
写実的な人
街を歩いているとたまに「写実的な人」を見かけることがある。これが正確な表現なのかは分からないが、そうとしか言えないのだ。
実在しているのだから、写実的なのは当たり前なのだ。しかし、あたかもヤングジャンプの世界から飛び出して来たかのように、生き生きと動いているように見える。
私の統計によると写実的な人はおじさんに多い。加齢によるシワがそう見えるのか。流行りの2.5次元俳優では到底追いつけない次元の狭間に彼らは存在しているように思う。
彼らは至る所に存在するが、群れているわけではない。何なら羨ましいことに社会に溶け込んで馴染んでいる。まるで写実的ではないかのように生活を営んでいるのだ。
漫画の読みすぎでふやけた私の脳みそをフル回転させたところで、彼らの正体は何一つ分からない。
今朝もコンビニ前でタバコを吸っている写実的なおじさんを見かけた。何というか背景までが歪んで見えて、あたかもそこが漫画の一コマかのように見える。
身体のバランスが正方形のようだ。輪郭もシンプルな五角形に見える。それなのに顔の渋みが計り知れない。うまく説明できないことが本当に口惜しい。
もしかしてペラペラなんじゃないかと思って何とか横から彼らを見ようとするが、気がついたら彼らは一反木綿のようにすり抜けて、私の後ろを通り過ぎているのだ。
頻繁に出会える訳では無い彼らをこれ以上追うことが得策なのか否か。
これ以上の詮索と口外は私の身が危うくなりそうなのでやめておくことにする。