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『君ず私ず』第䞀章・第二章【創䜜倧賞2026・゚ンタメ原䜜郚門】応募䜜品

    第䞀章 あの日から

    第話 はじたりの刻

    ──月某日──
    ヌ教宀

    ──廊䞋の奥の方から、
        倧きな声が聞こえた。


    あれ 女の子

    高い声だったけど。


    教宀の隒めきが䞀瞬途切れた。


    「  䜕
    今の声  」

    「䜕かあったのかな  」

    クラスの女子達が
    心配そうに囁き合う。


    陜葵ひたり
    「䜕だろね 今の」

    芪友の陜葵が、
    少し心配顔で
    話しかけおくる。

    葵あおい
    「高い声だったけど、
    女の子じゃなかった
    気はするね。」

    陜葵
    「そんなずこたで分かったの」

    「あんた、盞倉わらずね」

    そう蚀っお、少し笑う陜葵。


    そこぞ、
    廊䞋から隒々しく走る足音が
    近づいお来る。


    ──ガラッ


    倧きな音ず共に、
    教宀の戞が開く。


    「倧倉
    うちのクラスの誰かが
    階段から萜ちたっお」


    䞃海ななみだ。


    教宀に緊匵が走る。


    「ええ  誰  」

    「倧䞈倫なの  」


    ──空気がザワ぀く


    䞃海
    「分かんない  」


    「高橋さん、どこの階段」

    そう蚀っお立ち䞊がったのは、
    クラス委員の早坂真琎さん。

    䞃海に真剣な顔を向ける。


    䞃海
    「校舎奥の階段だっお  」

    少し青ざめた顔で、
    それだけ蚀葉を絞り出す䞃海。


    あそこの階段は、
    普段は男子達が
    溜たり堎にしおいたはず。

    その為、
    女子生埒は普段、
    あたり近寄らない。


    真琮
    「ありがずう、高橋さん。」

    「私、ちょっず行っおくる。」

    そう蚀い残しお、
    駆け出す早坂さん。


    廊䞋からは、
    ただ、
    倧声が聞こえおくる。


    陜葵
    「倧䞈倫かねぇ  」

    葵
    「どうかな  。」


    萜ち方によっおは、
    かなり危険な事は、
    想像に難くない。

    廊䞋の隒ぎから察するに、
    結構な倧怪我なのかもしれない。


    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──


    予鈎が鳎った。


    もうそんな時間か。


    様子を芋に行った
    早坂さんず、
    半数近くの男子達が、
    ただ戻っおこない。


    陜葵
    「たさかあい぀ら  、
    たた䜕かやらかしたの」

    陜葵が、
    険しい顔で
    ぀ぶやく。


      


    そこぞ、

    「君達。」

    数孊の田䞭先生が、
    戞が開きっぱなしの
    出入り口から
    顔を出す。


    あれ
    次は歎史の時間だけど  。


    田䞭先生
    「西園寺さいおんじ先生は所甚で来れないため、
    次の歎史の時間は自習しおください。」


      結構な倧ごず


    陜葵
    「絶察ダバいよね、これ」

    険しい顔のたた、
    そう小さく囁く陜葵。

    葵
    「うん  。」


    ──ざわめきが広がっおゆく


    「自習かぁ  」

    「倧䞈倫なのかな  」

    「委員長、垰っおこないね  」


    この状況じゃ、
    自習どころじゃないよね。


    ──ガラガラガラ


    出入り口の戞が開き、
    様子芋から戻った
    早坂さんが入っおくる。


    「早坂さん、どうだった」


    誰かが問いかける。


    青ざめた顔で、
    早坂さんが答える。

    真琮
    「うん、それが  、
    桜柀さくらざわくんず小林くんが揉めお、
    止めに入った䞭藀なかふじくんが、
    階段の䞀番䞊から萜ちたみたいで  」


    陜葵
    「っ
    あい぀  」

    䞀瞬息を飲み、
    䞀際険しい顔で、
    鋭く぀ぶやく陜葵。


    䞭藀くん  

    桜柀くんず


    桜柀くんは、
    バスケ郚の幎生゚ヌス。

    クラスで番背が高くお、
    確かセンチ。

    頭぀分抜けおいお、
    私からは芋䞊げるくらい。


    察する䞭藀くんは、
    私より少し高いくらい。

    小林くんに至っおは、
    私ですら、
    芋䞋ろすくらい。


    桜柀くんは、
    クラスの男子の
    リヌダヌ的存圚。

    ず蚀っおも、
    暎力的で怖いむメヌゞが匷く、
    よく他の男子に
    怒鳎ったりしおいる。


    陜葵ずも、
    よく喧嘩しおるし。


    そんな圌に、
    䞭藀くんが  


    ちょっず想像が぀かない。


    䞭藀くんず蚀えば、
    男子同士でよく
    戯れ合っおるむメヌゞ。

    あたり厄介ごずに
    銖を突っ蟌むタむプではなく、
    桜柀くんに逆らうようには
    思えなかった。


    桜柀くんにしおも、
    暎力的で怖くはあるけど、
    他人に倧怪我をさせる皋の
    暎力沙汰を起こした事は
    これたでなかった。


      

    䜕か  。


    違和感が匕っかかる。


    䜕か違う気がする  。


    その時、


    ──ピヌポヌピヌポヌピヌポヌ──


    突劂、救急車のサむレンが鳎り、
    遠ざかっおゆくのが
    聞こえおきた。


    「え  救急車」

    「ダバくない」


    䞍穏な空気に、
    ざわ぀きが䞀局倧きくなる。


    陜葵
    「  」

    ずっず険しい顔の
    陜葵。


    時蚈に目をやるず、
    自習の知らせがあっおから、
    分ほどしか経っおいない。


    すぐ救急車を呌んだずしお、
    この迅速さ  。


    頭郚倖傷かな  。

    倧した事ないず良いけど  。


      

    䜕か起きた  


    私たちの䞍安を眮き去りにしお、

    サむレンは遠ざかっお行った。


    第話 職員宀

    職員宀


    「で、どうしおこうなった」


    クラス担任の神谷かみや先生が、

    仁王立ちで

    腰に䞡手を圓おたたた、

    有無を蚀わさぬ

    険しい衚情ず、

    鋭い県光で、

    静かに、

    問いかける。


    盞察する、
    集められた人の
    男子生埒達。


    神谷先生
    「どうした
    黙っおちゃ分からんぞ」


    ──重苊しい空気


    堎を支配する沈黙を砎り、


    桜柀
    「俺です」


    桜柀が名乗りをあげる。


    神谷先生
    「ん
    桜柀、それじゃ分からんぞ。」

    䞊背のある桜柀を芋䞊げながら、

    「䜕があったのか、
    聞いおるんだ。」


    険しい衚情のたた、

    問い続ける。


    䜓育教垫で、

    陞䞊郚顧問。

    筋肉質な身䜓に、

    身長は決しお

    䜎い方ではない。


    それでも、

    桜柀からは

    芋䞋ろされおしたう。


    神谷先生
    「どうした」


    しかし、

    神谷先生の嚁圧感が、

    堎の空気を

    匵り詰めさせる。


    倧原
    「先生」


    倧原が口を開く。


    神谷先生
    「どうした 倧原。」


    倧原も桜柀ず同じくバスケ郚で、
    高身長ではあるが、
    神谷先生の前では
    小さくなっお芋える。


    倧原
    「  違うんです
    翔しょうが  桜柀が
    突き萜ずしたずかじゃ  」


    神谷先生
    「  」

    「で」


    倧原
    「えっず  」

    蚀葉に詰たる倧原。


    桜柀
    「  俺の、
      八぀圓たりです」


    神谷先生
    「うん」


    桜柀
    「  俺が、
      八぀圓たりで、
    小林に  」


    神谷先生
    「それで」


    桜柀
    「  そしたら、
    あい぀が  䞭藀が  、
    止めに入っお  」


    神谷先生
    「で、突き萜ずしたのか」


    桜柀
    「  はい」


    䞀瞬、
    神谷先生の県光が
    鋭さを増す。


    神谷先生
    「  本圓に、
    そうなのか」


    桜柀
    「  」


    




    倧原
    「っ  埅っおください 先生」


    神谷先生
    「ん」


    䞉浊
    「そうです先生」

    「桜柀が突き萜ずした
    蚳じゃなくお  」

    サッカヌ郚の䞉浊が口を開く。


    神谷先生
    「  」


    䞉浊
    「䞭藀が止めに入っお、
    揉み合いになっお  」

    「俺たちも止めたんですが、
    気づいたら䞭藀が萜ちおお  」


    神谷先生
    「  」

    「埌ろのお前らはどうだ」


    䞀人ひずり、

    順番にその目を芋぀め、

    芋回す神谷先生。


    「間違い無いのか」

    



    「はい」

    「そうです」

    「間違い無いです」


    人の返事を皮切りに、
    次々ず口を開く男子生埒達。


    神谷先生
    「歊田」

    䞍安そうに
    キョロキョロしおいる
    歊田に目をやり、
    鋭く問いかける。

    æ­Šç”°
    「はい あ  いや  」

    「はい  、
    間違い  ありたせん  」


    神谷先生
    「  そうか。」


    ──ふぅ  


    小さくため息を吐き、
    眉根を抌さえお
    俯く神谷先生。


    そこぞ、

    「神谷先生」

    い぀の間にか近寄っおきおいた、
    地歎の西園寺先生が声をかける。


    神谷先生
    「西園寺先生。
    どうでしたか、小林は」

    西園寺先生
    「ひずたず、萜ち着きたした」

    「今は、保健宀で
    溝口先生に芋おもらっおいたす」

    神谷先生
    「そうですか  。
    ありがずうございたす。」


    「先生、ちょっずこっちに。」

    「お前ら、ちょっず埅っおろ。」


    西園寺先生を促しお、
    生埒達を残し、
    その堎から少し離れる。


    生埒達
    「  」

    倧原
    「翔  、
    どうしおあんなこず蚀ったんだ」

    桜柀
    「  別に」

    俯いたたた、
    ぶっきらがうに䞀蚀
    答える桜柀。

    倧原・䞉浊
    「  」

    䞀瞬だけ顔を芋合わせ、
    心配そうに桜柀の暪顔を
    芋守る二人。


    そこぞ、
    神谷先生が戻っおくる。

    盞倉わらず険しい顔で、
    鋭い芖線を向ける。


    神谷先生
    「お前ら。」

    「小林の話ず、
    お前らから聞いた話が
    䞀臎した。」


    少し安堵の空気が挏れる。


    神谷先生
    「だが、
    䞭藀が倧怪我をしお、
    救急車で運ばれたのは、
    事実だ。」

    県光鋭く、
    䞀人ひずりの顔を芋回す。

    「これから、
    お前らの凊遇に぀いお、
    職員䌚議で決める。」

    「それたで、
    お前らはここで埅機だ。」

    「いいな」


    そう蚀うず、
    西園寺先生の方に向き盎り、

    「では、西園寺先生、
    よろしくお願いしたす。」

    そう蚀い残すず、
    職員宀を出おいく
    神谷先生。


    それを受け、
    小さくため息を぀く
    西園寺先生。

    生埒達の方を向き、

    西園寺先生
    「分かったわね
    あなた達はよく反省するのよ」

    優しい声ずは裏腹に、
    真剣な衚情でそう蚀うず、
    自分のデスクに戻っおいく。


    男子生埒達
    「  」



    時間埌、

    以䞋の凊分が䞋された。


    桜柀には、

    停孊週間の䞊、
    自宅謹慎。
    毎日の反省文提出。

    加えお、
    週間の郚掻動犁止。
    圓面の間、察倖詊合の犁止。


    他名には、

    反省文の提出。



    月半ばの空は、

    青く、

    高く、

    柄み枡っおいた。


    第話 勇人埩垰 ──地獄の補講マラ゜ン

    ──月某日──
    孊校・階枡り廊䞋


    「うぞえぇぇぇぇ  」


    俺、䞭藀勇人は今、
    ゟンビの劂く、
    校内を圷埚い歩いおいる。

    行く圓おなんおない。


    先日、
    長期入院から高校に埩垰した
    俺を埅ち構えおいたのは、
    進玚をかけた補講ず
    レポヌトの山だった。


    聞いおねぇ  


    担任の神谷先生の
    劙に爜やかなスマむルが
    脳裏に蘇る。


    どうしお  、
    俺が䜕をしたっお  

    いや、
    分かっおはいるんだが  


    壁にもたれかかり、
    窓の倖を眺める。


    ここたでずは  、
    参ったねこりゃ  


    ヶ月近くに及んだ
    入院生掻。

    圓然、
    出垭も足りず、
    孊幎末考査も受けられず、
    そのたただず単䜍も取れない。


    チラッず時蚈に目をやる。


    昌䌑み終わるたで、
    あず分か  


    ──春の颚が枡り廊䞋を吹き抜ける


    たぁ、事情が事情ずは蚀え  な


    頭では分かっおいるが、
    いざ、この状況に立たされるず、
    さすがに堪えるものがある。


    がんやりする頭で、
    これたたがんやり考える。


    正盎、事故のこずも
    芚えおないんだよな  


    意識が戻っおしばらくしお、
    母さんから聞いたずころによるず、
    幌銎染の小林を庇っお
    階段から萜ちたらしい。


    あい぀、
    入院䞭に䜕床もお芋舞いに
    来おくれおたもんな

    最初の時なんお、
    泣きじゃくっお倧倉だったっけ


    圓時の蚘憶がない俺ずしおは、
    浊島倪郎の気分だったし、
    申し蚳ない気持ちになったもんだ。


    課題のプリントずか
    持っおきおくれたよな


    ある皋床、
    起き䞊がれるようになるず、
    孊校から課題が
    出されるようになった。

    あんたり
    根を詰めすぎないようにず、
    ナヌスに釘を刺されたっけ。

    ナヌスの飯山さん、可愛かったな  

    寝たきり状態で
    䞋のお䞖話をしおもらった時は、
    思春期の男子ずしお
    死ぬ思いだった  。

    理孊療法士の鈎朚先生は
    スパルタだった  

    初めおの起立緎習。

    ニコニコしながら、

    「起こすよヌ。」

    「倱神しないように頑匵れヌ。」

    ずか蚀いながら、
    電動起立台を起こしおいくず  。

    ものの芋事に、
    ブラックアりトする俺。

    なんでも、
    長く寝たきりだず、
    起きるだけでこうなるらしい。

    人間おあんなんになるんだな  

    鈎朚先生は、
    俺の意識が戻らない頃から、
    関節が固たらないように、
    毎日動かしおくれおたんだずか。

    退院の時に、
    「もう戻っおくんなよヌ」
    ずかっお笑顔で
    送り出されたっけ

    たぁ戻りたくはないが、
    少し懐かしい。


      


      さお

    どこ行こ  


    再び、
    フラフラず歩き出す。


    やっぱ、
    ただ本調子じゃないな  


    補講生掻が始たっお早半月。

    初日は、
    母芪に付き添われお登校した。

    通された職員宀のホワむトボヌドには、

    「䞭藀勇人・進玚に向けた
    特別補講スケゞュヌル」

    なる暪断幕。

    その䞋には、
    びっしりず埋められた
    スケゞュヌル衚。


    あれには絶句した  


    䞻芁教科を受け持぀先生たちが
    スケゞュヌルを調敎しお
    予定を組んでくれたらしい。

    説明ず共に、

    「死なない皋床に頑匵れ」

    芪指を立お、
    キラリず歯を茝かせお笑う
    神谷先生。


    くそ  、
    あの䜓育䌚系むケメンめ  


    ありがたくお涙が出るぜ  


    病院の䞻治医の意芋も取り入れお、
    分補講の時間䌑憩ずいう
    念の入れよう。


    ここたでされたらな  


    そういや、母さんから、
    芪父が倧分亀枉しおくれたずは
    聞いたけど

    事故の前たで、
    家ではほずんど喋るこずもなく、
    笑ったずころなんお
    芋たこずもなかった父芪。

    俺が意識を取り戻した時、
    報せを受けお、
    病院に飛んできたらしい。

    芪父  、
    俺の手を握っお
    肩を振るわせおたな  

    (たさか、
    あの芪父がな  

    あれ以来、
    䜕か少し距離が
    近くなった気がする。

    無口はあんた倉わらんけど  

    最近は、
    補講の様子ずかたたに聞かれるな

    効も泣きじゃくっお
    倧倉だったっけ

    母さんも  


    みんなに心配かけちたったな


    階段を降りお
    階に抜けるず、
    倧きな欅が目に入る。


    そういや、
    こんなずこあったっけ


    校舎の倖れにある
    その堎所。

    甚事がない限り、
    普段、生埒はあたり
    立ち寄らない。


    結構でかいんだな


    ふず、
    吞い寄せられるように
    足が向く。


    あれ


    欅の根元に䞊んだベンチ。


    誰かいる  


    女子生埒のスカヌトず
    足が芋える。


    誰だ こんなずころに


    興味をそそられ、
    近寄っおみる。


    そこに、


    圌女はいた。


    第話 欅のベンチ

    欅のベンチ

    ここは、
    普段、ほずんど人が来るこずがない、
    私・平方ひらかた葵のお気に入りの堎所。

    月も半ばの陜気は
    ポカポカず暖かく、
    読曞にはうっお぀けだ。

    教宀から䞀番離れた堎所でもあり、
    呚囲ずあたり銎染めない私にずっお、
    憩いの堎でもある。


    ──春の颚が吹き抜ける


    ──少し髪が揺れる


    幌い頃から、
    呚囲の人ず自分が
    䜕か違うこずに
    気づいおいた。

    ず蚀っおも、
    別に寂しい蚳でもないし、
    普通に話す友人も䜕人もいる。

    ただ、
    女子生埒たちの奇異の目や、
    男子生埒たちの芖線から逃れるように、
    い぀の間にか、
    ここが定䜍眮になっおいた。


    倧分、春らしくなっおきたな。


    冬の間、
    図曞宀に居堎所を移しおいたが、
    春の蚪れずずもに
    ここに戻っおきたのだった。


    なんだか、熊の冬眠みたい  。


    我ながら、
    少しクスッずしおしたう。

    小説を読みながら
    そんなこずを考えおいるず、
    枡り廊䞋の方から
    足音が聞こえおきた。


    誰か来た。

    珍しい。


    だからず蚀っお、
    特に䜕かする蚳でもないのだが。


    足音が近づいおくる。

    誰だろう


    少し気になり、
    本を閉じお
    そちらぞ顔を向ける。


    あ  


    ──目が合った


    「平方  さん」


    そこに、

    圌はいた。


    同じクラスの、䞭藀くん。

    埩垰したずは聞いおたけど。


    勇人
    「ごめん、
    邪魔しちたったかな」

    葵
    「別に、倧䞈倫だよ。」

    勇人
    「そう」

    葵
    「うん。」

    「久しぶりだね。」

    勇人
    「ホントそれ」

    人懐っこい
    笑顔を浮かべる。

    「それにしおも、
    ここ、静かでいい堎所だな」


      え


    葵
    「うん  、
    私の、お気に入りの堎所。」

    勇人
    「ぞぇ〜、
    そうなんだ」

    「よく来るのか」

    葵
    「うん。」

    「昌䌑みずか、
    倩気のいい日は。」

    勇人
    「そうなのか」

    「ちょっず俺も座っおいい」

    葵
    「どうぞ。」

    勇人
    「んじゃ、
    お蚀葉に甘えお  」

    「どっこいしょ」

    そう蚀っお、
    私ず反察偎の端に座り、

    勇人
    「オッサンみたいだな」


    そう笑う圌。


    勇人
    「ん〜、
    こりゃ気持ちいいや」

    背もたれにもたれかかり、
    思いっきり䌞びをする。


    䜕か疲れおる


    私の芖線に
    気づいたのだろうか。

    勇人
    「あ〜  、
    実はさ」

    そう切り出し、
    特別補講のこずを
    教えおくれる。


    神谷先生から
    軜く聞いおはいたけど  。


    勇人
    「ホント、
    鬌かっおの」

    「たあ、
    進玚かかっおるから
    しょうがないんだけどな」

    自虐的に笑う。

    葵
    「そっか、
    倧倉なんだね。」

    勇人
    「そうなんだよ  」

    少しうんざりした顔を
    したかず思うず、

    「それにしおも、
    先生以倖ず喋るの
    久しぶりでさ」


    嬉しそう。


    尚も止たらない圌。

    衚情がクルクル倉わっお面癜い。


    やっぱり、
    䞍思議な人。


    盞槌を打ちながら、
    事故のこずを思い返す。

    昚幎月に起きたあの事故。

    圌は階段から転げ萜ち、
    頭郚倖傷で意識が戻らず、
    ヶ月近く入院しおいた。


    友達の小林くんを
    庇ったっお聞いたっけ。


    クラスで匷面の桜柀くんが
    小林くんに絡んだ際に、
    それを止めようず
    揉み合った末のこずらしい。


    そういう颚には
    芋えなかったのに  。


    昔から、
    人ず人ずのそういう空気が
    芋えおしたうたちで、
    それずはなるべく
    離れるようにしおきた。


    でも、
    圌は、立ち向かった  。


    勇人
    「そんな蚳でさ、
    頭が沞隰しそうなのよ  」

    匱った顔を芋せる圌。

    葵
    「倧倉そうだね。」

    「身䜓はもう倧䞈倫なの」

    勇人
    「ん〜、
    倧䞈倫
      ず蚀いたいずころだけど」

    「ただ、本調子じゃないなぁ」

    少し困り顔で笑う。

    葵
    「そっか。」


    そうだよね。


    葵
    「無理しないでね。」

    勇人
    「おう
    ありがずな」

    「それでな、  」


    話題が尜きないっお顔。


    本圓に、
    人ず話すのが
    久しぶりなのだろう。

    元々、
    クラスでも、
    䌑み時間になるずは
    男子同士で戯れあっおいた圌。


    ずっず先生ずマンツヌマンで
    息が詰たるんだろうな。


    楜しそうに喋る
    圌の顔を眺める。


    ふふ)

    本圓に衚情がクルクル倉わる。


    ふず、
    他の男子生埒のこずを
    考える。


    他の人ずは違う  。


    他の男子生埒は、
    私に話しかける際、
    顔色を䌺うような、
    距離を探るような目をする。


    たるで、別の私を芋おるみたいで  。


    あたりその芖線が
    奜きではなかった。


    でも、䞭藀くんは  。


    本圓に楜しそうに
    お喋りをする。


    勇人
    「そんなこんなで、
    ここに蟿り着いちたった」


    葵
    「そうなんだ。」

    「滅倚に人が来ないから、
    ちょっず驚いちゃった。」


    勇人
    「あ やっぱり」

    「あんたり邪魔しない方がいいよな」


    葵
    「そんなこずないよ」

    「ちょっず、
    ビックリしただけだから。」


    勇人
    「そう
    そんなら、たたに来おもいいか」

    「ここ、めちゃくちゃ気持ちいいし」


    葵
    「どうぞ。」

    「別に、私専甚の堎所じゃないから。」


    勇人
    「お〜、助かるわ〜」

    「䌑憩時間の居堎所がなくおさ」


    そう蚀っお笑う圌。

    ぀い、私も笑顔を返す。


    勇人
    「おっず」

    そう蚀っお時蚈を芋る。

    「ダッベ、
    次の補講始たるわ」


    葵
    「あ、もうそんな時間」


    い぀の間に  。


    勇人
    「そうそう」

    「そろそろ行かないず  」


    お腹いっぱいず蚀いたげな圌。


    葵
    「私もそろそろ戻らないず。」

    勇人
    「そんじゃ行こうぜ」


    人で立ち䞊がり、
    ベンチを埌にする。


    䞊んで廊䞋を進む。


    途䞭、


    勇人
    「あ、
    俺、こっちだから」


    補講は、
    確か芖聎芚宀だっけ。


    葵
    「うん。」

    「補講、
    頑匵っおね。」


    勇人
    「おう
    ありがずな」

    「助かったよ」

    「ホント、いい息抜きになったわ」


    そう笑う圌。


    葵
    「うん。」

    「私も楜しかった。」

    「たたね。」


    お互い手を振り、

    それぞれの教宀に向かった。


    第話 千里の道もなんずやら

    芖聎芚宀


    西園寺先生
    「はい、
    今日の歎史総合の時間はここたで。」


    勇人
    「ぶぞぇええええ  」


    西園寺先生
    「ふふふ」

    「お疲れ様、䞭藀くん」


    そう蚀っお、
    優しい笑顔で劎っおくれる
    西園寺先生。


    勇人
    「頭から煙が  」

    西園寺先生
    「あら」

    「私の補講、
    そんなに぀たらなかった」

    勇人
    「あ、いや  、
    そういう蚳じゃ  」

    西園寺先生
    「ふふふ、冗談よ」


    いたずらな笑顔を向けおくる。


    うっわ  

    かわいい  


    思わず、目をそらす。

    女性教垫人気ナンバヌは、
    䌊達じゃない。


    西園寺先生
    「さ、䌑憩時間よ」

    「しっかり䌑んでらっしゃい。」


    そう促され、


    勇人
    「はぁい  」

    「ありがずうございたした」


    西園寺先生
    「  無理だけはしないでね。」

    「せっかく戻っお来れたんだから。」


    穏やかなスマむルで
    じっず芋぀められ、
    蚀葉に詰たる。


    勇人
    「  はい」

    「了解です」


    西園寺先生
    「よろしい。」

    ニコっず埮笑み、

    「それじゃ」

    そう蚀い残すず、
    芖聎芚宀を埌にする圌女。


    ん〜〜〜  


    そのたた、
    思いっきり䌞びをしおみる。


    ふぅ〜  

    疲れた  

    ずりあえずどっか行くか  


    重たい身䜓を起こし、
    匕きずるように芖聎芚宀を出る。


    こういう疲れが溜たった時は、
    軜く歩いたほうがいいっお
    鈎朚先生も蚀っおたな


    リハビリで䞖話になった
    PTの鈎朚先生。


    色々教えおくれたっけ


    䞀応、守るようにしおる。


    どこ行こ  


    それにしおも

    西園寺先生、
    今日もかわいかったな  

    思春期男子ずしお、
    ぀いそんなこずを考える。


    静かな春䌑みの校舎。

    郚掻か春季講習か、
    ちらほら生埒を芋かける。


      

    あそこ、行っおみるか


    この前、
    平方さんず出䌚った
    欅のベンチ。

    今日は倩気もいい。

    静かで日圓たりも良く、
    補講続きで荒んだ
    今の俺の心を癒すには
    もっおこいだ。


    たた圌女に䌚えたりするんだろうか

    たぁ、そう郜合よくいかんわな


    階段を降り、
    枡り廊䞋に向かう。


    ──芖界が開ける


    先客のいないベンチが、
    ポツンず俺を埅っおいた。


    そりゃそうだ


    そのたた腰を䞋ろす。


    あ〜  

    こりゃ気持ちいいわ  


    がんやり芋䞊げた枝に、
    新芜が膚らんでるのが芋える。


    新孊幎か  


    倧䞈倫か 俺  


    ふず、先日のこずを思い返す。


    すげぇ綺麗だったな  


    「透き通っおる──」

    クラスの女子が、
    たたに囁きあっおたっけ。


    蚀い埗お劙ずいうか  

    でも  


    意倖ず笑うんだよな


    圌女に関しおは、
    嘘か本圓か分からない
    数々の䌝説や噂がある。


    䜕でも、
    すげぇ頭いいずか

    幎最初の䞭間テストで
    満点䜍だったらしい。

    でも、それ以降、
    圌女の名前が順䜍発衚の掲瀺に
    茉ったこずはないずか。


    幎の頃は、
    すげぇ告られおたずか  

    人フラれたずか  


    いやたぁ、
    確かにすげぇ矎人だしな

    あり埗んこずはないのか


    でも確か授業日数っお
    日ちょいだろ

    無いな  


    䌑孊のお陰で、
    劙なこずに詳しくなっおしたった。


    平均日に回告られるずか、
    どんだけよ

    めちゃくちゃ倧倉だろ、それ


    幎になっお、
    軍ギャルの西川陜葵ず
    仲良くなっお以降、
    圌女の平方さんガヌドが硬くお
    告癜する男子も激枛したらしいが。


    たぁ、ただの噂だしな


    少し、ボヌッずする。


    この前は楜しかった  


    埩垰しおからは、
    先生以倖ず喋るこずも
    ほずんどない。

    補講に明け暮れる日々。

    たたたたここで圌女ず出䌚っお、
    時間が経぀のも忘れおしゃべった。


    行き垰りは小林ずチャリだから、
    倚少は玛れるんだけどな  


    埩垰しおからも、
    ずっず心配しおくれおるよな、あい぀

    そういや、他の連䞭は  


    長らく䌚っおいない
    クラスメむトたちの顔が浮かぶ。


      

      眠いな

    䜙蚈なこず考えすぎたか  


    春の陜気に、
    ふっず匕っ匵られる。


    やっぱ本調子じゃねぇわ  


    そのたた、

    抵抗する気力もなく、

    意識が、遠のいおいった。


    第話 先客

    欅のベンチ


    あれ


    春季講習の昌䌑み。

    い぀ものベンチに行くず、
    男子生埒の足がニョキっず
    䌞びおるのが芋えた。


    珍しい。

    先客か。

      動かない


    静かに近寄っおみる。


    䞭藀くん


    ずおも気持ち良さそうに
    寝息を立おる姿が
    そこにあった。


    ──平方  さん──


    先日、ここで、
    圌ず出䌚ったこずを思い出す。


    ──お互い目が合っお

    ──お互い䞀瞬固たっお


    補講が倧倉っお蚀っおたっけ。

    疲れおるんだね。


    ふず芗き蟌む。

    涎が垂れおいるのが芋える。


    ふふ

    かわいい寝顔


    圌が座るベンチの端の
    反察偎に腰を䞋ろす。


    春の陜気に、
    心地よい颚が
    吹き抜ける。


    今日は本圓に気持ちいい。

    䞭藀くん、
    補講は順調なのかな


    チラッず圌の方を芋る。

    起きる気配はない。


    お昌ずか、倧䞈倫かな


    時間的に考えお、
    昌食を枈たせおいるずは思えない。


    起こしおあげた方がいい


    あたりに気持ちよさそうな寝顔に
    躊躇しおしたう。


    どうしよう  

      

    お昌寝は分が適切ずも蚀うし


    近寄り、
    そっず肩を揺すっおみる。


    起きない  


    もう少し匷く揺すっおみる。


    勇人
    「ん  」


    起きた


    葵
    「䞭藀くん。」


    勇人
    「お  」

    「あれ   平方さん」


    葵
    「倧䞈倫」

    「気持ちよさそうにしおたから
    迷ったんだけど。」

    「お昌䌑みだよ。」


    勇人
    「え マゞ」

    「そんな寝おたか」


    そう蚀いながら、
    飛び起きお
    涎を拭く。


    葵
    「疲れおたんだね。」


    勇人
    「ん〜」

    「ちょっずな」


    立ち䞊がり、
    苊笑いしながら話す。


    勇人
    「ありがずな、
     起こしおくれお」


    人懐っこい笑顔を浮かべる。


    葵
    「どういたしたしお。」

    起こしお良かった

    少し安堵する。


    勇人
    「平方さんは春季講習」

    葵
    「うん。」

    勇人
    「そっかぁ」

    「それにしおも、
    やっぱここ、気持ちいいな」

    そう蚀いながら、

    「気付いたら寝ちたっおたわ」

    グ〜っず䌞びをする圌。

    「平方さんは、もう昌食べた」


    葵
    「うん、食べおきた。」

    「䞭藀くんは」


    勇人
    「俺、ただ」

    「食いに行かないず  」


    葵
    「そっか。」

    「お昌䌑み、
    あず分だけど倧䞈倫」


    勇人
    「おヌ、倧䞈倫倧䞈倫」

    「今は昌䌑みも
    長めに蚭定されおるからさ」

    先日蚀っおいた、
    先生たちの配慮らしい。

    「そんじゃ、
    俺、行くわ」

    「ありがずな」


    葵
    「うん、たたね。」

    勇人
    「おう、たたな」


    そう蚀っお、
    小走りに走り去る
    圌の背䞭を芋送る。


    結構、䜓力萜ちおるんだろうな。

    あんなに気持ちよさそうに。


    圌の寝姿を思い出す。

    完党に無防備な、
    締たりのない寝顔。


    かわいかったな


    圌ず話しおるず、
    少し気が玛れる  。


    ふず、
    クラスの状況に想いを銳せる。


    あの事故以来、
    桜柀くんが他の生埒に察しお
    暎力的な態床を取るこずは無くなった。


    けど  


    代わりに今、
    クラスを支配するのは、
    硬盎した空気だ。


    桜柀くんは沈黙したたた。

    圌ず仲の良い倧原くんや䞉浊くんが、
    気を遣っお話しかけおはいるけど  。


    小林くんも黙しお語らない。

    驚いたこずに、
    圌は誰にも恚みを
    ぶ぀けなかった。

    ただ、
    以前のようなの
    匱々しい姿ではなく、
    どこか決意めいた衚情に
    倉わった気がする。


    それぞれが、
    あの事故をきっかけに
    倉わろうずしおいるのだろうか。


    それでも、
    クラスの空気は重い  。

    そういう時、倧抵、
    歊田くんが䜕か蚀い出すんだけど。


    ──その重い空気がそれを拒む


    䞃海がい぀も
    助け舟を出すんだよね。

    空回りにたじろぐ歊田くんに、
    「あんたねぇ  」ず
    呆れ顔をしながらも、
    い぀も助けに入る䞃海。


    早坂さんも、
    やりにくそうにしおるし。

    クラス委員長の早坂さん。

    ホヌムルヌムの議事進行を
    しおくれる際も、
    反応の薄いクラスに
    戞惑っおいるのが看お取れる。


    陜葵も  

    芪友の顔を思い浮かべる。

    あんなに明るかった圌女の笑顔を、
    あれ以来、芋おいない。


    私も、教宀の倖で
    過ごすこずが増えたし  。


    幎生の初め頃は、
    陜葵ず桜柀くんの
    喧嘩もあった。

    みんな、䜕かに
    遠慮しあっおいるような
    空気もあった。


    でも  。


    今ずは違っお、
    動いおいた。

    それが、
    たるでゎヌストタりンのように
    静かに固たっおしたっおいる。


    倚分、みんな分かっおる  。


    それでも、
    動かない。


      

    䞭藀くん。

    最初は補講で
    良かったのかもしれない。


    恐らく、
    担任の神谷先生の配慮も
    あるのだろう。


    倧倉そうにはしおるけど。

    もし、圌が、
    そのたたクラスに埩垰しおいたら  。


    正盎、
    どうなっおいたか分からない。


      新孊幎たで、
    もう少し  。


    挠然ずした䞍安を抱き぀぀、
    圌が無事、進玚できるこずを願った。


    第話 なるか 進玚

    ──月末日──
    職員宀


    神谷先生
    「䞭藀勇人。」


    「  」


    真剣に、真っ盎ぐ、
    俺の目を芋぀める、
    担任の神谷先生。


    ゎクリ  


    神谷先生
    「進玚だ」


    マゞ  か  


    先生たち
    「進玚おめでずう」

    䞀斉に拍手し出す先生たち。


    やっず  終わった  


    ふっず気が抜けかける。

    が、

    鳎り止たない拍手に
    我に返る。

    勇人
    「あざっす あざヌっす」


    拍手が止たるず、

    神谷先生
    「本圓にギリギリたで
    よく頑匵ったな」

    そう蚀っお歩み寄り、

    「信じおはいたが、
    よくやり抜いた」

    肩をポンポンされた。


    神谷スマむルが神々しい。


    アニキィ  


    ぀い、涙が滲む。


    勇人
    「先生〜」

    思わず、
    ガバッず抱き぀いおしたった。

    神谷先生
    「ははは」

    「今はそれでいい」

    「お疲れさん」


    ダダ、䜕 このむケメン  

    䞀生぀いお行きたす  


    そこぞ、

    西園寺先生
    「本圓に、よく頑匵ったわよ」

    西園寺先生も
    声をかけおくれる。

    「毎日、
    土みたいな顔色だったものね」

    そう蚀っお、
    クスクス笑う西園寺先生。


    ダダ、かわいい  

    お婿さんにしおください  


    早速、浮気しおみる。


    荻野先生
    「本圓によくやったぞ 䞭藀」

    英語の荻野先生だ。

    「ね 先生方」


    数孊の田䞭先生。

    珟文の䞲田先生。

    物理の野田先生。

    化孊の斉藀先生。


    補講教垫陣、勢揃いだ。


    田䞭先生
    「たぁ  頑匵ったんじゃない」

    䞲田先生
    「よくやりたしたよ、圌」

    野田先生
    「しゃあなしのギリギリでしたけどね」

    斉藀先生
    「本圓に。しっかり埩習するんだぞ」

    西園寺先生
    「たぁ、先生たちったら」

    苊笑いする西園寺先生。


    この人たちたで  


    普段マむペヌスな
    おっちゃん先生たちたで
    䞀応 耒めおくれるずは。

    たぁ、確かに、
    理科科目に関しおは、
    かなり枩情だったのは吊定できない。


    やり切ったんだな  俺  

    ダバいな  、
    おっちゃんの砎壊力  


    胞が詰たる。


    勇人
    「先生がた、
    本圓にありがずうございたした」


    自然ず頭が䞋がった。


    神谷先生
    「うむ。」

    「先生方も、
    こい぀のためにご尜力いただいお、
    本圓にありがずうございたした。」


    そう蚀っお、
    先生たちに深々ず頭を䞋げる
    神谷先生。


    ダバい  、
    頑匵れ、俺の涙腺  


    埩垰圓初は
    どうなるこずかず思ったが、
    しみじみず実感が
    蟌み䞊げおくる。


    神谷先生
    「それでは、
    お忙しいずころ、
    ありがずうございたした。」

    頭を䞊げお蚀う神谷先生に倣い、
    俺も頭を䞊げる。

    西園寺先生
    「䞭藀くん、本圓にお疲れ様。
    でも、これからよ」

    「そうだぞ。」

    「無理だけはしないように。」

    西園寺先生を皮切りに、
    口々に声をかけ、
    それぞれのデスクに
    散っおゆく先生たち。


    神谷先生
    「さお、䞭藀。」

    勇人
    「はい」

    振り向くず、
    真剣な顔で芋぀められた。

    神谷先生
    「クラス埩垰に先立っお、
    蚀っおおかなきゃならんこずがある。」

    静かに語り出す先生。


      


    無意識に姿勢を正す。


    神谷先生
    「今のクラスの状況に぀いおだ。」

    「正盎なずころ  、
    あたり芳しくない。」


    ふず䞀瞬だけ、
    芖線が逞れお戻る。


    「特に誰かが喧嘩をしおるずか、
    そういったこずじゃないんだがな。」

    「新孊期が始たった途端、
    改善しおいるずは考えにくい。」


    その䞡目に、
    少し疲れの色が
    芋えた気がした。


    「䜕かあったら、
    必ず盞談に来い。」

    「どんな些现なこずでもいい。」

    「絶察に人で抱え蟌むな。」

    「解決できるかは分からんが、
    必ず力になる。」

    「分かったな」


    䜕か物々しいな  


    勇人
    「  はい」


    たぁ、
    それだけ心配しお
    くれおるっおこずか


    神谷先生
    「うむ。」

    「今日はここたでだ。」

    「春䌑みも残り週間、
    少し矜を䌞ばしおこい」


    穏やかな笑顔だ。


    勇人
    「はい
    ありがずうございたした」

    「倱瀌したす」

    そう䞀瀌し、
    職員宀を埌にした。


    階・職員宀前廊䞋

    くぅ〜〜〜

    終わったあああああ


    思わず叫び出しそうになるのを抑え、
    無蚀でガッツポヌズ


      っず

    母さんにラむニヌメッセしないず

    小林にも送っずくか


    送信内容を考えながら
    廊䞋を進む。


    今日で月も終わり。


    明日だったら
    ゚むプリルフヌルの
    ネタにできたかな


    ちょっず残念な気もするが、
    しょうがない。


    しかし、
    今日もいい倩気だな

    今幎の春は、
    ずっず倩気続きだわ


    たたに雚の日も
    あった気はするが。


    これはアレか

    俺の進玚を
    祝犏しおくれおるに違いない


    テキトヌなこずを考えおみる。


    今月の頭に埩垰しお以降、
    補講や課題の山々。

    そしお、
    昚日、今日ず、
    日間に枡っおの
    進玚テスト。


    感無量だな  


    先生たちの協力には
    感謝しかない。


    そしお、アレのお陰だな  


    平方さんず出䌚った、
    欅のベンチ。


    もし、
    あの時間がなかったら、
    乗り越えられた自信がない。


    お瀌、蚀いたいな


    時蚈を芋る。


    昌䌑みたで、あず分か

    寄り道すっか

    そこでメッセ送ればいいしな


    そうず決たれば
    善は急げだ。

    䌚えなかったら、
    それはそれで埌日、
    改めお蚀えばいいだけだし。


    開攟感からか、
    足取り軜く
    い぀ものベンチぞ向かった。


    第話 今床は、教宀で

    欅のベンチ

    うっし、こんなもんだろ


    ベンチで
    母さんず小林に
    メッセを送り、
    䞀息぀く。


    今日も朝から目たぐるしかった  


    朝むチに最終レポヌト提出。

    そのたた、
    進玚テスト埌半に
    なだれ蟌み。


    怒涛  か


    ん〜〜〜  


    思いっきり
    䌞びをしお座り盎し、
    ボケヌっず空を芋䞊げる。


    思えばヶ月、
    あっずいう間だったな


    埩垰圓初は、
    ただ少し肌寒かったもんだが。


    桜も咲いおきたし


    い぀の間にか、
    すっかり春だ。


    いよいよ新孊期だな


    喜びが、
    ふ぀ふ぀ず
    蟌み䞊げおくる。


    しかし  


    䞍意に、
    さっきの神谷先生の顔が浮び、
    目を閉じる。


    クラスの状況  か


    小林は、
    そんな玠振りもなかったけど

    俺に気を遣っおたのか

    有りうる  


    昔から、
    そういう所があるダツだ。

    ぀い、腕組みをする。


    優しいのは分かるんだが  

    倧䞈倫なのか あい぀  

    聞いたずころで、
    教えちゃくれんだろうしな


    華奢な芋た目ず裏腹に、
    倉なずころで
    劙に芯の匷い芪友の姿が
    思い浮かぶ。


    ん〜  

    悩たしい  


    そんな状況の䞭、
    ヶ月の間、
    あい぀はどうしおたんだろう。


    普通に考えお、
    おもしろい状況じゃないよな


    蚘憶がない䞭、
    呚りから䜕ずなく
    状況を知らされお。


    そんなもんか、ずか


    目の前のこずで粟䞀杯で、
    そこたで気が回っおなかった。


    バカか俺は  

    くそ  



    「䞭藀くん」



    䞍意に名前を呌ばれ、

    勇人
    「おわっ」

    



    「平方さん」


    目を開けるず、
    平方さんが少し心配げに
    芗き蟌んでいた。


    葵
    「ごめん、考え事䞭に。」

    「びっくりしたよね。」


    いや、たぁ  

    びっくりはしたけども


    勇人
    「いや、倧䞈倫倧䞈倫」

    どんだけ集䞭しおたんよ、俺

    ぀い、苊笑い。

    「俺の方こそ、
    気づかなくおごめんな」


    安堵したように、
    静かに埮笑む圌女。


    めっちゃ綺麗  


    ハッず我にかえる。


    いかんいかん  


    勇人
    「昌䌑み」

    葵
    「うん、䞭藀くんは」


    あ〜、そっか


    圓初の目的を思い出す。


    勇人
    「いや、実はな」

    葵
    「うん」

    勇人
    「進玚できたした」


    䞀瞬、
    僅かに驚きを芋せた埌、

    葵
    「そっか、おめでずう。」

    優しく埮笑んで、

    「頑匵ったもんね。」

    小さく拍手する圌女。


    女神か  


    葵
    「私も座るね。」


    そう蚀うず、
    い぀もの䜍眮たで進み、
    座っおこっちに向き盎る。


    「本圓に良かった。」

    「おめでずう。」


    改めお笑顔の祝犏を受ける。


    いや  砎壊力  


    こんな顔、するんだな  


    ドギマギする  。


    勇人
    「おお  、
    ありがずな」

    「正盎、平方さんには助けられたよ」


    葵
    「助けた」


    勇人
    「そそ」

    「ここで話せたお陰で、
    いい気分転換になったよ」

    「あれがなかったら、
    正盎、息が詰たっお死んでたぜ」


    思い返すだけで
    りンザリする。


    葵
    「そうなの」

    クスッず笑う圌女。

    「それなら良かった。」


    「でもね。」


    䞀瞬、蚀葉に詰たる。


    「実は、私もなの。」


    少し曇った笑顔を
    浮かべる圌女。


    「だから、私の方こそ、
    『ありがずう』だよ。」


    それっお  


    勇人
    「そうなのか」

    「なら、お互い様っおこずで」


    葵
    「うん。」


    お互い、
    笑顔を向け合う。


    倚分、クラスのこずだよな  

    ちょっず蚊けねぇ  


    ──グゥ〜〜〜  


    䞀瞬、固たる空気。


    ここでそれか


    空気を読んだのか、
    読んでいないのか。


    突劂鳎る、俺の腹の虫。


    勇人
    「あ〜、ごめん」

    「昌飯、ただなんだ」


    葵
    「そうなの」


    勇人
    「そそ」

    「先に知らせたくおな」


    葵
    「そっか、ありがずう。」

    「これから行くの」


    勇人
    「おう、そうするわ」

    「流石に腹枛った  」


    葵
    「我慢しお埅っおおくれたんだね。」

    「ごめんね。」


    勇人
    「いやいやいや」

    「俺がお瀌蚀いたかっただけだから」


    葵
    「うん。」

    「今日は、もうおしたい」


    勇人
    「そうだな」

    「春䌑みは、
    残り、しっかり䌑めっおさ」

    「埩習も忘れるなっお釘刺されたけど」


    思い返すずゟッずする。


    葵
    「そっか。」

    「そしたら、
    次に䌚うのは新孊期だね。」


    勇人
    「そうなるかな」


    葵
    「じゃあ、
    今床は、教宀で。」

    「  改めお、
    進玚おめでずう。」


    笑顔が眩しい  


    勇人
    「おう」

    「ありがずな」

    「そんじゃ」


    勢いで振り切る。


    笑顔で手を振る圌女。


    こっちも振り返し、
    枡り廊䞋から玄関に向かう。


    やべぇっお  あの笑顔  


    腹枛ったな

    ラヌメンでも食っおくか

    ここは  あの店だな


    思い浮かぶは、
    地元の有名店「䞀培いっお぀」


    醀油豚骚が俺を呌んでいる


    䞀刻も早く、
    勝利の味を噛み締めるべく、
    俺は、自転車眮き堎を目指した。


    第話 新孊期

    勇人自宅前


    俺は今、逡巡しおいる。


    どうしお  


    ──䜕故なのか


    お向かいの飌い猫。

    黒猫マメタン。


    い぀もは逃げるくせに  


    今日に限っお、

    俺のチャリの前に居座っお、


    動かない。


    なんでだよ  


    ──ベタが過ぎるにも皋がある


    くっ  

    俺は、負けない  


    こっそりず暪から回り蟌む。


    シャヌ


    ひいぃ


    マメタンの突然の嚁嚇。


    俺が䜕したっお  

    俺のチャリ  


    「あら ただいたの」


    ひいぃ


    突然の背埌からの声に

    シュバッず振り向くず、

    い぀の間にか母さんがいた。


    裕矎ゆみ
    「早く出ないず遅れるわよ」

    勇人
    「母さん  あれ  」

    裕矎
    「え あら」

    「マメちゃんじゃない」


    䜕でもないようにスタスタず近づく。


    「マメちゃん〜、
    どうしたの〜」


    ──にゃ〜


    䜕事もなかったように、抱き䞊げる母さん。

    抱き䞊げられるマメタン。


    どうゆうこず  


    抱っこされお、
    ご機嫌でゎロゎロ蚀っおらっしゃる。


    裕矎
    「ほら、
    早く出なさい、勇人」

    「小林くんず埅ち合わせおるんでしょ」


    おっず  


    勇人
    「母さん、ありがず」


    慌おおチャリを匕っ匵り出し、


    裕矎
    「気を぀けおいっおらっしゃい」

    勇人
    「行っおきたす」


    マメタンを抱っこしたたた

    芋送る母さんを残し、

    急いで小林ずの埅ち合わせ堎所に向かった。


    囜道沿い・コンビニ

    勇人
    「わりぃ〜、遅くなった」


    埅ち合わせ堎所のコンビニ。


    時蚈を気にする小林を芋぀け、

    声をかける。


    小林
    「どうしたの」

    「䜕かあった」


    勇人
    「それがな〜」

    ──かくかくしかじか

    かい぀たんで説明する。


    小林
    「あ〜  それは  」

    「倧倉だったね」


    苊笑いの小林。


    「それじゃ、行こっか」


    勇人
    「おう」

    人、孊校に向けおチャリを挕ぎ出す。


    朝の囜道は

    通勀通孊時間ず被り、

    倚数の車が、人が、チャリが、

    行き亀っおいる。


    倧分、䜓力も戻っおきたな


    埩垰盎埌は、

    ずおもじゃないが

    チャリ通ずか無理ゲヌだったが。


    ──赀信号の信号埅ち


    小林
    「勇人、倧䞈倫」


    小林が気を遣っお声をかけおくる。


    勇人
    「おう」

    「䜓力も倧分戻ったわ」


    小林
    「そう」

    「速すぎたりしない」


    勇人
    「党然」


    小林
    「ならいいんだけど」


    心配しすぎだろ

    オカンかっお


    ぀い苊笑いしおしたう。


    信号が倉わり、再床走り出す。


    でもたぁ、週間ぶりだもんな


    最埌に䞀緒に登校したのは、

    ちょうど週間前。


    ──小林は春季講習

    ──俺は進玚詊隓


    随分前に感じるけど  

    あっずいう間に新孊期か


    しかし  


    チャリを挕ぎながら、

    家を出る前のこずを思い返す。


    勇人自宅・リビングにお

    勇二
    「勇人。」

    「気を぀けお行っおきなさい。」


      え

    オダゞが  


    突然のこずに、

    思わず固たる俺。


    勇二
    「どうした」


    新聞を開いたたた、

    こっちを芋぀めるオダゞ。


    勇人
    「あ  いや  」

    裕矎
    「行っおらっしゃい、勇人。」


    母さんはニコニコだ。


    矎月みづき
    「お兄ちゃん
    忘れ物ない」

    勇人
    「おお、倧䞈倫。」

    矎月
    「ホントにぃ」

    勇人
    「お前は自分の心配しろ」

    矎月
    「あたしは倧䞈倫だもヌん」


    口うるさい効  。


    勇人
    「た  たぁ」

    「行っおきたす」


    勢いでそう蚀い切り、

    リビングを出おドアを閉める。


    いや  

    マゞでビビった  



    なんおこずがあったが  


    自動車が次々ず、
    俺たちを远い越しおいく。


    そういや、オダゞ

    い぀もより、
    出るの遅かったよな  


    いや、たさかな  


    たぁ、考えおもしょうがない


    そんなこずをがんやり考えながら、

    孊校ぞの道を急いだ。


    高校付近・通孊路


    来たか  


    高校が近づいおくる。


    前を走る小林の背䞭が、

    さっきより遠い気がする。


    補講の時は、
    そんなこずなかったんだがな  


    ──芋慣れた校門

    ──芋慣れた制服

    ──芋慣れた朝のざわめき


      のはず、なんだが

    たるで、
    これから魔王城に乗り蟌むみたいな  


    チャリ眮き堎に到着。


    先にチャリを停めた小林が、
    話しかけおくる。


    小林
    「勇人、倧䞈倫」

    勇人
    「あ  ああ」

    「ちょっず疲れたわ」

    軜く苊笑いしおみせる。

    小林
    「  そっか」


    絶察察しおるよな、これ

    よく芋おんな  


    少し、気を匕き締め、

    俺もチャリを停めお、
    䞀緒に玄関に向かう。


    次々に登校しおくる生埒たち。


    こうやっお芋るず、
    結構な人数だよな


    ──い぀もの玄関

    ──い぀もの䞋駄箱


    ゎクリ  


    やっぱ緊匵するな  


    小林
    「勇人」

    勇人
    「お ああ  」

    いそいそず靎を履き替える。

    ダバいダバい  

    「お埅たせ」


    小林
    「うん」

    「おかえり、勇人。」

    そう蚀っお、
    ニッコリず埮笑む。


    お前  それ  

    惚れおたうやろ  


    勇人
    「  ああ、
    ただいた」


    こい぀自身、気づいおないが、
    実は同性の俺から芋おも
    結構かわいい顔しおる。


    小林
    「行こっか」

    勇人
    「おお」


    䞊んで教宀に向かう。


    小林
    「僕たち、ヌだからこっちだね」


    あヌ、そっか


    危うくヌに向かうずころだった。


    こういう感芚も鈍っおんだな


    劙なずころで感心しおしたう。


    ──階段に差し掛かる

    小林
    「倧䞈倫」

    勇人
    「ん」

      あ〜

    「おお、平気平気」

    そういや、
     階段から萜ちたんだったな

    「こういう時、
    蚘憶がないのは逆に䟿利だな」


    小林
    「  そっか」

    「  よかった」


    芖線を逞らす小林。


    やべ、ミスったか  


    小林
    「行こ」

    勇人
    「おお」


    ちょっず今のはマズった  


    自虐ギャグの぀もりが、
    小林が気にしない蚳がない。


    気たずい空気の䞭、
    䞀段䞀段、階段を登り、
    階ぞ。


    ちょっず息が䞊がった  


    廊䞋の奥を眺めるず、
    ヌのプレヌトが芋える。


    その手前。

    芋知った顔が䞊んでいた。


    田䞭、䞭条、倉本。

    小林ず䞀緒に、
    よく戯れあっおた人だ。


    向こうもこちらに気づき、


    ギョッずしたように固たる。


    ん


    以前なら、
    「おヌ、生きおたかぁ」
    くらい蚀い合っおたが。


    勇人
    「よう、お前ら」

    「久しぶり」


    田侭
    「よ  よう、䞭藀」

    䞭条
    「  今日から埩垰か」


    勇人
    「ああ」


    なんだ


    倉本
    「俺、ちょっずトむレ行っおくるわ」

    田䞭・䞭条
    「俺らも」

    「たた埌でな」


    勇人
    「  なんだあれ」


    チラッず小林の様子を䌺う。

    俯き、衚情が読み取れない。


    たぁ

    気を取り盎しお


    教宀に目をやる。


    いよいよか  


    開けっぱなしの戞。

    芋知った䜕人かの顔が目に入る。


    小林がスタスタず歩き出す。

    い぀もの顔だ。


    小林
    「たずは座垭の確認だね」

    そう蚀うず、
    事もなげに入っお行く。


    あ〜、そうか  

    そりゃ前の垭じゃないもんな


    小林に続き、
    教宀に入った。


    ──その瞬間


    おお


    突劂、違和感が党身を襲った。


    第話 空気

    ヌ教宀

    教宀に足を螏み入れた瞬間、

    違和感が党身を襲った。


    䜕だこりゃ  


    ──たるで党身を針が刺すような


    うおお  刺さる刺さる  


    ──海の底のような


    思わず足が止たる。


    小林
    「どうしたの 勇人」

    振り返った小林が、
    䞍思議そうに尋ねる。


    勇人
    「おお  」

    めっちゃ芖線感じる  

    「わりぃ、䜕でもない」


    クラス䞭が、
    泚目しおる気がしおくる。


    小林
    「ほら、勇人あそこだよ」

    「前から番目だね」

    穏やかに埮笑みながら、
    小林が指し瀺した先。

    「僕はその埌ろ」


    廊䞋の壁際か  


    小林
    「行こ」

    促され、垭に移動する。


    これは正盎助かったな  


    荷物を眮き、
    䞀息぀く。


    小林が埌ろっおのは  


    ──ふず、

    某䜓育䌚系むケメンの
    爜やかスマむルが脳裏をよぎる。


    気を遣っおくれたのか

    アニキィ  


    心遣いが身にしみる。


    小林
    「勇人」

    勇人
    「お」


    背埌からの小林の呌びかけ。


    ──振り向くず  

    途䞭、䞀瞬、


    平方さん


    お互い目が合い、

    思わず止たる。


    こっちに背䞭を向け、

    銖を回しお芖線だけ送る

    西川陜葵。


    その向こうで、

    向かい合っお座る平方さん。


    圌女の垭は、

    窓際の䞀番埌ろだった。


    ── 䞀瞬、

    ほんの僅かに、

    埮笑んだような  。


    小林
    「勇人」

    「どうしたの」


    小林の呌びかけが、

    俺を珟実に匕き戻す。


    勇人
    「あ  いや」

    向き盎り、

    「どした」


    小林
    「  うん」

    「  無理はしないでね」


    勇人
    「おお」

    「心配しすぎだっお」

    そう笑っお芋せる。


    小林
    「うん  」

    「  今床は、僕が  」


    䜕かボ゜ッず呟く小林。


    勇人
    「ん 䜕お」


    小林
    「んヌん」

    「なんでもないよ」


    いや、その笑顔はなんでもあるだろ  


    ず思った瞬間、
    小林の顔が曇った。


    「よう、䞭藀」──


    背埌から声がかかる。


    振り向くず、歊田だ。


    æ­Šç”°
    「久しぶりだな  」

    「もう良いのか」


    ──ざわ぀きが静たる


    䜕か  こい぀  


    「なぁ  どうなんだよ」


    俺にこんな、
    絡んできたっけ  


    勇人
    「ああ  」

    「倧分戻ったぜ」

    「ただ䞇党ずは蚀えんけどな」


    æ­Šç”°
    「そうか  」


    ──静かな空気

    ──奇劙な違和感


    䜕か、劙に匷匵っおんな  


    æ­Šç”°
    「たあ」

    「埩垰できおよかったぜ」

    目が怖いんだが  

    「なあ」


    バンバンず俺の肩を叩く歊田。


    加枛぀よっ


    軜く腕で受けながら、

    勇人
    「あ  ああ」

    「ありがずな」

    䞀応、瀌だけは䌝えおおく。


    æ­Šç”°
    「でもよぉ」


    ただ来んの  


    ──その時、

    小林
    「歊田くん」

    小林が立ち䞊がる。

    「勇人、困っおる。」


    ──静たり返る教宀


    æ­Šç”°
    「あ  ああ」


    固たり、
    顔を歪める歊田。


    苊虫を噛み朰したっお、蚀うのか  


    æ­Šç”°
    「わりぃ  」


    急に元気がなくなり、
    俯いお立ち尜くす。


    ──劙な静寂が残る


    なんだっおんだ  


    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──


    ──予鈎だ


    同時に、
    俯いたたた、
    無蚀で自分の垭に戻る歊田。

    暪顔が、
    疲れおるように芋える。


    もしや  

    あい぀、ずっず  


    ──静かなたたの教宀


    そこぞ、

    担任の神谷先生が入っおくる。


    真琮
    「起立」

    「気を぀け」

    委員長が号什をかける。

    「おはようございたす」


    神谷先生
    「はい、おはよう。」

    「よヌし、お前ら。」

    「出垭取るぞヌ。」


    朝のホヌムルヌムが始たった。


    ヌ教宀

    出欠確認も終わり、

    神谷先生
    「よヌし、党員いるな」

    クラス党䜓を芋枡す。


    䞭藀も埩垰できたし。

    䜕ずか無事、党員そろっお進玚か。


    「たず、お前らも知っおの通り。」

    「䞭藀が今日から埩垰だ。」


    ──異様なほど静かな空気


    やはり、倧きくは倉わらんか。


    「党員がこうしお、
    無事、そろったのを嬉しく思う。」


    話しながら、
    䞀人ひずり、ゆっくり顔を確認する。


    クラス党䜓が沈み、
    空気が停滞しおいるのは、
    担任の自分からも芋お取れる。

    桜柀も、呚りの連䞭も。

    女子の䞭心的人物、
    西川陜葵も。


    逆に歊田は、
    ゜ワ゜ワしおいるのが
    よく目立぀。


    ん

    平方


    窓際の䞀番奥の垭。

    平方葵が、
    䜕かを気にしおいる玠振りだ。


    珍しいな。


    物静かな生埒で、
    普段、あたり他人に
    関心を持぀玠振りを芋せない。


    満点入孊の才女だず、
    教員の間でも、もっぱらの噂だが。


    じっず深く掞察するような、
    そんな雰囲気を持぀圌女。


    誰かを気にしおるのか

      

    䞭藀か


    どうも芖線が向いおいるようだ。


    ふむ。


    「いいか、決しお無理しろずは蚀わん。」

    「䞀぀ひず぀でいい。」

    「䞀぀倉えれば、䞀぀倉わるもんだ。」

    「それを忘れるな。」


    




    䜕か、䞀぀でも  。

    無力なもんだな。


    「よし、ホヌムルヌムはここたでだ。」

    「時分から始業匏が始たる。」

    「党員、䜓育通に移動だ。」


    真琮
    「起立」

    号什が響く。


    劇的にずは蚀わん。

    せめお  


    生埒たちが移動を始める。


    おっず。


    神谷先生
    「䞭藀。」

    勇人
    「はい」

    神谷先生
    「無理だけはするなよ」

    勇人
    「了解っす」


    倧䞈倫か  


    䞀抹の䞍安を抱え぀぀、
    䜓育通ぞ向かった。


    䜓育通・始業匏

    「ですので、皆さんには──」


    お偉方の話が長いのは、
    い぀の時代も倉わらんか。


    クラスの生埒に目をやる。


      。


    「神谷先生」──

    呌ばれた方ぞ目をやる。

    神谷先生
    「西園寺先生。」


    小林に、䞭藀に。

    圌女には䞖話になりっぱなしだ。


    西園寺先生
    「どうですか 䞭藀くん」


    神谷先生
    「ずりあえず、
    今日は無事に登校しおたしたが。」

    「果たしお、どうなるこずか。」


    西園寺先生
    「そうですか」

    「無茶しないずいいですけど」


    そう蚀っお、
    生埒の方に目を向ける圌女。


    神谷先生
    「本圓にそうですね。」


    西園寺先生
    「あっ」


    ──バタヌン


    人が倒れる音が響いた。

    西園寺先生
    「䞭藀くん」

    「神谷先生」


    あい぀  。

    ベタが過ぎるにも皋があるだろ


    神谷先生
    「ちょっず運び出しおきたす  。」



    ──結局、この日


    ──䞭藀は、保健宀送りずなった


    第話 制止

    ──週間埌・昌䌑み──
    ヌ教宀


    うぇ〜  

    æ­Šç”°
    「だからよ」

    ああ、うん  

    æ­Šç”°
    「聞いおんのか 䞭藀」

    聞いおるよ  


    俺は今、

    机に突っ䌏しおいる。


    小林
    「歊田くん」

    æ­Šç”°
    「お   ああ」

    「わりぃ  」


    ──足音が離れおいく


    小林
    「倧䞈倫 勇人」


    そのたた、
    小林に顔を向ける。


    勇人
    「ああ  さんきゅ  」


    どうしたこうなった  


    初日、始業匏の朝。


    ──異様な空気

    ──突き刺さる芖線

    ──意識


    䜕かに突き動かされるように、

    必死の圢盞の歊田。


    ──誰も、䜕も蚀わない

    ──蚀えない  


    なんでこう  

    毎日毎日、グむグむず  


    二日目

    æ­Šç”°
    「よお 䞭藀」

    「昚日はすたなかったな」

    「そんでよ」

    以䞋略


    䞉日目

    æ­Šç”°
    「よお 䞭藀」

    「お前、もう身䜓だいぶいいんだろ」

    省略


    四日目

    æ­Šç”°
    「よお 䞭藀」

    「お前、暗いじゃ──

    略


    五日目

    æ­Šç”°
    「よお 䞭藀」

    「おた──

    ry


    今朝

    æ­Šç”°
    「──

    




    なう


    その郜床、
    小林が助けおくれるが  

    平然ずしおいる小林。

    い぀たでも
    頌っおる蚳にもいかんしな  

    平気なわけがない。


    呚囲のクラスメむトも、

    遠巻きに芋おいるだけだ。


    あい぀ら  


    田䞭・䞭条・倉本の人が
    チラッず目に入る。

    そりゃ気たずいわな  

    少なくずも、
    居心地が良いようには芋えない。


    他の男子も女子も、
    それぞれ䜕人かず぀集たっお、
    ヒ゜ヒ゜ず様子をうかがっおる。


    ──正盎なずころ  、
       あたり芳しくない 。


    あの時の、
    少し疲れたような
    神谷先生の顔が過ぎる。


    これがヶ月  

    そういうこずか  


    みんな、

    悪気がないのは分かる。


    そりゃ、誰も動けんわな  


    ──それだけに  


    そう考えるず  

    ──歊田の必死な顔

    すげぇな、あい぀  


    是非はずもかく。


    




    どうしたもんか  

    正盎、事故のこずはたるで芚えおない。


    あ  

    そういうこずか


    ──認識がズレおる


    いや、ズレおるのは俺か

    そりゃそうだわな


    珟実感がなく、

    浊島倪郎の気分だったが。


    みんな、あの日から続いおんだ


    劙にストンず萜ちる。


      


    このたたにはしおおけんよな


    身䜓を起こしお歊田を芋る。


    少し離れた垭に座る、
    曇った暪顔。


    小林
    「勇人 倧䞈倫」

    目をやるず、
    少し心配げな顔。


    完党にオカンだな


    頌もしい芪友の姿。


    それはそれで新鮮だったが

    い぀たでも甘えおられん


    しゃヌねぇ

    再び、歊田を芋やる。

    なるようになるだろ

    勇人
    「なあ、歊田」

    æ­Šç”°
    「お」


    歊田が振り返る。


    勇人
    「で、䜕だっけ」

    小林
    「っ、勇人」

    勇人
    「倧䞈倫倧䞈倫」

    巊手で軜く制す。


    少し明るい顔になる歊田。

    立ち䞊がり、

    æ­Šç”°
    「いや、だからよ」

    「い぀たでもこんな空気じゃ、
    よくねぇだろ」


    食い぀き  


    「お前も戻っおきたんだし」

    「もう、あの事故のこずは──」


    誰かが、

    ──小さく息を呑んだ。


    やべ  


    æ­Šç”°
    「い぀たでも匕きずっおおも、
    しょうがねぇっおいうか──」

    勇人
    「歊田、おた」

    小林
    「歊田くん」

    ほが同時だった。


    æ­Šç”°
    「え  」


    ようやく我に返ったのか。


    ──その時



    「歊田くん。」



    第話 抱擁

    ヌ教宀


    「歊田くん。」



    ──静かな、
      でも、よく通る声だった。



    葵
    「それ以䞊は、
    やめた方がいいず思う。」


    平方さん  


    ──静たる教宀

    ──静かに䜇む圌女


    芖界の隅で、
    唖然ず固たる西川陜葵。


    æ­Šç”°
    「あ  ぅ  」


    圌女の方を向いたたた、
    呆然ず俯く歊田。


    なんで平方さんが  


    息をするのも忘れたように、
    誰も䜕も蚀わなかった。


    あの子が他人に䜕か蚀うずこ、
    芋たこずあったか  


    歊田の暪顔が、
    苊しそうに歪む。


    æ­Šç”°
    「お  」

    お

    無理やり䜜ったような
    歪な笑み。

    æ­Šç”°
    「お前ら  」


    「そういう感じ」


      は


    平方さんが、
    わずかに目を芋開いたのが芋える。


    勇人
    「  お前」

    ビクッず振り向く歊田。

    勇人
    「そういうっおどういうこずだよ」


    ぀い、語気が匷くなる。


    æ­Šç”°
    「あ  いや  」


    ──そこぞ、


    葵
    「歊田くん。」


    静かに歩み寄る、圌女。


    「そういうこず蚀うず。」


    目の前で腕を䌞ばす。


    「女子に嫌われちゃうよ」


    ──ツン


    胞の䞭倮を指で突かれ、

    æ­Šç”°
    「はうっ  」

    奇劙な声を䞊げ、
    ヘナヘナずぞたり蟌む歊田。


    クリティカル  


    ──おお  


    誰かの声が挏れる。


    葵
    「䞭藀くん。」

    勇人
    「はい」

    䞍意に呌ばれ、
    反射的に声が出る。

    葵
    「倖の空気、
    吞いにいこ。」


    そう蚀うず、
    スタスタ歩き出す圌女。


    勇人
    「あ  ああ」


    埌を远い、
    教宀を出る。


    どこぞ  

    あそこか


    ずんずんず廊䞋を進む

    圌女の背䞭を远いかけた。


    欅のベンチ


    ──い぀ものベンチ


    えヌっず


    䌞びた欅の葉っぱが朚陰を䜜る。


    どうしたら  


    欅に巊手でもたれかかり、

    肩で息をする平方さん。


    結構、早足だったしな  


    少し離れお、
    その埌ろ姿を芋守る。


    そういう俺も、

    少し息が荒い。


    さっきは驚いた  


    教宀での出来事を思い返す。


    どう考えおも  


    圌女のむメヌゞじゃない。


    䜕かすごいもん芋たな  


    ──はぅっ  

    ──ぞたり蟌む歊田


    絵面は面癜かったんだが  


    誰䞀人、

    䞀歩も動けなかった。


    ん〜  

    腕組みをしお考え蟌む。


    倚分、みんなそうだよな  

    歊田の反応がたた  


    動く気配を感じ、
    目を開けるず、

    お

    䞡手で顔を芆っお
    うずくたっおらっしゃる。


    そっず近づき、

    勇人
    「あの  平方さん」


    返事がない。


    「倧䞈倫」


    泣いおる  

    蚳でもないのか


    どうするこれ  


    困り果おおいるず、



    「葵」──


    倧きな声。

    ビクッずなる圌女。


    顔を䞊げた圌女ず䞀緒に、

    声がした方を芋るず、


    葵
    「陜葵  。」

    枡り廊䞋に
    西川陜葵の姿。


    倧きく息を切らしながら、

    陜葵
    「──ハァ  、
    やっず远い぀いた  」

    「ちょっず埅っおね  」

    ──ハァ  ハァ  ハァ  

    䞡手を膝に぀いお
    息を敎える。


    どんだけ党力疟走  


    陜葵
    「あヌ、しんど  」

    そう蚀うず、
    身䜓を起こし、

    「葵ヌ、倧䞈倫ヌ」

    小走りに近寄る西川。

    葵
    「うん。」

    普段通りの衚情の平方さん。

    陜葵
    「あんた、盞圓無理したでしょ」

    ──ただ息が荒い

    葵
    「ううん。そんなこずないよ。」

    無理したのは西川もだろ  

    心の䞭でツッコむ。

    陜葵
    「䞭藀ぃ」

    ドキッ

    勇人
    「な  なんでしょう」

    やべ  

    陜葵
    「あんた、
    やるじゃん」

    ニンマリず笑う西川。

    勇人
    「えっず  」

    バレたかず  

    陜葵
    「葵があんなやっお
    人前で男子を助けるなんお、
    そうそうないよ」

    ワルい笑顔で
    りリりリず肘で突かれる。

    勇人
    「そ  そうなんですね」

    俺も初めお芋たよ  

    䟋の噂が頭をよぎる。


    陜葵
    「葵」

    ──ハッず芋るず、


    葵
    「陜葵  笑った  」

    ──呆然ず

    ──囁くように


    倧粒の涙が溢れた。


    西川が近寄る。

    バツが悪そうな笑顔で。

    そっず、抱きしめる。


    陜葵
    「ごめんね、葵」

    西川の肩に顔を埋め、
    ブンブンず銖を振る圌女。

    陜葵
    「あたし、
    自分のこずばっかだったわ」

    再床、銖を振る。


    えヌっず  

    俺はどうしたら  

    癟合の間に
    なんちゃらっおダツ  


    䞍謹慎なこずを考える。


    陜葵
    「䞭藀ぃ」

    勇人
    「ひゃい」

    今床こそダバい  


    陜葵
    「  あんがずね」

    勇人
    「ぞ」

    我ながら間の抜けた返事。

    陜葵
    「葵のこず」

    勇人
    「えヌず」

    こい぀  案倖  

    陜葵
    「いいのいいの」

    「こっちのこず」

    平方さんをいい子いい子しながら、
    あっけらかんず蚀い攟぀。

    䞀軍ギャルで、
     怖いむメヌゞだったけど


    陜葵
    「䞭藀っお呌びにくいねぇ」

    勇人
    「え  」

    そうか

    陜葵
    「あんた、䞭っちね」

    䞭っち  

    陜葵
    「あたしのこずも陜葵でいいよ」

    ニカっずいい笑顔を芋せる。

    勇人
    「あ  はい  」

    勢いに逆らえねぇ  


    陜葵
    「ほヌら、葵ヌ」

    「萜ち着いたかヌ」

    䞉床、銖を振る平方さん。



    こうしお、

    俺の意思に関係なく、

    勝手に俺の呌び名が

    決たったのだった。



    第䞀章・了


    第二章 動き出す教宀

    第話 萌し

    ヌ教宀

    陜葵
    「おヌ、䞭っちヌ」

    「おっはよぅ」


    満面の笑みで、
    元気よく挚拶しおくる西川。


    勇人
    「お  おう」

    「おはよう  」


    ──ざわめく空気

    男子の芖線が痛い  


    女子たちが、
    挚拶を亀わし合う。


    笑顔のたた、

    仲良しギャルたちにも挚拶しながら、

    自分の垭に向かっおいく西川。


    しかし、すげぇな  

    党く気にする玠振りがねえ  


    平方さんも挚拶を返し、

    静かな、嬉しそうな笑顔が、

    ふっず溢れるのが芋えた。


      良かったな


    圌女の笑顔を芋おいるず、

    自然ずそう思えた。


    小林
    「䜕があったの  」

    小声で聞かれ、

    勇人
    「ちょっずな  」


    ──なんず説明したもんか

    チラッず西川の様子をうかがう。


    もう人集りできおるし  


    仲の良かったギャルたちが、

    西川の呚りに集たっおいる。


    昚日、あの埌、
    教宀戻っおからすごかったもんな  


    ──昚日・昌䌑み──
    ヌ教宀


    陜葵
    「絵梚花えりかヌ、花音かのんヌ」


    戻るなり、
    䞀軍ギャルズに声をかける西川。

    急に呌ばれ、
    ビクッず振り向く人。


    陜葵
    「ちょっずいい」


    䞀瞬、
    キョトンず顔を芋合わせる人。

    すぐに向き盎り、


    絵梚花
    「どした」

    花音
    「なヌに ひたりん」


    少し戞惑いが芋える。


    陜葵
    「いやヌ」

    「心配かけちゃったなヌっお」


    苊笑いの西川。


    絵梚花
    「たぁ、そりゃね」

    花音
    「ひたりん党然笑わないんだもん」

    「心配したよねヌ」


    困った笑顔から、

    陜葵
    「ごめんお」

    ニッず笑い、

    「もう倧䞈倫」


    絵梚花
    「そうなん」

    花音
    「ひたりん埩掻」


    陜葵
    「うん」

    ピヌスする西川。


    坂䞋絵梚花も盞沢花音も、
    ようやく顔が綻ぶのが芋えた。



    それから  


    䌑み時間ごずに。


    ──喋る


    ──笑う


    ──戯れる



    初めは戞惑っおいた他の女子も、

    次第に銎染みはじめ、

    今朝に至っおは、

    お互い挚拶を亀わし合っおいる。


    いや  

    あい぀、マゞでハンパねぇな  


    ──䞭藀  あんがずね──


    昚日の、
    たったそれだけの蚀葉。


    あい぀も色々抱えおたのか


    今じゃ、その陰も芋えない。


    比べお  


    歊田の暪顔。

    自分の垭に座っお俯いおいる。


    萜ち蟌んでる  のか

    さすがの歊田も、

    アレには堪えたか


    ──鮮やかな平方さんのお手䞊み

    ──厩れ萜ちる歊田


    あれは  なぁ


    今曎ながら、
    少しニダけおしたう。


    しかし


    賑やかな女子。

    静たったたたの男子。


    察照的だな


    倉化に぀いおいけず、
    戞惑うように。


    たぁ  

    チラッず教宀の埌ろを芋る。

    アレだよなぁ  


    怅子にもたれかかったたた俯く、

    桜柀の姿が、芖界の隅に映る。


    隣には倧原。

    その前には䞉浊。


    片や、

    キャッキャする女子たち。


    片や、

    お通倜状態の男子トップ。


    そりゃな  


    小林
    「勇人」

    勇人
    「ん」


    急に小林に呌ばれ、
    促されお前を芋るず、


    æ­Šç”°
    「おい、䞭藀」

    うお い぀の間に  

    ──完党に䞍意を突かれた

    勇人
    「なんだ」

    æ­Šç”°
    「お前さ  」

    「平方の次は西川かよ  」

    勇人
    「あ」

    「䜕蚀っおんだ お前」


    æ­Šç”°
    「だっお、おかしいだろ」

    「昚日、あの埌、
    䜕があったんだよ  」


    小林
    「歊田くん」

    声を䞊げる小林。

    勇人
    「䜕っお  」

    麗しき女の友情を
    芋守っおただけだが  


    æ­Šç”°
    「なあ、なんでだよ  」

    「なんでお前ばっか  」

    食い䞋がる歊田。


    勇人
    「いや、俺も知らねえよ」

    小林
    「もうやめおよ」


    æ­Šç”°
    「ふざけんなよ  」


    目がダバい  


    「歊田」──

    暪から高橋が割っお入る。

    䞃海
    「そこたでにしなよ」


    æ­Šç”°
    「あ  」

    「䞃海  お前たで  」


    高橋を睚む歊田。


    䞃海
    「そういうこずじゃないでしょ」

    「いい加枛にしお」

    負けじず蚀い返す高橋。


    ──その時、


    「歊田ぁ〜」


    窓の方から、
    声が響いた。

    西川だ。


    陜葵
    「あんたさぁ」


    うっすら埮笑みながら。


    「病み䞊がりの䞭っちに、

    あんたり迷惑かけんじゃないよ〜」


    ハッキリ告げる。


    やっぱり䞭っち  


    ──ギリッ

    奥歯を噛み締める音。

    æ­Šç”°
    「  おぉ」

    「わりぃ  」


    スゎスゎず、
    自分の垭に戻る歊田。


    チラッず、
    歊田を心配そうに芋぀める高橋。

    それから、
    女子たちの方ぞ戻っおいった。


    すげ  


    チラッずこっちに
    アむコンタクトをするず、

    再び、
    女子たちのおしゃべりに戻る西川。


    その茪に、
    高橋も合流する。


    頌もしい  


    小林
    「すごかったね、
    西川さん  」

    勇人
    「おお  」


    そうこうしおいるず、


    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──


    朝の予鈎が鳎った。


    第話 勇人

    ──数日埌・昌䌑み──
    欅のベンチ

    勇人
    「ぞぇ〜、ミステリ  」

    葵
    「うん。」

    「霧蟻きり぀じ綟人あやずっお䜜家なんだけど。」


    勇人
    「霧蟻  」

    聞いたこずはあるな  


    葵
    「建物の構造を䜿った
    トリックが面癜くおね。」


    楜しそうに語る圌女。


    よっぜど奜きなんだな


    平方さんにしおは珍しく、
    熱が入る。


    勇人
    「俺はラノベしか読たないや」

    葵
    「ラむトノベル」

    勇人
    「そそ」


    葵
    「叀いのなら、子䟛の頃に、
    『ブラックファントム』っおいうのは
    読んだこずあるよ。」


    勇人
    「え マゞで」

    「俺も小林に借りお読んだよ」

    意倖だな  

    「でもあれ、ミリタリヌものだよね」


    葵
    「うん。」

    「サスペンスの芁玠もあっお、面癜かった。」


    勇人
    「あヌ、確かに」

    子䟛の頃だよな  

    「でも、意倖だな」

    「そういうのも読むんだ」


    葵
    「うん。」

    「今は、ミステリが倚いけど。」


    本の話だず、ホント生き生きするな


    ずたぁ、

    圌女ずは、

    倧分、砕けお話せるようになったず思う。


    教宀はずいうず。


    女子はキャッキャりフフ。

    男子はお通倜状態継続䞭。


    匕き続き、察照的だ。


    歊田は盞倉わらず絡んでくるが  


    あれ以来、その床に

    高橋や西川が止めに入っおくれる。


    ギャルっおすげヌわ  


    少し、
    西川のこずに想いを銳せた。


    ──同時刻──
    階廊䞋

    陜葵
    「ねヌ、葵芋なかったヌ」

    顔芋知りの女子は、銖を暪に振った。

    「そっかヌ、ありがず」


    あれ〜

    どこ行った〜


    さっきから探しおるけど、
    芋圓たらない。


    この陜葵さんが芋倱うずは


    思えばこの数ヶ月、
    あの子ずあたり話した蚘憶がない。


    バカだね、あたしは


    自分の芖野の狭さが嫌になる。


    あそこか


    階段の窓を開け、
    身を乗り出しお眺める。


    お いたいた


    い぀ものベンチに葵の姿。


    ん


    朚陰でよく芋えないけど、
    隣に男子のスラックス。


    䞭っち  だな

    ほほ〜ぅ


    ピンずきた。


      そっか


    安心したような、

    少し寂しいような。


    匷いなぁ  


    遠目にも、
    楜しそうに
    おしゃべりしおるのが分かる。


    うん、悪くない


    窓枠にもたれお、眺める。


    そこぞ、
    背埌から足音が近づいおきた。


    「なあ、陜葵」──

    名前を呌ばれ、

    陜葵
    「䜕 翔」

    暪目に返事をする。


    桜柀
    「䞭藀、芋なかったか」

    䞭っち

    陜葵
    「ん」


    片手で指をさす。


    無蚀で、

    あたしの埌ろから身を乗り出し、

    窓から倖を芗く翔。


    桜柀
    「あれは  平方ず䞭藀か」


    陜葵
    「邪魔、すんなよ」

    桜柀
    「  するかよ」


    短く吐き捚おるず、
    振り向いお歩き出す。


    そのたた、

    階段を降りおいく

    背䞭を芋送った。


    さお、あんたはどうすんの 翔


    ふわっず、
    颚が髪をなびく。


    春だねぇ


    ふず、空を芋䞊げる。


    うん、春だ


    霞んだ晎れ空が、

    やけに眩しかった。


    欅のベンチ

    勇人
    「そういやさ」

    「この前、ありがずな」


    葵
    「この前  」


    勇人
    「助けおくれただろ」

    「教宀で」


    葵
    「  」

    ん


    笑顔のたた、固たる圌女。


    ──刹那


    シュバッ


    むこうを向くのず同時に、

    俯き、䞡手で顔を隠す。


    勇人
    「あの  」

    「平方さん  」


    葵
    「  違うの」

    「あんな぀もりじゃ  」


    小さく呟く圌女。


      あ〜


    クリティカルヒットだったもんな

    歊田のダツ  


    耳たで赀くなっおるのが芋える。


    これ以䞊はあかんダツ  


    勇人
    「で  でもさ」

    「本圓に助かったよ」


    そう、改めお䌝えるず、

    手の隙間から

    チラッずこっちを芋る。


    勇人
    「無理しおくれたんだろ」

    「ありがずな」


    䞀瞬、間が空き、


    ──ふぅ  


    小さくため息が挏れる。


    こっちに向き盎り、

    葵
    「  うん。」

    「それなら、よかった。」


    そう蚀いながら、

    すたし顔を、

    䞡手でパタパタあおいでらっしゃる。


    こうやっお芋るず

    やっぱ普通の女の子だよな


    なんだか埮笑たしい。


    ず思ったその時、

    䜕かに気づいた顔をする圌女。


    ん


    枡り廊䞋の方から、

    足音が近づいおくる。


    「䞭藀」──

    呌ばれお振り向くず、

    桜柀
    「  ちょっず、いいか」


    勇人
    「あ  ああ」

    「いいけど」

    ビビった  

    「䜕か甚か」


    桜柀
    「その  」

    蚀葉に詰たる。

    えらい神劙だな  

    桜柀
    「悪かった」


    勇人
    「え  」


    桜柀
    「事故のこずだ」


    勇人
    「あ  あ〜」

    そりゃそうか  

    気にするわな

    「ごめん」

    「実は俺、あんたり芚えおないんだよ」


    桜柀
    「  」


    勇人
    「だからたぁ、気にすんな」

    「どうせ、
    わざず突き萜ずしたずかじゃ
    ないんだろ」


    桜柀
    「  ああ」


    そう、
    䞀蚀だけ残しお。

    背を向け、
    去っおいく桜柀。


    ちゃんず䌝わったんだろうか  


    埌ろ姿を芋送りながら、
    少し悩んでいるず、


    葵
    「あれ。」

    「桜柀くんの、粟䞀杯だね。」


    勇人
    「そうなの」


    葵
    「うん。」

    「圌は、そういう人。」


    そういうもんか  


    勇人
    「そうかぁ  」

    「マゞで気にしなくおいいんだけどな」

    「俺、本圓に芚えおなくおさ」


    あんたり気にされおもな  

    悩たしい  。

    そう思った時。


    葵
    「うん。」

    「勇人は、それでいいず思う。」


      ん


    䞀瞬遅れ、


    勇人
    「  ぞ」


    顔を向けるず、目が合った。


    葵
    「どうしたの」


    あ  いや  


    勇人
    「今  勇人っお  」


    少しだけ、

    銖を傟げお、


    葵
    「ダメ」


    勇人
    「いえ  そうゆう蚳では  」


    クスッず笑う平方さん。


    葵
    「私も、葵でいいよ」


    勇人
    「え  」

    「いやいやいや」


    葵
    「嫌なの」


    静かに、
    じっず芋぀めおくる。


    勇人
    「  いや」

    「そうゆう  事じゃ  」


    芖線が  



    「葵  さん」



    葵
    「あ、お、い。」


      いや  無理

      

      ええい たたよ


    勇人
    「葵  」


    ふふ、ず

    埮かに笑った。


    目が、
    固たっお動かせない。


    眩しい  


    透き通るような笑顔。


    萜ち着け これはフラグだ

    調子乗っお事故るダツだ



    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──


    ──ちょうど、予鈎が鳎った。


    葵
    「倧倉、戻らないず。」

    少し慌おる圌女。


    助かった  


    葵
    「早く戻ろ」

    「勇人。」


    そう蚀っお、

    早足で歩き出す圌女。


    その背䞭を、慌おお远いかけた。


    第話 空転

    ──翌朝・金曜日──
    ヌ教宀


    教宀に入たその瞬間、

    目が合った。


    勇人
    「  よぉ」


    桜柀
    「  おう」


    そこにいた、

    桜柀ず。


    焊った  


    たったそれだけのやり取り。

    お互い、自分の垭に向かう。


    昚日の今日でこれか  


    でも、

    昚日たでずは、

    少しだけ、違っお芋えた。


    「翔」──

    倧原が声をかける。


    䞉浊も混ざっお、

    人で䜕か話しおる。


    あい぀らの笑顔、
    戻っおから初めお芋たな


    垭に着くず、

    小林
    「  䜕があったの」

    小声で聞いおくる小林。


    勇人
    「実はな  」

    同じく小声で、
    昚日の桜柀のこずを話す。


    小林
    「  そっか」

    「よかった」

    少しホッずした様子。


    勇人
    「おう、ありがずな」

    ずっず心配かけおられんしな


    少し、教宀の様子を眺める。


    女子たちは賑やかだ。

    男子は  。


    䜕人かず぀集たっお、

    チラホラ談笑しおはいるようだ。


      


    歊田は。


    䞀人、

    自分の垭によっかかっお、

    しかめっ面でう぀むいおる。


    あい぀  

    昚日の、桜柀の謝眪を思い返す。

    結局、俺だけ、
    知らぬ存ぜぬじゃ枈たんよなぁ


    どうしたもんか  


    思案しおいるず、


    小林
    「勇人」

    再床、
    小声で話しかけおくる。


    勇人
    「お どうした」

    振り向く。

    小林
    「  たた考え事」

    勇人
    「ああ、ちょっずな」


    小林
    「  」

    「歊田くん」


    勇人
    「ん」

    鋭いな  

    「ああ  」


    少しう぀むき、

    小林
    「  勇人が」

    難しい顔を、
    暪に逞らしながら、

    「勇人が、
    無理しなくお  、
    いいんじゃないかな」

    絞り出す。


    小林  


    勇人
    「  ああ、そうだな」

    笑顔で、

    「無理はしねヌよ」

    そう返す。


    ず。

    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──

    ──予鈎だ。


    座り盎しお
      向きを倉え──

    途䞭で目が合った。


    平方さん  


    ぀い、目を逞らす。


    萜ち着け  


    ──勇人。──


    ないない  


    䞀人、
    悶々ずしおいるず、
    神谷先生が入っおきた。


    ──昌䌑み──
    ヌ教宀


    「歊田」──


    突劂、高橋䞃海の声が響く。


    なんだ


    芖線が集たる。


    æ­Šç”°
    「  んだよ、䞃海」

    歊田が鬱陶しそうに応じる。


    䞃海
    「あんたね  」

    「なんなのよ、今日は」


    高橋が捲し立おる。


    「朝からずヌっず䞍機嫌で」

    「いい加枛にしお」


    æ­Šç”°
    「うるせヌよ」

    「んだ、テメヌは
    俺の母芪か」


    䞃海
    「なによ  」

    「今日だけじゃないじゃない」

    「ずヌっず倉なテンションで呚りに絡んで」

    「みんなが困っおるの分かんないの」


    æ­Šç”°
    「んだず」

    「ふざけんなテメヌ」


    蚀い争いが続く。


    おいおい、倧䞈倫か  


    æ­Šç”°
    「うるせヌっおんだよ」

    「お前に関係ねヌだろが」


    䞃海
    「  あんた」

    「ホント、いい加枛にしおよ  」


    目に涙を溜めお、立ち尜くす。


    絵梚花
    「はヌい、そこたで」

    坂䞋が割っお入る。

    花音
    「ななみん泣いおんじゃん」

    「かわいそうに」

    高橋を抱き寄せ、
    むむコむむコする盞沢。


    æ­Šç”°
    「っ  、ク゜」

    吐き捚おる歊田。


    絵梚花
    「倧䜓は䞃海のいう通りじゃん」

    「なんなの、あんた」


    止めるず思いきや  


    æ­Šç”°
    「うるせヌよ  」

    「お前らに䜕が分かんだよ  」

    次第に、語気が匱くなる。


    花音
    「分かるわけないよねぇ」

    絵梚花
    「そうそう」

    「おいうかさ」

    「関係ないっお、
    十分巻き蟌たれおるんですけど」

    花音
    「ホントだよね〜」

    「ななみんだっお、
    ずっずトモくんのこず気にしお
    止めおくれおたのにね〜」


    すげぇ連携  


    ──ギリッ

    歯軋りか。

    䜕も蚀い返せず、

    立ちすくむ歊田。


    ギャル怖え  


    そこぞ、

    「歊田ぁ」──


    陜葵さん、参戊  


    陜葵
    「あんたさぁ、
    顔ず態床に出過ぎなんだよ」

    「そこたでにしずきな」


    トドメ  


    æ­Šç”°
    「  」

    力なく、ドカッず座りこむ。


    盞沢ず坂䞋の人は、

    高橋を慰めながら、

    女子の茪に戻っおいく。


    女子怖い  


    歊田の暪顔をうかがう。


    苊悩  か


    険しい顔をしおいる。


    女子は  


    高橋をみんなで慰めおいる。


    平方さんも


    圌女が、
    高橋に話しかけおいるのが芋える。


    そういや、仲良かったもんな


    しかし、この空気  


    䜕も蚀えねぇ  


    第話 䞍噚甚の果お

    ──攟課埌──
    駐茪堎


    「䞭藀」──

    垰ろうずチャリ眮き堎に来たずころで、

    埌ろから呌び止められた。


    この声は  


    振り向くず、

    小林
    「歊田くん  」

    歊田だ。


    勇人
    「  なんだ 歊田」


    眉間のシワすごいな  


    しかめっ面のたた、

    目を逞らしおう぀むく。


    小林
    「僕たち、今から垰るずこなんだけど」


    æ­Šç”°
    「  」


    無蚀のたた、

    返答はない。


    小林
    「  もう垰ろう、勇人」


    そう蚀うず、

    荷物をカゎに詰め始める。


    䞀方、
    歊田はそのたた動かない。


      しゃヌねヌか


    そう思い、

    振り向いた、その時。


    æ­Šç”°
    「  䞭藀」

    「  ちょっず、いいか」


      随分、思い぀めおんな  


    荷物をカゎに詰め、

    勇人
    「なんだ」

    向き盎る。


    æ­Šç”°
    「  ちょっず、ここじゃ  」

    盞倉わらず、う぀むいたたただ。


      たぁ、確かに人目に぀くしな


    勇人
    「そんなら、どこいく」

    小林
    「勇人」

    鋭く制止する小林。

    そりゃ、止めるよな

    勇人
    「倧䞈倫だっお」

    「どの道、逃げられんだろ」

    「お前が心配しおくれるのは、
    分かるんだけどさ」

    軜くりィンクしおみせる。


    そんな心配そうな顔すんなよ  


    そのたたう぀むく小林。


    早いずこケリを぀けおやらんずな


    歊田の方に向き盎る。


    勇人
    「埅たせたな」

    「行こうぜ」


    



    



    校舎裏


    前を行く歊田が、立ち止たる。


    ここなら、たぁ


    背を向けたたた、
    立ち尜くしお動かない。


      ん〜


    勇人
    「で、話っお䜕だ」


    æ­Šç”°
    「  」


    勇人
    「歊田」


    æ­Šç”°
    「    かんねぇ  」

    勇人
    「ん」


    ようやく振り向く歊田。


    æ­Šç”°
    「  分かんねぇよ」


    勇人
    「分からんっお  」

    「呌んだのお前だろ」


    æ­Šç”°
    「平方も  西川も  䞃海も  」

    「桜柀たで、あんな  」


    いや、俺に蚀われおも  


    æ­Šç”°
    「なんで、みんなお前なんだよ」


    勇人
    「いや、知らねぇよ」

    「俺だっお分からんし」


    æ­Šç”°
    「  」

    「俺だっお  」

    「  」


    再び、
    苊しそうに黙る歊田。


    勇人
    「  で」

    「お前はどうしたかったんだ」


    æ­Šç”°
    「  」

    「俺だっお  」

    「どうにかしたかったんだよ」


    たぁ、それは分かる


    æ­Šç”°
    「でも、䜕やっおも滑っお  」

    「䜕蚀っおも倉になっお  」

    「気づいたら、俺だけ  」


    勇人
    「だったら、そう蚀えよ」


    æ­Šç”°
    「蚀えるかよ」


    勇人
    「知らねぇよ」

    「蚀わなきゃ分かんねぇだろ」


    æ­Šç”°
    「  」

    「ク゜っ  」


    バッずう぀むく歊田。


    目の蟺りが光ったよな  


    勇人
    「  たぁ、座ろうぜ」

    「疲れたわ」


    そのたた校舎に近寄り、
    壁にもたれお座る。


    埌に続いお、
    ドカッず腰を䞋ろす歊田。

    う぀むいたたた、
    䜕も蚀わない。


    どうしたもんかね、こりゃ  


    そのたた、

    お互い無蚀のたた。


    空を眺める俺。

    う぀むく歊田。


    勇人
    「  なぁ、歊田」

    æ­Šç”°
    「  」

    勇人
    「実は、俺な」

    「芚えおねぇんだわ、事故のこず」


    初めお、
    歊田がビクッず反応し、
    こっちを向いた。


    構わず続ける。

    勇人
    「この前、
    桜柀にも蚀ったんだけどな」

    「事故のこずは、
    芪から聞いおる」


    æ­Šç”°
    「  」


    勇人
    「お前は、
    別に䜕もしおないんだろ」

    「だから、
    もういいよ」


    再び、
    歊田がう぀むく。


    æ­Šç”°
    「じゃっ  じゃあ  」

    「俺は  なんのために  」


    嗚咜が挏れる。


      

    たぁ、こい぀も  


    そのたた、
    空を芋぀めおいた。


    



    



    どれくらい経っただろうか。


    æ­Šç”°
    「  俺」

    おもむろに、
    歊田が口を開く。

    「俺、バカみおぇだな  」


    勇人
    「  そうだな」


    フッず歊田が笑う。


    æ­Šç”°
    「  それ、
    慰めになっおなくね」


    勇人
    「そうだな」


    ぀られお俺も、
    フフッず笑う。


    æ­Šç”°
    「ふふっ  ははは  」

    笑い出す歊田。


    二人で、
    そのたたしばらく笑っおいた。


    駐茪堎前

    小林
    「勇人」

    小林が、
    心配そうに声を䞊げた。


    勇人
    「おヌ、ワリィ」

    「埅たせたな」


    小林
    「それはいいんだけど  」

    そう蚀っお、
    チラッず歊田の方を気にする。


    勇人
    「たぁ、なんずか、な」

    歊田を芋やる。

    æ­Šç”°
    「おお、
    埅たせお悪かったな、小林」


    小林
    「  そうなの」

    「それならいいんだけど」


    ただ少し䞍安そうだ。


    勇人
    「おお、
    歊田が泣いお倧倉だったぜ」

    æ­Šç”°
    「おたっ それ蚀うか」


    苊笑いで応じる歊田。


    小林
    「泣かしちゃったの  」

    勇人
    「泣かしたっおゆうか  」


    æ­Šç”°
    「たぁ 现けぇこたぁいいのよ」

    「お陰でスッキリしたぜ」


    勇人
    「そりゃよかったな  」

    「そんじゃ、垰りたすか」

    æ­Šç”°
    「おう」

    小林
    「そうだね〜」


    æ­Šç”°
    「  小林」


    小林
    「ん」

    「䜕 歊田くん」


    æ­Šç”°
    「その  、
    悪かったな、今たで」


    小林
    「  うん、もういいよ」

    「勇人がスッキリしたなら、
    僕からは䜕も」


    æ­Šç”°
    「  ああ」


    人ずもスッキリした顔だな


    勇人
    「そんじゃな、歊田」

    「たた明日」


    æ­Šç”°
    「おう たた明日な」


    こうしお、

    俺たちは、

    チャリ眮き堎を埌にした。


    ──週明け・月曜朝──
    ヌ教宀


    æ­Šç”°
    「おヌ、䞭藀」

    「おはよ」


    勇人
    「おう おはよ」


    第話 远い぀いおきた珟実

    ──数日埌──
    ヌ教宀


    それは、

    朝のホヌムルヌムでの出来事だった。


    神谷先生
    「いいか、お前ら。」

    「今日は、
    䞭間テストの日皋発衚だ。」


    ──ん


    神谷先生
    「来月。」

    「ゎヌルデンりィヌク明けの翌週から、
    䞭間テスト期間に入る。」


    ──䞭間  テスト  


    神谷先生
    「䞉幎生の最初の䞭間テストは、
    受隓も芋据えた重芁なものだ。」

    「これたでの既習範囲も含めた、
    総埩習圢匏になる。」

    「心しおかかれよ。」


    ──総埩習ずは  


    神谷先生
    「詳しいこずは、
    各教科の先生から聞くように。」

    「では、ホヌムルヌムはここたで。」


    「起立、気を぀け」──


    日盎の号什が響く。


    ──は   マゞか  


    神谷先生
    「䞭藀」


    ──はっ


    勇人
    「はいい」


    神谷先生
    「ボヌッずしお、どうした」

    「号什だぞ。」


    勇人
    「  あ、すいたせん」

    急いで立ち䞊がる。


    「瀌」──


    みんなず瀌をしながら、

    䞀人、考えた。


    ダベェ  


    ──䌑憩時間──
    ヌ教宀


    æ­Šç”°
    「いや  ダベェよな  」

    勇人
    「おお  マゞで  」


    人、頭を抱える。


    小林
    「だから心配しおたんだよ」

    勇人
    「はい  」


    æ­Šç”°
    「  なぁ、小林」

    「えっず  既習範囲だっけ」

    「総埩習っおこずは、
    今たでやったずこ党郚っおこずか  」


    小林
    「そういうこずになるね  」


    勇人・歊田
    「おおぉ    」


    マゞでどうすんだ、これ  


    小林
    「  ずもかく、
    䞀぀ひず぀朰しおくしかないよ  」

    「僕も協力するし」


    æ­Šç”°
    「神か」

    勇人
    「おお  、
    神様、仏様、小林様  」


    ──ふぅ  


    小さくため息を぀く小林。


    歊田ず人で拝み倒した。


    ──昌䌑み──
    欅のベンチ


    「来おたんだ 勇人」──


    声をかけられ、

    顔を䞊げる。



    勇人
    「ああ  平方さん」


    葵
    「  」

    「悩み事」


    勇人
    「ちょっずな  」


    葵
    「そっか。」

    「倧倉そうな感じ」


    勇人
    「ん〜  」

    葵
    「  」


    流石に、
    恥ずかしくお蚀えんな  


    ぀い、

    女子の前で芋栄を匵っおしたう

    思春期な自分


    しかし

    䌑み時間に、
    小林が委員長ず盞談しおたな  


    早速、動いおくれた、

    芪友の姿が思い浮かぶ。


    しおもらっおばっかっおのも  


    そういえば  


    頭いいんだったな、平方さん

    厚かたしいか  


      いや

    ここは、恥を忍んで  


    勇人
    「平方さん 」


    こっちに顔を向ける圌女。


    勇人
    「実は、ちょっず頌みが  」

    葵
    「  」


      あれ


    静かに埮笑んでらっしゃる。


    無蚀で  。


    勇人
    「あのぅ  」

    「  平方さん」


    うん、いい笑顔だ


    葵
    「  」

    勇人
    「  」

    葵
    「  」


    勇人
    「  葵」


    葵
    「うん。」

    「もしかしお、䞭間テスト」


    バレバレか  


    勇人
    「実は  そうなんです  」


    葵
    「うん。」

    「勇人は、
    進玚のための補講で
    倧倉だったし、
    しょうがないよ。」

    「私でよければ、
    協力するよ」


    女神か  


    勇人
    「恩に着たす  」

    「あヌでも、
    小林が色々動いおくれおお」


    葵
    「小林くん」


    勇人
    「そそ」

    「実は歊田もダバくおな  」

    「委員長ずかに盞談しおた」


    葵
    「そうなんだ。」

    「そうしたら、
    みんなで集たっおやるのはどう」


    勇人
    「お」


    葵
    「図曞宀なら、
    攟課埌にみんなで
    勉匷しおおも倧䞈倫だず思う。」


    なるほど  


    勇人
    「そんじゃ、
    先、戻っお盞談しおくるわ」


    葵
    「うん、  あっ。」

    「よかったら、
    亀換しない」


    勇人
    「  」


    葵
    「うん。」

    「盞談しやすいかなっお。」


    誰ず  

    俺が  


    葵
    「ダメだった」


    勇人
    「  あ、いやいやいや」

    「そうゆう蚳では  」


    葵
    「じゃあ、はい。」


    スマホを差し出す圌女。


    女子ず亀換ずか  、
    初めおなんだが  


    慌おおスマホを取り出す。


    しかも平方さんだぞ  


    葵
    「ん、これで倧䞈倫だね。」


    勇人
    「あ  ああ」

    「ありがずう」

    「そんじゃ、
    先、戻るわ」


    笑顔で手を振る圌女に背を向け、

    ダッシュで教宀に戻った。


    ヌ教宀

    小林
    「え  
    平方さん  」

    勇人
    「おう」

    æ­Šç”°
    「マゞか  お前  」


    教宀に戻り、

    人に事情を説明したら。


    æ­Šç”°
    「でかした、䞭藀」


    劙に嬉しそうだな  


    勇人
    「そんで、攟課埌、
    みんなで図曞宀でやろうっおさ」

    小林
    「なるほど」

    「それ、いいかもね」

    æ­Šç”°
    「っしゃヌ 燃えおきた」


    「盞倉わらずうるさいわね、歊田」──


    割っお入っおくる高橋。


    æ­Šç”°
    「うるせヌな、䞃海」

    「俺は今、
    か぀おない皋に
    勉匷に燃えおんだよ」


    䞃海
    「どうせ、葵狙いでしょ」

    呆れ顔でツッコむ。


    あ、やっぱか


    そのたた、小林ず話し始める高橋。


    のこずは黙っずこ  


    䞃海
    「なるほど、
    そういう感じか〜」

    小林
    「どうかな 高橋さん」


    高橋にも盞談しおたのか  


    䞃海
    「うん、いいんじゃない」

    そう蚀うず、

    振り向き、

    䞃海
    「委員長ヌ」


    委員長の早坂さんに

    声をかける。


    真琮
    「䜕 高橋さん」

    寄っおくる委員長。

    䞃海
    「あのね──」


    説明し始める高橋。


    真琮
    「平方さんが」

    䞃海
    「うん、そうそう」


    䜕か考え蟌む委員長。


    真琮
    「うん、いいず思う」

    「そうしたら、
    明日、準備しお集たろっか」


    䞃海
    「そだねヌ」

    「あたし、葵にも蚀っずくね」


    真琮
    「うん、お願いしたす」


    あっずいう間に

    決たっおしたった。


    䞃海
    「あんたらも、
    ちゃんず準備しおくるように」


    勇人・歊田
    「はい  」


    真琮
    「そうしたら、小林くん」

    「亀換しよっか」


    小林
    「え、うん」


    頌りになる幌銎染だぜ  


    そうこうしおいるず、


    ──キヌンコヌンカヌンコヌン──


    ──予鈎が鳎った。


    第話 玄束

    ──翌日・攟課埌──
    図曞宀

    æ­Šç”°
    「で  、
    ログっお結局䜕なんだ  」

    勇人
    「そりゃお前  、
    ずか昔に遡るダツ  」

    æ­Šç”°
    「過去ログじゃねヌよ」

    小林
    「勇人  」

    䞃海
    「あんたら  、
    盞圓よ それ」


    高橋の向こうで、

    頭を抱える委員長。


    䜕も蚀い返せねぇ  

    歊田ず人でシュンずなる。


    平方さんはず蚀うず  。


    なんかものスゲヌ勢いで
    打っおるな  

    自前のタブレットらしい。


    小林
    「ずりあえず、
    定矩から芋盎そっか」

    æ­Šç”°
    「定矩  」

    小林
    「これがこうなっおるから  」

    勇人
    「おお  それは分かる  」


    小林
    「䟋えば、
    のが  」

    æ­Šç”°
    「なんでそれがなんだ  」

    勇人
    「぀たり、
    ずをどうにかしおに  」

    小林
    「いや、
    指数だから  」

    æ­Šç”°
    「なんで指数が  」


    完党なるカオスである。


    真琮
    「぀たり、
    指数だけ取り出しお蚈算するの」


    æ­Šç”°
    「なんで  」

    「普通に蚈算すりゃいいじゃん  」


    勇人
    「こんなん䜕に䜿うんだよ  」

    æ­Šç”°
    「それな  」


    再び頭を抱える委員長。



    「倧きい数字を、
    盎接蚈算しなくおいいから」──



    静かな声がした。


    芋るず、

    平方さんがタブレットから

    顔を䞊げおいた。


    葵
    「は、
    数字を指数に盎しお芋るための道具。」

    「今回は、を底にしお芋る。」

    「䟋えば、掛ける割る。」


    勇人
    「  えヌず」

    「いく぀だ  」


    葵
    「普通にやるず、
    掛けるで。
    それをで割っお。」


    æ­Šç”°
    「デカいな  」


    葵
    「順番を倉えお、
    割るは。
    だから、に掛けおもいい。」

    「でも、の环乗で芋るず」

    「は、の乗。
    は、の乗。
    は、の乗。」

    「だから、
    足す匕く。」


    勇人
    「  」

    葵
    「うん。」

    「だから、で芋た答えは。」

    「実際に蚈算しおみるず、
    ほら、の乗はになるでしょ」


    æ­Šç”°
    「数字、デカくしおねぇ  」

    葵
    「うん。
    指数だけ芋たから。」


    勇人・歊田
    「おお  」


    唖然ずする委員長ず小林。


    æ­Šç”°
    「ダベェ  、
    䜕か分かったかも」

    勇人
    「さっきの問題  」


    æ­Šç”°
    「  」

    「なんでこれがこうなるんだ  」

    頭を抱える歊田。


    䞀方、俺は、

    勇人
    「あかん  」

    ボヌッずする頭で

    呚囲を眺める。

    䞀瞬、
    分かった気がしたんだが  


    その時、

    「早坂さん、ちょっずいい」──

    平方さんが委員長に声をかける。


    タブレットを芋せお、

    䜕か話しおいるようだ。


    小林
    「勇人  倧䞈倫」

    勇人
    「煙が出そうだ  」


    



    



    真琮
    「なるほど  」

    「具䜓的なむメヌゞか  」


    葵
    「うん。」

    「勉匷が苊手な人っお、
    そもそも、『䜕を芋たらいいか』が
    むメヌゞできなかったりするから。」


    真琮
    「うん、なんずなく分かる」

    「じゃあ、
    これでスケゞュヌル立おおみよっか」

    葵
    「うん。」

    真琮
    「そうしたら、
    私、スケゞュヌル立おるね」


    流石、早坂さん。

    頌りになる。


    真琮
    「平方さんは人をお願い」

    葵
    「うん、分かった。」


    これで、
    少しは勇人の助けになるかな  。


    真琮
    「みんな〜」

    「少し䌑憩しよっか」


    図曞宀の時蚈を芋るず、

    時を少し回ったずころだ。


    勇人
    「俺  ちょっず歩いおくるわ  」

    真琮
    「分には再開するね」

    勇人
    「おヌ  分かった  」


    歊田くんは、ぐったりしおいる。


    勇人が、

    ぐっず勢いを぀けお立ち䞊がる。


    あ  私も  

    慌おお、

    鞄にしたっおあった物を取り出す。


    葵
    「私も、ちょっず出おこようかな。」

    勇人
    「お
    そんなら䞀緒にぶら぀く」

    葵
    「うん。」

    「早坂さん。
    スケゞュヌル、お願いしたす。」


    真琮
    「任せお」


    そうしお、

    私たちは、図曞宀を埌にした。


    階・廊䞋


    倧分、疲れた顔しおる  。


    隣を歩く圌の暪顔に、

    疲れが芋える。


    時折、

    「うぇえ  」ずか蚀いながら、

    フラフラ歩く圌。


      

    もしかしたら  


    怪我の圱響もあるのかもしれない。


    頭郚の倧怪我だったし。


    月頃のこずを思い返す。


    あれから、もうヶ月。


    圌ず、あのベンチで出䌚ったのは、

    ただ桜も咲いおいない時期だった。


    でも  

    たったヶ月  


    そしお、

    圌がクラスに埩垰しおからは、

    ただ週間も経っおいない。


    それなのに  


    陜葵の笑顔が戻った、あの日。


    䜕も分かっおないような顔をする圌。


    きっず、勇人の䞭ではそうなんだろうな。

    でも  


    間違いなく、

    教宀の空気は倉わった。


    桜柀くんも、歊田くんも。

    陜葵も、  そしお私も。


    ただ、

    ぎこちなさはあるけれど。


      

    今床は、私が助ける番。


    その時、

    芖界がふず開ける。


    ここ


    こっちを芋お、


    勇人
    「ちょっず座っおこうぜ」


    苊笑いしながら、

    そう蚀う圌。


    「やっぱ、
    平方さんず蚀えばここだろ」


    ──い぀もの、欅のベンチ。


    たた、「平方さん」  


    家族も芪しい友人も、

    みんな、私を名前で呌ぶ。


    勇人も名前でいいのに。


    お構いなしに進んでいく圌。


    もう  


    ベンチに腰かける圌。

    空いた偎に、私も座る。


    勇人
    「あ゛〜、疲れた  」


    早速、厩れかかる。


    葵
    「勇人。」

    勇人
    「ん」

    葵
    「数孊もだけど、英語ずか倧䞈倫」

    勇人
    「英語  」

    半分泣きそうな顔。

    「  壊滅的」


    葵
    「そっか。」

    「これ、よかったら。」


    持っおきた物を差し出す。


    勇人
    「え   これは  」


    葵
    「私が䜿っおた、英単語・熟語垳。」

    「よかったら、䜿っお。」


    勇人
    「マゞ   いいの」


    葵
    「うん。」

    「私は、倧䜓芚えたから。」


    勇人
    「おおヌ、マゞかぁヌ」

    パラパラずペヌゞをめくる圌。

    「サンキュヌ
    平方さん」


    葵
    「  」

    たた  


    勇人
    「  葵」

    葵
    「うん。」

    そんなに嫌なのかな  


    ふず、スマホを確認する。

    時間だ。


    葵
    「そろそろ時間。」

    「戻ろっか。」


    勇人
    「おお  そうだな  」


    図曞宀たで、少し急ぎ足で戻った。


    第話 包囲網

    図曞宀


    図曞宀に戻るず、

    æ­Šç”°
    「マ゛ゞか゛ぁ゛  」

    歊田がくたばっおた。


    䜕があった  


    小林
    「あ、勇人、平方さん」

    勇人
    「どしたん」

    小林
    「それが  」


    蚀い淀む小林。

    間髪入れず、

    「いよ〜、䞭っち」──

    奥から声が響く。


    勇人
    「なんだ   西川も来おたのか」


    陜葵
    「陜葵でいいっお蚀っおんじゃん」

    「たぁ、あんたら心配だからさ」

    「この陜葵さんも来おあげたよ」


    䞀気に賑やかになったな  


    葵
    「陜葵。」

    陜葵
    「葵〜、こい぀らどう」

    葵
    「うん。
    スケゞュヌル立おようっお。」

    陜葵
    「あ〜、委員長に聞いたわ」


    チラッず委員長に目配せする。


    嫌な予感  


    真琮
    「お垰り、䞭藀くん」


    ニッコリず、埮笑む委員長。


    勇人
    「ただ  いた  」


    真琮
    「スケゞュヌル、組んでおいたよ」


    ニコニコず、

    玙を差し出す委員長。


    どれどれ  

    う゛っ


    真琮
    「䞭間テストたで、
    残り週間ちょっず」

    「䞀刻の猶予もないわ」


    メラメラず燃え盛る炎が芋える  。


    ゎヌルデンりィヌクが  

    図曞通猶詰りィヌク  だず  


    暪から芗き蟌む平方さん。


    葵
    「うん。」

    「なんずかギリギリだね。」


    勇人
    「ギリ  ギリ  」


    葵
    「うん。」

    「間に合うっおこず。」

    ニコリず埮笑む。


    勇人
    「  あ〜、
    嬉しい  なぁ  」


    歊田がくたばっおた理由はこれか  


    真琮
    「流石に、
    党員が毎日っお蚳に
    いかないだろうし」

    「勉匷を芋る方も、
    予定組たないずだね」


    陜葵
    「あんたら、
    感謝しなさいよ〜」

    「぀いでに、
    グルヌプ䜜っずいたから、
    党員入っずいおね〜」


    それぞれ、

    スマホを出しお登録しあう。


    䞃海
    「ほら、歊田」

    ピクリずも動かない歊田を促す高橋。


    真琮
    「ずりあえず、
    日々の予習・埩習は必須ずしお」

    「どこから手を぀けるべきかしら  」


    葵
    「英語の長文音読だず思う。」


    真琮
    「音読  」


    葵
    「うん。」

    「英語が苊手な人は、
    英語を日本語に盎そうずしお
    苊劎しおるこずが倚くお。」

    「でも、蚀語っお、
    たずは音からなの。」


    真琮
    「  確かに、赀ちゃんは、
    いきなり文法から孊ばないもんね  」


    葵
    「そう。」

    「だから、音読しお、
    自分の声を脳に聞かせながら、
    むメヌゞする緎習をするのが効果的。」


    真琮
    「なるほど  」


    葵
    「ただ、
    これはどうしおも時間がかかるから、
    なるべく早く。」

    「できれば、
    今日からでもやった方がいい。」

    「週間でギリギリかな。」


    勇人
    「それをやれば、
    点取れるように  」


    葵
    「そう簡単には、いかないかな。」


    クスッず笑う圌女。


    葵
    「でも、長文を぀くらい、
    空で暗唱できるようにするず、
    党然違っおくるよ」

    「音で聞いお、
    そのたたむメヌゞで
    理解できるようになるから。」


    小林も、委員長や高橋も、

    静かに聞き入っおいる。


    葵
    「英文を敎理しお理解するための
    時間ず゚ネルギヌを
    節玄できるようになるし。」

    「それを土台に文法を芚えおいけば、
    さらに敎理しやすくなる。」

    「そうやっお䜙裕ができた分、
    問題を考える時間に圓おられるの。」

    「そうすれば、
    リスニングも、リヌディングも、
    ラむティングも、党郚底䞊げされるから。」


    シヌンず静たり返る䞭、

    西川だけがニダニダしおいる。


    陜葵
    「あんたら、
    これ、ガチだかんね」

    「あたし、
    このお陰で順䜍䞊がったんだから」


    æ­Šç”°
    「えヌ、䜕䜍なんよ」

    陜葵
    「䜍前埌だよ」

    æ­Šç”°
    「クラスの」


    陜葵
    「あっきれた」

    「あんた、
    順䜍発衚芋おないの」

    「孊幎䜍ですぅヌ」


    æ­Šç”°
    「はぁ マゞで」

    陜葵
    「あんた  、
    あたしを䜕だず思っおんの」

    æ­Šç”°
    「あ  いや  」


    真琮
    「  それで、
    平方さんは、䜕䜍くらいなの」


    葵
    「私」

    「䜍くらいだよ。」


    真琮
    「䜍  」


    䞃海
    「どしたの 委員長」


    真琮
    「え  うん  」

    「  平方さん、
    䞀幎の最初の䞭間テスト  」

    「確か、トップだったよね」


    ──「え  」


    䜕人かの声が被った。


    あの噂  


    陜葵
    「あちゃ〜」

    「バレおるよ、葵」


    ニダニダが止たらない西川。


    え

    どうゆう  


    葵
    「陜葵  。」


    少し、困った顔をする圌女。


    真琮
    「  やっぱり  そうなの」

    「なんで」


    葵
    「  、
    䞁床いいから、かな」


    ちょうどいいずは  


    真琮
    「䞁床いい  」

    「  」


    考え蟌む委員長。


    真琮
    「  分かった」

    「ちょっず予定を組み盎すね」

    「倚分、人の察応は、
    平方さんにお願いした方がいいず思う」

    「私は、党䜓のスケゞュヌル管理ずサポヌト」

    「高橋さんは、歊田くん」

    「小林くんは、䞭藀くん」

    「それぞれ、
    人の分からないずころの掗い出しず、
    平方さんの手が回らない所の補助」


    「西川さんは  」


    陜葵
    「あたし
    こい぀ら芋匵っずくよ」


    唖然ずした埌、

    クスッず笑い、

    真琮
    「それが良さそう」

    劙に玍埗する委員長。


    信甚ねぇ  


    真琮
    「それじゃあ、
    スケゞュヌル衚を共有するから、
    各自で申告しおください」


    みんな、無蚀でうなずく。


    俺らだけ、
    党日皋埋たっおる気がする  


    誰もそのこずには觊れないたた、

    この日はお開きずなった。


    第話 図曞通

    ──ゎヌルデンりィヌク・初日──
    県立図曞通・受付前


    勇人・歊田
    「おおお〜  」


    初めおの県立図曞通。


    勇人
    「すっげぇ  」


    むメヌゞず党然違う、

    ガラスの向こうに芗く通内。


    小林
    「少し前に、
    移転で話題になっおたけど  」


    円圢の造りに、

    䞭心郚の倧きな吹き抜けず倩窓。


    葵
    「党囜的にも有名なんだよ。」

    「ここ目圓おに、
    芳光にくる人がいるくらい。」


    勇人・歊田
    「ぞぇ〜  」


    それはたるで、

    異䞖界ファンタゞヌのような  。


    䞃海
    「話には聞いおたけど、
    すごいね  」

    小林
    「平方さんは、
    よく来るの」


    葵
    「月に、回かな。」

    そう蚀い぀぀、

    チラッずスマホを確認する。


    俺たちは今、

    県立図曞通に来おいる。


    今日から、
    図曞通猶詰りィヌクが始たる  


    補講地獄の蚘憶が蘇る。


    でも


    呚囲に目をやる。


    今回は、䞀人じゃないんだよな


    ふず、平方さんに目が止たる。


    あの時は、
    あのベンチで平方さんず  

    しかし、こうやっお芋るず、
    私服姿が新鮮だな  


    玺のカヌディガンず

    ラむトグレヌのロングスカヌト。


    掟手じゃない倧人しめの雰囲気が、

    知的な圌女によく䌌合う。


    そんなこずをがんやり考えおいるず、

    やべ  


    ──目が合った。


    埮笑んだ気がする  

    ぀い、目を逞らす。


    䞃海
    「それにしおも、
    陜葵ず委員長、遅いね〜」


    葵
    「次のバスみたい。」

    「もう着くっお。」


    そうこうしおいるず、

    図曞通の正面自動ドアが開く。


    陜葵
    「ごめヌん
    遅くなったヌ」

    真琮
    「みんな、
    お埅たせ」


    最埌の人がそろった。


    葵
    「倧䞈倫。」

    䞃海
    「䞀応、
    埅ち合わせ時間たで
    あず分だし」

    陜葵
    「うひヌ、
    ギリギリじゃん」

    真琮
    「こんなに時間かかるずは
    思わなかったね」

    陜葵
    「ホントよぉ〜」

    少しりンザリした顔をする。


    葵
    「でも、
    間に合っおよかった。」

    陜葵
    「そうね」

    「さお」

    「男子もそろっおる」


    勇人・歊田
    「ぞぇ〜い  」

    小林
    「これで党員だね」


    陜葵
    「そんじゃ、
    入ろっか」


    図曞通・ラヌニングスペヌス

    æ­Šç”°
    「で、ここが関係代名詞だろ」

    䞃海
    「  あんたの口から
    関係代名詞ずか聞くず新鮮ね  」

    æ­Šç”°
    「どうだ
    俺だっお進歩しおるんだぜ」

    䞃海
    「はいはい、
    調子乗っおないで、続き」


    倫婊挫才かよ  


    猶詰スケゞュヌルPresented by 委員長

    に埓っお、今は英語の時間だ。


    葵
    「うん、そうそう。」

    髪の毛を耳にかけるず、

    「そこは、
       の第文型だから、
    合っおるよ。」

    目の前で暪顔が芗く。


    やばい  超いい匂い  


    葵
    「勇人」

    そのたたこっちを向く。

    勇人
    「あ  いや、
    合っおおよかった  です」


    近い  

    集䞭  


    平方さんの解説は、

    すごく分かりやすいんだが。


    身がもたん  


    葵
    「うん。」

    「この調子で、䟋題も解いおみおね。」

    「小林くん、お願い。」


    勇人
    「はぁ〜い  」

    小林
    「分かったよ」


    ふぅ〜  


    ふず、

    目の前の光景を芋枡す。


    しかし  

    マゞですごいな  


    無料で開攟されたラヌニングスペヌス。


    䞭倮の円圢の吹き抜けに向かっお、

    カりンタヌ匏の机が

    ぐるっず囲っおいる。


    マゞで異䞖界に来たみたいだな


    手元のテキストに目を萜ずす。


    ん〜  


    あれから、

    平方さんからの課題である、

    毎日の長文音読は欠かしおいない。


    䜕か少し、
    英文が読みやすくなった
    気はする


    ──そう簡単には、いかないかな。──

    点取れるか聞いたら、

    そう蚀っお、

    クスッず笑っおいた圌女。


    それでも  

    俺にずっおは倧きな進歩だ


    少しず぀ではあるが、

    手応えみたいなものを感じる。


    この問題  

    この文型がこうで  

    あれ  


    小林
    「倧䞈倫」


    勇人
    「  おお」

    「ここなんだけど」


    小林
    「あ〜、
    ここは修食語だね」

    「ここから  、
    えヌっず、ここたで」


    勇人
    「こんな長いの」

    小林
    「ここに動詞があるでしょ」

    勇人
    「ある  」

    小林
    「結構、混乱しやすいずこだね」


    フォロヌが優しい  


    小林
    「よく芋るず  」

    「ほら、
    文の構造自䜓は、
      の第文型でしょ」


    勇人
    「ホントだ  」

    「なんでこんなややこしい  」


    小林
    「それぞれ、
    順番の特城があっお  」

    勇人
    「それ、党郚芚えんのか  」


    葵
    「どうしたの
    勇人、小林くん。」

    小林
    「平方さん、
    ここなんだけど  」


    葵
    「あ〜、これはね。」

    「英語には、リズムがあっお。」

    「匷調したいこずの前に、
    軜い情報を出すの。」

    「これから重芁なこずを蚀うよ〜っお。」


    勇人
    「なるほど  」

    「ボクシングの
    ワンツヌパンチみたいな」


    真䌌しおみせるず、

    䞀瞬、キョトンずする圌女。


    クスッず笑い、

    葵
    「うん。」

    「その理解で合っおる。」

    少し埮笑む。

    「あずは、
    決たった圢がいく぀かあるから、
    それを芚えるだけ。」


    小林
    「なるほど  」

    勇人
    「䜕かスッキリしたような  」

    葵
    「スッキリしおるだけじゃ、
    ダメだよ」

    勇人
    「はい  」

    葵
    「そうしたら、次は、
    この問題解いおみおね。」

    勇人
    「はい  」


    お、これも修食語か

    やっぱ、分かりやすいな


    小林は、䜕か考え䞭みたいだ。


    いけた気がする


    勇人
    「小林、これどうだ」

    小林
    「うん、合っおるね」

    勇人
    「おっし」


    その時、

    「みんな〜」──

    委員長の声がしお、

    真琮
    「そろそろ、
    お昌䌑憩にしよっか」


    午前䞭の終わりが告げられた。


    第話 金の猶詰

    ──翌日・午前──
    図曞通・ラヌニングスペヌス

    勇人
    「あかん  煙が  」

    æ­Šç”°
    「おお  ブスブス蚀っおるぜ  」


    䞃海
    「ったく、しょうがないんだから  」


    俺たちは、

    今日も今日ずお図曞通に篭っおいる。


    䞃海
    「今たでサボっおたツケでしょ」


    耳が痛いぜ  


    æ­Šç”°
    「そうは蚀うけどよぉ  」

    勇人
    「たさかここたでずはなぁ  」

    æ­Šç”°
    「そう、たさにそれよ  」

    勇人
    「ゎヌルデンりィヌクに、
    図曞通に猶詰になるずはなぁ  」

    æ­Šç”°
    「マゞでそれよ  」

    「これじゃ金の猶詰じゃねヌか  」


    䞃海
    「はいはい、
    バカなこず蚀っおないで」

    「倧䜓、
    本物の金のカンヅメなら嬉しいじゃない」


    勇人
    「確かに  」

    「こんな嬉しくない金の猶詰は初めおだ  」


    たぁ、本物も圓たったこずはないが。


    そうやっお、

    人でくたばっおいるず、


    真琮
    「䞀旊、䌑憩入れようか」


    さすが委員長だ。


    æ­Šç”°
    「助かった  」

    勇人
    「なんずか生きおるな  俺たち  」

    æ­Šç”°
    「おお  」


    地歎もダベェ  

    でも  

    ──䞖界史は、
      どの地域に、どの勢力がいお、
      䜕を欲しがっおるか芋るず、
      流れが぀かめるよ。

    あれのお陰で、
    䜕かストヌリヌみたいなのが
    芋えたな  


    「平方さん匏」は、

    「たずは分ける」、

    これを培底しおるようだった。


    ただ闇雲に芚えおた以前ずは
    䜕か違う気がする  

    しかし昔の人も  、
    自分たちが生き残るために
    必死だったんだろうな


    そんなこずを考えおいるず、

    ──「勇人、お疲れ様。」

    助蚀の䞻だ。

    勇人
    「おお、ありがず」

    「お陰で䜕か぀かめた気がするよ」


    葵
    「それなら、よかった。」

    「ちょっず、倖に出お䌑憩しない」


    勇人
    「おお、行く行く」

    葵
    「はい、これ。」

    勇人
    「ん」


    葵
    「チョコレヌト。」

    「脳の疲劎回埩にどうぞ。」


    勇人
    「ありがずう  」

    盞倉わらず女神か  

    「  っず、
    さお、どこ行くかね」


    葵
    「倖の庭でも芋おたわる」

    勇人
    「いいね、行こうぜ」


    図曞通・䞭庭

    勇人
    「おお、すげぇ」

    葵
    「玠敵なお庭でしょ」


    遊歩道ずベンチ。

    芝生に、怍朚や草花。


    平方さんが奜きそうなずこだな


    勇人
    「䜕か、すげぇ雰囲気あるね」

    葵
    「うん。散歩道にもなっおるんだよ。」

    勇人
    「ぞぇ〜」


    そのたた、人で散歩道を歩く。


    こんな時も、
    鈎朚先生の教えが掻きるな


    入院䞭に䞖話になった、

    の鈎朚先生を思い出す。


    そういえば

    ふず、「平方さん匏」の疑問が湧く。

    平方さんは、
    どうやっおたどり着いたんだろ


    委員長も、小林も、

    蚀葉を倱っおいた。


    元々、あの二人もすごいんだが

    その二人が驚くっお  


    それに、最初の䞭間の話も  


    隣を歩く圌女に、チラッず目をやる。


    普段ず倉わらず、

    静かに呚りを眺めおいる。


    勇人
    「  なぁ、ひらか  葵」

    葵
    「ん 䜕」

    勇人
    「教えおくれおる、
    勉匷のやり方なんだけど」

    少しビクッず反応する圌女。

    あれ 聞いちゃマズいダツ  

    勇人
    「あ  いや、
    すごいなヌっお」

    「俺ずか歊田盞手に、
    こんな分かるようにさ」

    「誰かに教わったのか」


    葵
    「  」


    そのたた、少しう぀むいお、

    無蚀で歩く圌女。


    マズい  、
    やっぱあかんかったか  


    葵
    「──小さい頃  」

    ん

    少しう぀むいたたた、

    葵
    「小さい頃からね。」

    ポツリポツリず、

    「そういうのが、芋えるんだ。」

    語り始める圌女。

    「他の子たちずも、
    混じっお遊べなくお。」

    淡々ず、

    「䞡芪も、心配したみたい。」

    静かに。


      そうなのか


    う぀むいたたた、

    衚情は芋えないたた。


    葵
    「  ビックリ、した」

    明るい声が、

    勇人
    「あ、いや  」

    心なしか、

    葵
    「  でも、今は、
    陜葵も、䞃海も、  いるし。」

    震えお聞こえるような。


    勇人
    「うん」

    葵
    「  気持ち  悪い  よね、
    こんな子  。」


    勇人
    「え  そうか」


    葵
    「え  」

    驚きずずもに、

    こっちを向く。


    勇人
    「だっお、平方さんは平方さんだろ」

    「あ  」

    「  葵は葵だろ」


    そのたた、

    少し驚いたような顔で、

    無蚀で立ち尜くす圌女。


    勇人
    「頭いいっおのは知っおたけどさ」

    「だからっお、別になぁ」

    「むしろ、すげヌ助かっおるみたいな」


    葵
    「  うん。」

    ふたたびう぀むく。

    「それなら、よかった  。」

    消え入るような声だった。


    んヌ

    䞊手いこず䌝わったのか  


    勇人
    「いや、ホントだぜ」

    葵
    「うん。」

    勇人
    「  平方さん」

    葵
    「うん。」


      おや


    



    


    そのたた、人で、

    ラヌニングスペヌスたで戻った。


    ──午埌──
    ラヌニングスペヌス


    ──  おい

    ──あおいヌ。

    葵
    「  」


    陜葵
    「反応ないわね」

    真琮
    「うん  」

    䞃海
    「心ここにあらずだね」


    陜葵
    「たぁ、ほっずこっか」

    䞃海
    「そだね」

    真琮
    「えぇ  」


    陜葵
    「この子、
    こうなるずしばらく
    垰っおこないからさ」

    真琮
    「  そうなの」

    䞃海
    「久しぶりに芋たね」


    ただ䞍安そうな委員長。


    陜葵
    「たぁ、やるこずは分かっおるしね」


    向こうのカりンタヌテヌブルで、

    数孊の問題を前に、

    くたばっおいる男子どもに目をやる。


      ったく

    よう頑匵るわ


    あい぀らの思った以䞊の頑匵りに、

    思わず苊笑いしおしたう。


    陜葵
    「そんじゃ、䞃海。
    歊田お願い」

    䞃海
    「りょヌかい」


    あたしはこっちだね

    そのたた、

    䞭っちの方に向かう。


    陜葵
    「ほれ〜、䞭っち」

    「い぀たでくたばっおんの」


    勇人
    「  おお、西川  」


    埋儀なダツ

    したのに、
    いただに名前で呌べない䞭っち。

    なるほどね、葵のアレも  


    陜葵
    「さ、この陜葵さんが助けお進ぜよう」

    「どこ詰たっおんの」


    勇人
    「ここなんだけどな  」

    陜葵
    「あ〜、あんた、
    芋事に匕っかけにハマっおんねぇ」

    勇人
    「匕っかけ  」


    陜葵
    「これ、括匧を展開したらダメだっお」

    「よく芋おみ」


    勇人
    「ん  」

    陜葵
    「括匧の䞭、党郚同じ圢の次匏っしょ」

    勇人
    「おお」

    陜葵
    「因数分解しおみ」

    勇人
    「おお  」

    陜葵
    「分母ず同じっしょ」

    勇人
    「぀たり  玄分できる  」

    陜葵
    「そゆこず」

    勇人
    「おおお」

    陜葵
    「ほら、極限出せんじゃん」


    勇人
    「姐さんず呌ばせおください  」


    陜葵
    「あんたね  」

    「ほら、葵匏」

    「詰たった時は」


    勇人
    「解説を芋る  」

    陜葵
    「自分で解法を
    発明しようずすんなっお
    蚀われたっしょ」

    勇人
    「はい  」

    陜葵
    「そんじゃこれ、
    もっかい初めから解いおみお、
    解けたら類題ね」

    勇人
    「はい  」


    うん、玠盎、玠盎

    それにしおも、
    だいぶ進んだわね


    もちろん、

    完璧ではないんだろうけど。


    ──「詰たったら確認でしょ」

    ──「わヌったよ  」


    向こうの倫婊挫才も

    順調みたいだし。


    た、間に合うかは
    分かんないけどね

    



    



    第話 最終日

    ──ゎヌルデンりィヌク・最終日午前──
    図曞通・ラヌニングスペヌス


    俺は今、

    睚めっこしおいる。


    モルはダヌス  モルはダヌス  


    有機化合物の燃焌。


    炭玠が  、酞玠の  

    氎玠が  、窒玠で  


    こっちが燃焌しそうだ。


    æ­Šç”°
    「だヌくそ」

    䞃海
    「うるさい 静かに」


    歊田も燃焌䞭か  


    小林
    「勇人、詰たっおる」

    勇人
    「おお  ダベェわ  」

    小林
    「芋せお」

    勇人
    「頌む  」


    小林に問題集を枡す。


    ──化孊は、
      䜕が増えお、䜕が枛っお、
      䜕が同じたたなのかを芋るの。


    平方さん匏を思い返す。

    さっきの䟋題はいけたんだがな  

    たぁ、䜕したらいいかも
    党く分からんかった最初より、
    倧分マシか  


    小林
    「勇人、ここ」

    勇人
    「お」

    小林
    「ここで、小数の蚈算ズレおる」

    勇人
    「なんだこの悪魔の小数蚈算  」

    小林
    「た  たぁ」


    再び蚈算し盎し  。

    これがこうなっお  


    ──「できた」


    ほが同時だった。


    æ­Šç”°
    「䞭藀ぃ マゞでできたのか」

    挑戊的な歊田。

    勇人
    「お前こそな」

    受けお立぀ぜ

    æ­Šç”°
    「じゃあ、
    組成匏ず分子匏、蚀っおみろよ」


    勇人
    「臚むずころだ」

    「組成匏は、
    」

    「分子匏は1640144」

    「どうだ」


    æ­Šç”°
    「バカかお前は」

    「組成匏は、
    」

    「分子匏は840141だ」


    勇人
    「䜕を」

    æ­Šç”°
    「今回は俺の勝ちだぜ」

    勇人
    「くっ  この」

    勇人・歊田
    「平方先生」


    葵
    「うん、どっちも間違い。」

    勇人・歊田
    「ぐはっ  」


    さっきたでの自信は  


    葵
    「人ずも、分子量で怜算しおみお」


    勇人
    「えヌっず  」

    æ­Šç”°
    「  」

    䞃海
    「どっちもオヌバヌしおんじゃん」

    勇人
    「なんで  」

    æ­Šç”°
    「化孊が裏切った」

    䞃海
    「あんたらの蚈算が裏切ったのよ」

    æ­Šç”°
    「でも、俺の方が近いぜ」

    勇人
    「そうゆうこずじゃねヌだろ」


    陜葵
    「はぁ〜、䞋手の考えなんずやらね  」

    西川の呆れ声が刺さる  。

    葵
    「でも、正しく間違えるっお倧事だよ」

    優しい  

    陜葵
    「確かに、そりゃそうだね」


    しかし、どこを間違えたんだ  


    人の話し声をよそに、

    問題を芋぀める。


    葵
    「じゃ、陜葵。
    歊田くんお願い。」

    陜葵
    「オッケヌ」


    勇人
    「ぐぬぬ  」

    葵
    「勇人、芋せお」

    勇人
    「はい  」

    葵
    「あヌ、ここだね。」

    䞀瞬  

    葵
    「ほら、ここでグラムに戻し忘れおる。」


    勇人
    「おお  」

    「぀たり、モルずグラムを、
    同じ皿に乗せおたず  」


    葵
    「うん。単䜍が違うから、
    そのたた足したり匕いたりできないの。」

    勇人
    「行ったり来たりで蚳分からん  」


    葵
    「そこが、぀たずくポむントだね。」

    「モルは量を数える単䜍だけど、
    重さや䜓積に倉換するための
    橋でもあるの。」

    「だから、」

    参考曞を指し瀺す圌女。

    「自分が今、どの工皋にいるのか。」

    「それを確認しながら解く蚓緎だね。」


    勇人
    「はい  」


    前途倚難である。

    



    



    ──午埌──


    勇人
    「電堎  電䜍  コンデンサヌ  」

    æ­Šç”°
    「挢字は読めるぜ  」

    䞃海
    「そこから」

    小林
    「歊田くん  」

    苊笑いする小林。


    午埌は、物理・電磁気の時間だ。


    æ­Šç”°
    「頭が加熱しおきた気が  」

    勇人
    「おおよ、
    電磁気のせいじゃねヌか  」

    æ­Šç”°
    「俺らの頭は抵抗か  」


    くだらない冗談を蚀い合う。


    葵
    「これは、党郚解こうずしなくおいいよ。」

    勇人・歊田
    「なんですず」

    葵
    「たず、聞かれおるこずを分けようか。」

    聞かれおるこず  

    æ­Šç”°
    「䜕聞かれおんだ 俺ら  」


    葵
    「分類するず  」

    問題集にマヌカヌを匕きながら、

    続ける圌女。

    「電堎の向きずか、電荷の正負ずか、
    単䜍やグラフの読み取りなんかの、
    基本的なずころ。」

    「これは、しっかり『取る』ずころ。」


    「次に、『郚分点をもらう』ずころ。」

    「䟋えば、立匏ずか、
    図に力を曞き蟌んだり、
    最初の公匏を曞く。」

    「それだけでも、
    郚分点がもらえるの。」


    「埌半の運動方皋匏ずか、
    積分が絡んだり耇合蚈算が必芁な郚分は、
    『捚おる』ずころ。」


    勇人
    「物理っお、
    解かない問題を決める科目だったのか  」

    葵
    「今はね。」

    クスッず笑う。


    勇人
    「぀たり  」

    「俺らは、たず、
    䜕が起きおる問題なのか芋お」

    「䜿う公匏を個眮くずこたで
    行ければいいっおこずか」


    葵
    「うん。」

    「今は、最埌たで解き切るより、
    最初で止たらないこずが倧事かな。」


    小林
    「なるほど  、
    だから図を曞くんだね」

    「公匏を遞ぶ前に、
    䜕が起きおるかを芋るんだ」


    葵
    「うん、そういうこずだね。」


    劙に玍埗顔の小林。


    葵
    「最初に、しっかり図で敎理するず、
    次に『䜕が動くか』が芋えるから。」

    小林
    「確かに  」


    その時、

    ──「あ〜、いたいた〜」

    ──「おヌ、頑匵っおんじゃん」

    䜕やら声がした。


    陜葵
    「あヌ、花音に絵梚花ぁ」

    「どしたん」


    花音
    「差し入れ持っおきたよ〜」

    陜葵
    「おヌ、さんきゅヌ」

    絵梚花
    「あい぀ら、顔死んでんじゃん」


    䞀気に賑やかになった。


    陜葵
    「絵梚花、今日は䞡芪䌑み」

    絵梚花
    「そうそう、子守りから解攟〜」

    陜葵
    「花音は ゞュン、バむト」

    花音
    「そゆこず〜」


    ガヌルズトヌクが始たる。


    真琮
    「そうしたら、
    ちょっず早いけど䌑憩入れよっか」


    助かった  


    æ­Šç”°
    「死ぬずこだったぜ  」

    勇人
    「それな  」


    



    



    䌑憩埌は、

    物理ずの長い戊いだった。


    電堎の向きを芋る。
    電荷の正負を確認する。
    図に矢印を曞き蟌む。
    䜿えそうな公匏を、䞀぀眮く。

    電磁気によっお、
    歊田の目が回り、
    俺の頭が発電し、
    䞃海のツッコミが攟電する。


    それでも、

    最初で止たる回数は、

    少しず぀枛っおいった。


    第話 金劇暪䞁

    ──倕方──
    図曞通・゚ントランス

    真琮
    「みんな、お疲れ様」

    みんな
    「お疲れ様ヌ」

    勇人・歊田
    「ありがずうございたしたヌ」


    深々ず頭を䞋げる俺たち。


    ──「はい、それじゃ」

    西川が䜕か蚀い出した。

    陜葵
    「最埌の予定、行こっか」

    真琮
    「最埌の予定」

    陜葵
    「お瀌䌚」


    勇人・歊田
    「え」

    完党に被った。


    陜葵
    「だから蚀ったっしょ
    倚めに持っおこいっお」


    æ­Šç”°
    「確かに  」

    勇人
    「蚀っおたような  」


    陜葵
    「あんたらねぇ」

    呆れ気味に、

    「こういうのは、
    キチンず圢で瀺すのが倧事なのよ」

    「せっかくのゎヌルデンりィヌクに、
    みんな、あんたらの猶詰に
    付き合っおやったんじゃない」

    「た・さ・か
    タダ働きなんおさせないでしょうね」

    䞀気にたくし立おる西川。


    æ­Šç”°
    「はい  」

    勇人
    「ごもっずも  」


    陜葵
    「っおこずで、
    みんな、金劇きんげき暪䞁の金韍たで〜」


    金劇暪䞁・䞭華料理店「金韍」


    陜葵
    「さぁヌみんな
    奜きなの頌みなねヌ」


    いっそ枅々しい。

    たぁ、マゞで䞖話になったもんな


    æ­Šç”°
    「俺、肉野菜定食倧盛り」

    䞃海
    「あんた、金韍の肉野菜定食っお  」


    確か激盛りで有名な  


    真琮
    「小林くんは䜕にする」

    小林
    「そうだなぁ  」


    委員長も小林もすごかったな


    陜葵
    「あたし、麻婆豆腐定食にしよっかな」

    「葵は〜」


    葵
    「ん〜、私は  。」

    陜葵
    「遠慮しないで頌みなよ」

    葵
    「うん  。」


    本気で遠慮しおそうだな  


    勇人
    「ひらか  葵」

    葵
    「ん」


    勇人
    「マゞで、遠慮しなくおいいからな」

    「俺ら、本気で助かったし」

    「な 歊田」


    æ­Šç”°
    「お おお」

    䞃海
    「そうだよ〜、葵〜」

    「今回、こい぀ら盞手に、
    遠慮なんおしなくおいいっお」


    葵
    「  うん。」

    「じゃあ  」


    俺も䜕にするかな  


    陜葵
    「唐揚げ食べる人ヌ」


    Oh  マゞで遠慮がねぇ  


    䞃海
    「すみたせヌん、
    泚文お願いしたヌす」


    店員さんがやっおきお、

    それぞれ泚文しおいく。


    党員の泚文が終わっお、

    店員さんが去っおいくず、


    陜葵
    「さお」

    西川が声を䞊げた。


    陜葵
    「改めお、
    みんな、お疲れ様〜」

    「あんたら人も、
    よく頑匵ったわ」

    「そんな頑匵った人から、
    みんなに䞀蚀どうぞ〜」


    勇人・歊田
    「え゛」


    陜葵
    「え〜、なぁに
    䞀蚀もなしぃ」


    勇人
    「あ  いや  」

    æ­Šç”°
    「そんなこずは  」


    陜葵
    「ならどうぞ〜」

    完党にニダニダしおらっしゃる。


    逃げ堎なし  


    意を決しお、

    人で立ち䞊がる。


    勇人
    「えヌ  みんな
    今回は本圓に助かりたした」

    æ­Šç”°
    「いや、ホントに
    このご恩は忘れたせん」

    お互いに目を芋合わせる。

    勇人・歊田
    「ありがずうございたした」


    陜葵
    「はい、たぁよし」

    「でも、疲れたね〜」


    䞃海
    「ホントよぉ」

    陜葵
    「最倧の功劎者は、
    委員長ず葵だね」

    䞃海
    「うんうん」


    真琮
    「ええ  」

    葵
    「そんなこずは  。」


    陜葵
    「はいそこ、謙遜しないの」

    「委員長、
    みんなのスケゞュヌル、
    調敎しおたじゃん」

    「あれ、結構倧倉だったっしょ」


    真琮
    「そんな  」


    陜葵
    「葵も」

    「あんたがいなかったら、
    こい぀らマゞでダバかったよ」


    蚀葉に詰たる人。

    そこぞ、


    小林
    「  僕も、そう思う」

    小林がおずおずず口を開く。

    「早坂さんが管理しおくれたお陰で、
    すごくスムヌズだったし」

    「平方さんの教え方、
    僕もすごく勉匷になったよ」


    䞀瞬、シヌンずするテヌブル。


    陜葵
    「ね」

    たるっきり特攻隊長だな  

    陜葵
    「小林のは、
    マゞ忖床なしだず思うよ〜」

    䞃海
    「そうだね〜」

    「あたしも、
    葵がすごいのは知っおたけど、
    あそこたでずは思わなかったもん」

    陜葵
    「おこずで、
    今日の䞻圹は委員長ず葵の人だね」


    口々に耒められ、

    照れる人。


    平方さん、
    すっかりう぀むいちたっおるな

    なんずなく分かっおきた。

    ん

    䜕か、西川が目で合図しおくる。

    んヌ

    今床は口パクで  。

    「蚀え」  

    あ〜  


    勇人
    「あヌ  葵」

    少しビクッずする圌女。

    「今回は、本圓に助かったよ」

    「今たでにないくらい、手応えあるし」

    「これで䜕ずかなりそうな気がする」

    「本圓に、ありがずな」


    葵
    「  うん。」


    陜葵
    「うん、よきよき」

    「ようやくみんな、
    葵のすごさが分かっおきたみたいね」


    たるで自分のこずみたいに嬉しそうだな


    陜葵
    「でも、委員長もすごいよねヌ」

    「あたしだったら、
    あんなの絶察投げ出しおるわ」

    真琮
    「それはちょっず  」

    陜葵
    「だっお歊田なんおさ〜」

    



    



    こうしお、

    俺たちのゎヌルデンりィヌクは、

    幕を䞋ろした。



    æ­Šç”°
    「頭は重くなったが、
    垃は軜くなったな  」

    勇人
    「ああ  」


    第話 䞭間詊隓

    勇人自宅前


    俺は今、逡巡しおいる。


    䜕故なのか  


    お向かいの飌い猫。

    黒猫マメタン。


    たたこのパタヌンか  


    今日もたた、

    俺のチャリの前に居座っお、


    動かない。


    ふっ  もうか぀おの俺ではない


    地獄のゎヌルデンりィヌクを

    乗り越えた俺にずっお、

    この皋床は、もはや障壁ではない


    勇人
    「ほうら、マメタン」

    「今日は急ぐからな」


    近寄っお抱き䞊  


    シャヌ


    ひいぃ


    ──「お兄ちゃん、ただいたの」


    ひいぃ


    勇人
    「なんだ  矎月か」


    矎月
    「なんだずは䜕よヌ」

    「あヌ、マメちゃんじゃん」


    俺を抌し退け、

    圓たり前のように近づく効。


    矎月
    「マメちゃん〜、

    どうしたの〜」


    にゃ〜


    䜕事もなかったように、
    抱き䞊げる効。

    抱き䞊げられるマメタン。


    どうゆうこず  


    矎月
    「お兄ちゃん、行かないの」


    勇人
    「お  おお」

    「行っおくるわ」


    釈然ずしないたた、

    小林ずの埅ち合わせ堎所に向かった。


    孊校・駐茪堎


    ──芋慣れた制服。

    ──芋慣れた朝のざわめき。


    ぀いに来たか  


    チャリを停めお、

    小林
    「行こっか」

    勇人
    「おお」

    䞀緒に玄関に向かう。


    ──い぀もの玄関。

    ──い぀もの䞋駄箱。


    ゎクリ  


    やっぱ緊匵するな  

    でも  


    勇人
    「おっし、行こうぜ」

    小林
    「うん」


    前ずは違う気がする


    ヌ教宀


    æ­Šç”°
    「よお、䞭藀」

    勇人
    「おう、歊田」


    䜕かキラキラしおんな、こい぀


    æ­Šç”°
    「぀いに、この日が来たな  」

    勇人
    「ああ、そうだな  」

    æ­Šç”°
    「あの地獄を乗り越えた  」

    勇人
    「そう、俺たちはやり遂げた  」

    小林
    「  」


    今の俺たちに、䞍可胜はない  


    



    



    ──やがお、ホヌムルヌムも終わり、

    ──䞭間テストが始たった。


    英語

    勇人
    分かる  分かるぞ

    英文が  読める

    



    



    数孊

    æ­Šç”°
    芋芚えがあるぜ  

    この皋床

    



    



    理科

    勇人・歊田
    俺たちは  できる

    



    



    ──䞭間テスト・最終日──
    ヌ教宀


    党おの日皋が終了し、


    勇人・歊田
    「ふっ  」


    く぀ろぐ俺たち。


    æ­Šç”°
    「なあ、䞭藀」

    勇人
    「なんだ 歊田」

    æ­Šç”°
    「俺ら  なあ」

    勇人
    「ああ  そうだな」


    䞃海
    「なぁ〜んかこい぀ら、
    無駄にキラキラしおない」

    小林
    「たあ  、
    人ずも頑匵ったし、ね」


    æ­Šç”°
    「ふっ  できる自分が怖いぜ」

    勇人
    「今の俺たちに  䞍可胜はないな」


    䞃海
    「なんかムカ぀くわぁ  」

    小林
    「たあたあ、高橋さん  」


    苊笑いする小林をよそに、

    俺たちは、倧いに酔いしれた。


    ──テスト返华期間──
    ヌC教宀


    荻野先生
    「䞭藀勇人」

    勇人
    「はい  」


    これで最埌か  


    荻野先生
    「点だ。」

    勇人
    「はい、ありがずうございたす  」

    荻野先生
    「お前な  、
    埩習しろっお蚀っただろが。」

    勇人
    「はい  」


    荻野先生
    「でもたぁ、努力の跡は芋られたぞ。」

    「ケアレスミスでの倱点・枛点が倚いから、
    そこを気を぀けるようにな。」


    勇人
    「はい  ありがずうございたした」

    



    



    ──䌑み時間──
    ヌ教宀


    æ­Šç”°
    「死んだ  」

    勇人
    「どうしお  」


    成瞟衚が返华され、


    䞃海
    「だから蚀ったじゃん」

    勇人
    「あんなに分かった気がしたのに  」

    æ­Šç”°
    「それな  」


    珟実が、容赊なく俺たちの肩を叩く。


    小林
    「でも、人ずも、
    赀点なかったんでしょ」

    「すごい進歩だよ」


    芪友の気遣いが、心に痛い。


    ──「人ずも、どうだった」


    委員長だ。

    小林
    「あ、早坂さん」

    真琮
    「芳しくなかった感じ  」

    䞃海
    「調子に乗っおコケただけだよ」

    真琮
    「調子」

    小林
    「うん、人ずも、
    赀点は回避できお、
    平均点も䞊がったんだけど  」

    真琮
    「そうなの
    すごいじゃない」

    䞃海
    「こい぀ら、テストの埌、
    『俺たちはなんでもできる』
    みたいなこず蚀っおたから」

    真琮
    「あ〜  」


    うぅ  ひず思いにコロしおくれ  


    過去の自分を呪った。


    



    



    ──昌䌑み──


    勇人
    「ひら  葵」

    お瀌を蚀おうず圌女を目で远ったら、

    ちょうど廊䞋に出おいくずころだった。

    葵
    「ん、䜕 勇人」


    勇人
    「いや、ちょっず  」

    「どっか行くのか」


    葵
    「うん。」

    「䞀応、順䜍掲瀺の確認に。」


    勇人
    「そうなのか」

    「そんじゃ、俺も芋に行くかな」

    正盎、興味はないが  

    どうせ、かすりもしない。

    「その埌、ベンチにでも行く」


    葵
    「うん  。」


    䞀緒に、掲瀺が匵り出される

    玄関ホヌルに向かった。


    玄関ホヌル


    結構な人数だな  


    順䜍掲瀺の前には、

    そこそこの人集りができおいる。


    葵
    「ちょっず芋おくるね。」

    そう告げるず、

    人ごみに向かっおいく。


    埌ろの方で、
    ピョコタンピョコタンしおるな  


    その仕草が、劙にかわいい。


    俺も䞀応、芋おいくか


    しかし、人ごみに邪魔されお、

    近寄るのも難しい。


    たぁ、䞊の方なら䜕ずか  


    そこぞ、


    ──「平方くん」


    圌女を呌び止める声があった。


    ピタッず止たる圌女。


    声の䞻に目を向けるず  、


    ──「生埒䌚長  」


    誰かの囁きですぐに分かった。


    確か、塚本だっけ  


    そのたた、

    圌女の方ぞ歩み寄っおいく。


    塚本
    「やあ、今回も埋儀に順䜍の確認かい」

    葵
    「  はい。」


    塚本
    「どうしおだ
    君は、順䜍衚に茉らないじゃないか」

    「最初の䞭間テスト以来ね」


    葵
    「  」

    目を䌏せる圌女。


    えぇ  䜕だこの空気  

    ──最初の䞭間テスト、
      確かトップだったよね──

    委員長の指摘を思い出す。

    ──䞁床いい、から

    あの時の返答。

    こういうこずか  


    塚本
    「ご芧の通り、
    僕は、今回も孊幎トップだが」

    「果たしお、
    本圓の順䜍はどうなんだろうね」


    めっちゃ絡むな、こい぀  


    葵
    「  芋た通りだず思いたす。」


    塚本
    「それが真実なのかどうか──」


    芋おられん  

    勇人
    「もう行こうぜ、葵」


    思わず圌女の腕を぀かんで、


    葵
    「っ 勇人」

    匷匕に連れ出した。


    欅のベンチ


    䜕だ、あい぀  


    葵
    「  勇人」

    ん

    ただ、圌女の腕を掎んでた。

    おわ

    慌おお攟す。

    勇人
    「ごめん ぀い  」


    葵
    「ううん、倧䞈倫。」

    俺が攟した腕を抱きしめお、

    う぀むく圌女。

    やべ  怒らせた  

    葵
    「ありがず  」


    そう蚀っお固たり、


    沈黙が流れる。


    䜕ずかせねば  

    勇人
    「  あヌ」

    「䞭間テストなんだけどさ  」


    ピクリず反応する圌女。


    勇人
    「お陰さたで、赀点は回避できたよ」


    葵
    「そう  なんだ。」

    「よかった。」


    勇人
    「おお」

    こっちもよかった  

    「たぁ、座ろうぜ」


    葵
    「  うん。」


    人で䞊んでベンチに座る。


    勇人
    「たぁ、
    ちょっず情けないっちゃ
    情けない点だったけどな  」

    「せっかく、
    あんなに教えおもらったのに」


    葵
    「そう  なの」

    「平均、䜕点くらい」


    勇人
    「えヌっず、.点だな  」

    葵
    「え、すごいじゃない。」


    勇人
    「  え」

    「だっお、
    党䜓の平均点.点だぜ  」


    葵
    「それは、
    生埒䌚長ずか、䞊の人たちが、
    匕き䞊げおるからだよ。」

    「倚分、半分以䞊の人が、
    平均点たでいっおないんじゃないかな。」


    勇人
    「  なるほど」

    葵
    「元々はどうだった」

    勇人
    「う  赀点だったかも  」

    葵
    「ね」

    そいう蚀われるず  」

    勇人
    「ああ  そうだな」

    葵
    「うん。」


    それから、

    にっこり埮笑んで。


    葵
    「頑匵ったね、勇人。」



    第二章・了


    【䞻な登堎人物】


    ※本線既出人物のみ。
    ※ネタバレを避けるため、玹介は最小限にしおいたす。

    ⚫男子

    äž­è—€ 勇人なかふじ ゆうず
    䞉ヶ月の入院を経お高校に埩垰した男子生埒
    本䜜の䞭心人物

    小林 正孝こばやし たさたか
    勇人たちのクラスメむト
    勇人の幌銎染

    桜柀 翔さくらざわ しょう
    勇人たちのクラスメむト
    バスケ郚の元幎生゚ヌス

    倧原 颯斗おおはら はやず
    勇人たちのクラスメむト
    バスケ郚で、桜柀ず仲がいい

    䞉浊 圭倪みうら けいた
    勇人たちのクラスメむト
    桜柀、倧原らず行動をずもにする

    æ­Šç”° 友也たけだ ずもや
    勇人たちのクラスメむト
    明るく、少し萜ち着きがない


    ⚫女子

    平方 葵ひらかた あおい
    勇人が欅のベンチで出䌚う女子生埒
    孊校内で「䌝説の矎少女」ずしお知られる

    西川 陜葵にしかわ ひたり
    勇人たちのクラスメむト
    葵の芪友
    明るく行動力のある、女子グルヌプの䞭心的存圚

    高橋 䞃海たかはし ななみ
    勇人たちのクラスメむト
    葵の友人

    早坂 真琎はやさか たこず
    勇人たちのクラスメむト
    クラス委員長

    盞沢 花音あいざわ かのん
    勇人たちのクラスメむト
    陜葵の仲良しギャル

    坂䞋 絵梚花さかした えりか
    勇人たちのクラスメむト
    陜葵の仲良しギャル


    ⚫先生

    神谷 光䞀かみや こういち
    ヌの担任、䜓育教垫


    ※本䜜はフィクションです。登堎する人物・団䜓・䌁業・事件・蚭定等はすべお創䜜であり、実圚の人物、団䜓、䌁業、事件ずは䞀切関係ありたせん。特定の団䜓・䌁業等を指すものではありたせん。

    【 創䜜倧賞2026・゚ンタメ原䜜郚門 】
    応募䜜品
    『 君ず私ず 』   IF the World©

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門
    #君ず私ずIF #青春矀像劇 #孊園ドラマ

     
     

    IF the World

     
     
    「もしも、あの時」 誰しもが䞀床は考えた事があるのでは。 実䜓隓から生たれた、 架空の高校が舞台の矀像劇。 そんな"IF"の物語。 ——その先を、芗いおみたせんか  本線定期曎新火・金時 (その他、䞍定期で蚘事を投皿しおいたす。)

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