
嵐が過ぎて、虹が出て、青空になった朝
息子が生まれたのは、10月9日である。
前夜から「秋の嵐」とでも言おうか、ものすごい雨と風だった。
産気づいた私を、深夜にも関わらず実家の母が車で産院まで運んでくれた。
それから5時間くらい経って、無事に産声を上げた息子。
私は意識朦朧としていたから知らなかったのだが、付き添ってくれていた母から教えてもらったことには
「朝ね、虹が出ていたのよ」
そして、さらに一言。
「この子は虹の子ね」
そうなんだ。
残念ながらその虹はすでに消え失せていて
代わりに、秋らしい抜けるような青空が、病室の窓から広がっていて
それを見て、あらためて実感した。
私、お母さんになったんだ。
あれから30年以上の月日が経った。
「虹の子」と母に言ってもらったような、全てが順風満帆なことばかりじゃない息子だけれど、それでも今は幸せに暮らしている。
嵐が過ぎて、虹が出て、青空になる。
たった一晩のうちに、これだけの変化を見せてくれた、
それからの、母である私と息子の人生をまるで凝縮しているかの如く。
あの朝の、あの空。
もしかしたら私がこれまで生きてきた中でも、最上の空だったかもしれない。