見出し画像

英語が話せるがゆえのカラオケでの支障:“I'm just a woman fall in love”が気になって歌が入ってこない【ショートひとりごと】

先日、スナックにいた時の話。
他のお客さんがカラオケで小林明子の『恋におちて -Fall in love-』を歌っていた。

名曲である。なのだが。私はさっきから、一箇所が気になって仕方がない。サビ終わりの、

I'm just a woman, fall in love.

……誰が fall するんだ。

いや、言いたいことは分かるんだ。「私はただの、恋に落ちる女」ということなんだろう。

分かる。分かるんだけど。
だったら、せめて、

I'm just a woman, who falls in love.

ではないのか。

歌詞原文のままだと、 fall が文法上どこに所属しているのか分からない。せめて who で繋げんと。あと fall に a woman を修飾させたいなら、 a woman は三人称単数だから falls だ。

……てな具合に、突然、脳内に(まったく粋じゃない)英文法警察が出勤してくるのだ。

もちろん歌詞である。文法の試験ではない。
詩なのだから、文法的に崩れた表現があってもいい。そもそも何十年も愛されてきた名曲に、スナックで酒を飲んでいるだけの私が赤ペンを入れる権利なんてない。完全に野暮を働いている。

分かっている。
だが、一度気付いてしまったらもう戻れない。

ちなみに公式の歌詞の改行のように、

I'm just a woman.
Fall in love.

と二文に分ければ、fall を命令形として文法的に生存させることはできる。しかし今度は「私はただの女。恋に落ちろ」みたいになる。
誰に命令してんだ。

――――――

英語が分からなかった頃なら、

I'm just a woman, fall in love〜♪
→「ええ曲やなあ……しみじみ」

で終わっていた。
今。

I'm just a woman, fall in love〜♪
→「せめて who falls だろ」

歌が入ってこない。

語学学習には、できるようになることだけではなく、できなくなることもあるらしい。

カラオケを素直に聴く能力を返してほしい。

---

👉️関連記事

★文化批評ラボ:ポップカルチャーと社会(マガジン)
音楽・ゲーム・漫画・アニメなど身近なポップカルチャーと、社会や宗教、あるいは私の経験(留学や仕事など)を絡めて語る文化批評。

★アメリカ留学体験記:異国の高校生活を文化論を交えて振り返る(マガジン)
青春の高校留学体験記も公開中(本編は前・中・後編で完結)。ドラム、友情、スクールカースト、そして恋愛……覚悟を決め、筆者の甘酸っぱい?自分史を素っ裸で描いてます。
またアメリカの衣食住を体験記&文化論として描く外伝も執筆中。

★「かわいい」論シリーズ(マガジン)
「かわいい」。
この日本語は単なる感情ではない。
日本語に埋め込まれたこの装置を、文化・言語・ポップカルチャーから解剖するシリーズ。

★本当は怖い洋楽歌詞・和訳シリーズまとめ(マガジン)
掘れば掘るほど深淵へとはまり込む。実は怖い歌詞の曲、文化論や言語学などを交えて翻訳・解説しています。

★ドラマー論/音楽系記事:「あるある」からオリジナルな定義まで(マガジン)
ドラム・ドラマーに関するものをはじめ、名盤批評など音楽系記事はこちらでピックアップ。

★板的「ひとりごと」集(マガジン)
その他ひとりごと、小論などはこちらにまとめています。

📝アカウントの全体像はこちらにまとめてます

いいなと思ったら応援しよう!

中島 板|ポップカルチャー × 言語 × 留学体験記 ネタは豊富にございます、よろしくお願いいたします。

この記事が参加している募集