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推しがいるから生きられる

    私には推しがたくさんいる。キラキラしたアイドルや、全国民が知っているような俳優、そして作家。

    学校の友だちには「趣味がたくさんあっていいね」と言われることがあるのだけれど、趣味ではない。推しは私が生きるために必要な存在である。なんとなくダルかった高校時代も、適応障害になってしまった大学2年生の時も、推しがいたから生きてこれた。

    でもそれ以上に、同じ推しを応援している友だちがいたから生きてこれたのかもしれない。今日は、私と推し友だちの話をしよう。

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    推しを通して出会った友だちはたくさんいる。初めてできた推し友だちは同じ年だった。

    私と彼女は高校1年生の時にインターネットを通して出会った。綾崎隼という作家が好きという共通点があったからだ。確か嵐のデビュー日と同じ11月3日だった気がする。

    彼女は岐阜に、私は千葉に住んでいたからコミュニケーションは全部ネット上だ。綾崎作品について話すのはもちろん、高校生活だったり、習い事のことだったり。面白いほど話は尽きなかった。毎日のように連絡することが高校3年生まで続いた。綾崎さんの作品が発売されると彼女に感想を聞きたかったし、私の感想も言いたかった。高校に行くのがダルくても、綾崎さんの新刊を買うために電車にのることができたし、彼女に読んだ報告をしたかったから学校に行って帰りに本屋に寄ることができた。

    顔もわからない彼女の存在は学校の友だちと変わらないくらい、もしかしたらそれ以上の存在だった。本の登場人物の誰が好きだとかそういう話は身近な友だちとはできない。インターネットを通してできる楽しみの一つだったのだ。

    大学生になって私たちの距離は相変わらず遠かったけれど、何回か遊びに行ったりきたりして4年の大学生活の間に4、5回会った。時差がない状態で好きな人や好きな作品の話ができるのは何よりも幸せだった。

    そして先日私たちは7年越しの夢を叶えた。
    綾崎作品の舞台をまわったのだ。高校生の私たちでは出来なかった、新潟へのレンタカーを運転しての旅行。好きな人が育ったまち、好きな作品の登場人物が暮らすまち。ずっと楽しかった。

    綾崎作品が読めるから、彼女と綾崎作品を語れるから、一緒に舞台を回れるから今日も生きようと思うのです。

    *

    綾崎さんへ

    私は今日まであなたを支えにして生きてきました。
    人生22年間楽しかった日ばかりではありません。
    苦しくて、怖くて。
    学校に行って辛い思いをするなら退学しようかと、ずっと、そう思っていました。
    私はそんな私のことが嫌いです。
    昔から、そして、今も本当に大嫌いです。
    それなのにどうしてなんでしょうね。
    今日はこうしてあなたに向けて手紙を書いています。

    あなたに聞いてみたいです。
    この文章はどうでしたか?
    この文章を読んで、また小説を描こうと思ってくれますか?
    私はもう一度、あなたの小説を読んでも良いのでしょうか?

    あなたがいるから、私は生きてみようと思います。

    この記事が受賞したコンテスト

     
     
     
    日常のなかで、少し立ち止まってしまった瞬間を書いています。 散歩中に撮った写真や、感情のゆらぎ、 ふとよみがえった懐かしさや、誰かとの記憶をエッセイに。 ときどき、推しや舞台の話も。

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