
形を変えて、ずっと続いていた私の「初心」
先日、夫とリビングでのんびり話しているときに、「自分の今の仕事の、最初のきっかけ(初心)になった体験って何?」という話題になりました。
夫は迷わず、「学生時代に、百貨店の紳士服売り場でスーツを着てカチッと仕事ができたことかな!」と答えました。
(実は、その紳士服売り場のアルバイト先こそが、私と夫の出会いの場所だったりします)
「へぇ、あの時の経験が夫にとってそんなに大事な原点だったんだ……」と、結婚して長い月日が経った今の今まで知らなかった一面に、少し新鮮な気持ちになりました。
それと同時に、「じゃあ、私の原点って何だろう?」と考え始めたのですが、
その時はこれといったものがピンと浮かばず、なんだか心の中に小さなモヤモヤが残ってしまいました。
私の人生を振り返ると、最初の大きな転機は小学生の頃でした。
引っ越しをきっかけに出会ったピアノの先生が、とても綺麗で、サバサバしていて、どこか男前な格好いい性格の方だったのです。
私はその先生にすっかり憧れてしまい、レッスンを受けるうちにピアノの魅力にどっぷりとはまっていきました。
そしてそのまま音楽の道へと進み、いつしか「大好きなあの先生のようなピアノ教室を開く」という目標を叶えていました。
個人で教室を運営しながら、あるとき音楽学校の附属幼稚園で「音感授業」の仕事も任されることになりました。
5〜6人の子どもたちを教えるそのクラスが、
もう、ものすごく楽しかったのです。子どもたちの可愛い反応、大人の凝り固まった頭では思いもつかないような自由な発想。
元々子どもは好きでしたが、「ああ、私は本当に子どもが好きなんだな」と確信に変わったのは、
間違いなくこの時でした。
時は流れて、ピアノ教室の幕を下ろした私が、新しく見つけた今の仕事は「学童保育」です。
ずっと「やっぱり私は、巡り巡って子どもに関わる場所に行き着く運命だったんだなぁ」と思っていました。
けれど、先日の夫との些細な会話をきっかけに、自分の心の奥をもう一歩、深く掘り下げてみたのです。
すると、ある驚くべきことに気がつきました。
私はただ「音楽」が好きだったわけでも、「子ども」という存在が好きだっただけでもなかったのです。
あの小学生の頃。
まだ小さな世界しか知らなかった私に、音楽を通して「新しくて、広くて、ワクワクするような知らない世界」を教えてくれた、
あの男前なピアノの先生の姿。
私は、そんなふうに【子どもの世界をパッと広げてくれる、そんな光を灯す仕事をする人】に、
ずっと憧れ続けていたのだと気づきました。
だからこそ、ピアノから学童保育へと「形」は変わっても、私は今も同じように子どもたちに関わる仕事を続けているのです。
毎日いろいろなことがあって大変な仕事ですが、不思議と「苦にならない」と思える今の仕事に巡り会えていることに、改めて心からの感謝が湧いてきました。
かつて自分がしてもらったように、今度は私が、自分の子育ての経験や人生の引き出しを総動員して、目の前の子どもたちに新しい世界をそっと手渡していく。
そして、働きながら一生懸命に子育てを頑張る若い親御さんたちの、小さなお手伝いをしていく。
形は変われど、私の「初心」はずっと、あのピアノの部屋から地続きで繋がっていたのでした。
それに気づけただけで、なんだか自分の歩んできた道がとても愛おしく思える、
そんな温かいひとときでした。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
