
ECにAIしか来なくなったら、何すればいいのさ
衝撃の記事
今朝、FTの記事を読んで「あ、これ来るわ」と素直に思いました。
Rise of AI shopping ‘agents’ set to transform ecommerce

ざっくり言うと、OpenAIとかGoogleとかMicrosoftとかPerplexityとか、あのへんが作ってるAIショッピング・エージェントが、検索から比較、カートに入れるところ、そして決済までぜんぶやっちゃう。で、ユーザー本人はECサイトに一度も来ない。
つまりゼロクリックで買い物が終わるっていう未来です。
ん~ほんとか?と思いつつ、考察してみました。
ユーザーが来ない世界
これ、冗談っぽく聞こえるけど、もうそれっぽい傾向は現時点で数字が出てるんですよね。
Pewによると「2025年3月のGoogle検索の5回に1回がAI要約」だったらしいですし、Gartnerは「2026年までに従来型検索は25%減る」と予測してます。
さらにAI回答内での露出を計測するツール(Profound)まで出てきてるし、Inruptは「データ/エージェント・ウォレット」って仕組みで「ユーザーが自分のデータをAIに委任する」流れを作ろうとしてるようです。
いや、これもう、未来の話ではなく、現在の話ですね。
これまでのマーケは「どうやって人をサイトに連れてくるか」が基本。
SEOとか広告とか、ぜんぶそこでした。
でもゼロクリックの世界では、人は来ない。来るのはボット(=AIエージェント)。
想像してみてください。
「今日の来客の99%はボットでした」って報告書に書く未来。
笑えるけど、割とリアルにありそうで怖いですね。
CXからAXへ
だから考え方も変えないといけない。
これまでの主役はCX(Customer Experience/顧客体験)。
人がどう気持ちよく買うかを設計するのがゴール。
UI、UXデザインもこれを前提に考えられていました。
でもこれからはAX(Agent Experience/エージェント体験)。
つまり「ボットが読みやすいか」「ちゃんと理解できるか」「比較しやすいか」。顧客の代理で動くのがエージェントだから、そこを整えないと選ばれないんです。
ぱっと見何かわかんなくてもAIエージェントにとってわかりやすければいい。。。ってことになりますね。
SEOの終焉、ではなくAIOとの並存
「ゼロクリック=SEOの死だ!」って煽られがちだけど、僕はちょっと違うと思ってます。
SEOが「青いリンクの順位争い」だとしたら、AIO(AI Optimization/AIに選ばれるための最適化)は「AIの回答の中でどう棚取りするか」。
結局やってることは同じで、「見つけてもらう」「理解してもらう」。
相手が人→AIに変わっただけ。だからこれは「SEOの死」じゃなくて「AIOの誕生」なんですよね。
なので、しばらくは、人とAI、どちらも最適化するために、SEOとAIOが共存することになるのかもしれません。
ゼロクリック化する購買ジャンルとは
タイトルに「ゼロクリック」と書いたけれど、もちろん何もかもが自動化されるわけではないわけで。
鍵は「判断コスト」と「返品コスト」、そして「好みの言語化可能性」です。
頻度が高く、仕様が安定していて、好みをルール化でき、失敗時の痛みが小さい領域から自動化が進み、逆に、感性評価や身体適合、自己表現が強い領域は人がハンドルを握り続けることになると思います。
まず自動化の「先頭集団」は日用品・消耗品・定番食品・ペット用品・衛生/洗濯関連、プリンタインクや各種フィルター、ケーブル・電池のような規格品。ここは「銘柄の指名」「予算上限」「代替品の許容範囲」をプロファイルに入れておけば、エージェントが在庫・価格・配送リードタイムを監視し、最安/最適解で淡々と回せるようになると思います。
Amazonの定期便や“再購入”の延長線上で、ユーザーの確認クリックすら要らない世界。まぁこれは今でも使われてるし、普通に便利だから使うでしょうね。
次に「半自動の中間帯」。例えばサプリの新ロット切替、定番コスメの色番だけ変更、子どもの靴のサイズアップ、季節家電の消耗部品など。
ここは、例えば提案されてから24時間以内であればNGが出せて、それを過ぎると自動購入される、といった拒否権つきの自動化。
なんとなく、定期便のスキップみたいなイメージですかね。
ユーザーは「意思決定の最後の1ステップ」だけに関与する形です。
最後に、AIでなく人が主役の領域は、「決める快楽」を伴う分野。
ファッション、家具、内装、ハイエンド家電、趣味性の高いガジェット、ギフト、旅行・外食の体験予約など、感性評価・装着感・空間適合・場面性が効くジャンルだと思います。
大前提として、ここでもAIは「補助」として機能し、比較表やレビュー要約を出し、ショールーミングや試着予約まで繋ぐ役割は果たします。
悩む、決めるのが楽しいカテゴリは、ゼロクリック化しないこと自体が価値になるでしょうね。
KPIもUIもひっくり返る
ここでやっかいなのはKPI。PV? セッション数? いや、それ意味なくなるじゃんって話。
代わりに、ボット来店率のような指標は間違いなく。
ここは一度だけ定義しておきます。
ボット来店率=AIエージェントの関与(推奨・自動発注・ディープリンク経由 など)が確認/推定できた注文の割合。
AIが「見つけて」「理解して」「比較で選んで」「買った」かどうか――この流れをそのままKPIにしちゃうイメージ。SEOでいう検索順位が、AIOでは「AIの回答文脈の棚のどこに置かれるか」に置き換わる。
実運用も二層になるはず。表では写真やコピーでCXを整える。
裏では短文・構造化・根拠リンクつきのAXレイヤーを準備する。
在庫や価格や配送条件は読み取りAPIで公開、カート投入も限定スコープAPIで受ける。
もう「UIの戦い」じゃなくて「AXの戦い」。つまりエージェントにとってのDXをいかに快適にするかが勝負。
※ここでのDXはDeveloper Experienceの略(Digital Transformationではない)です。
AIの推奨のブラックボックスにどう向き合うか
推薦理由の開示とかスポンサー表示の明確化
AIが薦める商品やサービスは便利だけど、怖いのは「誰のための推奨なのか」が見えにくいことなんですよね。
スポンサーを優遇しているのか、アフィリエイト収益のためなのか、それとも単なるハルシネーションなのか。ユーザーには区別がつかないと思います。
今のWeb広告でもスポンサードの表示義務はありますが、AIの推薦の場合は、より 透明性の確保 が不可欠になります。
「なぜこれが選ばれたのか」という推薦理由を簡潔に開示する、スポンサー表示は明確化してオーガニックと区別する、などが必要です
データ主権が前提条件になる
もうひとつの前提がデータ。
AIがちゃんとパーソナライズするには、ユーザーが「自分のデータをどう委任するか」を選べなきゃいけない。
Inruptの「データ/エージェント・ウォレット」はまさにそれで、「ユーザーがアクセス権をエージェントに渡す」仕組み。
これがないと、CXとAXはかみ合わないですね。
どうなるかわかんないけど、
ゼロクリックって聞くと「人間いらなくなるじゃん」って思うかもしれないけど、実際はそうじゃないんですよね。
AIが購買の入口に座ることで、「どうやってAIに理解されるか」っていう、まったく新しいゲームが始まっただけなんです。
SEOが「青いリンクで順位争い」だったのに対して、AIOは「AIの答えの中で棚を取る」競争。
つまり勝負相手はユーザーだけじゃなくて、AIそのものになるわけです。
自分のサービスも商品も、AIにちゃんと理解される準備しとかないとですねー