メインコンテンツへスキップ
見出し画像

『自分自身をプロダクトマネジメントせよ』―ラクス流PdM再育成のリアル

    こんにちは、株式会社ラクスでプロダクト部 部長をしている稲垣です。

    本記事は「プロダクトマネージャー Advent Calendar 2025」17日目の記事として書いています。

    2025年12月4日(木)に当社ラクスの紀井が登壇し、
    『AI時代の「ジュニア不要論」に異議あり!未経験から戦力PdMを生み出すOJT戦略とは?』

    というテーマで「PdM育成」について登壇しました。

    そこで私も、現在、直下で1名のPdMを「再育成」していることもあり、
    ラクスにおけるPdM育成のリアルを少しフィクションを交えつつお伝えします。


    ■ はじめに

    メンバー概要

    • 年齢:20代後半

    • PdM歴:約3年(ラクス入社前)

      • 経歴:
         新卒で大手IT企業のPdMとして入社。学生時代はベンチャーでエンジニアとして3年以上アルバイト経験。インバウンド向けのトラベル系プロダクトを担当。

    ラクスのプロダクトマネージャーの選考プロセス

    1. 書類選考

    2. カジュアル面談

      • 稲垣が15〜20分ほど会社と業務内容の説明

      • 選考要素なし。その場で辞退してもOK

    3. 一次面接(オンライン)

      • 稲垣とリーダーPdMで実施

    4. 最終面接(対面)

      • 部長が担当

    このメンバーの採用時点での評価は以下です。

     採用時点の評価

    • 新卒PdMとして3年で一定成果を出していた

    • ビジネス側・エンジニア側双方と連携経験あり

    • 担当していた業務内容の整理・意義を高い解像度で説明できた
       (※言語化は今後の課題として認識)

    • 行動力が非常に高く、インタビューでも多くのエピソードあり

    • ラクスの開発組織が大事にする顧客志向で業務をしていた

    複数のSaaS企業と比較した結果、
    「サービスの成長性」「PdM組織の成熟度」「Biz/Dev バランス」
    の3点を理由にラクスを選んでくれました。


    ■ 入社後 → 再育成に至るまで

    • 2024年夏:入社(1か月オンボーディング)

    • 2024年夏:「楽楽明細」でPdM業務開始(当時は担当PdM 1名+本人)

    • 2025年冬:軽微な案件を担当開始。ステークホルダーとのコミュニケーション齟齬が発生
       → 一部クレームもあり役割を縮小

    • 2025年春:リーダー判断で「一度プロダクト担当を外す」決定
       → 再育成フェーズへ移行

    • 2025年秋:チーム規模拡大により、再育成担当者を私に変更

    ラクスでは入社後1〜2ヶ月をオンボーディング期間としています。
    入社半年以内に大きな成果を求めることはありません。
    特に入社1ヶ月目は 「会社の理解」「製品解像度の習得」に集中してもらいます。


    ■ オンボーディングについて

    ラクスでは「新入社員受入チェックシート(約50項目)」を進めてもらいます。

    バディ体制

    • メインバディ:最初の業務フォローを担当

    • サブバディ:メイン不在時の相談先

    また、1ヶ月間はマネージャーと週1〜2回の1on1を実施し、初期の6ヶ月目標もリーダー・メインバディで設定。

    早期に「製品解像度」を上げる環境を整えます。

    画像

    1〜2週目からはチャットや各種MTGにも参加し、 実務の情報もキャッチアップしてもらいます。多くのPdMは1ヶ月後半で 「そろそろ案件を担当したい」と意欲を見せる方が多いため、そこから軽微な案件をアサインする流れが一般的です。

    今回のメンバーも同様でした。


    ■ PdM担当後に起きた課題

    担当後2〜3ヶ月は特に問題ありませんでしたが、3ヶ月目以降から以下のような課題が顕在化しました。

    • 案件PRDの質

    • 課題の解像度が粗い

    • ステークホルダーとの認識齟齬が複数回発生

    振り返ると、主因は以下の 「アサインミス」 だと判断しています。

    • それまでとは次元の違う難易度の案件を担当させてしまった

    • その案件は、メインバディが担当しても難しかったレベルの内容だった

    PdMはステークホルダーとの信頼が生命線です。ここで信頼が揺らぐと、その後の業務が非常に進めづらくなります。そのため、本案件から外し、完全に再育成に入る決断をしました。

    再育成を選んだ理由は以下です。

    • これまでの経験は「デリバリー寄り」で、「ディスカバリー」が弱かった

    • 担当プロダクトは今後も高難易度案件が発生し続ける(OJTでは限界がある)


    ■ 再育成の進め方

    ラクスでは、若手エンジニアをPdMへキャリアチェンジさせる際に
    育成カリキュラムを作成しました。 今回はそれをベースに進めています。

    カリキュラム概要

    1.課題図書 → レポート作成 → メンターと議論

    ■課題図書

    『ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」』

    ■レポート内容

    • 書籍を読んで印象に残ったことや気づき

    • 自分ができている/できていない部分の整理

    • これまでの実務事例との紐付け
      ※フォーマット自由

    2.社内e-learning受講

    • ロジカルシンキング

    • ラクスの事業理解

    ラクスには豊富なe-learningコンテンツがあり、必須なものもあればそうでないものもあります。その中で、ピックアップしたものを受講してもらっています

    3.「自分のイシューは何か?」ワーク

    これは難易度が高く、平均して4〜5回のレビュー・議論を行います。 今回は当初リーダーがメンターとして実施しておりましたが、リソース逼迫により途中から私が直接担当しました。


    ■ 「自分のイシュー」課題の狙い


    狙いは以下の4点です。

    1. ディスカバリーには「なぜ?」を問う力が重要

    2. 多くの課題を見つけても「イシュー」を特定しないことにはディスカバリーできたとは言えない

    3. 自分自身を対象にするため、他者への迷惑がかかりにくい

    4. 成長の鍵である「メタ認知」を強化できる

    育成側・育成される側双方に「評価基準」を最初から提示しています。
     ※育成される側に徐々に開示している

    チェックポイント(育成側)

    • 本人なりの「あるべき姿」が定義されている

      • 単なる現状改善ではなく、自分の頭で考えた言語化になっている

    • 「現状」と「あるべき姿」のギャップが構造化され、MECEになっている

      • 課題と問題が区別できている

      • 一次情報を元に事実と解釈を分離できている

    • 最終的なイシューが以下を満たす

      • 本質的な選択肢である(解決すれば価値が出る)

      • 答えを出せる(解決策を示せる)

    • イシューまでの流れがストーリーとして一貫している

    ここまで読んでお気づきの方もいると思いますが、 これはそのまま 「プロダクトマネジメント」 です。
    つまり、

    「自分自身」をプロダクトと見立てて、プロダクトマネジメントしてもらう

    というのが本課題の本質です。


    ■ 次の育成課題へ

    このメンバーは10月に本課題をクリアしました。業務と並行しながら 約3ヶ月で完了 した点は素晴らしい進捗だと思います。

    次に取り組んでもらっているのは——

    「PdM・デザイナーの業務をプロダクトマネジメントせよ」

    具体的には、
    PdM/デザイナー業務の中から課題を発見し、それを解決することでチームに貢献する
    というテーマです。

    この課題の狙いは以下の3点です

    1. 「自分のイシュー」より範囲が広くなり、難易度が格段に上がる

    2. 成功すればチーム貢献となり、関係者からの信頼を獲得できる

    3. チーム内でバラバラに取り組んでいたAI活用・生産性改善の棚卸しができる

    私が育成を直接見ているため、難易度調整も可能で、成功確率を高められます。再育成を担当してまだ2ヶ月ほどですが、今の課題を確実にクリアし、
    2026年4月からは高いレベルで実案件に戻ってほしいなと思っています。


     最後に

    採用・オンボーディング・育成について紹介しましたが、ラクスは「人への投資」を非常に大切にしています。

    紀井のpmconf2025の登壇内容を詳しくnoteしてますので、こちもセットにご覧頂ければと思います。

    本記事を読んでラクスのプロダクト部に興味を持ってくださった
    デザイナー / PdM の方は、ぜひカジュアル面談からご応募ください。

    ※PdMのカジュアル面談は、基本的に私(稲垣)が担当します!


    この記事を書く機会をくださった 「プロダクトマネージャー Advent Calendar 2025」(pmconf) に、心から感謝いたします。(来年こそは自分も公募登壇できるように精進します)


    ●採用情報



     
     
    株式会社ラクス 開発本部 第一開発統括部 プロダクト部 部長 エンジニアバックボーンで幅広く「マネジメント」が付く役割を経験 今はPM・デザイン両組織のマネージャー 詳細はこちら https://youtrust.jp/users/ingktks

    あなたへのおすすめ