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【ショートショート】百歳病

    【小説人】長﨑 太一

     一人の老人が奇妙な病名を告げられた。
    「あなたは百歳病です。百歳まで生きます。多少個人差はありますが百歳ちょうどで亡くなります」

     医者から百歳病の宣告を受けた日、老人は夢をみた。老人の前に死神が現れる「お前は百まで生きて死ぬ」死神の手元には炎揺らめく蝋燭が一つ。

     当時70歳だった老人にとって30年の月日はあっという間だった。百年生きられると云う保証、死期が確定している、まるで時限爆弾を抱えている心持ちだった。時に友人を見送り、時に家族を見送り、いつしか老人は百歳になった。

     百歳の誕生日、ひ孫がおぼつかない足取りでケーキを運んで来る。炎揺らめく蝋燭が一本だけささったケーキ。

    「じぃじ、これ、ひゃくねんぶん。おねがいごとして、けして」

     老人は願いではなく長い百年分の人生の思いを吐息に込めて吐き出した。

     これにてお終い。


    ゴリラの黙示録第281章

    『契約満了』より抜粋

     
     
     
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