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Ilaw Lilim⑭<無月>

    静かな夜がどうしようもなく寂しいときってない?
    繁華街ならずっと明るいのに、住宅街は眠ってしまうの。
    街灯やマンションの廊下の照明とかで、地上はけっこう明るかったりするんだけどね。

    ……実家は田舎だから、夜は本当に真っ暗になるんだよ。

    でもね。
    地上が暗いと、星がよく見えるんだ。
    空のほうが明るく見える。

    繁華街の明るさも、田舎の明るさも好き。
    人工的なのも自然なのも、光ってればキレイだなって思うもん。

    でもさー。夜の住宅街はなんか寂しい。
    ほどほどに明るくて真っ暗なわけじゃないけど、なーんか寂しいよね。

    わかってるんだけど。
    住宅街が寂しいのは、居場所がないからだって。

    みんな自分の家に帰って、部屋の灯りをつけて夜の時間を過ごすでしょ。
    で、夜が更けたら、灯りを消して眠りにつく。

    それを外から眺めてるのって、なんか居場所がない感じで寂しくない?

    ……まぁ、わたしなんだけど。

    今日は曇り空だから、余計に寂しい気持ちになるんだと思うんだー。
    星も月も見えないし。

    そうだ、この空に月でも描いてみよっかな。
    アプリって便利だよね。なんでも捏造できるじゃん。

    まっ黄色だと嘘っぽいから、ちょっと白っぽい色でまるを描いたら月っぽく見えるでしょ。

    ねぇ待って、なんか丸くならないんだけど。
    なんか、にじんだみたいな月になる。なんでー。

    え、違うよ。

    泣くわけないじゃん。こんなことで。
    ひとりなのはいつものことだし、いまさら涙なんて出ないよ。


    ……曇りだから。

    雲に反射して、にじんだように見えるだけだから。

    わたしの視界じゃなく、アプリの性能でぼやけてんだよ。


     
     
    文章と写真、タイトルと筆文字。 ふたりがそれぞれ異なる表現を持ち寄り、ひとつの作品を紡いでいます。 文章が描く情景に、もうひとりが見つけた主題をタイトルとして添えることもあれば、筆文字から物語が広がることも。 ひとつの作品を、ふたつの視点で完成させています。

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