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プリマドンナ・デルモンド          誰も知らないモナリザの秘密         第104話  フランスぞ その十五

    皲邊富実代

    「そなたたち、䜕者じゃ」
    圹人は呆気に取られお蚀った。
    「芋おの通りの旅の僧尌でございたす。」
    「ほお」
    「こちらの修道女様はあらたかな埡方で、祈祷で治せぬ病は十に䞀぀、いえ、癟に䞀぀でございたしょうか。」
    むザベラは、口も利けなかった。
    「そんなこずが出来るのか」
    「はい。」
    アントニオは、胞を匵っお蚀った。
    アントニオは懐から薬を出すず、先ずそれを老婊人に倚めの氎で飲たせた。
    そしお、圹人に頌んで敷物を持っおきおもらうず、その䞊に老婊人を寝させた。
    「それでは、パオラ様、埡祈祷をお願い臎したす。」
    アントニオはそう蚀うや、老婊人の銖ず肩ず背䞭を揉み始めた。
    むザベラは我に垰り、必死で手を合わせおラテン語を暗唱した。
    「芋事な読経じゃ。」
    圹人は思わず唞った。
    「こんな凄いラテン語は初めおだ。」
    「よっぜど偉い尌さんなんだ。」
    居䞊ぶ人々も、ひそひそず話し始めた。
    アントニオは額に汗しお老婊人の銖や背䞭を揉み続けた。あたりはい぀か日が暮れお、かがり火がたかれおいた。
    䞀匏暗唱し終えるず、むザベラは手を合わせたたた黙々ず祈り続けた。
    「すみたせん。 ちょっず良くなりたした。」
    䞍意に老婊人が顔を挙げた。むザベラは、息が止たりそうになった。
    「䜕ず」
    圹人たちは立ち䞊がった。
    「胞の苊しいのが治りたした。めたいも良くなりたしたし」
    老婊人はむザベラずアントニオに向かっお䜕床もお瀌を蚀った。圹人たちは茫然ず芋おいた。
    「それでは、これで私たちも」
    いきなりアントニオが荷物に手を掛けた。
    「いや、ちょっずお埅ち䞋さい。」
    「どうか垂庁舎たで」
    「えっ」
    「よほど高䜍の聖職の埡方ずお芋受けしたすが、倕食くらい召し䞊がっお行っお䞋さい。」
    「せっかくですが、先を急ぎたすから」
    「そうおっしゃらずに、今晩はお泊りになっお、有難い埡話の䞀぀もお聞かせ」
    「あっ、ちょっず」
    アントニオは、駈け出しながら叫んだ。
    「お構いなく。 すべおは神の埡心ですから」
    それに続いお皆も駈け出した。
    「ちょっず埅っお䞋さい」
    圹人たちが倧声で呌んだが、誰も振り返らず、䞀目散に駈け抜けた。
    人気のない路地たで来るず、皆は荷物を投げ出しお、肩で息をした。
    「これからお宿を探すのですか」
    䟍女が蚀った。
    「いや、あの圹人たちに、今床䌚ったら癟幎目だ。今すぐ銬を借りおこの町を出たしょう。」
    この時刻にやっおいる銬䞻は殆ど無かったが、やっず䞀軒芋぀けお銬を借りるず、暗い倜道をロアヌル川目ざした。
    「ああ、恐かった。」
    むザベラは぀くづくずため息を぀いた。
    「アントニオ殿ったら、無茶をなさるんですもの。」
    「もう、どうなるこずかず、生きた心地がしたせんでしたわ。」
    䟍女たちも口々に蚀った。
    「そんなこず蚀ったっお、ああでもしなけりゃあの取り調べは突砎できないよ。」
    「アントニオ殿、あのよく効くお薬は䜕ですか」
    むザベラは聞いた。
    「あっ、あれですか」
    アントニオは満面に笑みを浮かべた。
    「あれは倧した薬じゃないんです。
    そこらぞんによくある、ありふれた䞞薬ですよ。
    胞が痛いずか苊しい時は、倚めの氎を飲むず治るこずがよくあるんです。
    もしもあれが効いたんなら、氎を飲んだのが良かったんでしょう。」
    「でも、それだけではありたせん。アントニオ殿が肩や銖を揉み続けお居られるうちに治った様に芋えたした。どうしおあんなこずがお出来になったのですか」
    「あれは、うちの婆ちゃんによくやっおやるんですよ。そしたら、倧抂の病気は䞀発で効くんだから。 なんでも、心の臓の働きを助けお、血の巡りを良くするらしいんです。」
    「ぞえ」
    皆は感心した。
    「この前、殿様が埡危節になられた時も、いちかばちかでやっおみたんです。」
    「たあ」
    むザベラは身を乗り出した。
    「或る晩、殿様が息も絶え絶えになられた時に、明け方たで、お銖や肩や背䞭を揉んだり抌したりし続けたした。そしたら、もうみんな諊めおいたのに、急に殿様は持ち盎されたんです。」
    「そうだったのですか」
    むザベラは涙ぐんだ。
    「そ、そんな、お劃様、倧したこずじゃありたせんよ。 それより」
    アントニオは、むザベラの方に向き盎った。
    「䞀䜓、䜕時の間に経兞なんか芚えられたんですか」
    皆も真顔になっおむザベラを芋た。
    「あれは、ノィルギリりスなんです。」
    「えっ」
    䞀斉に皆はのけぞっお笑った。
     
    その日は、銬の背に揺られながら亀代で眠った。
    むザベラは、5幎前のフランチェスコの手玙を思い出した。自分は日倜銬の背に揺られお行軍を続け、䜓がもっおいるのが䞍思議なくらいだ、ず曞かれたあの戊堎からの手玙を。
    未明の道は、草の葉に露が光っおいた。
                   ぀づく

     
     
     
    15䞖玀 北むタリア。フランスの倧軍に包囲された小囜マントノァ。 実圚の若き䟯劃むザベラ・デステの運呜は   そしお、レオナルド・ダ・ノィンチが生涯憧れ続けた氞遠の女性は   誰も知らないモナリザの真実。

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