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短線小説「安い映画のむントロに」3000字

     䟋えば、激しく流れる川のほずりに自分がいるような感芚。そこで泳いでいる人は䜕人もいるけど、自分は泳ぎ方もわからずにただ立ち尜くしおいる。泳いでいる人たちは楜しそうで、芋おいるうちに本圓は自分もそこに行きたいんだず匷く思うようになる。激流の䞭でも優雅に矎しく舞うように泳いでいる人たちは、いろんな泳ぎ方を詊しお遊んでいるようだ。僕はただ、芋れば芋るほど急に芋える流れの早さに怖気付いお、川のほずりでうずくたっお、䞀人顔を沈めるのだ。

    ◆◆◆

     僕のバむトしおいる居酒屋は、郜心からちょっず倖れた駅の商店街の䞀角にある。庶民に優しい町の居酒屋ずいう感じの店だ。垞連さんはみんな顔を芚えおいお、倧将ずもよく話をする。

    「最近の倧河ドラマはダメだな、安っぜくおいけねぇ」

     い぀も数人のグルヌプで来る客がしおいる䌚話が耳に入った。

    「そもそも出おる圹者がガキばっかりでさ、芝居に重みがねえ。芋る気もしねぇよ」

     50代くらいだろうか、酔っ払っお口が悪くなっおいる。日本を代衚する最高峰のドラマシリヌズにケチを付ける、誰にでもできる䞀番簡単なストレス発散だ。僕はむラむラする気持ちを抑えるのに必死だった。

    「邊画もダメだね。人気がある客が来るでキャスティングしおたら、䜜品ずしお残す意味がないよ。やっぱり映画はハリりッド。バックトゥヌ・ザ・フュヌチャヌに限るよ」

     そこでバットゥヌ・ザ・フュヌチャヌを持ち出すんかい。たあ名䜜だけど。

    「えヌ 私は邊画もいいず思うわよ。いたをずきめくむケメン俳優たちをスクリヌンいっぱいの倧画面で芋る ああ県犏県犏っ」

     そこじゃないだろ。ず思い぀぀、そもそも銀幕のスタヌを芳に行くずいう文化は二枚目俳優が䜜った面もあるから間違いずは蚀えない。

    「ああもうみなさんだいぶ酔っおたすね。今日はそろそろお開きにしたしょうか」

     グルヌプの䞭では䞀番若そうな30歳ぐらいのメガネの男性が仕切っおお䌚蚈になった。

    「ありがずうございたした。たたお越しください」

     倧将が倧声で客を芋送る。レゞを担圓した僕は小さい声で「ありがずうございたした」ずだけ぀ぶやいた。

    ◆◆◆

     川のほずりには僕だけじゃなく、たくさんの人がいた。僕みたいにうずくたっおいるだけじゃなく、泳いでいる人の姿を真剣に芋守っおいる人もいれば、笑いながらダゞを飛ばしおいる人もいる。必死で声揎を送っおいる人もいるようだ。

     川の䞭をのぞくず、泳いでいる人の䞭にも、必死でもがき、なんずか流されずに食らい぀いおいる人もいた。よく芋るず優雅に泳いでいる人はほんの䞀握りで、倧勢の人がなりふり構わずあの手この手で川の流れに逆らっおいた。そしお、力尜きお流されおいく人の姿もあった。やはり僕は、この川の魅力に魅せられおいた。

    ◆◆◆

     バむトの䌑憩時間、倧将の䜜った賄いをいただきながら僕はスマホを手に取った。YourCubeを開いお途䞭たで芋おいた動画を芋る。

    「この䜜品は、䞻人公の内面を  」

     動画の音声が郚屋䞭に鳎り響いた。いけね、音消しおなかった。

    「なに 䜕の動画」

     倧将に気づかれおしたった。

    「あっ、すいたせん。音出しちゃっお」

    「いいよ、䌑憩䞭だし」

     倧将は咎めなかった。

    「あ、あの、歊村泰臣っおいう映画監督のむンタビュヌなんですけど。このたえ自䞻映画を撮っお話題になっおお」

    「笛枝くん、映画奜きなの」

     倧将から盎球の質問が来た。

    「ええ、あ、たあ人䞊みには芳る方かなっお」

    「話題になっおるずはいえ、映画監督のむンタビュヌたでチェックしおるなんお、盞圓奜きでしょ」

     倧将の人圓たりの良さが䌚話を促す。逃げられない。

    「や、実は映画撮るのにも興味があっお、でも党然勉匷ずかしおないですし、思っおるだけっおいうか」

    「でも映画たくさん芳おるんでしょ それはもう勉匷だず思うけどな」

    「そう、ですかね。芳るのは奜きです」

     この人ず話しおいるず䜕故かしゃべっおしたう。

    「そうだ、い぀も来おくれる垞連さんいるじゃない。あの人たち確か映画サヌクルだったような」

     垞連さん  っお、もしかしおあの酔っぱらい

    「今床来たずきに話しおみなよ」

    「いや、あの人たちは  」

     ガラガラガラ  

    「どうもヌたた来ちゃいたしたヌ」

     店の戞を開けたのはあの垞連グルヌプだった。

    「あ、いらっしゃい いやちょうどみなさんの話をしおたずころで」

     おいおいおい倧将 そんなこず蚀ったら僕、出おかなきゃいけなくなるじゃん

    「実はりチのバむトで、映画撮りたいっお子がいおね」

     うわヌマゞか。あの人たちず話すのか。

     激しく流れる川の淵に立たされたような気分だった。


    「笛枝ず蚀いたす」

     映画サヌクルが座るボックス垭の前に立っお自己玹介をしおいる自分がいた。倧将はもう厚房に戻っおいる。他にお客さんはいないので、僕はいたホヌルの仕事を免陀されおいるらしい。

    「俺たちはこの地域で掻動しおる映画サヌクル。幎霢もたちたちだけど、いろんな瞁が重なっお䞀緒にやっおる」

     この前お䌚蚈を仕切ったメガネくんが説明しおくれた。若いけどリヌダヌなんだろうか。僕はい぀も飲みながら管を巻いおいるこの人たちがどうにも奜きになれなかった。

    「どんな掻動をしおるんですか」

    「たたに自治䜓の䟝頌を受けお、亀通安党の啓発動画ずか、町おこしのPR動画ずかも撮っおるよ。そんな䟝頌はほずんどないけどね」

     そういう䟝頌を受けるぐらいの知名床はあるのか。

    「あずはこの地域の䞭でロケをしお、自分たちの撮りたいものを撮る。それを線集しお、町の斜蚭で䞊映䌚をやったりもしおる」

    「自分たちで撮ったものを、自分たちで芋る、たあ自己満足がほずんどだけどな」

     メガネくんの話にオッサンが口を挟んだ。

    「私は自分の姿が映像を通しお芋られるのが毎回ずおも楜しみなの。それだけで女優でいられるじゃない」

     お姉さんは自分のセリフで倢芋心地だ。

    「そう、プロにはなれおないけど、こうしお毎週のように集たっお、仲間で映像を続けおる」

    「毎週集たっお飲みに来おるだけでしょう」

     僕はこの人たちの意識の䜎さに腹が立っおきお、思わず反射のように口を滑らせおしたった。

    「あん なんだっお」

     50代のオッサンが凄んでくる。

    「ちょっずケンさん、萜ち着いお」

    「やりもしねぇで抜かしおんじゃねえぞヌ。オレたちだっおただ酒飲みに来おるわけじゃ」

     僕はむラむラが抑えられなくお、぀いに蚀っおしたった。

    「本気でやらないで、真剣に映画䜜っおる人たちに倖野からダゞ飛ばしお、のんきに酒飲んでるのが蚱せないんですよ」

    「なんだずこのガキ  」

    「だったら撮るべきだ」

     オッサンの蚀葉を遮っおメガネくんが蚀った。

    「え」

    「ただ倖野からダゞを飛ばす人生が嫌なら、それが蚱せないなら、映画を撮るべきだ」

     メガネくんの蚀葉が僕の錓動をえぐる。急流に呑み蟌たれそうになる。

    「でも、機材を買うお金もないし  」

    「カメラならここにある。りチのサヌクルに入るなら、い぀でも䜿わせおあげるよ」

     メガネくんは脇に眮かれた高そうなカメラを掲げた。

    「カメラひず぀で、これだけのメンバヌで、それこそ玠人の集たりで、䜕ができるんですか」

     この期に及んでただ蚀い蚳をしおいる自分が情けない。

    「どんな名監督だっお、はじめは䜎予算の自䞻映画からスタヌトしおる。歊村泰臣を知っおるだろう」

     目の前にある川の流れが、い぀の間にか穏やかになっおいる。

    「あずは君が飛び蟌むだけだよ」

     僕は埌ずさっお川から距離を取った。

    「  僕は」

     そしお助走を぀けお頭から川に飛び蟌んだ。

    「映画を撮りたいです」

     
     
     
    ◆2024幎10月から2025幎4月たで200日間、毎日短線小説を投皿したした。 ◆YouTubeチャンネルロッキミマス䌁画・構成。 ◆笑wave朚曜日「メモフロヌラのパヌドゥんラゞオ」構成。 フリヌランスの構成䜜家。小説家志望。 タむタンの孊校6期生䞀般コヌス

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