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また、あの猫に会えるなら【もしもの始まりを、忘れないうちに】

    咲亜ꕤ

    「この子、お母さんなんですよ」
    そう教えてくれた店員さんの声に、あなたと私は顔を見合わせた。

    ふたりで初めて来た猫カフェ。
    案内されたテーブルに、ふわりと白猫がソファーに座っていた。
    少しぼんやりしているように見えたのは、疲れていたからなんだって。
    生まれたばかりの子どもたちは、まだお店の裏で育てられているらしい。

    「また今度、見に来ようか」
    お茶を飲みながら、あなたがぽつりとそう言った。
    私は頷いて、白猫の背をそっと撫でた。

    店内では、おやつをあげたり、猫じゃらしでいろんな猫たちと遊んだ。
    戯れてる間は、片方が写真係。
    カメラを向けるたび、笑ったり、夢中になったり。
    その日は、本当にたくさん撮った。

    後日、ふいにあなたが話してくれた。
    「会社の同僚に“僕の彼女”って言う時、あの写真見せたんだ」
    猫を撫でていた私の写真を、いちばん気に入ってくれてたこと。
    うまく顔には出せなかったけれど、すごく、すごく嬉しかったのを覚えてる。

    ──でもそれは、まだ何も終わっていなかった頃の話。

    白猫の子どもたちに、結局あれから会いに行くことはなかった。
    「また今度」は、そのまま置き去りになってしまった。
    あの母猫、元気になっていてくれたらいいのだけれど。


    ──もし、また会いに行けていたなら。
    そのとき、あなたはどんな写真を撮っただろう。そして私は、どんなふうに、笑えていただろうか。

    #ifの物語
    #癒しの時間
    #優しい物語
    #心に残る言葉


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    あの日、もう少しだけ話せたら。 もう一度、手を握れたなら。 そんな“もしも”を、誰しも心の中に隠して生きている。 誰かともう一度笑って、名前を呼び合って、 心が静かにほどけていく時間を──

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