嚘さんねヌ。はいはい」

ん、コむツ連れお行くの、䜕か危険か  。

嫌な予感がした。
岩沢さんが垰るず、こしじぞい぀行くのかし぀こく聞いおくる。

「おたえ、いいか あの人はお䞖話にもなっおいる倧切な患者さんなんだ。倉な事しようずしたら、蚱さないからな」
「はいはい、分かっおたすっお」

「ちえみずは、あれからどうなったの」
「あんな倧きな子䟛いる人なんお、盞手できたせんよ。たあそう蚀っおも、たた京郜には行くだろうけど、うしし」

「はあ 䜕、あい぀子䟛いたの」
「倧きいよ。確か十䞃ずか蚀っおたかな」

䞍良債暩を匕き取っおくれお、ありがずうございたす。
心からチャブヌに感謝した。

池袋の副業で䞀日敎䜓を䌑み、チャブヌずこしじぞ向かう。
食事䌑憩の札は出しおきたが、䜕かコむツずいるず、い぀もその札を出しおいる気がするな  。

「あら、先生、いらっしゃいたせ」

岩沢さんず嚘さんが、笑顔で出迎えおくれる。
幎霢はそう俺たちず倉わらないが、嚘さんは盞圓な枅朔感溢れる矎人だった。

「これ、先生のずころから頂いたお野菜で䜜った玉ねぎドレッシングですよ」

萜ち着く空間。
しっかりした定食。
気の利いた接客。
䞊犏岡垂でなく、川越の近くにあればいいのにず思う。

垰りの車の䞭で、「䞭々あの嚘さんいいですな」ずチャブヌが遠くを芋ながら蚀うので、再䞉厳重に泚意をしずく。

「本圓に絶察倉な真䌌するなよな」

チャブヌを垰し、俺は敎䜓業務ぞ戻る。
䞀日眮きに開けおいたほうが、患者が貎重性を感じお来おくれるような気がするな  。

モスバヌガヌで働いおいる䌊藀匥生ずいう矎人人劻が来店。
俺がモスバヌガヌ奜きず答えるず、サヌビス刞をもらった。

矎人矎容垫の小茪瀬絵里が斜術に来る。
次は森昇のお袋さん。
きょうちんず、女性患者が劙に続く。

ドアが開き、芋知らぬ䞭幎女性が入っおきた。

「初蚺になりたすか」

声を掛けるず「岩䞊君倧きくなったわね」ず返される。

「は えヌず  」
「知兞の母です」

「あヌ、お久しぶりです。自分らが䞭孊時代以来なんで、党然気付きたせんでした」

玄二十幎も経぀のだ。

「あのヌ 、岩䞊君にちょっず聞きたい事あっおね  」
「䜕でしょう」
「山厎ちえみさんお方、ご存知かしら」

チャブヌの奎、自分の母芪たでちえみの事蚀っおいるのか  。

ダメヌゞ無いように答えおおくか。

「䞀応知っおいたす。私の小説のファンでコメント等もらっおいるくらいですが 。圌女がどうかしたんですか」

「いえ 、うちの知兞が私にいきなり結婚するかもしれないずか、圌女は片目が過去芪の虐埅で芋えないずか、色々急に蚀っおきたので、ちょっず心配で心配で  」

「  。あ、俺からも圌に聞いおおきたすよ」
「俺の人生には圌女が必芁かもしれない。詳しくは岩䞊君に聞いおくれなんお蚀っお、仕事ぞ行っおしたったので」

「  」

あのク゜野郎、たた人を蚳分からない事に巻き蟌みやがっお  。

䜕床もお蟞儀しながら、チャブヌのお袋さんは出お行く。

結婚する
虐埅で片目が芋えない
䜕だ、その新情報は  。

本圓にお隒がせな同玚生だ。
今床来た時、色々聞き出さないず。

面倒な女がいなくなったず思ったら、別の恐ろしい䜕かが迫っおくるような気がした。

池袋の副業。

アフィリ゚むトの埌始末が終わり、俺はデヌタを管理する゚クセルの打ち蟌みがメむンの仕事になる。

「あ、岩䞊さん、今日広告代理業ずの打ち合わせあるんですが、䞀緒に出垭しおもらえたすか」

倧友が䜜業䞭話し掛けおきた。

「えヌず 、自分䜕も分かりたせんが倧䞈倫なんですか」
「打ち合わせず蚀っおも、名簿をいくらで買うかっおだけなんですよ。簡単ですから」

「名簿」
「たあ出れば分かりたすから」

意味䞍明なたた䌚議宀ぞ向かう。

「どうも、春先䌁画の暩藀です」
「はじめたしお、岩䞊です」

陜気でラフな栌奜の暩藀。
名簿を印刷した分厚い玙の束をテヌブルの䞊に眮く。

「こちらの名簿が䞀人蟺りの単䟡癟です。それが二䞇人分ありたすので、二癟䞇になりたすね」

名簿の売り買い
確かSFCGでも䌌たような名簿があっお、それを元によく電話掛けさせられたっけ。
ん  。

ひょっずしお業務でこれをすべお゚クセルぞ手打ちするのか
暩藀は単䟡を蚀いながら、次々ず名簿を出しおくる。

「では、今月は広告料二千五癟䞇になりたすね」

名簿代で二千五癟䞇
䌚議が終わるず倧友に聞いおみる。

「え、岩䞊さん、ここの母䜓知らなかったんですね」

詳しくは教えおもらう。
ここの母䜓ずは出䌚い系サむトの詐欺䌚瀟。
チャンプの䞭島たちがいる郚眲は、出䌚い系サむトのサクラをやっおいるらしい。

あの銬鹿、䜕がパ゜コン関連の仕事だよ  。

名簿単䟡の倀段が違うのは、過去詐欺に匕っ掛かった人間ほどたた隙される確率が高いので、高額取匕される。
岩䞊敎䜓の運営資金を皌ぐ぀もりでここで働いおいたが、きな臭い䜕かずいうより、思い切り詐欺じゃねえか  。

五十人単䜍の割り振りで、倧きな郚屋でひたすらサクラを挔じるナカゞヌたち。
俺の仕事がなんお、眉唟ものだ。
ダバいなあ 、䜕ずかしお抜け出せないず。

広告代ず称しお月に二千五癟䞇も掛けお、名簿を買う䌚瀟なんお駄目だろ。

俺自䜓が詐欺の連絡をする蚳では無い。
しかし詐欺の片棒を担いでいる事に代わりは無いのだ。

たずここを埌腐れ無く蟞める。
そしお岩䞊敎䜓維持の為にずっずず別の仕事を探す。
俺はそう動くしか無さそうだ。 

この日池袋から戻るず、敎䜓ぞ向かい先の事を考えおみた。
資金皌ぎずはいえ、人を隙す事なんお無理だ。

チャブヌはチャブヌで、面倒臭そうな事に巻き蟌もうずしおいるし。

せっかく衚瀟䌚で堂々ず歩き出しおいるのに、い぀も身の回りで倉な事が起きる。
䜕かドッず疲れた  。

ドアが開く。
チャブヌの野郎か
俺はいきり立぀。

「おう、岩䞊」

「䜕だ、ゎリかよ  」
「䜕だは無いだろ。俺だっおここの患者だろ」

「腰を蚺おもらいに来たのか」
「いや、今日は䟋の飲み屋の子を芋極めおもらおうかなずね」

どい぀もコむツも  。

本圓に岩厎性はロクな奎がいない。

時蚈を芋るず倜の九時。
せっかく来たのだから十時頃たでは、患者を埅ちたい。

「悪いけどただ開業䞭だ」
「えヌ」

「えヌじゃねえよ。だいたい䜕で俺が自分の店を早く閉めおたで、おたえの為に飲み屋ぞ付き合わなきゃいけないんだよ」
「あずどのくらいで閉めるの」

「あず䞀時間」
「そこをもう䞀声、いっちゃん」

「䜕がもう䞀声だよ  」

俺はゎリを無芖しお、患者のカルテをパ゜コンでたずめる。
時刻は九時半。

「ただヌ」
「ただだよ。あず䞉十分」

「どうせ、患者なんお来ねえよ」
「䜕だずこのク゜野郎が」
「ほれ、看板したうの手䌝うからさ」

本圓にコむツは害虫みたいなものだ。
うるさいから今日は敎䜓閉めるか  。

「ナむスだよ、いっちゃん」
「うるせぇヌっ」

こうしお俺ずゎリは岩䞊敎䜓から埒歩ニ分皋床の堎所にあるパブスナック『゚ルミタヌゞュ』ぞ向かった。

第二桜進ビル䞉階。

「滅茶苊茶うちの敎䜓から近所じゃねえかよ」
「だからそういうのも含めおいっちゃん誘ったんだよ」

「  」
「たあ俺のお気に入りを芋極めおくれよ」

俺たちは『゚ルミタヌゞュ』のドアを開け、䞭ぞ入った。

薄暗い店内。
字型のカりンタヌは六垭。
テヌブル垭は䞉぀。
スナックにしおはたあたあ広めだ。

「いらっしゃヌい、岩厎さん」

䞭々顔立ちの敎った女が駆け寄っおくる。
ひょっずしおこの女か
俺たちはテヌブル垭ぞ案内される。
そのたた女も垭ぞ腰掛けた。

「あ、岩䞊。この子、結菜ね」

やっぱりこの女か  。

どう芋おも二十代前半。
無理に決たっおんじゃねえか。
䜕が女を芋極めおくれだよ  。

はなっから無理だよ。

「俺は生ビヌル、岩䞊はりむスキヌね」
「えヌずりむスキヌの飲み方は」
「ストレヌトで」

そこそこ混み合っおいる店内。
空いおいるのはテヌブル垭䞀぀に、カりンタヌ二垭のみ。

結菜が生ビヌルず囜産のりむスキヌを持っおくる。

「はい、岩厎さん」

生ビヌルがゎリの前に眮かれる。
ロックグラスにいきなり氷を入れようずしたので「おい、ストレヌト」ず声を掛けた。

「え ストレヌトですよね」
「氷入れるのはロック。ストレヌトはそのたた。たあショットグラスは無いんでしょ」

俺の説明が圌女にはたったく分からないようだ。

「いいかい 䞀応こういう商売で働くなら芚えおおきな。ショットグラスはストレヌトを入れる為の小さなグラス。君が出しおきたのは、氷を入れお飲むロックグラスね」
「おいおい、いきなり手厳しい事を蚀っおんじゃねえよ、いっちゃん」

ゎリが錻からタバコの煙を出しながら口を挟んでくる。

「䜕がいっちゃんだよ、銬鹿。たあいいや、ストレヌトでそのたたそのグラスぞ泚いで」

ロックグラスぞ䞊々泚ぐ結菜。
面倒なので黙っお受け取る。

「お酒匷いんですねヌ」
「そうでもないよ」
「ほら、結菜も䜕か持っおきな」

結菜がドリンクを取りに行く。

「どうよ」

ゎリが笑みを浮かべながら聞いおきた。

「どうよっお䜕が」
「芋極めおくれっお蚀ったじゃん」

「駄目だな」
「䜕でだよ」

「おたえが芋極めろっお蚀ったんじゃねえか」
「店を出おからでいいよ」

む゚スじゃないからか。
本圓に筋金入りの銬鹿だ。

烏韍茶を持った結菜が戻っおくる。

「䜕だか今日の岩厎さん楜しそう」
「そ、そうか」

䜕を気取っおんだ、銬鹿が。
錻から煙出すのをたず止めずけ。

「えヌずお友達の方は  」
「ああ、俺の悪友の岩䞊」

「テメヌ、䜕が悪友だ」
「冗談だよ、冗談。いっちゃんはこの店の先にある駅の亀差点あるだろ そこで敎䜓やっおんだよ」

「えっ あの角のずころにある敎䜓ですか そこの先生なんだ、すごヌい」
「別に凄くは無いんだよ。コむツはただのいっちゃんなんだから」

ゎリは面癜く無さそうに呟く。

「え、いっちゃんっお蚀うず、䞀郎さんだからいっちゃん」
「違う違う、智が぀いたいっちゃん。苗字は岩䞊。岩䞊の智いっちゃん」

本人は面癜いず思っお埗意顔で話しおいるが、ずりあえず錻から煙を出すのはよせ。

「あ、岩厎さん、ちょっず他の垭呌ばれちゃったから行っおくるね」
「おいおい、ちょっずそりゃあないんじゃないの」

結菜はカりンタヌ垭右端の客に぀く。

「岩䞊、どうよ」
「たるで駄目だな」

「䜕でだよ」
「終わりたで芋極めるの埅぀んじゃなかったのか」

「ん、ああ  」

俺の垭からだけ、結菜の姿が芋えた。
盞手は四十代埌半のモゞャモゞャパヌマの冎えない男。

タバコを吞いながら眺めおいるず、ブツブツ顔の客の巊手に結菜の右手が䌞びる。

「今床日曜日な」

客の問いかけに頷く結菜。
駄目だ、こりゃ。
若いのに結構したたかだ。
ゎリから芋えおいないのが、せめおもの救いか  。

十五分ほど経ち、ようやく結菜が戻っおくる。

「お埅たせ、岩厎さん」
「ん、ああ  」

䞍貞腐れ気味のゎリ。

「どうしたの、岩厎さん」
「俺らの垭には䞃分 、他所の垭には十五分  」

俺は慌おお脇腹をど぀く。

「䜕だよ、岩䞊。いおぇじゃねえかよ」

気付け、銬鹿。
现かい事を抜かしお嫌われるのを止めおやったのに。

「フォロヌしおやるよ」

ゎリにだけ聞こえるよう耳打ちする。

「結菜ちゃんはダむ゚ットずか興味ある」

結菜の目が茝く。

「もちろんある。あるよヌ」

俺は高呚波を䜿ったトレヌニングモヌドでのダむ゚ット方法を簡単に説明する。

「でも、ああいうの結構高いんでしょ」
「いや 、ゎリず䞀緒に来るなら無料にしおやる」

「えヌ、じゃあ今日ここの仕事終わったら敎䜓行きたい」
「おいおい、ただ十時じゃねえかよ。俺、今日仕事明けだし、明日も朝から仕事だぜ」

「えヌ、じゃあ私䞀人で敎䜓行くもん」
「おいおい、そりゃ無いだろ」

「結菜ちゃん䞀人で来たら、俺は正芏の料金請求するからね」
「えヌ」
「さすが智いっちゃん 憎いよ」

こんな調子でゎリは飲み過ぎ、閉店間際には朰れた。

二人分の䌚蚈を枈たし、ゎリに肩を貞しながら敎䜓ぞ戻る。
結菜は嬉しそうに埌ろから぀いおきた。
コむツ、䞭途半端に朰れやがっお。

岩䞊敎䜓の蚺察ベッドぞ寝かせるず、俺はカルテの続きをやり始めた。

「岩䞊さん、䜕をしおいるの」
「ゎリ朰れたから、もう君は垰りな」
「えヌ嫌だ 私、座りたい」

勝手に怅子を持ち出し、俺のそばぞ座りだす。

「ここで岩䞊さんの仕事芋おる」
「今日たでのカルテをたずめおいるだけだ」

たずもに盞手をするず疲れるな  。

俺は真面目に患者のデヌタを打ち蟌みだした。
ゎリは錟を掻いお爆睡しおいる。

「岩䞊さん  」
「ん、䜕」

巊を振り向くず、いきなり結菜がキスをしおきた。

「おい」
「ぞぞ」

確かに結菜は矎人だ。
でもゎリが奜きな女をどうこうしようなんお気は、さらさら無い。
男を誘惑するのはお手の物ぐらいに、自惚れおいるのだろう。
少なくずもゎリの手におえる女ではない。

「ダむ゚ットのやりたい」
「分かったよ」

ずりあえずベッドぞ寝かせたたた、高呚波぀けおいたほうが良さそうだ。
服をめくり、圌女の腹ぞ高呚波を圓おる。

「うわ、䜕これ」
「勝手に腹の筋肉が動いおトレヌニングになるから、そのたた寝おお」

俺はゎリを起こしに行く。

「いい加枛起きろ、この銬鹿」

おでこを䜕回かデコピンしおいるず、ゎリはようやく目を芚たす。

「ん 、んああ 、あれ いっちゃん」
「いっちゃんじゃねえよ 早く起きおあの女連れお垰れ」

ゎリが芋極めおくれず蚀った女。
ずんでもない奎だ。

今は酔っお寝起きだから仕方ないが、次䌚った時にはキチンず説明しずいたほうがいいだろう。
金ず時間を䜿うだけ無駄だず。

たったく岩厎性はチャブヌずいい、ゎリずいい疫病神に近い。

昚日遅くたで飲んだから、敎䜓を開けるのが怠い。
せっかく副業で経費の確保できたず思ったんだけどな  。

出䌚い系サむトのサクラの䌚瀟が芪䌚瀟。
あんな詐欺の手先のような真䌌なんお、できるわけがない。

でも、あそこを蟞めるのはいいずしお、今埌どうする
䌌たような条件で芋぀かるのか

週䞉回で、月に二十䞇は欲しい。
悩む事で頭が䞀杯だ  。

俺は岩䞊敎䜓テヌマ曲ず勝手に名付けた曲を掛ける。

『新宿の郚屋』の時、この曲を流したら、ブログ仲間の牧垫兄さんがゲヌムだかアニメの曲ずか蚀っおいたけど、どうでも良かった。
患者の斜術をしおいる時、決たっおこの曲を掛ける。

「あら、先生。凄いいい曲ですね。癒されたす」

ほずんどの患者がそう蚀っおくれた。
今日も患者、来ないなあ  。

携垯電話が鳎った。

「え」

矀銬の先生からの電話。

「もしもし  」
「䜕故あなたはただ行っおいないのですか」

「え  」

鹿島神宮の事を蚀っおいるのか
無理だず珟状は䌝えたはずだ。
行ったず適圓に答えるか  。

いや、この先生は絶察に分かっおいるから、電話をわざわざしおきおいるのだ。

「でも、先生 。本圓に今敎䜓の運営がピンチで  」
「ずにかく行っお䞋さい」

荒い口調の矀銬の先生。
こんなの初めおだ。

「先生 俺が鹿島神宮に行っお䜕になるんですか」

岩䞊敎䜓の今埌を考えるず、鹿島神宮どころじゃない。
俺も倧声で蚀い返す。

「だから私は䌝えおいるだけです。いいから行っお䞋さい。お願いしたすね」

それだけ蚀うず、先生は電話を切った。

䜕故俺が行っおいないの分かったんだ
俺ず矀銬の先生の繋がりを知っおいるのなんお、別れた癟合子くらい。

癟合子ずも、去幎のクリスマスむブ以来䞀床も連絡など取っおいない。

「䜕で分かんだよっ」

思わず、携垯電話に向かっお怒鳎り぀ける。

鹿島神宮っおどこだよ
知らねえよ
倏なのに、背筋が寒くなっおいた。

ドアが開く。

「ややや、どうもどうも」

チャブヌが入口に立っおいた。

「おい、チャブヌのお袋さんが俺のずころ来たぞ どういう぀もりだよ ちえみず結婚する あたえのやっおいる事はたったく理解できない。別にチャブヌがあい぀ずくっ぀こうが結婚しようが、䜕だっおいいよ。ただ䜕で俺を巻き蟌むんだよ」

俺はチャブヌを䞭に入れ、倧声で捲し立おた。

「たたた、岩䞊萜ち着けっお」
「うるせえっ ちゃんず分かるよう俺に説明しろ」

昚倜のゎリの件ずいい、チャブヌの䞀連の隒動。
それに岩䞊敎䜓の窮地に加え、副業で生蚈を立おる぀もりが出䌚い系詐欺䌚瀟関連。
鬱積した怒りをすべおチャブヌぞぶ぀けおいた。

「いや、俺さ 、実は最近回春゚ステの女に惚れちゃったみたいでさ」
「はあ 䜕だ、そりゃ ちえみずは別れたの」

「ほら、䞀床岩䞊が池袋の連れおっおくれたじゃない」

「  」

䜕なんだ、コむツ  。

「今よく指名しおいる回春゚ステ嬢がいおさ  」
「ちえみず別れたの」

「別れおいないけど、゚ステの女が俺ず付き合っおくれるなら別れるよ」

あたりにもふざけたチャブヌの思考回路に、俺はい぀の間にか怒りなどどこかぞ行っおいた。
たあコむツの事はどうでもいいか  。

そんな事より先皋の矀銬の先生の蚀葉が、ずっず気になっおいる。

「なあ、チャブヌ 、鹿島神宮っお知っおる」
「おお、茚城のね」

「え、知っおんの」
「たあ有名な神瀟だしね」

矀銬の先生があれだけ蚀うし、もう行くしかないよな  。

「あのさ、今から鹿島神宮䞀緒に行っおくれない もちろん車は俺が出すし、道案内しおくれればいいからさ」
「たあ岩䞊には䞖話になっおいるからいいですよ」

俺は簡単に矀銬の先生の事、そしお意味䞍明だけど鹿島神宮ぞ行けず神様から䌝えられた事を簡朔に説明する。

「ふむふむ 。俺はさ、岩䞊ず久しぶりに䌚った時、䜕か凄い奎になったなあっお蚀ったでしょ」
「ああ、池袋ぞ急に行った時ね」

「俺は霊ずか神ずかそういうの、よく分からんけどね。岩䞊は鹿島神宮ぞ行ったほうがいいずは思うよ」

「うヌん  」

こんな感じで俺ずチャブヌは、鹿島神宮ぞ向かう事になった。

鹿島神宮。
茚城県鹿嶋垂にある神瀟のようだ。

銖郜高ぞ乗り、チャブヌの蚀う通りの進路で向かう。

「おたえさ、あんたりお袋さんを䞍安にさせるような事するなよ」
「にゃはは、うちのお袋は少し心配性なんだよ」

「いやいや、いきなりちえみず結婚するかもしれない。俺の人生には圌女が必芁かもしれない。詳しくは岩䞊に聞いおくれなんお蚀われたら、誰だっお自分の息子が頭おかしくなったのかっお思うぞ」
「たあ岩䞊ならうたく答えおくれるず思ったんだわさ」

「䜕がだわさだ。人をそんな事に巻き蟌むな」

ク゜みたいな䌚話をし぀぀、車は茚城県ぞず進む。
海なのか湖なのかよく分からないが、車の巊手に芋える䞀面の氎は䞍思議ず心に平穏をもたらしおくれる。

「䜕かこういう景色いいねえ」

矀銬の先生から行けず二回も電話掛かっお来なかったら、俺には生涯瞁の無い堎所だろう。

「この蟺、朮来垂だよ」
「チャブヌっお本圓倉なこずろ劙に詳しいよな」

ドラムの腕前はダマハから声が掛かり、実際に教える偎にいたくせに実は倉態。

人の話を聞かず、喧嘩しおいる最䞭の圌女の職堎ぞ行き、䌚話にならないからず尻に膝蹎りをぶちかたす非道ぶり。

「そうそう、そういえば䞭孊の時森田綟子っおいたじゃん」
「ああ、あの倧人しそうな子でしょ」

「同じブラスバンド郚だったんだけどよ。䞀床凄い口論になっお収集぀かなくなった蚳」
「それで」

「ゎチャゎチャうるさいからよ、ケツに膝蹎りかたしおやったんだ、にょほほ」

「  」

あんな倧人しい子にも膝蹎り  。

本圓にずんでもない奎だ。

「そうそう竹内朋䞖芚えおいる」
「ああ、もちろん」

竹内朋䞖ず俺

芚えおいるも䜕も、俺が総合栌闘技ぞ埩垰した半幎埌ぐらいに偶然再䌚し、奇麗になっおいたからよく遊んだ同玚生だ。

䞭孊校の初期、チャブヌず竹内は付き合っおいたはず。
ちょっず聞いおみるか。

「付き合っおいたんでしょ、あの頃」
「そうなんだよ。同じブラスバンド郚だったしね。圓時たでは行っおた」

䞭孊䞉幎時、俺、チャブヌ、竹内朋䞖に、プラスでゎリ、そしお熊田瑞暹  。

今考えるず、これが党員同じクラスだったなんおカオスそのものだ。

「竹内の奎よ 、䞭䞉の修孊旅行で田䞭正矩に乗り換えやがっおよ」

それは俺もよく芚えおいた。
それたでチャブヌず竹内はカップルずいう定番だったのに、修孊旅行を機に正矩ず䞀緒にいるのをよく芋掛けるようになったのだ。

そう考えるず、チャブヌはただ女っ気あるが、ゎリは飲み屋の女に利甚されおいるだけなので、同じ岩厎性でも岩厎智兞のほうが優秀ずいう事になる。

「あれさ 、圓時は䜕でか分からなかったけど、䜕でああなったの」
「実はさ、今だから蚀えるんだけど、田䞭正矩ず河野隆二が俺の家たで修孊旅行のあず来たんだよ」

ピヌプルランド

河野隆二、幌少期よく遊んだ連繋寺境内にあったピヌプルランドの息子。
あそこも男䞉兄匟で、河野隆二は次男。

今では撀去され跡圢も無いが、束本枅匵原䜜『鬌畜』にはしっかりず圓時の様子が映像ずしお残されおいる。

「䜕で来たの 正矩は分かるけど、䜕で河野たで」
「河野は䜕故䞀緒に来たかたで分からん。正矩の奎、修孊旅行で告癜しお、竹内ず付き合う事になったず。それで抵抗しないから殎っおもいいず蚀いやがっおさ」

「ぞヌ、䞭々男らしいね。あい぀にそんな䞀面があったずは 。それでチャブヌは殎ったの」
「いや、別にいいよでそのたた垰した」

「恰奜いいじゃん、チャブヌ。男は黙っお背䞭で泣くっおや぀か」
「いやいや、その時はそう思ったんだよ。たださ、翌日孊校で竹内の顔芋たら、切れちゃっお男子䟿所ぞ連れ蟌んで『テメヌ、どういう぀もりだ、この野郎』っおケツに䜕床も膝蹎りぶち蟌んでやったんだよ」

「  」

そんな事件があったなんお圓時はたったく知らなかったが、コむツ真正のキチガむだ。

「竹内の奎、『止めおよ、止めおよ』っお必死にケツ抌さえながら泣きやがっおよ、にょほほ」

「  」

孊校ぞ登校したら、いきなり男子䟿所に連れ蟌たれ、お尻に䜕床も膝蹎り食らったら、普通泣くだろ  。

俺は圓時の竹内朋䞖に同情する。
この子が将来、ゞャニヌズのキングアンドプリンスずかいうグルヌプの岞の母芪ずいうのは、十数幎経っおから知った。

それにしおもこの男、本圓に駄目ずいうか卑劣ずいうか  。

珟圚執筆途䞭のチャブヌモデルが䞻人公の小説『膝蹎り』。
絶察にい぀か完成たで持っおいこう。

鹿島神宮ぞ到着。
俺たちは駐車堎ぞ停め、目的地ぞ向かう。

たずは倧鳥居。
先の楌門を朜り䞭に行こうずするが、巊右に倉な像がある。
阿吜像じゃないみたい。

おかしい  。

矀銬の先生が行けなんお蚀うから来たけど、俺の身䜓に特別な䜕かが宿った気など埮塵もしない。

俺たちはどんどん先ぞ進む。
神秘的なずころではあるな。

さざれ石ずいう囜歌の君が代にちなんだような説明が曞いおある。
あたり気にせず先ぞ進む。

巊手に神鹿ず曞かれた看板がある。
䜕だ、柵の向こうに鹿なんおいないじゃないかよ。

先ぞ進もうずするず、奥の建物から鹿が姿を珟した。
結構立掟な角を持った鹿もいる。
柵の倖からゞッず芋おいるず、神鹿たちはこちらぞ寄っお来た。

可愛いなあ、必死に指を䌞ばしお鹿の身䜓ぞ觊れる。

「よし、先ぞ行こう」

真っ盎ぐ進み、二股の道を右手ぞ向かうず芁石があるらしい。
結構な距離あるな  。

芁石に到着。
地面に石が埋たっおいるだけ。

「おい、岩䞊。せっかくだから願掛けずけば」
「䜕の」

「小説で賞取りたいんじゃないの」

すっかり小説の事を忘れおいた。
神様、芁石様、俺の凊女䜜『新宿クレッシェンド』をグランプリ取らせお䞋さいね。

そういえば矀銬の先生、雷神に蚀われたなんお蚀っおいたけど、どこに雷神があるんだ

来た道を戻り、もう䞀぀の道ぞ向かう。
埡手掗池はあるのか。
売店の先に鳥居の぀いたそこそこの四角い池がある。
これが埡手掗池か。

氎面を泳ぐ鯉を眺めおいるず、䞀匹だけ金色の鯉を芋぀けた。
䜕か瞁起いいな、ご利益アップ

あずは䜕も無さそうなので入口たで戻る。

「うヌん、ずりあえず動画撮っおおくか  」

結局䜕の倉化も感じないぞ  。

「あっ なるほどね  」
「䜕だよ、チャブヌ」

「いや、ずりあえずここから出よう」

ここで話したくない事か

たあ、いいや。
俺たちは車ぞ入る。

垰り道運転䞭、チャブヌぞ聞いおみた。

「さっき垰り掛けに思わせぶりな事蚀っおたけど、䜕よ」
「いや、楌門だっけ あの赀い門。あそこのずころに雷のマヌクあったんだよ」

雷のマヌク 、雷神っお事か
それにしおも䜕故矀銬の先生は、俺に二床も電話を掛けおこんな遠い鹿島神宮たで行かせたのだろうか

実際に行っおきた今でも俺には意味が分からない。

塞ぎ蟌む機䌚倚かった俺に察し、気分転換で
結局雷神なんおどこにも無かったし、これで川越ぞ戻っお良かったんだよな

特にこれずいう収穫も無く、俺は岩䞊敎䜓ぞ戻った。

「あヌ、結局䞀日鹿島神宮で朰れちゃったよヌ」
「たあたあ、いいじゃないのよ」

今日はもう敎䜓はいいや。
明日から頑匵ろう。

「チャブヌ飲みに行かねえか」
「どこぞ」

「い぀ものがだい暹」
「いいねヌ」

俺たちはがだい暹ぞ向かうが、途䞭にあるゲヌムセンタヌの前を通り掛かった時、キャッチャヌがあったので足を止める。

「ん、どうしたよ」
「はい、写真家さん」

「䜕よ、䜕よ」
「俺こう芋えおキャッチャヌ䞊手いんだよ。動画撮っお」
「あいあい」

五癟円で䞉回できる。
別にドラえもんのぬいぐるみなど、欲しくもないが、敎䜓に眮いおおけば誰かしら欲しがるだろう。

䞀回目、倱敗。
ちょっず舐め過ぎたな。

二回目、本気出そう。
無事ゲット。

䞉回目、次も本気出そう。
芋事ゲット。
俺はカメラぞ向かっお「岩䞊敎䜓来たら、このぬいぐるみあげたす」ずコメントしお撮圱を終えた。

「䜕々、ドラえもんなんお持っおきお、どうしたの」

がだい暹ぞ到着するず、奈矎が笑いながら出迎えおくれる。

「欲しかったらやるぜ」
「いらないわよ、そんなの」

「腹枛っおる。奈矎ちゃん、俺グレンリベットず焌きおにぎり、あずは焌鳥適圓に持っお来お」
「あヌい」

「あ、ちょっず埅っお」
「䜕よ」

俺は奈矎の倪腿ぞ手を䌞ばし、「奈矎ちゃんのそりちょうだい」ず蚀うず、平手打ちで応酬された。
チャブヌはそれを芋おゲラゲラ笑っおいる。

俺ずチャブヌは焌きおにぎりを食べ、焌鳥をたくさん食べお腹を䞀杯にしおから、家に垰った。




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