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母の退院と4人部屋とパンケーキとハンバーグと歩く速度

昨日は実家に帰省し、ひとりで宿泊。
朝9時、母の退院に付き添うために病院へ。

病室のカーテンを開けると、元気そうな母がいた。
帰る気満々で、ベッドに腰掛けている。

前回は手術の翌日で、集中治療室にいた。
心臓の大きな手術をした後、
管につながれ、痛みに顔を歪めていた。

元気そうではあるが、歩く速度が遅め。
2週間ほどの入院で体力が落ちているのだろう。

歩けるが、地下鉄で帰るほどの余裕はないらしく、
タクシーで帰ろう、と。

4人部屋で、いろいろあったらしい。

隣のベッドには、毎日、見舞いが来ていた。
耳の遠い母に対して根気よく話す息子さんで、
「じゃあそろそろ帰るわ」と言ってからが長いらしい。

ウチの母は耳が遠くなってきて、話すときに2度3度繰り返さないといけないときがある。それが面倒になり不遜な態度になるときがあるので、それに対してのエピソードトークを展開してきたのだろう。

別のベッドには、独り言のボリュームが大きい人がいて、その部屋に若い人が後から入ってきた。

その若者は我慢ならなかったのだろう。ついに「うるせぇババア」とカーテン越しに言う声が聞こえてきたらしい。ワイヤレスイヤホンで耳を塞ぐことはできなかったんだろうか。

たしかに、いろいろあるものだ。
4人部屋で、どんな4人になるかは運次第。
いろいろな人がいるものだ。

帰ってきたら、退院してきただけなのに、なぜか疲れ果てていた。僕と母はソファに座ったきり、ボーッとし、それほど話もせず、スマホを触ったり、寝たりしていた。

昼を過ぎて腹が減ってきた。そろそろメシにでもいこうとなり、母はチェーン店を挙げてきたが、別の店を提案した。

そこは以前、実家の周辺を散歩しているときに偶然に見つけたパンケーキ屋。パンケーキ屋かと思いきや、パスタやピザなどイタリアンもやっているようでその店を訪れた。


食事とパンケーキのセットで2,800円と少々お高めだが、まぁでもそんなものか。パスタが1,500円とパンケーキが1,300円といった感覚。たまの母とのメシだし、満喫することにした。

本気のハンバーグというものが気になり注文。旅館で出てくるような固形燃料と鉄の器が出てきた。中身があえて生焼けのハンバーグをそこで焼いていく形式。なるほど、本気感がある。

ハンバーグに対するソースのバリエーションがありすぎた。おろしソース、わさび、食べるラー油、岩塩、こしょう、卵黄。味変の選択肢があり過ぎて迷う。味変も本気だ。


左のほうに食べるラー油や卵黄がある

ハンバーグ2個を4等分して8個に分割。鉄鍋で焼きつつ、味変の配分を検討していく。6種のソースの使い分けはカレーのルーとライスをうまく配分しながら食べていくより、はるかに高度だが、無事ミッションを完遂。

母は2週間ほど入院していた。病院は味の薄い料理ばかりだったので、外に出て食べるものはなんでも美味しいと言っていた。

しかし、母は「牡蠣としらすのリゾット」を注文しており、それはやさしい薄味で素材を活かすタイプだったので、外でもまた薄味を選んでしまいミスったとぼやいていた。結果、僕のハンバーグの8分の1は、母の口に没収された。

その後のパンケーキはモンブラン乗せを選択。どちらがメインかわからない、ダブル主演、両A面のモンブランパンケーキは至福であった。

店を後にし、スーパーの買い出しへ。買いだめをしておきたいとのこと。退院後、まだ体力の回復しきらない間、当面の食糧があれば、家の中でしのげる。

子としては、買いだめせず、ちょくちょくスーパーに行く方が体力の回復につながるように思うが、それよりも外に出たくない気持ちが強いようだ。

歩く速度は、僕が落ち込んでボーッとしながらトボトボ歩く帰り道の速度よりも遅い。その速度でも時折、立ち止まって休憩している。相当に病み上がり感がある。

買ったものは、母が使うコロコロカートいっぱいに詰めて、エコバッグにも詰めて、さらに予備のコンビニ袋にもいっぱいになるほどの量になった。

パン系が入った軽い袋を母が持ち、僕は重い袋とカートをコロコロ。これだけあれば、しばらくは引きこもれる。シニア引きこもりで、テレビや動画を見て、ソファでゴロゴロするのだろう。

そろそろ帰ろうとすると、買い物で疲れ果てた母はソファに転がりながら、僕にさまざまな指示を出してきた。

窓を閉めて、カーテン閉めて。
テレビのリモコン、取って。
薬の袋、キッチンから持ってきて。
お茶のペットボトル、冷蔵庫から持ってきて。

もうしばらくは、ソファから動かないつもりのようだ。

心臓の大手術をして、傷口は3ヶ月ほどは痛むらしい。まぁしばらくは、退院後の生活を満喫しとくれ。

以上、親孝行息子より。

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