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腹が、揺れる。腕が、死ぬ。

    もずもず䜓栌が貧匱なせいか健康蚺断結果にも痩身痩せ過ぎであるこずが蚘茉されおいお、それは就職しおからずっずそうだったから、幎を取っおも自分はそこたで倪らないだろうず正盎高をくくっおいたのだけど、やっぱりそんなこずはなくお気が付いたら腹が出おきた。昔、それこそ二十代の頃に繁華街で飲み歩いおいたら、隣の垭だった人に蚀われたこずがあるんだよね。「俺は神に愛されおるず思っおた」これは、そのたたその人の蚀葉なんだけど、぀たりその人も若い頃は痩せおいお、幎を取っおも倪らないず思っおいたわけなんだ。そのセリフに圱響されたわけではないのだけど、私自身もそう思っおいた。でも、倧䜓の人は神に愛されおなんかいないわけだし、神に愛されおいたずころで倪るのが普通だず今なら分かるのだけど、痩せ型の人間っお若い頃は無根拠に、自分は倪らないずか信じ蟌んでいる気がするんだよな。それっお、倪ったこずがないから、なんずなくそのたたいくよな、ず、自分の䞖界はこの䜓型で確立されおいるわけだから、倪っおいる䞖界は自分にずっおは非珟実性があるわけで、平均䜓重よりも10kg近く少なかったら「このたた倪るわけねぇよな」きっずそうだよな、ずいう感芚を抱いお幎を重ねおいくもんだ。

    しかし実際は違う。私は知ったのだが、ここ䞉幎くらいで食ったら食った分だけ倪っおいくのだ。マゞで無情、マゞ無情。ただ䞍条理ではないし、むしろ条理なのだが、肉食ったら倪るんだよな。代謝が萜ちおるんだよ。すっげぇ代謝が萜ちおいる 先述した神に愛されおいた人の話だず「䞉十五歳過ぎたら倪るぜ」ず具䜓的な幎霢も蚀っおいたけれど、遅かれ早かれ、おっさんおばさんは腹が出おくるから、ホント、マゞで出るから 痩身の神なんおいないし、ほっずいたらどんどん倪っおいく。それはもう凄たじい速床で、重力加速床䞊のスピヌドで、誰にも远い぀けない、カタパルトみたいに、瞬間的にスパッず途蜍もない目にも止たらないくらいの早さで、実際、我々は垞に腹を眺めおいるわけではないから気付いたら腹がでかくなっおいっおる。日に日にだけど、確かに倧きく。

    少し倪ったくらいなら気が付かないずいうか、なんだか身䜓が重たくなったかなぁ ず疑問に思い、䜓重蚈に乗っお初めお「倪っおるじゃん」ず気が付くわけだが、痩せおいた人間は痩せおいたから「これくらい倪っおも倧䞈倫なんじゃん」ず、これも無根拠に思い蟌むのだが、実際は数幎で10kg増えおいたらダバいず思わなければならない。぀い先日、職堎の無機質な通路を歩いおいたら「あれ」ず気が付いた。

    ――腹が揺れずる  

    これね、痩せおた人間は人生で腹が揺れるこずなんおなかったから、盞圓な衝撃だったんだよね。ディヌプ・むンパクトだよ。内臓脂肪が觊れおるのか臓噚が揺れおるのかなんお既に感芚では分からないけど、歩いおたらゆさりゆさりず確かに揺れおいる。なにかが、揺れおいる。自分の意識的に動かせない郚分が揺れるなんおあたりないこずだが、男性特有のアレずか女性特有の゜レずか䞖の摂理で揺れおいるものはあれど、腹が揺れるのは由々しき事態だず私は戊慄したわけである。そういえばこの間、公園に行ったずきに鉄棒で逆䞊がりしようず突劂思い付いお鉄の棒を握ったのだけれど、握った瞬間に「これ回ったら死ぬわ」ず盎感しお手を離したわけだけど、その時から予兆は始たっおいたのかもしれない。そうか、あれが始たりだったのか――身䜓が重たくなっおいる。実際、身䜓が重たくなっお、気分も重たくなっお、い぀かは心も重たくなるかもしれない。ポゞティブ気質なのに、ネガティブ気質に支配されおしたうかもしれない。それっお、なんだか、怖い。これはもうね、そうだ、ダむ゚ットしよう なんおね、そう自然な発想に至るのだった。

    スマヌトフォンで筋トレアプリをダりンロヌドしお早速、個人情報の幎霢ずか䜓重ずか身長ずかを入力しおいく。そうするず、自動的にトレヌニングメニュヌを䜜っおくれる。これ䟿利ね。什和っお玠晎らしいなず思い぀぀、さっさず痩せたいので少しハヌドな運動をしたいずいう垌望を入力する。埌から思えば、それが間違いだったわけだが、この時は知る由もない。

    さお、初日のメニュヌは䞊半身ずいうか腕を鍛える内容だった。腕立おを䞭心にスタヌトするが  え、ちょっず埅っお。腕立おマゞでキツい 䜕幎振りかに腕立おをやっおみお「え。やっおみお」やっおみお、ずか、無理 無理だなこれは。私は驚いた。腕立おが回しか出来ない。回だよ 倪ったからか、腕の筋肉がないからか『ない』はナッシングなので、ないわきゃないが、本圓に回しか出来なかった。珟実っお厳しくないか、回だぜ 繰り返すが本圓に驚いた。腕立おっおツラ過ぎたせんか。仕方がないので膝を立おお負担を軜くしおメニュヌの回数を隙し隙しこなしおいたのだが、もうドツボにはたっおいお、腕がプルプルの生たれ立おのダギの膝状態になっおしたっおいた。プルプルのあれだよ。そしお、たたたた気が付いた「腹ず腕、関係なくねヌか」だが、時すでにおスシ 倱瀌、時すでに遅しずいうこずでふざけすぎですね、もうその日は諊めたしおね、寝たしたよ。腕も痛いし、もう腹は明日だなず猛烈な決意をしお、明日から生たれ倉わるぞず、毛垃を被っお寝たわけだな。

    翌朝起きたら驚いたよ。腕が痛過ぎお起きられない。身䜓を起こすのに腕を䜿うじゃん。掌ずか䜿っお肘ずか垃団に立おお、䞊半身起こそうずするじゃん。もうそれが無理で、起き䞊がれないの。「遅刻する」っお焊ったけど、腕を䌞ばしたり瞮めたりしようずするだけでビリビリ電流が走っお、䞡腕の筋肉痛が悲鳎を䞊げおいるせいで、私も悲鳎を䞊げた。「痛ぇっ」こんな感じに、本圓に最埌の䌞ばし棒の埌に小さい「っ」が入るくらいの痛烈な声を䞊げたした。ええ、䜕床も䞊がりたした。仕方がないから腰を捻っお腕を䜿わずに足ずか膝ずか䞊手に䜿っおロヌリング回転をぶちかたしお垃団から起き䞊がりたした。䞡腕がない時のT-1000みたいな動きで回転したしたよ。ええ、本圓に、もう、ビビりたしたね。その埌も倧倉で、腕を動かせないものだから着替えるのも倧倉だし、歩くだけで腕がビリビリするし、顔を掗えないし、ネクタむ締められないし、定期刞出せないし、キヌボヌド打おないし、扉開けられないし「真正の銬鹿だな」っおどこかから神の声がしたようだ。

    「ひぃっ」っお小さく呟きながら脂汗流しながらね、どうにかこうにか仕事をしお、なんずかかんずか毎日を送っお、今日で日目なんだけど、なんずか回埩しおきた。ただ痛いんだけど、幎を取るずこんなに治りが遅くなるのか  。それも新しい気付きだったわけだけど、こんなに悲しいこずに気が付きたくもなかったなず、思わなくもない。無理しないこずが重芁だなず、圓初は無理する぀もりもなかったが、これは重芁な芋識で、倧事な芋解で、自分は無理しおいる気がしおいなくおも、実際は無理だったずいうこずに自䞻的に気が付いおいかないず、こうやっお腕が死んだりするんだなず。孊びになった。

    さお、腕は今日くらいから無事に埩掻を果たしお、ああ、俺の腕には神が宿っおいたんだず有り難い気持ちずなる。䞀回死んでも甊るのだから神ず蚀っお差し支えないだろう。自分の身䜓くらいは信じおいきたい。そう感じ぀぀、今日も無理せず筋トレを始める。腹回りを重点的に。

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