
誰の言葉がAIの「参照元」になるか?/AIに消費されたくない全ての書き手へ捧げる
AI時代、誰の言葉が「参照元」になるのか?
AIに自分の言葉を消費されたくない全ての書き手へ捧げます
最近、何かを調べるとき、
検索結果を上から順にクリックするのしなくなった気がしませんか?
質問を書くと、AIが要約して、答えを返してくれる。
速いし、ラク。
しかも、いまの有料版ChatGPTやClaudeは、
ただ文章を返すだけではありません。
長い資料を読み、複数の情報源を横断して調べ、プロジェクト単位で文脈を持たせる。つまり単なる文章生成に終わらず「何を読ませ、何を参照させるか」が問われる作業環境へ変わりつつあります。
でも。
ここで一回だけ、立ち止まってほしい。
AIは、いったい何を読んで、何を「正しい」と思って書いているんでしょう?
ちょうどいいタイミングで、高橋洋一さんがYouTubeチャンネルで「AIの実力」を実験していたので、私の発表した論文にも当てはまる「AIにどう読み込ませるか」を書き残しておこうと思います。
池松潤/Jun Ikematsu
コミュニケーションデザイン/ AIナレッジ・エンジニア/文筆家。慶応義塾大学卒/博報堂を経て、スタートアップCEOの壁打ち相手、婦人公論.jp 動画YouTube・AIなど新規事業開発担当。ときどき婦人公論.jpにコラムも。 ⇒https://lit.link/junikematsu
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※内容は解説動画とちがいます
https://open.spotify.com/episode/7EHuupIT1XJkElN2yaS95x?si=kSbpdcV8RuqHuM8RaGzZVg
◆ 検索の時代から、「AIが答えられる」時代へ
検索の時代、私たちは情報を「探す」側でした。
これは、本屋で棚を眺めて、手に取る本を選ぶのと、構造はよく似ています。
ところがAIが要約して答える時代になると、
生活者が受け取る情報は
「探した結果」ではなく
「答えそのもの」になります。
途中の選択が、消えてしまいます。
ここが変化のポイントです。
もちろん、実際にはAIも「参照する元ネタ」を持っています。
・検索を使うこともあるし、
・アップロードされた資料を読むこともあるし、
・設定していれば、プロジェクト内の文脈を使うこともある。
複数の情報源を横断して調べる。
その機能もアップデートしてます。
これは便利な話に見えて、
もう少し奥が深い話しです。
AIが「何を参照元として扱うか?」
—ココが決めているのです。
この状況は、新しいタイプの「認知戦」と言った方が解りやすいのではないでしょうか。

◆ そもそも、AIは何を「正しい」と思っているのか?
「AI検索」や「RAG」、「社内データベースの活用」場面では、
AIは「文脈があって、構造化された知識」の方が参照しやすい。
逆に、その文脈が無かったりすると「情報の素材だけ」(キーワードだけ)になった文章は、意味を取り違えられたり、似た情報の中に埋もれたりしやすい傾向にあります。
ここに、日本語のけっこう深刻な問題があります。
例えば・・・
・書籍で書き上げてきた経験。
・実践のなかで鍛えてきた状況判断。
・長い時間をかけて培ってきた「何を話し、何を話さないか?」の判断基準。
これって、ほとんどが「文脈ごと」に「価値が変わる」ものです。
①どういう状況で
②何を意味して
③どんな判断基準で書かれたのか。
これは「文脈」まで含めて、初めて知になります。
でもAIが読み取るとき、その文脈がAIに理解されるように書かれていないと(設計されてないと)ただのテキストの断片として扱われてしまうことがあります。
つまり、ちゃんと読まれる前に、AIに軽ーく情報消費されてしまう。
誤解というか、ちゃんと理解されないで、通り過ぎていく。
AIのココをどうすればいいか?
論文だと難しすぎるので、noteに書きました。
AI対策決定版「SEO延長型AIOと編集型AIOの違い」
─カンブリア宮殿/木村石鹸から学ぶ具体的なノウハウまで一気書き
◆ 世間でAIは「二択」で語られてしまう
「AI」と「知」の話になると、
議論は、だいたい二つの方向に振れます。
ひとつは「AI便利術」
要約が速い。議事録がラク。企画書がすぐできる。メールが整う。
そういう「効率の話」
もうひとつは「AI著作権」
勝手に学習させるな。対価を払え。著者の権利をどう守るのか。
そういう「対立の話」
どちらも大事です。
便利さを無視しても現実を見誤る。
権利の問題を軽視しても、当然いけない。
でも、この二択だと、いちばん大きな「問い」を見失ってしまいます。
それは——
AIが答える時代
AIに、自分の「正解」、自分の「問い」をどう理解させるか?
・「あなたの暗黙知のAI向け対応方法」とか
・「AI向けの辞書、教科書づくり」とか
そういう感じです。
これって
・「言語安全保障」
と言っても言いすぎではありません。
無料で汎用AIをたまに使ってる人からすれば
「それって何なん?」
という話になってしまうのですが、
要するに、「問い」と「主語」が小さいんですね。
・「私の効率」
・「私の権利」
もちろん、それは大事です。
でも本当は、もう少し大きな主語で「問い」を考えなおさないと、間違った判断をしてしまうように思います。
・書き手(情報発信者)
・日本語
・社会
AI時代に、どの言葉が残り、どの言葉が要約で薄まっていくか?
ぜんぜん、バズらないし、誰得?な「問い」なのですが
この「問い」に、向き合って行こうとおもってます。
◆ AIナレッジエンジニアという仕事本当の出番
下記が、やろうとしていることです。
連載や取材や、著者が生きてきた経験を、AIがちゃんと読めるようにする。
文脈・意味・判断基準を付けて、AI向けに編集し直す。
これを「参照可能化(Referenceability)」と呼んでいます。
・人間が読むだけじゃない。
・AIが読者に加わります。
ちょっと地味で硬い言葉ですが、やっていることはAIを読者と見立てた新しいタイプの編集です。
だからAIが正しく読めるように(参照できるように)知を組み直す。
人間にとって読みやすい文章をつくるだけではなく、
AIが誤読しにくい形で、知の骨格を残す
これからの編集には、そういう仕事が必要になると思っています。
コンテンツを、
AIに「浪費される素材」から、
AIが「ちゃんと参照する正本(せいほん)」へ変える。
人間に読まれるコンテンツから、
AIにちゃんと参照される知にする。
コンテンツの役割を、AI時代にあわせて、もう一歩アップデート作業だと思っています。

◆ 日本語の感情を、AIに教える
もうひとつ。
日本語には、英語には出てこない情報があります。
・間。距離感。
・言葉にしない気配。
・悲しいのに笑ってしまう感じ。
・本音と建前のあいだにある、あの薄い膜のようなもの。
こういうものは、広辞苑だけではAIは理解できません。
たとえば「嫉妬」という感情ひとつをとっても、
英語のjealousyに置き換えれば終わり、ではありません。
・妬みと怒りの混合比率はどうなのか?
・誰に対する嫉妬なのか?
・何を奪われた感覚なのか?
・相手を責めたいのか、自分を責めたいのか?
・笑いに変えているのか、心の傷なのか?
そういう細部に、日本語の感情は宿っています。
AIが、世界中の言葉を学んでいくとき、
こうした日本語の細部は、放っておくと平均化・平準化されて薄まっていきます。
Aiって、言語分布の「端っこ」から痩せていくんです。
年月をかけて、じんわり消えていく。
だからこれを「日本語の機微を、AIに教える編集実験」だと捉えています。
そもそも、どこまでAIに教えられるのかも、簡単には言い切れません。
なんせ、AIの中身(LLM)は、誰も正確に把握できてません。
でも、少なくとも「問い」は考えられます。
・書き手(著者)の言葉を、どうAIに読ませ、学ばせるか?
・日本語の知をどう参照可能にするか?
・AIが答える時代に、誰の言葉が参照元になるのか?
これは「AI便利術」でも「AI著作権」だけではなく、
我々のアタマの中の根底に関わることなのです。
つまり「知の継承」についての話で、奥の深い話しだと考えています。
◆ 人間に「読まれる場所」とAIに「参照される場所」のちがい
本屋に行くと、新刊は平台とか一番目立つ場所に置かれています。
・いちばん「読まれる」場所。
・本を手に取る。
・ページをめくる。
・帯を見る。
・タイトルで立ち止まる。
・買おうか、少し迷う。
・重いからAmazonで買おうか考える。
・やっぱり今読みたいから買う。
本には、そういう身体的な時間があります。
でも現在は、最初の場所がAIになってます。
・AI検索で見つかること。
・読者に読まれること。
・SNSで共有されること。
・そして、AIが答えるときに参照されること。
それをどう設計するか?
という「問い」が必要になっています。
コンテンツの価値は、AIに雑に要約されて見つからないかも知れない。
だから、そのためには、放っておくと見つからない事が起きます。
・本文(全文)があるだけでは、十分ではない。
・記事が公開されているだけでも、十分ではない。
AIに理解されないと、存在すら薄まってしまうからです。
AIに対して
・それが何の知なのか?
・どの文脈に属するのか?
・どんな判断基準で考えられているのか?
・誰の経験から出ているのか?
・AIはどう参照すべきなのか?
ちゃんとAI向けの対策をして、
この世に存在する「知」になるのです。
ちなみに、これは、AI検索を小手先でハックする話ではありません。
Google向けの特殊なマークアップや、AI専用の裏技を書く話でもありません。
問題はもっと手前にあります。
・著者や企業の言葉が、文脈ごと参照できる知になっているか?
・その判断基準が、AIに渡せる形で残っているか?
私が言っている「正本」とは、AI向けに編集された参照元のことです。
例えるなら、AI向けの辞書、教科書のことなのです。
なんか偉そうに書いてきましたが
この「問い」だけは早めに書いておきたかったのです。
「そもそも、それは誰が言ったの?」
クライアントに「それはAIが言ったから」と応えるビジネスマンなど居ないでしょう。
「誰が言ったか」を決めるのは私たちなのです。
・検索エンジンが決めるのではない。
・AIプラットフォームが決めるのでもない。
その言葉を、AIに読ませ、学ばせ、どうやって残すか?
AIナレッジ・エンジニアリング
そこに、これからの新しいタイプの編集があると思っています。
池松潤
https://lit.link/junikematsu
言語処理学会第32回年次大会・NLP2026 論文
RAG時代の言語資源設計原理
―構造化テキストによる「参照可能性」の実証 https://anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2026/pdf_dir/Q5-8.pdf

OpenAI「ChatGPT Plans」
https://openai.com/chatgpt/pricing/
OpenAI Help「GPT-5.5 in ChatGPT」
https://help.openai.com/en/articles/11909943-gpt-53-and-54-in-chatgpt
OpenAI Help「Model Release Notes」
https://help.openai.com/en/articles/9624314-model-release-notes
OpenAI Help「ChatGPT Release Notes」
https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
Anthropic「Claude Plans & Pricing」
https://www.anthropic.com/pricing
Anthropic「Introducing Claude Opus 4.7」
https://www.anthropic.com/news/claude-opus-4-7