
「見て、できた」がキッチンに響いた朝。
ある朝、子どもがキッチンにやってきた。
「卵焼き、くるくるやってみたい」
いつもお弁当を作るとき、隣で見ていたからだろうか。
卵を割って、かき混ぜて、フライパンに流す。
少し戸惑いながら、箸でくるくると巻いていく。
私はただ隣で見守っていた。
失敗してもいいと思っていたから。
出来上がった卵焼きは、ちゃんと形になっていた。
まな板に移したとき、
子どもの目がキラキラしていた。
その顔を見て、
やりたい気持ちを奪わなくてよかったと思った。
「一緒にやりたい」は、それなりに時間がかかる。
「自分でやった方が早いのに」と、
効率が頭をよぎることもある。
それでも、
誰かに言われたからじゃなく、
自分で「やってみたい」を見つけてくる子どもの
小さな成長を見逃さづにすんだから。
「おぉぉ、できたぁ。」
キッチンに声が響いた。
子どもは嬉しそうに卵焼きを少しだけ切り分けて、
「はい」と私に差し出した。
まだ少し形のいびつな卵焼き。
二人で並んで、一緒に食べた朝。
私は思った。
この子は、きっと大丈夫だろう。