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都市の陰影 | ショートショート

    一色 一

    ベティとケイティ遂に日本上陸。
    最初の行き先は…

    🇯🇵

    川沿いの遊歩道に、夕陽がゆっくりと沈んでいく。

    向こう岸の家々は、橙色の光に包まれ、窓ガラスが一枚ずつ、燃えるように反射している。
    赤く染まった川面は、風に撫でられて細かく揺れ、橋脚の影をゆがませていた。

    遠くで列車が橋を渡る音が、低く響く。

    ベティはその光景を背に、語っていた。
    「都市って、言葉そのものなの。通りがあって、抜け道があって、迷子になって、戻ってくる」

    川面に映った空が、ゆっくり色を深めていく。
    ケイティはベンチに座り、紙袋から取り出したパンをちぎる。パン屑が足元に落ち、すぐに鳩が寄ってくる。

    「今回の作品は反復がテーマ。都市名という記号に、読者が自分を投影する構造なの」
    対岸の家の屋根が、最後の光を受けてきらりと光る。

    「私はあえて説明を削った。余白は読者への信頼だから」
    川の流れは一定で、光だけが変わっていく。

    「音の反復で、都市の固有性と無意味さを同時に表現する。都市と記憶の相互浸透構造。これは、実験なの」

    ベティはサングラスを外す。
    レンズの向こうで、夕陽が歪んでいた。

    「わかる人にだけ、わかればいい」
    橋の下を一艘のボートが通り過ぎる。
    波紋が赤い光を崩す。
    夜は、もうすぐそこだ。

    ☀️

    翌日、ベティの作品が投稿された。

    ⸻

    越谷や
    ああ越谷や
    越谷や

    ⸻

    スキは三つ。
    そのうち一つはケイティだった。
    コメント欄に、ひとこと。

    【ケイティ】 松島?

    しばらくして、その作品は静かに葬られた。

     
     
     
    見つけてくれてありがとう。 会社名義の文章を書く匿名ライターとしての歴は長いのですが、あの手の文章はもうAIの時代。 ここではもっと気楽に、好きなことを。 くだらない話や恋愛、変わりゆく日常を描きます。 どうぞ気軽にのぞいてください。

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