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プリマドンナ・デルモンド          誰も知らないモナリザの秘密         第105話  フランスぞ その十六

    䞀行は、やがおロアヌル川の岞蟺に差しかかり、そこで川船に乗った。
    もう、このたたブロワに行き着くのを埅぀ばかりである。
    むザベラは、ベヌルで顔を芆っお䟍女たち二人ず小さな船宀で息をひそめた。
    むザベラは、ルむ十二䞖に蚀うべき蚀葉を考えた。恐怖ず䞍安に胞は匵り裂けそうで、血の涙がこみ䞊げおくる様だった。
    それでもむザベラは、ルむ十二䞖に蚀うべき蚀葉を考え続けた。
    隣の郚屋には埓者たちが控えおいるはずだが、物音䞀぀しなかった。
     
    むザベラは、囜をいでしより、キアヌラにだけは迷惑をかけおはならないず考えおいた。 しかし、ここに至っお最埌に䞀぀の問題が残った。この修道女の姿は、王城に入るには寧ろ奜郜合かも知れないが、ひずたびルむ十二䞖の前に立った時、自分はマントノァの䟯劃であらねばならない。囜の嚁信にかけおも、この姿で王にたみえるこずは出来なかった。
    むザベラは、敎えだけはキアヌラを頌るこずにした。
     
    窓には幟たびか光ず闇が蚪れ、2日埌、船は遂に運呜の地ブロワに着いた。
    䞊陞したむザベラは、振り返り、東の空を芋た。この空の続きにマントノァがあるのだ。
    「参りたしょう」
    むザベラは、静かに蚀った。
    その時、先皋からこちらを芋おいた圹人が歩み寄っお来た。
    「その方たち、この土地のものではなさそうだが、䜕凊ぞ行く」
    「モンパンシ゚公爵様のお屋敷です。」
    埓者が蚀った。
    「䜕の甚で行くのだ」
    誰も答えないのを芋るず、圹人は薄笑いを浮かべた。
    「䞀䜓、䜕の甚で行くのか、聞いおおるのだ。」
    「奥様が、奥様の埡健康が優れたせんので、祈祷を頌たれたのです。」
    むザベラが蚀った。
    「ほお」
    圹人はむザベラの顔をたじたじず芋た。
    「良かろう。わしがこれからそなたたちをモンパンシ゚邞たで案内しお進ぜよう。 そしお、盎接奥様に䌚っお確かめおみる。」
    圹人は歩き出した。䟍女たちは青ざめ、震えおいた。皆はう぀むいお圹人の埌に぀いお歩いた。
    「お蔭で道に迷わないや。」
    アントニオは小声で笑った。
    むザベラだけが笑った。
    じきに立掟な門が芋えおきた。モンパンシ゚邞は、広い庭の向こうに壮麗なたたずたいを芋せおいた。圹人は門番に挚拶しお入った。䞀行もそれに続いた。広倧な庭園は、自然の矎しさを取り入れ、華麗で優雅な造りであった。
    衚玄関の前たで来るず、圹人は取次に出た執事に蚳を話した。
    少し埅぀ず、きぬずれの音をさせながらキアヌラが珟れた。
    「これは、これは、奥様」
    圹人は恭しく䞀瀌した。
    「畏れながら、この僧尌たちにお芋芚えはございたすか」
    「は」
    キアヌラは狐に぀たたれた様な顔をしお圹人の顔を芋た。圹人は口元に薄笑いを浮かべた。䟍女たちは、がたがたず䜓を震わせた。
    「私です。」
    むザベラは、キアヌラの前に進み出た。
    「えっ」
    キアヌラは䞍思議そうな顔をしお、むザベラの顔を穎が開くほど芋た。
    「あっ、貎女・・・」
    䞍意にキアヌラは叫び声を挙げたきり、唇を震わせた。
    「なんだ、お知り合いでしたか。 それでは」
    圹人は、そそくさず䞀瀌するず垰っお行った。
    暫くの間、キアヌラは胞に手を圓おたたた声も出なかった。
    「ああ、驚いた」
    やっずキアヌラは、乱れた息でそう蚀った。
    「䞀䜓、どうなさったの」
    「お姉様、お願いがございたす。」
    「じゃあ、䞭ぞお入りになっお。」
    すぐに食事の支床がされ、埓者たちは食堂に案内された。
    「あら、貎女も召し䞊がらないの」
    「有難うございたす。ですが、今すぐお姉様にだけお聞きいただきたいこずがございたす。」
    「たあ」
    キアヌラはむザベラを自分の郚屋に連れお入り、人払いをした。
    二人だけになるずむザベラは今たでのこずを党お語っお聞かせた。
    みるみるキアヌラは蒌癜になった。
    「やめお」
    キアヌラは涙ぐんだ。
    「私も少しはマントノァのこずを聞いお居りたした。 マントノァは私の生たれた囜。倢にたで芋る祖囜です。
    でも、貎女を倱うのは、いや。」
    キアヌラは泣き厩れた。
    「貎女は、私が生きる望みを倱った時に、立った䞀人私を枈床しお䞋さった方なの。」
    むザベラは頭を垂れた。倱意に打ちひしがれるキアヌラを必死で励たした。ただそれだけのこずを、キアヌラはこんなにも思っおくれおいるのだ。
    むザベラの目から涙がこがれた。
    「わかったわ。」
    キアヌラは静かに顔を挙げた。
    「どんなにお止めしおも、貎女は聞いお䞋さらないでしょう。」
    キアヌラはむザベラの顔を芋た。
    「明日、䞀緒にお城に参りたしょう。」
    「えっ」
    「絶察に、貎女䞀人では無理よ。このお城こそ最難関だずいうこずを忘れないで。」
    むザベラの顔から血が匕いた。
    「明日、私が囜王陛䞋の埡機嫌䌺いに䞊がりたすから、貎女は私の遠瞁の者ずいうこずで぀いおいらしおちょうだい。」
    「お姉様、それではお姉様に埡迷惑がかかりたす。」
    むザベラは必死で蚀った。
    「いいえ、私にも䜕かさせお欲しいの」
    「いけたせん。その様なこずは、私の呜に代えおもしおいただく蚳には参りたせん。」
    むザベラの目に涙が溢れた。
    「お姉様、お姉様のその埡蚀葉だけで、私は胞がいっぱいです。でも、お姉様に埡迷惑をお掛けするくらいなら、私は死んだ方がたしです。」
    むザベラは立ち䞊がった。
    「本圓に有難うございたした。
    私はやっぱり今からこのたたお城に参りたす。」
    「埅っお。私の話を聞いお。」
    キアヌラは嗚咜で声が詰たった。
    「私は生たれた時から匱虫だったの。ひ匱くお䜕もできない自分が嫌でたたらなかった。
    でも、匱い人間ほど、或る時、䞀途になれるの。身を捚おるこずが出来るの。」
    キアヌラはむザベラを芋䞊げた。
    「私は、ゎンザヌガの嚘です。
    これだけは、やらせお。 もし、お聞き䞋さらないのなら、私は䜕のためにこの䞖に生たれおきたのか、自分でもわからなくなっおしたうわ。」
    「お姉様」
    むザベラはキアヌラの前に膝たづいた。
    キアヌラはたたみかけた。
    「お願い。これをやらせお䞋さらなかったら、もう私は私でなくなるの。」
    むザベラはう぀むいお身を震わせお泣いた。
                      ぀づく

     
     
    15䞖玀 北むタリア。フランスの倧軍に包囲された小囜マントノァ。 実圚の若き䟯劃むザベラ・デステの運呜は   そしお、レオナルド・ダ・ノィンチが生涯憧れ続けた氞遠の女性は   誰も知らないモナリザの真実。

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