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赤リップやめない

     何かに追われていたかのように、ハッと目が醒める。
     午前三時五十二分。
     まだまだ起きる時間ではないのに、一度目が醒めてしまうと二度寝することが出来ない。仕方がないのでカーテンを開き、部屋に薄暗い外の光を入れると、陽の光の色が夜と朝の間を彷徨っていた。
     私はベッドを直すと、トイレに行き、服を全部脱いで洗面所の体重計に乗った。思うように減っていなくてイライラする。
     私はそのまま顔を洗い、丹念にスキンケアをした。美顔器を顔に当てている間はずっと鏡で自分の顔を見ているので欠点にばかり目が行く。シミ。シワ。年齢と共に確実に肌は老化し始めている。
     私は美顔器を当て終わると、歯を磨いた。歯磨き粉のミントの味が苦手で何度も何度も口をゆすぐ。
     もう一度鏡を見る。
     このおばさんは、一体誰だ。
     
     
     暇を潰すようにテレビをつけながらSNSで若く見えるメイク動画を見た。朝食に納豆ご飯を食べる。そして私はメイクの仕上げに流行りの赤リップをたっぷり塗るとコートは着ずにストールだけ巻いて家を出た。
     近所を散歩するも、こんな時間にコンビニ以外開いている店はない。ただ静寂が街を支配している。眠らないコンビニを凄いなあと思う。けれど私は、満足に眠る、ということも出来ない。私には常に不安が付き纏っている。不安は私から充分な睡眠を奪っていく。
     私はコンビニでチョコレート味の豆腐バーを三本買うと、家に帰った。
     
     
    「佐々木さん、この書類ってこれで合ってますか?」
     パソコンに向き合っていると後輩の上原さんが聞いてきた。
    「うん、これで大丈夫だよ、ありがとう。判子捺して出しておくね」
    「ありがとうございます」
     私は引き出しから上司の判子を取り出すと朱肉をつけて書類に判を押した。上司の判子を使ったので、押印管理表を書かなくてはいけない。
    「押印管理表も出しておいてね」私は今やろうと思っていることを先輩の戸田さんに言われて思わずイラッとした。戸田さんは別に悪い人ではないのだが、言い方が時々ムカつく。戸田さんは私より十歳くらい上で、化粧がとても古い。私は戸田さんみたいにはなりたくないといつも思っていた。
     押印管理表を作るために私はいつも使っているファイルを開くと何の書類に誰の判子を捺したのか一覧にして、プリントして自分の判を捺して上司のトレイに入れた。…この一連のフローに何の意味があるんだろう。古い会社なので、判子文化がなかなかなくならない。小さくため息を吐くとお昼のチャイムが鳴って、私は近くのコンビニに向かった。
     
     
    「聞いてくださいよ佐々木さん、私、マッチングアプリで婚活始めたんですよ」
     上原さん…かすみちゃんがウキウキしながら報告してきた。コンビニ弁当の私に比べてかすみちゃんは自作のお弁当を食べている。
    「そうなんだ〜。どう?いい男いる?」
     私はまだマッチングアプリに若干の抵抗がある世代だった。
    「え〜かっこいい人いっぱいいますよ〜!佐々木さんも婚活どうですか?」
     婚活…か。生涯を添い遂げる人を探す年齢は、もうだいぶ過ぎていた。
    「楽しいですよ〜今日もデートだし」
     かすみちゃんが今日デートする人の写真を見せてくれる。たしかに今どきのイケメンだった。前にデートしたのは一体いつだろう。デートにカウントしていいのか怪しい記憶が脳を駆け巡る。
     マッチングアプリ、か…
     私は美味しくないコンビニ弁当を食べながら想いを馳せた。
     
     
     帰宅すると、私は何度か躊躇ってから、結局マッチングアプリをインストールした。自分の情報はほぼ登録せず、どんな男性がいるのかをまず見てみる。
     おすすめには私と近い年齢の男性が並び、その殆どが魑魅魍魎だった。年収しかり、ビジュアルしかり。これがアラフォーの婚活の現実かと、私は絶望的な気持ちになった。
     一旦納豆ご飯を食べ、シャワーを浴びてしっかりスキンケアをしてからもう一度マッチングアプリを開いた。本当は魑魅魍魎ばかりじゃないはずと、年収を六百万円以上に設定して一覧を見た。すると、魑魅魍魎度合いがさっきより上がった。うん、このビジュアルなら年収六百万以上あっても結婚できないかもね、という人ばかりが並んでいた。キスはおろか、隣を歩くことも想像できないような人ばかりだった。私はそんな中でもマシな人に見つけてもらいたいと思い、マッチングアプリに自分の情報も登録するかと自分の写真を探したが、友達はみんな結婚して子どもを産んで、SNSでの繋がりくらいになっていて、友達が撮った私の写真が存在しなかった。…今の私には私の写真を撮ってくれる人もいないのか。SNSで見かける友達は皆、幸せそうだった。
     自撮りも痛いだろうし、どう写真を用意しようか考えて、ちょうど髪の根本がプリンになってきていたし、明日美容室に行って髪を染めたあと美容師さんにちょうどいい写真を撮ってもらおうと思った。
     
     
     夜、ベッドに入って目を閉じると暗闇が重圧となって私に襲いかかってきた。不安はこんな形でも私の睡眠を邪魔してくる。泣きたいのに、理由がわからない。
     私は一体どうなりたいの。
     
     
     ハッと目が覚めると四時二分だった。もう一度寝ようとするがどう頑張っても寝付けない。仕方なくカーテンを開くと、まだ夜と朝の狭間の光が差し込んできた。
     マッチングアプリにいいねは来ているだろうかと開いてみると、大量の魑魅魍魎たちからいいねが届いていて私はため息を吐いた。ベッドを直してトイレに行き、全裸になって体重計に乗ると、昨日より体重が減っていて安堵した。憧れのBMI20になるまで、この習慣は変えられない。
     今朝も納豆ご飯を食べると顔を洗って歯を磨き、丹念にスキンケアと美顔器をかけてからメイクをした。眉毛の形も今どきを意識しているし、時代に合わせて濃いアイメイクはやめたし、マスカラと茶色の跳ね上げラインだけ少し描く程度だし、赤リップを塗るからチークは控えめだし、このメイクの私は相当若く見えるはず。私はソファでSNSを眺めて時間を潰してから、早めに出勤した。
     早めの電車なので座ることができた。ホットペッパーで今日の仕事終わりに行けそうな良さげな美容室を探す。何軒か迷って、一番若い子が通っていそうな美容室を予約した。
     
     
    「佐々木さん、請求処理、今月お願いしていい?」
     戸田さんに午後になってから突然言われ、私は私で仕事が溜まっていたのだが嫌とは言えず、「はい」と言って請求書の束を受け取った。帰りの美容室に間に合うかヒヤヒヤしたがなんとか間に合った。
    「今日はどんな感じにしますか」
     と美容師に言われ、
    「ベージュ系の茶色でブリーチしないでマックス明るくしてください」
     と言った。私は髪の毛が明るくないとテンションが上がらないのだ。
    「じゃあ、こんな感じの色味になります」とサンプルを見せてもらってそれでお願いした。染め終わると、ベージュ感は薄かったが髪色が明るく均一にはなっていて、仕上げに軽く巻いてもらった。
    「あの、写真をお願いしてもいいですか。…婚活に使いたくて」
    「そうなんですか。いいですね」
     そう言って美容師さんは「その年齢で?」という顔をしていたのを私は見逃さなかった。
     何枚か写真を撮ってもらってチェックすると、いいのが何枚か撮れていそうだった。私はお礼を言って、カラーリングの金額を支払った。
     
     
     帰宅して納豆ご飯を食べると、マッチングアプリに今日の写真と自分のプロフィールを登録した。…これで、まともな男性に見つけてもらえたらいいのだが。
     
     
     ハッと目が覚めると三時四十分だった。私はマッチングアプリをチェックするため仕方なく起き出した。
     写真を登録したらマッチングアプリにいいねが来ているかと思い、アプリを開いてみるも、相変わらず大量の魑魅魍魎からのいいねが届いていた。ビジュアルと年収で、「頑張ればキスできなくもない」くらいの人にだけいいねを返しておいた。
     それから数日経っても魑魅魍魎からしかいいねが来ず、もう退会しようかとも思ったが、その前に自分から男性を探しに行こうと思い立ち、年収と居住地でフィルターをかけて男性を探した。するとやはり出てきたのは魑魅魍魎たちだったが、いいなと思う数人にだけいいねを送っておいた。
     トイレに行ってから全裸で体重を計ると、昨日と全く変わっていなくてイライラした。私はいつBMI20になれるの。
     
     
     仕事から帰ってきたら、三人とマッチングが成立していた。
     一人目はキョウスケさん。四十五歳。年収六百万。会社員。年齢の割には小奇麗にしている印象だった。
     二人目はワタルさん三十六歳。年収七百万。医療職をしているらしい。おしゃれではないが清潔感があった。
     三人目は私と同い年、三十八歳のサトシさん。年収一千万以上。経営者らしい。見た目は茶髪でちょっとチャラそうだった。私はそれからそれぞれの男性とメッセージのやり取りを始めた。
     メッセージのやり取りをしてすぐに、サトシさんと食事に行くことになった。頼んでもいないのに夜景の綺麗なおしゃれなレストランに連れて行かれ、サトシさんは自分の話ばかりをしていて、私は「はあ」を繰り返していた。
     お店を出て会計をしてもらい、全部払ってくれたのでお礼を言おうとしたら、「次はゆっくりできるところに行かない?」と言われて私はゾッとした。これがヤリモクというやつか。あれこれ断る理由を並べたのにことごとく論破してきて私はゲンナリしつつ、まだ女として求められることにはほんの少しの喜びを感じていた。
     私は帰ってサトシはナシだなと思ってすぐにブロックした。
     
     
     キョウスケさんもワタルさんも、メッセージは控えめでやり取りの頻度自体も少なくて、興味を持たれているのか不安だったが、次はキョウスケさんとお酒を飲みに行くことになった。
     キョウスケさんの実物は写真よりもイケメンで、アリかもと期待を膨らませた。
     キョウスケさんと飲みに行ったのは大衆居酒屋に毛が生えた程度のちょっとだけ洒落た居酒屋だった。
     私は梅酒のソーダ割りを、キョウスケさんはビールを頼んでいた。
    「彩乃さん、写真よりお若いですね」
     キョウスケさんはビールを飲みながら言った。若いと言われたことが満更でもない私は、
    「キョウスケさんこそ写真よりイケメンですよ」
     と言った。仕事帰りのキョウスケさんはスーツを着ているので余計にちゃんとして見えた。
     そこからお互いどんな仕事をしているかとか、いつまで恋人がいたかとか、その人とはどうして別れたかとか色々な話をして、ある程度心の距離が近くなった頃、キョウスケさんは言った。
    「僕、結婚したら奥さんには仕事セーブして家庭に入ってほしくて」
     …おう。確かキョウスケさんの年収は六百万だったはず。…それで専業主婦を養いたい、と?
    「っていうのも、子どもを産んだらなるべく子どものそばにいてあげてほしくて」
     …おう?キョウスケさんって四十五歳だったよね?今から子ども?今からだと私も余裕で高齢出産になるけど障害児のリスクとか考えてる?そして年収六百万で嫁と子どもを養えると思ってる?無理、ではないかもしれないけど、相当厳しい生活になると思うけどそこも考えてる?客観性が欠けてない?
    「あー、そうなんですね…」
     私は露骨にテンションの低い返事をした。キョウスケもナシだ。昭和的価値観の抜けてない年収六百万には興味はない。
    「でも、なかなか理解してくれる女性がいなくて」
     キョウスケさんは残念そうに息を吐いた。そりゃそうだろう。この物価高のご時世に年収六百万の四十五歳のところにわざわざ子どもを産むこと前提で専業主婦を希望していきたい女子はなかなかいないだろう。
    「そうなんですね…」
     私はそれは無理だよと教えてあげる気にもならなかった。
     当然飲み会は盛り上がらず解散して、それからキョウスケさんと連絡を取ることはなかった。
     
     
     残るはワタル三十六歳年収七百万だ。私はなるべく毎日ワタルさんにメッセージをして、やり取りを深めた。そしてワタルさんとはお茶をしに行くことになって、当日が来た。
    「こんにちは、彩乃さんですか?」
    「あ、そうです、こんにちは」
     私たちはカフェの前で待ち合わせをしていたのでカフェ前でお互いを確認してから中に入った。若い子の文化は好きだが、私はコーヒーが飲めないのでカフェがそこまで好きではない。
    「何飲みますか?」
     ワタルさんが聞いてくれた。
    「あ、じゃあココアをお願いします」
    「わかりました。僕はブラックコーヒーをいただきます」
     そう言ってワタルさんは店員さんを呼んでくれた。スマートだ。
     運ばれてきたココアは濃くてとても美味しくて、私はここはいいカフェだ、と思った。
    「彩乃さん、どのくらい彼氏さんいないんでしたっけ」
     ワタルさんがコーヒーを飲みながら聞いてきた。
    「う〜ん、二、三年はいないですね」
     クソ元彼の苦い思い出と共に吐き出す。
    「そんなにですか。彼氏、いてもおかしくなさそうですけどね」
     とワタルさんは言った。彼氏がいてもおかしくなさそう、と言われたことに単純に歓喜する。
    「それが、全然で」
     実際私は全くモテなかった。何が悪いか自分ではわかっている。性格が悪い。優しくない。でも別にそれも人並みだと思っているので、決定的に自分の何がいけないのかは私にはわからなかった。
    「ワタルさんはどのくらい彼女さんいらっしゃらないんですか?」
     私がそう聞くと、ワタルさんは平然と
    「僕は一年くらいです」
     と言った。
    「けっこう最近ですね」
     と私が言うと、
    「一年ですよ?だいぶ経ってますよ」
     とワタルさんは言った。
    「そろそろ本気で結婚がしたくて」
     ワタルさんは続けた。
    「同級生のやつらとか見てると、焦りますよね」
     私がとっくに通り過ぎた感情のことを言っているな、と思った。
     それからのワタルさんとの会話は可もなく不可もなく、と言った感じで、目立ったマイナス要素もなければプラス要素もなかった。けれど私は「もしかしたらこういう人が結婚に向くのかもしれない」と考え、それからワタルさんと毎日連絡を取り、週末は会うようになった。ワタルさんはお茶もご飯も全て払ってくれたし、結婚してからも私にお金を出させることはあまりないのかもしれないと思わせてくれた。ワタルさんはものすごく「普通の人」だった。私はこの人となら結婚生活を送れるかもしれない、と思い始めていた。
     
     
     その日は映画館で映画を観る約束をしていて、ワタルさんとは映画館で待ち合わせをしていた。ワタルさんは先に映画のチケットもポップコーンもドリンクも買っておいてくれていた。
    「わー、全部、ありがとう、いくらか払うよ」
     と言うと、
    「いいよ、気にしないで」
     とワタルさんは言った。
     少し待って、開場時間になってから指定の映画館に入って席を探した。
    「ここだよ」
     とワタルさんは教えてくれた。
    「ありがとう」
     座席に並んで二人で座り、私はこういう時手を繋いだ方がいいのか否か悩んで、ワタルさんから手が伸びて来ない限り自分からいくのはやめようと思った。
     
     
     映画は私的には面白くて、泣いてもしまったのだが、ワタルさん的には刺さらなかったようで、感想に大きく食い違いがあった。
    「最後、別れないでほしかった」
     とワタルさんは言った。
    「いやでも、別れるから成長できたってことじゃない?」
     と私が言っても、ワタルさんは納得していない様子だった。
    「晩御飯、食べに行こっか」
     私が話題を切り替えるために提案すると、ワタルさんも
    「そうだね」
     と言って二人でスマホで店を探した。
     少し歩くけど、美味しそうなイタリアンを見つけて、そこに行くことにした。
     イタリアンは美味しくて、ワタルさんが全て取り分けてくれた。
    「女子なのにそういうのできなくてごめんなさい」
     と冗談半分で言うと、
    「もうこういうのするのに女子とか男子とか関係ないでしょ」
     と言われた。
     私はたしかにな、と思って、そういうワタルさんの考え方もいいなと思った。
     
     
     それから一週間後のことだった。
    「彩乃さんのことを、なんとも思えない」
     とワタルさんに言われたのは。
     それは週末に夜ご飯を一緒に食べている時に、ふとした瞬間にぶっ込まれた一撃だった。
    「な、なんとも思えない、というのは…?」
     恐る恐る私が聞くと、
    「好きとか思えないってこと。…ごめん」
     と謝られてしまった。
    「あ、あ~そっか、うん、大丈夫、わかったよ」
     私は全然大丈夫じゃないのに、至って平気なふりをした。私のどこがダメだった?私のどこが結婚に値しなそうだった?本当は事細かに聞き取り調査をしたかったが、かっこ悪いのでやめた。
     ワタルさんと解散すると、私の婚活、マッチングアプリ編、大敗。あのアプリに他にワタルさん以上の男が残っているとは思えなかった。私は空に向かって「あーあ」と言った。アプリを始めたばかりなのに、ビジュアルと年収が可の男三人が全部ダメになった。これがアラフォーの婚活なのか。
     その夜はなかなか寝付けなかった。あり得ないほど高いヒールを履いて遠距離を延々歩かされる夢を見た。
     
     
     ハッと目覚めると四時二十三分だった。私はどうして眠れないのだろう。
     どうせ寝られないんだから起きて体重を計ると、ほんの少し増えていてイラッとした。
     私はソファでこれからの婚活プランを再度練ることにした。マッチングアプリで結婚できないなら、日本古来のお見合い方式…結婚相談所に頼ろうと思った。
     調べてみると結婚相談所もピンキリで、価格もそうだし、会う前に相手の写真を見れるところと見れないところ、会う前にメッセージのやり取りをできるところできないところなど、結婚相談所によって違いがあった。私はビジュアルは絶対譲れなかったので(キスできない見た目とか絶対無理)、会う前に相手の写真が見れる結婚相談所に登録した。
     結婚相談所の仕組みはマッチングアプリの手軽さとは真逆で、大卒であることの証明に卒業証明書、年収を確認するための源泉徴収票、何より「独身証明書」という聞いたことのない書類を提出し、担当者と面談しなければならなかった。
     卒業証明書と源泉徴収票は簡単に取得できたが、独身証明書は役所に行かなくてはいけなかったので午前休を取って役所に取りに行った。独身証明書って他にどんな時に使うんだろうと思ってネットで検索すると、「結婚相談所で使う以外の用途はほぼない」と書かれていた。私は役所で独身証明書を受け取るとき、「こいつは結婚相談所に入会するんだな」と思われているんだろうなあ、と思った。
     
     
    「午前休珍しいですね」
     出社するとたまたまトイレで会ったかすみちゃんに言われた。
    「ちょっと役所に寄ってたの。…独身証明書を取りに」
     私は小声で言った。
    「え!そんなものどうするんですか?」
     かすみちゃんは興味津々で聞いてきた。
    「それが、マッチングアプリが全滅で、結婚相談所に入ろうと思って」
    「えー!めっちゃいいじゃないですか!いい人いるといいですね!」
     かすみちゃんはそう言って手を洗うとトイレを出て行った。
     
     
     仕事帰り、用意した書類を携えて結婚相談所に行くと、個室に通され名刺を渡された。担当者は小森さんというらしかった。小森さんは私より少し年下くらいに見えたが左手の薬指に指輪をしていないことを私はすぐに確認した。
    「ではご用意いただいた書類と身分証明書をよろしいですか?」
     と言われて私は書類全部とマイナンバーカードを出した。
    「ありがとうございます。マイナンバーカードはコピーを取らせていただきますので少々お待ちくださいませ」
     と言われ、小森さんは部屋から出て行った。私は個室の中を見渡した。別にピンクや赤が使われていたりしない、殺風景な部屋。
    「お待たせしました」
     と言って小森さんが戻ってきた。小森さんはそれから結婚相談所のシステムの詳細を延々説明し、最後契約書にサインをさせられ、私はその場で入会金を振り込んだ。さよなら私のお金。でも結婚のためなら仕方ない。
    「それではこちらに希望する男性の条件をご記入ください」
     と言って書類が手渡された。
     私は年収六百万以上、年齢は上下十歳差まで可、とだけ書いて小森さんに返した。
     小森さんは眉をしかめると、
    「この条件は譲れないですか?」
     と聞いてきた。
    「どうしてですか?」
     そう確認すると、
    「北海道では平均年収は年齢に十万円をかけた数字が一般的です。三十五歳なら三百五十万、四十歳なら四百万という感じです。今のままの条件だと、ご紹介できる男性の数がかなり限られてしまいます」
     と言われ、私はしぶしぶ希望年収を百万下げた。自分と年収が百万しか変わらない人間と結婚するメリットがあるのかよくわからないが、一人で生きていくよりはマシな何かがあるのかもしれない。
     私は帰りに会員を見ることが出来るサイトのアドレスとIDとパスワードをもらい、帰りの電車で早速会員男性を物色した。すると出てきた男性のビジュアルがマッチングアプリよりさらに魑魅魍魎レベルが増していて卒倒しそうになった。大金を払ってこの中から結婚相手を選ばなきゃいけないとか何の罰ゲームなんだ。私はそう思いながら一通り検索を終えると誰にもお見合い申し込みを押さず、スマホを閉じた。
     
     
     パッと目を開くと三時五十分だった。私はカーテンを開ける気にならず、薄暗いまま体重を計りに行った。昨日と全く変わっていないのでため息をつく。ソファに寝転ぶと私はスマホを開いた。私は結婚相談所の誰かからお見合い申し込みが届いているかなと思って結婚相談所のサイトを開くと、お見合い申し込みが四件届いていた。しかしその中で年収とビジュアルをギリギリクリアしているのは二人だけだったので、その二人にお見合いを受けるボタンを押した。
     一人目はタクミさん、三十九歳。年収五百五十万円。会社員。私より一つだけ年上でほぼ同い年だった。見た目は普通で、眼鏡を掛けていて知的そうに見えた。
     二人目はテツジさん、四十四歳。年収五百三十万円。会社員。見た目は穏やかそうで、それ以外に特徴はなかった。
     私の登録した結婚相談所は事前にメッセージのやり取りはできないので、いきなり初回のお見合いの日程を決めることになる。先にお見合いすることになったのはテツジさんだった。
     結婚相談所の一度目のお見合いは六十分まで、カフェでお茶、ということがルールで決まっている。私は待ち合わせにテツジさんが現れた瞬間、服装のダサさに眩暈がしそうになった。
     テツジさんは何故か私を気に入ったようで、「彩乃さんの女性らしいところが素敵だなと思います」と言って私のネイルを見ていた。ネイルごときで女性らしいかどうかなんてわかるか?私は毎日納豆ご飯の女だぞ。それからテツジさんと色々話したが、主にテツジさんが話していた。テツジさんは十代の頃聞いていた音楽を今でも聴いていると言っていて、時代をアップデートできない人なんだな、と思った。服装も言われてみれば何十年か前に流行った服装の系統のような気もした。
     解散してすぐにテツジさんから連絡先交換希望の連絡が来ていたが、私は少し考えて「希望しない」を選択した。
     私は帰宅してからメイクを落とし、ふとまるで自分が選べる立場かのようにテツジさんを振ってしまったけど、これまでのことを思い返すと、多少変でも、服装が壊滅的にダサくても、何十年前の音楽を聴き続けていても、振るべきではなかったのか?などと美顔器をかけながら考えた。
     
     
     タクミさんとお茶に行ったのはその翌週だった。タクミさんは白シャツにデニム、流行の形の眼鏡を掛けていて、爽やかで好印象だった。
     タクミさんとは限られた六十分の中で色々な話をした。どうして婚活することにしたのか、これまでどういう人と付き合ってきたのか、結婚するならどういう人がいいと思っているのか。家事は得意か不得意か。タクミさんはどの話題にも誠実に答えてくれて、私は好感を持った。
     タクミさんとは連絡先を交換し、「仮交際」に進むことになった。仮交際中は、ほかの男性ともデートしたり仮交際したりすることができる。しかし私は他に連絡を取りたい相手もいないので、それからタクミさんとは毎日LINEをして、会える週末は外で会っていた。デートのお会計は割り勘だったが、私と年収が百五十万しか変わらないのだからまあ仕方ないか、と思っていた。
     タクミさんは私の何が気に入ったのか、仮交際を始めて一か月くらい経ってから、「真剣交際に進みたい」と言ってきた。真剣交際とは字の通り、真剣なお付き合いを指す。ほかの男性と会ったりするのはNG。
    「真剣交際に進みたいと言って下さるのは嬉しいんですが、タクミさんは私の何を気に入って下さったんですか」
     勇気を出して聞くと、
    「まず見た目がタイプだし、考え方も近いと思っているから」
     と言われた。私は見た目がタイプと言われたことに内心ほくそ笑んだ。
    「真剣交際、こちらこそお願いします」
     と言って、タクミさんと私は真剣交際に進むことになった。
     
     
     ハッと目を覚ますと四時三十二分だった。まだどんよりしている外を確認するようにカーテンを開けると、いつもより外が明るく感じられた。陽が長くなってきているのかもしれないなと思った。体重を計ると昨日より減っていて私はにやりとした。
     入念なスキンケアとメイク、仕上げに赤リップをたっぷり塗って出社すると、かすみちゃんがこっそり
    「結婚相談所の方はどうなんですか~?」
     と聞いてきた。私は嬉しさを隠し切れない笑みで、
    「真剣交際することになったの」
     と言ったら、かすみちゃんはキャーと叫んでいた。
     
     
     それからタクミさんとは毎週私の家でデートするようになっていた。私の家で会うのなら、私の家事スキルを過不足なく見てもらえるし、ちょうどいいと思った。
     私は毎週誰でもできるような料理を振る舞うと、タクミさんは全部「美味しい」と言って食べてくれた。
    「…実は私、平日は納豆ご飯しか食べてなくて、昼も会社近くのコンビニで済ませてて」
     と告白すると、タクミさんは
    「働いてたらそんなもんじゃない?結婚してからも料理が大変だったら納豆ご飯ばっかりでも大丈夫だよ」
     と言ってくれた。私は結婚したら毎日納豆ご飯生活から毎日料理生活に変わることを恐れていたので、タクミさんの言葉にホッとした。
     ご飯を食べたあと、ソファに二人で座ってお茶を飲んでいた。タクミさんは私の方を見てふっと笑うと、
    「彩乃さんの赤い口紅、まだ諦めてないぞって感じがしていいよね」
     と言った。
     …諦めてない?何を?
    「…可愛い、彩乃さん」
     疑問は残ったが、完全にキスする雰囲気だったので私は雰囲気に流されるままタクミさんとキスをしていた。その間、私は結婚相談所では結婚前にセックスはダメと言われていたが、キスはいいのだろうか、とぼんやり考えていた。
     私の顔から唇を離すと、タクミさんは私をハグしてきた。私はその腕を、温かいな、と思った。
     ねえ、私は何を諦めていないの?
     
     
     今朝も同様に早起きしてしまったので、体重を計り、昨日より増えていてイラッとした。そして入念なスキンケアをしながらこんな時間でもやっているニュース番組をつけた。美顔器をかけながらニュースを見ていると、悲しいニュースも悲惨でやるせないニュースも全てどこか他人事のように思える私はどこかおかしいのだろうか。
     美顔器をかけ終わると、私は老けて見えるメイクと若く見えるメイクの違いの動画を熱心に見て研究し、今日から若見えメイクで会社に行こうと決めた。それでも赤リップはやめなかった。
     
     
    「えっ!佐々木さんもうキスしたんですか!」
     かすみちゃんの大声を制して「しー!」とジェスチャーした。
    「佐々木さんも隅に置けないなあ」
     とかすみちゃんは今日も自作のお弁当を食べながらニヤニヤしている。私は変わらずコンビニ弁当を食べている。
    「かすみちゃんこそその後婚活どうなのよ」
     と聞くと、
    「あ、私来月結婚します」
     と言われた。
     え?
    「来月結婚するんですよ、私」
     来月、結婚…
     私はそのスピード感について行けずにいた。
     
     
     次の週末はタクミさんとドライブに行った。
    「暑かったり寒かったりしたら言ってね」
     とタクミさんは車内の温度を気にかけてくれた。
     目的地は車で一時間くらいの観光地だった。ドライブ中、
    「彩乃さんの好きな音楽かけて」
     と言ってくれたので、私は自分のスマホでドライブ向きと思われる音楽をかけていた。
     よく運転に人柄が出るというが、タクミさんの運転には危なげは少しも感じなかった。
     目的地に着いて駐車場に車を停めると、私とタクミさんは観光地を歩いて回った。美味しそうなものは目に入る限り全部食べた。
    「ここ、何の建物だったんだろうね、レトロ」
     私が言うと、
    「銀行だったって書かれてるね」
     とタクミさんが案内板を読んで教えてくれた。私の疑問を即解決してくれるところ、いい。
     お昼は有名な回転寿司に並んだ。かなり待ったけれど、私たちはなんでもない話をずっとしていたので待ち時間は苦にならなかった。
    「結婚して買うならマンション?一軒家?」
    「二人で住むなら一軒家で充分じゃない?」
    「やっぱりそうだよね。私駅近がいい」
    「僕も」
     もしも結婚したらシリーズは話題が尽きず、そして私とタクミさんで方向性が大きくずれることはなかった。
    「美味しい〜!」
     待った分もあろうが、お寿司はすごく美味しくて、普段回らないお寿司に行かない私にはお寿司の最高峰に思えた。
    「ほんと、すごく美味しいね」
     二人で中トロを頼んでいたけど、一瞬でなくなった。そして一瞬で消えた皿は中トロに限らなかった。
     
     
     帰りの車で、私は今朝も早起きしていたので眠くなってしまっていた。やばい。まずい。運転してくれてるのに寝るのは感じが悪い。
    「眠かったら寝てていいよ、着いたら起こすから」
     タクミさんが言った。
    「でも、運転してくれてるのに申し訳ない…」
     私が背を正してそう言うと、
    「運転に安心してくれてるってことでしょ。嬉しいよ」
     とタクミさんは言った。私はなんでか、泣きそうになって、結局知らないうちに寝ていた。
     
     
     私は帰宅してスキンケアをしながら考えた。もしかしてタクミさんって最高なんじゃない?優しいし、気が利くし、私の見た目をタイプだって言ってくれるし、価値観も合うし。そんなタクミさんとなら、将来を考えてもいいんじゃない?
     私はタクミさんと結婚して同居する生活を想像した。そして、それはそんなに悪くないものだと思えた。
     
     
    「キスしたあと、どうなったんですか〜?」
     自作のお弁当を食べながらかすみちゃんが言った。
    「普通に、健全に、デート行ってるよ」
     私は苦笑しながら答えた。相変わらず、手にはコンビニ弁当。
    「いいですねえいいですねえ、楽しい時期ですねえ」
     かすみちゃんは目を輝かせている。
    「かすみちゃんの方こそ、結婚の方はどうなの?」
    「あー、うちはもう両家顔合わせも終わって、あとは入籍するだけです。結婚式は身内だけで済ませます。新婚旅行はハワイがいいなーって」
     入籍。結婚式。新婚旅行。私はかすみちゃんの順調ぶりが眩しかった。
    「お相手はどんな人なの?」
    「それが、顔はそこまででもないんですけど、超ハイスペ男子を見つけたんですよ」
     かすみちゃんはそう言って、相手がいかにハイスペかを語り始めて、私は笑いながら話を聞いていた。
     
     
     会社帰り、珍しくタクミさんが待ち合わせて一緒にご飯を食べようと言ってきたので私は待ち合わせの場所であくびをしていた。今日も朝起きるのが異様に早かった私は、眠たくなるのも早いのだ。小さい鏡を取り出して赤リップを塗り直した。
    「お待たせ」
     そう言ってスーツで現れたタクミさんはかっこよくて、ちょっとだけ眩しかった。
    「何食べたい?」
     とこちらの意見をまず聞いてくれるタクミさん。
    「んー、なんでもいいなあ」
     と言ってから、相手にとっては一番困る返答をしてしまったと思った。
    「じゃあ焼き鳥でもいい?」
     と言われ、焼き鳥のお店に行った。大衆居酒屋とは違って、おしゃれな焼き鳥屋さんだった。
     私は梅酒のソーダ割りを頼むと、焼き鳥が来る前からうつらうつらしていた。
    「彩乃さん?眠い?」
    「あ、ごめんなさい、私朝起きるの異様に早くて」
     と答えると、タクミさんが少し考えて、
    「もしかして、毎日ちゃんと眠れてない?」
     と聞いてきた。私は思わずどきりとした。何と答えるのが、婚活的正解なのか、少しも分からなかった。
    「あ、あはは、そうなんですよ~、寝付けはするんですけど、どうしても毎朝すごい早朝に目が覚めちゃって寝てられなくて」
     と笑いながら答えた。するとタクミさんが真剣な顔をして、
    「僕にもそういう時期があったから分かるよ。辛いね」
     と言った。
     …辛いね?
     まさか私のこの毎日の状況に共感してくれる人が現れるとは思わなかった。
     私は辛かったのか。
     私は毎朝薄暗いうちから起きてしまう毎日のことを考えた。
     私はなんでだか分からない不安に苛まれて眠っていられないのだが、タクミさんにもそんな時期があったのだろうか。
    「僕にはなんでも話してくれていいからね」
     とタクミさんは言った。
     本当?
     なんでか分からないけど、私毎日すごく不安なんですって言ってもいいの?
     そんな訳はない。私は「ありがとうございます」と言うと焼き鳥を頬張った。
     そのあとは二人で子どもの話をした。年齢的にも年収的にも子どもは諦めようという方向で一致した。
     
     
     帰り道、もう眠さの限界で目を開けているのがやっとの私にタクミさんは言った。
    「彩乃さん、僕たち…結婚しませんか」
     え?
     今なんて言った?
     け、結婚?
    「僕は彩乃さんの不安を取り除いてあげたい。横で毎日ぐっすり眠れるようにしてあげたいし、食事だって作るのが大変だったら毎日納豆ご飯でもいい。いつまでも愛されるために無理しなくてもそのままの彩乃さんでいいんだよって、そのままの彩乃さんと一緒に幸せになりたい」
     タクミさんは一気に言った。
     そしてそう言われた瞬間、私は一気に目が覚めた。
    「…今、いつまでも愛されるために無理しなくていい、って言いました?」
     私は無表情で問い詰めた。
    「え、言ったけど…」
     タクミさんは困惑している。
    「具体的に何を指してます?」
     私は無表情で続けた。
    「え、メイクとか、服装とか…」
     私はそれを言われた瞬間、私の中の何かが切れる音がした。
    「私は全部好きでやってるの!好きでこのメイクと服装をしてるの!誰かに愛されるためじゃない!」
     私は自分の意に反して大きな声が出ていることに自分自身で驚いていた。
     ふと、タクミさんがいつか言った、
    「彩乃さんの赤い口紅、まだ諦めてないぞって感じがしていいよね」
     という台詞が脳裏に蘇った。
     あの「諦めてない」、も、この文脈からすると、もう若くないけど諦めてないぞってこと?????
     そう思うと、私は急激にタクミさんの全てが無理になってしまった。
    「あ、彩乃さん…」
    「帰ります。私、一人で帰れますので。…じゃあ」
     そう言うと私は近くにいたタクシーに飛び乗った。
     タクシーに乗っている間じゅう、私は自分のメイクが、服装が、全てがタクミさんには若作りに見えていたのかと思うと赤リップを手の甲で拭った。
     
     
     帰宅してメイクを落とし、鏡を見た。
     …このおばさんは、私だ。
     私はそう思うと無性に泣きたくなって、一人でスキンケアをしながら声を上げて泣いた。
     
     
    「ご利用ありがとうございました」
     無機質に表示されたスマホを見ると、私はスマホをソファに放り投げた。
     結婚相談所を、退会した。
     タクミさんはあれからも連絡をくれていたが、一切返していなかった。
     私はふと思い立ち、クローゼットの中から先日買ったばかりのお気に入りのワンピースを引っ張り出して着ると、今日Youtubeで見つけた新しい若見えメイクを試してみたくなった。
     私は絶対に、一生、おばさんにならない。
     タクミさんと別れた夜に、私はそう決めた。
     若見えメイクは思いのほか成功して、悪くなかった。赤リップは相変わらずだった。
     このメイクと服装でどこに行こう。
     私は誰に会う予定もないのに街中に行きたくなって、地下鉄に乗った。地下鉄にはいかにもおばさんといった生き物が大量に乗っていて、私は絶対にああはならないと思った。
     私を若作りおばさん扱いする婚活の世界なんて、私の方から降りてやる。
     私は一生おばさんにならずに一人で生きて、一人で死んでやる。
     私はそう決めた。
     あ、一人で死ぬんなら終活ノートを買っておかなくっちゃね。
     私は地下鉄を街中で降りると文房具屋へと向かった。
     その足取りは、とても軽やかだった。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     

     
     
    地獄にいるまま、幸せを選ぶ人。 極貧神社育ちの宗教二世・毒親・きょうだい児。自己破産、クローン病、うつ、摂食障害を経て、再々婚活中。85kg→25kg減。呪われた生い立ちでも人生の舵は自分で握り直せることを綴り中。第6回オモコロ杯佳作。2024年note創作大賞入選。

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