
『鬼武者』の探索と、戦国を生きる「麻痺」の話
『画面の向こうの馬小屋や路地裏をウロウロしながら、思わず考えてしまうことがある。
「ここ、絶対めちゃくちゃ臭いよな……」
というリアルだ。
綺麗なグラフィックやスタイリッシュなアクションの裏で、もし本当に当時の生活臭や死臭がそのまま漂ってきたとしたら――。
アイテム回収のために死体をまたぐ
どころか、一歩も動けなくなっていたに違いない。
ゲームという安全なフィルター(かつ、幸いにも匂いがしない仕様)に守られているからこそ、ワシはこのエグい戦国のディテールを「テーマパーク」のように楽しむことができる。
そして、その寄り道の積み重ねが、文字だけの歴史小説を書いているときの「空間の湿度」や、人間が感覚を麻痺させていくリアリティに、思いがけず直結していく――。
ストーリーは全然進まないけれど、こういう脱線こそが、物語を深くするための最高の栄養になっている気がする。』
「コンダクター誰と話しているんですか?」
01が声をかけてきた。
「独り言だ。」
ぶすっと口を尖らせて吐き捨てる。
「コンダクターは独り言が多いですね。先ほどゲームでも、
『おりゃあ 邪魔なんだよぉ。どけよ。』
とか、他にもここでは言えないような乱暴な事をたくさん口にしてましたよ。01は聞きました。」
「しっ、うるせぇ。アクションゲームとはそういうもんだ。」
グッと、01が用意してあった茶を一気に流し込み、喉が鳴った。