
毛に命を燃やしすぎている【体毛】
私たちは毛に命を燃やしすぎていると思う。この間つい出来心で計算したら、生涯2000万円も体毛に費やしそうと知り、目がポーンとおっこちそうになった。家が建てられる。
私が毛に執着しすぎているようだ。それでも一般的な生涯コストは400万から700万だそう。それでも高い。車が買えてしまう。
どうして毛というものは、生えて欲しいところに生えず、生えないで欲しいところに生えてくるのだろう。そんな決して思い通りにならない毛を、必死に制圧しようとする私は、馬鹿みたいだ。
まつ毛は長く、ふわりと上がっていて欲しい。月6000円である。眉毛はアートメイクがしたい。毎朝ペンシルをくりくりと捻り出して、毛を描く時間が好きになれないのだ。
脱毛、育毛、パーマに顔料で書き足す行為、明らかに毛に執着しすぎであるようにも思えるが、他の生物と比べてみるとそうでもない気がしてきた。
例えばライオン。オスライオンはタテガミの立派さで、ずいぶん生が変わりそうだ。タテガミでメスライオンからアリかナシかが瞬時に下さられる。
群れのボスになれば、より立派なタテガミになるよう、メスライオンから舌を使って汚れやダニのケアをしてもらうと聞いた。タテガミが目立つから、狩はメスライオン任せである。しかも美味しい栄養価の高いところはオスライオンが食べるのだ。
群れを守るという大きな仕事があるから、都合はわかるけれど、やはりタテガミは大事なのだ。
猫科の動物も、起きてる時間の半分ぐらい、毛繕いに充てるらしい。臭いを消して狩りをしたり、愛情表現の一環らしいけれど、はやり毛に割くエネルギーや執着にただならぬものを感じる。
平安時代の貴族だって、黒くて長い髪がステータスで、180cmを越える髪をケアするため膨大なお金と時間を割いていたのだと本で読んだ。米のとぎ汁で洗ったり、乾かしたりするのに丸二日。髪にお香の香りを染み込ませる薫香。
江戸時代はプロに頼んで髪結してたし、セットを崩さないよう箱枕を使った。どの時代でもお金がないかかるし、髪や毛が与える影響力は大きいみたいだ。
そんなことを考えていると、毛に2000万円はちっとも変なことではなく、むしろ仕方がないような気さえしてくるのだった。