距離感難しい
「信頼できない語り手」というPodcastが面白い。
浅井リョウも加藤千恵も、どうしてあんなに細かいところに気がつくのだろうか。さすが作家先生である。
そして、二人の仲が良すぎる。
平気で話の腰を折るし、途中で別の話になったりする。本当に仲良くないとあんな会話にならないだろう。
聴いていて楽しい素晴らしい番組だが、少しだけ羨ましいような妬ましいような気持ちになる。
気兼ねなく話の腰を折れる友達が欲しい。
この歳になると、人との距離の取り方がわからない。
学生時代は、大体同じコミュニティに所属しているし、大体同じ年齢なので、合う合わないはあるものの「はじめまして」から先の会話に困ることはなかったように思う。若さ故に、ある程度のトガりもあり、自分を理解してもらいたくて自分の話題、テリトリーに引き込もうと一生懸命だった気がする。
だが、中年のおっさんになり、世の中には様々な考え方の人がいることを流石に理解した。それに、今更自分の興味や性質を変えるのは難しいし、それを相手に強いるのはもっと難しいだろう。
いつしか自分の領域に相手を引き込むことはあきらめ、趣味の合う人の出現を待ち続けるようになった。
しかし、そう都合よくはいかない。生活圏も年齢もバラバラな中で、自分とぴったりハマる人なんてそうそう現れないし、そもそも職業柄人と会う機会が少ない。
その結果、寂しん坊おじさんの誕生である。
ごく稀に、この人合いそうだな!となる時がある。そんな時はしっぽぶんぶんおじさんと化す。犬のように、イマジナリーしっぽをぶん回しながら、相手に近寄る。嬉しくなってついついおしゃべりが止まらず、その結果、距離感を間違えること数多。かといって、興味のないフリをしていたのでは、仲良くなれない。距離感難しい。大人になってからできた友達はほとんどいない。
先日、珍しく農業関係の集まりで、合いそうだな!と思った人がいた。地域のことやパチスロ競馬の話題ばかりでついていけなかったが、好きな音楽や老後の資金のことなどについて話すことができた。農業関係者とこんな話ができたのは初めてである。とても嬉しかった。
翌日、"SWEET LOVE SHOWER"という音楽フェスティバルのYouTube配信を観ながら、ふと彼のことが思い浮かんだ。ラインナップ的に、彼もきっと気にいるに違いない。思い切って、初めてLINEしてみた。
「今音楽フェスのアーカイブ配信やってるよ!暇だったらぜひ!」
返事は返ってこなかった。
"甘い愛シャワー"。なんらかのハラスメントに抵触してしまった可能性がある。
距離感難しい。