
市場インデックスの「次の一歩」── VTI・VTV・VUGをどう使い分けるか
導入
投資の土台として、全米や全世界の市場インデックスファンドを中心に据える。これは多くの方にとって、とても理にかなった選び方だと思います。
一方で、資金にある程度の余裕が出てきたとき、「インデックスの外側にもう一歩踏み出すなら、何を足すか」という問いが出てきます。その代表的な分かれ道が、グロース株とバリュー株です。
この記事では、米国市場全体に投資するVTIを基準に、同じバンガードの兄弟ファンドであるVTV(大型バリュー)とVUG(大型グロース)を並べて比較します。テーマは「どちらが優れているか」ではありません。それぞれが何に向いていて、どんなリスク許容度・投資スタイルの人が、どう組み込むと噛み合うのかを整理していきます。
私のスタンスは一貫して「増やすより減らさない」です。リターンの大きさだけでなく、下落の深さ・値動きの荒さ・インカム(分配)の性格まで含めて、3本の役割の違いを見ていきます。
上記は価格のみの推移です。分配金を含めた実際のリターンは有料パートで比較します。
この記事の結論(3点)
VUG(グロース) は上昇局面の伸びが大きい一方、値動きが荒く下落も深くなりやすい。リターンの源泉は値上がり益が中心で、分配(インカム)は細い。
VTV(バリュー) は値上がりは穏やかでも下落が浅く出やすく、分配が着実に積み上がる。取得簿価に対する分配率(YoC)は2016→2025で約1.7倍に育っています。
VTI(市場全体) はその両方を内包した中間。3本は優劣ではなく、「どの値動きとインカムの性格を、自分のポートフォリオのどこに置きたいか」で選ぶものです。
基礎データ
3本はいずれもバンガードの低コストETFで、経費率はすべて0.03%(基準日2026-04-28)です。投資対象の性格が異なります。
VTI:CRSP US Total Market Index に連動。米国市場ほぼ全体(大型〜小型まで約3,484銘柄)に丸ごと投資する「市場そのもの」。SEC利回りは1.01%。
VTV:CRSP US Large Cap Value Index に連動。大型のバリュー(割安)株に絞ったファンド(約309銘柄)。SEC利回りは1.91%で3本のなかで最も高い。
VUG:CRSP US Large Cap Growth Index に連動。大型のグロース(成長)株に絞ったファンド(約154銘柄)。SEC利回りは0.33%で最も低い。
(いずれも基準日2026-05-31・Vanguard公式)

(出所)Vanguard公式プロフィールをもとに筆者作成」
補足:バリューとグロースは「指数の定義による分類」です。同じ銘柄でも指数のリバランスで分類が入れ替わることがあり、構成は基準日時点のスナップショットである点に留意してください。
トータルリターンで見る3本の性格
まず、価格だけでなく分配を再投資した後のトータルリターンで3本を比べます。高配当・バリュー系を価格チャートだけで見ると、分配で受け取った分が反映されず、実力を過小評価してしまうためです。