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利益大幅増でも自己資本比率は低下。データで見る米大手銀行の決算

    まとめ

    2026年上半期の米大手行決算を総括すると、「堅調な景気」と「資本効率の追求」が鮮明になった期間と言えます。

    各行とも好業績を背景に、利益の大部分を配当や自社株買いに充てる積極的な還元姿勢を見せています。自己資本比率の低下を厭わないこの動きは、収益への自信に加え、将来的な規制緩和(バーゼルIII最終化の見直し)を先取りした戦略的な資本管理の表れとみえます。

    今後は、好調な資本市場や上方修正されたNII(純金利収益)の見通しが維持できるか、そしてダイモンCEOが示唆するように「現在の好環境がいつまで続くか」が焦点となります。総じて、米大手行は依然として「注意深い楽観」の中にあり、攻めの経営姿勢を維持していると評価できるでしょう。

    好調な収益と利益

    26年上半期の米大手銀行決算は、金利・非金利収入ともに高い伸びを示し、各行の純利益は前年同期比12~44%と極めて好調です。

    非金利収入ではトレーディングや投資銀行業務の手数料が寄与。貸出残高も前年同期比8~12%増と勢いを維持しています。与信費用もウェルズ・ファーゴを除き減少しており、米国の景気やクレジットの質の底堅さが示されました。

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    利益は大幅増、自己資本比率は低下
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    2Qの貸出・預金は堅調、金利スプレッドはウェルズ・ファーゴを除きYoYで改善
    出所:各社決算公表資料

    ウェルズ・ファーゴも2025年まで資産の上限規制があったことによる資産構成の変化を除けば堅調な決算とみえ、大手行の決算は全体として米国の景気や市場、クレジットの質の底堅さを示しています。

    自己資本比率は低下

    新聞であまり語られていないことが、自己資本比率の低下です。上の表ではCET1(普通株式等Tier1)比率*を出しました。

    いずれも、それぞれの銀行に求められる最低水準のCET1比率を上回っていますが、2026年6月末のCET1比率は、前年同期と比べると、ほとんどの銀行前年同期比で~100bppの低下となっています。理由はリスク資産の増加に加え、積極的な増配、自社株買いによる株主還元です。

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    JPモルガンの自己資本比率低下要因。利益による上昇分(+102bp)を株主還元(ー50bp)、リスク資産増加(ー71bp)で相殺。
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    シティグループでは利益増加分(+45bp)をほぼ全て還元増加(-42bp)で相殺

    また、バンク・オブ・アメリカは2Qの純利益91億ドルに対し、80億ドルの株主還元を行っており、ウェルズ・ファーゴも上半期117億ドルの純利益に対し98億ドル超の還元を行い、今後についても増配の計画を述べています。

    これらの積極的な還元は、好調な業績に加え、2027年に実施開始予定のバーゼルIIIの最終化において、所要資本が低下する見通し(まだ未確定)になっていることを先取りしているとみえます。

    *アメリカの場合、Basel IIIの最終化に至っておらず、現在の規制では「Standardized approach(標準的手法)」「Advanced approach (先進的手法)」の2パターンの数字を計算し、低い方の比率が規制比率を上回る必要があります。

    各社の今後の見通し

    説明会によると、全体として、「景気が想定より底堅い」、とマネジメントが捉えているように感じます。金利の高止まりも金利収支にはプラスに働いており、JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴでは純金利収益(NII)の見通しを上方修正しました。

    以下、今後の見通しについてのマネジメントコメントの抜粋です。今後についても、注意深く楽観的、とみえます。

    JPモルガン・チェース

    • 通期NII見通しを上方修正($95B→$96.5B)。カード貸倒率見通しを引き下げ。消費者与信は想定より良好。

    • ダイモンCEOは「良い環境だがいつまで続くか不明」と慎重さも維持。

    バンク・オブ・アメリカ

    • 通期NIIはガイダンス上限を狙う。金利上昇はポジティブ。

    • 人員数は横ばい〜微減を維持し、効率化を推進。

    • 不動産やプライベートクレジットの懸念分野も、現時点で大きな問題なし。

    シティグループ

    • NII(除マーケッツ)は通期+5~6%成長を見込む。

    • 資本バッファは現状維持し、規制の最終確定を待つ姿勢。

    • 下期に追加のリストラ費用(severance)を計上する可能性を示唆(生産性向上機会があれば)。

    ウェルズ・ファーゴ

    • 通期NIIは約$50Bを維持。下期は第4四半期に安定化を予想。

    • 11%の増配を予定。

    • 「消費者の状況は非常に良好」としつつ、選択的な成長姿勢を強調。


    株価的には純金利収益の上方修正をしなかったシティグループはちょっと失望されてしまいましたかね。


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