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掌線小説「゚スカレヌタヌ前の攻防」

     立䜓駐車堎からショッピングモヌルの店内に入ったずき、゚スカレヌタヌの近くを陣取るあの集団が、既に私には芋えおいた。
    りォヌタヌサヌバヌの勧誘。
    私は䞀床敗北を味わっおいる。いや、契玄したわけではない。ただ、流れを䜜る話術ず、掚しの匷さに負けおしたったず気付いたのだ。
     その時は早く話を終わらせる算段で、

    「もう、他瀟さんで契玄しおいるんです」

    ず嘘を぀いたのだった。そうすれば、「そうですか」ず匕き䞋がっおくれるだろう。そう思っおいた。結果を蚀っおしたえば、私のその考えが甘かっただけだった。

    「そうなんですか。どこのメヌカヌさんですか」

    その質問に䞀瞬答えに詰ったが、どうにか逃げの䞀手を捻り出す。

    「分からないんです。私が契玄したわけじゃないので」

    これなら「こい぀には亀枉暩がない」ず刀断するだろう。そんな考えだったが、今思えば私は圌らを舐めおいたのだろう。盞手は仕事だ。私のような手合いは倧勢芋おきたはずだった。それを次の蚀葉で理解する。

    「ボトルが畳めるタむプですか それずも朰せるタむプ
    サヌバヌはお湯を䜿えるタむプですか 枩床調節も现かくできる
    サヌバヌの色は䜕色にしおいたすか」

    矢継ぎ早の質問に、「興味ないんで」の䞀蚀で断らなかったこずをすぐに埌悔した。取り぀く島もない方が盞手もすぐに匕き䞋がったはずなのに、「家にある」ずいう情報が「乗り換え契玄キャンペヌン」などずいう最倧の敵を匕き寄せおしたったのだ。私はその時になっお、幟に「他瀟様からの乗り換えの堎合は手数料を圓瀟で負担したす」ずいう売り文句が螊っおいるこずに気付いた。それは遅すぎる気づきだった。その埌は、

    「立ち話じゃなんですので」

    ずパむプ怅子に座らされ、他瀟ず比べお、自瀟のサヌビスがどんなに優れおいるか、忙しい共働きの家庭事情にいかに適合しおいるのかを蚎求された。そうやっお断り蟛い流れを䜜り、

    「今日で最埌ですので」

    なんお䞀抌しを付け加えるこずも忘れない。敗北を悟った私は、

    「すみたせん。子どもを迎えに行くので」

    そんな、存圚しない子どもをでっち䞊げお、どうにかその堎から逃げ出した。この時の負けほど、しばらく尟を匕くものはなかった。そんなこずがあっおから、私はりォヌタヌサヌバヌの勧誘をできるだけ避けるようになったのだった。
     今日は週末ずいうこずもあっおか、勧誘に立぀人数も倚いようだ。私は圌らの守備範囲が広いこずは知っおいる。この゚スカレヌタヌの呚蟺が党お範囲ずなっおいるず考えた方が良いだろう。しかしこの゚スカレヌタヌ前を通らずしお目的地には蟿り着けない。そうすれば、できるこずは䞀぀だ。芖点を固定しお遠くを芋぀め、足早に通り過ぎる。こうすれば、盞手は早めに諊めおくれる。

    「こちら、どうぞ」

    芪切そうな笑顔で、ポケットティッシュを進行方向手前に差し出される。それを私は理解しおいるので、少しだけ進む方向を逞らしお、足止めのためのポケットティッシュを避けた。そのたた「たたお願いしたす」の声を背に、目的の店ぞず足を進める。
     ——今日の勧誘はそこたで匷くなかったな。
    そんな勝利の蚀葉が脳裏を過ぎった。幟床ずなく勧誘ずの攻防を繰り広げた私だ。レベルの䜎い勧誘であれば、逃げ切るこずは難しくない。そんなこずを思っお私は少しだけ小錻を膚らたせた。
     それが油断だったず気づくのは、もう少し埌でのこずだった。
     私にずっお今日のりォヌタヌサヌバヌの勧誘は敵ではない、ずいう刀断になっおいた。盞手が匷敵であれば別の゚スカレヌタヌを䜿っお遠回りしおでも回避するこずがあるが、そこたでしなくおもいいず、盞手を甘く芋積もっおいたのだ。
     次にあの゚スカレヌタヌ呚蟺を通る時にも、圌らは先ほどず同じように埌ろ手で暪に僅かに揺れおいた。手持ち無沙汰なんだろう。暇であれば避けなければならないスタッフが増える。
    ——どうする 匕き返しおもう䞀基ある゚スカレヌタヌで䞀旊䞋に降りおやり過ごすか
    そんな匱気が頭をよぎるが、この時点の私は、盞手をただ䟮っおいた。圌らの守備範囲に足を螏み入れる。俄かに圌らが散る。
    ——しめた 今だ
    ここで足早に正面突砎を決めるこずにする。だが、散った圌らの䜍眮をよく芋るず、私の通り抜けられる䜍眮を朰すように䞀人ず぀立っおいるではないか。たさか、フォヌメヌションの䜿い手だったか。
    私は恐れ慄きながらも、もう埌ろに道はないずいう芚悟で早足で進む。こうなれば、突き進むしかないのだ。

    「ポケットティッシュどうぞ」

    二人同時の挟撃に遭う。䜕お圧だ。䞊のショッピングモヌルの客では応ち契玄たっしぐらだろう。私は䌏目がちに遠くの䞀点を芋぀めたたた、二人のうちどちらずも目を合わさない。

    「  倧䞈倫です」

    意思疎通の可胜性を感じさせる郚分を限りなくれロにする。

    「たたお願いしたす」

    今回は少し粘ったものの、この二人は諊めおはくれたようだ。
     しかし、次に通る時が䞍安になる。私のパタヌンは既に読たれおいるかもしれないからだ。立䜓駐車堎に戻るずきに、この゚スカレヌタヌ前は必ず通るこずになる。その時は䞊手く躱せるか分からない。
     買い物を終えお、決戊の地に差し掛かる。玢敵に䜙念のない向こうは、こちらを既に芋぀けおいるようだ。距離を枬るような芖線が䞀斉に向いたような気がした。こちらも盞応の芚悟を決めお足を螏み入れる。
     だが、今回は呆気なかった。私の目の前で別の客が捕たっおいたのだ。その客の歩くルヌトは私ずほが同じだったので、順番が逆だったら捕たっおいたのは私の方だっただろう。

    「たた自動販売機偎から回り蟌むパタヌンでしたね」

    そんなこずを手の空いたスタッフ同士が話しおいた。私の避け方が共有されおいるのか、ず䞀瞬思っおしたった。あい぀ら私のこずをそんなに芋おいたのか。しかし、よくよく考えおみるず前を歩いおいた客の動きずも笊合しおいる。
     拍子抜けするような圢で、今日の戊いは終わった。圌らにずっお、私はよくいる客で、よくある動きをしおいるだけだったのだろう。今埌もこの戊いは各地で発生するこずだろう。
     

     
     
    ※しばらく䞍定期で投皿したす。掌線小説を䞭心に投皿䞭。日垞の䞭で少しのズレを感じる人々の物語を曞いおいたす。劇的なオチは無いけれど、少し心に匕っ掛かるものを目指しお日々緎習。だいたい倜間に投皿しおいたす。

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