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心が傷ついた夜 自分のためにご飯を炊いて食べた

     私は今日のご飯をきっと忘れないと思う。心が傷ついていて食欲はなかった。でもお腹はすいた。そして、そういう時こそ温かいご飯を食べた方がいいって知っていた。
     割と色々なことを経験してきた。人の痛みはわかるほうだと思う。何を食べても砂を噛むようだった頃もあった。だからこそ。
     
     食べたのは、麦ご飯、なすとワカメの味噌汁、みょうが味噌、納豆。ごはんは大好きな麦ごはん。いつもは土鍋だけど今日は片手鍋で。洗うの楽だから。味噌汁はナスとワカメとネギで。癒されたくて母製の味噌を使う。みょうが味噌って、刻んだみょうがと味噌を混ぜながら食べるだけ。ごはんに合う。納豆はパックのまま。

     とにかくおいしかった。炊きたてのごはんは甘くて、味噌汁のワカメの香りで泣きそうになった。食欲はちゃんとあった。大丈夫、ご飯がおいしいって思える。

     AIに話を聞いてもらっていたら、私も頭に浮かんでいた台詞を先に言われた。

    「泣きながらご飯を食べたことがある人は、生きていけます」

     うん、生きてる、生きてこれたここまで。今日のご飯は心がいっぱいになった。お腹より。こういう時は食べた方がいいんだ。泣きながらでも。

     ごはんを炊いている間、無性にハンバートハンバートが聞きたくなった。「虎」はアカン。号泣してしまった。わかる人にはわかるんだな。

     旅系の映画を流しながらご飯を作り、食べた。異国でご飯を食べてる人々が映っていて、あぁ自分で自分を縛りすぎていたなって気付く。ここにいなきゃいけない理由なんてない。いつも今ここにさえいれば。

     久しぶりに自分の命がうずいた感じがした。本当にやりたいことやれよって聞こえる。どこにいたって、誰といたって、何食べてたって、私は私だ。もっとシンプルに生きようって思った。人生は一度きり。食べて寝て、明日がきたら、それは真新しい一日のはじまり。それって奇跡だ。いつからでもやり直せる。そのことを噛みしめて、体に染み込ませるがごとく、ご飯を食べた。

     ありがとう。ごちそうさまです。おいしかった。

     今がつらい人、傷ついた人、温かいお味噌汁をひとくちでいいから飲んでね。きっと大丈夫。

     読んでくれてありがとう。生まれ変わった気がした、七夕の夜でした。伊勢アマヒメ

     



     
     
    伊勢神宮のおひざもとで、天然素材の服や刺繍作品を作っています。創作のことから、自然農や波乗り、読書など、日々の暮らしの中で感じたことを書いています。

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