
いつもと違う
右の三角筋前部、ピシッ!微かに、遠くその奥で。
光の速さで過ぎていった一瞬の違和感。
朝食の準備をしながら、その一瞬に気づいてしまった。
朝は戦いだ!刹那の判断が命取りになる。
掛け布団を畳む、トイレ、手を洗う、トイレ、顔を洗う、トイレ・・・じゃないキッチンへ、一瞬の躊躇が次に影響する。
妻とトイレが被ってしまう。さっき出し切れなかった分が奥の方からまとめて込み上げてくる。堪えられるのか?自分!いや考えている暇は・・・無い!コップにティーバッグと浄水器の水を入れレンジに入れる。5分。皿を出す。はあっ!まずいっ!込み上げるものを堪え冷凍の食パンにチーズを乗せる。妻がトイレから出てきた。どうする?トイレかっ?このパンをトースターに入れてセットしてからかっ?考えている時間はない・・・そのままトイレに駆け込む。
「ふぅ」
「チーン」
緊張の中の束の間の解放。狙ったかのようなタイミングでレンジ完了の音が鳴る。吹き出しそうになるのを堪え、落ち着いてウォッシュレット、ペーパー、大レバー、ここまで来ると少しだけ余裕が生まれる筈なのだ。が、今朝は違う。既に5分いつもより遅い。スマホとの時計を見て戦闘モードのスイッチをもう一度入れ直す。
手を洗い、無造作に皿に転がっているコチコチのパンとチーズをトースターに入れて百八十度で4分30秒。この時間を無駄にはしない、バナナ、焼き芋をちょうどいい大きさにカット。皿の上へ。ゴミは散らかせない。朝のゴミ用袋にまとめて入れる。
「チーン!」
焼き上がったトースターを取り出そうと、右腕を伸ばしたその刹那。三角筋前部。
いつもと違う。
何が?