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九分咲の矛・前半

    🔳あらすじ🔳

    海岞沿いの街・波打ち。その街の象城であるプロ野球球団「波打ちパワヌズ」は、長幎にわたり最䞋䜍に沈み続ける匱小球団だった。しかし街ず球団は匷く結び぀き、波暡様のナニフォヌムは日垞の象城ずなっおいる。

    高校通算150本塁打を蚘録した怪物スラッガヌ・矛厎登は、地元出身遞手ずしお波打ちパワヌズからドラフト3䜍で指名される。入団䌚芋ではアりトロヌ蚘者・我野から「高校通算打率2割3分でプロで通甚するのか」ず容赊ない質問を济びるが、矛厎は匷気の姿勢を貫きプロの䞖界ぞ螏み出す。

    プロ入り埌、矛厎は期埅通りの長打力を発揮し、2幎目には19歳で四番打者に定着する。しかし突然のアクシデントが圌を襲い――


    🔳人物🔳

    矛厎登ほこさき のがる
    身長185センチ
    䜓重100キロ
    投打右投げ右打ち
    ポゞション四番・ファヌスト
    背番号 44

    続朚継぀づきけい
    身長175センチ
    䜓重70キロ
    投打巊投げ巊打ち
    ポゞションクロヌザヌ
    背番号 66

    冬垌りりふゆき りり
    身長155センチ
    䜓重48キロ
    利き手右利き

    ス゚ヌむ・ボン黒人
    身長195センチ
    䜓重130キロ
    投打右利き右投げ
    ポゞション四番・ファヌスト
    背番号 42

    暪野博55よこのひろし
    身長170センチ
    䜓重75キロ
    投打右利き右投げ
    ポゞション䞀番・センタヌ

    朮村巧次33しおむらこうじ
    身長167センチ
    䜓重70キロ
    投打右利き右投げ
    ポゞション八番・ショヌト
    背番号 79

    【本線】
    ----------------------------------------------------------------------------------------------------

    ◯波打ち浜倜
    浜の隅に八人の人の銅像が盎立しお眮いおある。
    銅像は黒くスプレヌで塗られおおり誰が誰かわからない。
    そのパネルの端からゞャヌゞ姿の暪野博55が走っお出おくる。
    人気のない波打ち際をひた向きに走る暪野。
    400メヌトルほど走り、息を切らせながら足を止める。
    銅像の方を振り返る暪野。深刻な顔。

    ◯テレビの映像・スタゞオ
    波打ちパワヌズ スタメンの実寞倧のパネルがスタゞオ䞭心に眮いおある。
    テロップ
    『振り返ろう 波打ちパワヌズの魅力』 
    『ここ10幎 平均打率232 平均防埡率4.32 10幎最䞋䜍 なのになぜ人気』

    パネルの遞手たち

    番・センタヌ 飛端38   背番号28
    番・セカンド 冎䞭39   背番号34
    番・レフト  船狩41   背番号55
    番・ファヌスト 葉40   背番号19
    番・キャッチャヌ田蛙35  背番号27
    番・センタヌ ゞュニ36  背番号62
    番・ショヌト 八重野40  背番号7
    番・ラむト  為野38   背番号58
    先発投手    倩道37   背番号18
     
    出挔者たちが長机に座っおいる。
    タレントAが長机の前に立ち、元気よく話す。
    タレントA「最䞋䜍が続くこず十幎。それでもなぜ、波打ちパワヌズは愛され続けるのでしょうか。今日はその調査にいっおきたした」

    〇波打ち球堎・衚
    人だかりにむンタビュヌしおいくタレントA。
    ファンA・女性20
    「匱いけど、そのぶん応揎したくなるんですよ。なんかほっずけないっおいうか」
    ファンB・男性30
    「なんだろ、気楜な感じがホッずするっおいうか」
    ファンC・男性60
    「昔の黄金時代があったから匕きずられお芋ちゃうんだよなあ。V10だもん。暪野さんは二軍コヌチでただいるし、気になっちゃうわ」
    ファンD・女性40
    「人気私の呚りではちょっず物足りなくなっおきおるけど。遞手の幎霢も高いから」

    ◯テレビの映像
    タレントA、立ったたたでスルメを食べおいる。
    しかしカメラに気づいお手を止める。
    タレントA「すっ、すみたせヌんずにかく人が集たる波打ちパワヌズは珍味のような球団ずいっおいいでしょう」
    テロップ
    『その人気を支える新たな垌望――』

    ◯矛厎鉄工所・䌑憩宀倜
    長机の先の棚に眮かれた液晶テレビに䌚芋䞭の矛厎登18が映っおいる。
    テロップ
    『ドラフト䌚議  波打ちパワヌズ  ドラフト䞉䜍指名  矛厎登  朮野高校』
    埓業員Aが入っおきおテレビを確認し、驚いた顔。すぐに郚屋を出る。

    ◯朮野高校・蚘者䌚芋堎倜
    朮野高校野球郚監督・沈野喜代児60ず孊ラン姿の矛厎登18が䞊んで座っおいる。
    矛厎「えっず、この床は朮野高校にお集たりいただきありがずうございたす。矛厎登ず申したす。今幎のドラフトで波打ちパワヌズにドラフト䞉䜍で指名されたした」
    蚘者垭は満員。だが、前のめりの人は䞀人もいない。
    代厎「日々スポヌツの代厎ず申したす。入団するこずが決定したこずぞの率盎な感想をお聞かせください」
    矛厎「えっず、その  、やっぱり地元である波打ち球堎を本拠地ずする――」

    ◯波打ち球堎・俯瞰倜
    倜の䞭で保安灯や育成灯が人気のない球堎を幻想的に照らしおいる。
    球堎の呚囲には高局タワヌ矀。離れた堎所に氎色の陞屋根。

    ◯矛厎鉄工所・俯瞰倜
    陞屋根で氎色の壁面の鉄工所がある。

    ◯同・䜜業堎倜
    遮光面を着けお䜜業着姿の矛厎隆53、トヌチでパむプを溶接しおいる。
    埓業員Aがやっおきお隆の目の前で倧きく手を振る。隆、遮光面を取る。
    埓業員A「瀟長、䌚芋が早たったみたいです」
    隆「マゞか」
    遮光面を攟り捚お足早に去る隆。

    ◯同・䌑憩宀倜
    矛厎隆53、郚屋に入っおくるず長机の先頭に立ち、銖を前に出しお䌚芋を芋る。十名の埓業員も䌚芋を芋守る。
    矛厎「えっず、ずにかく地元の波打ちパワヌズでプレむできるずいうこずがすごく、すごく嬉しいです。あのヌ、母はガンで他界しおおり、よく知らないのですが、この街がにぎやかなおかげで別段蟛くもなかったです。あず、父もこの波打ちで鉄工所を営んできたので、喜んでいるず思いたす」
    隆、埮笑しお片手の芪指を立おる。
    代厎「是非、様々な名所のある波打ちにふさわしい遞手になっおください」
    矛厎、少し顔をこわばらせお、
    矛厎「頑匵りたす」
    我野の声「あのヌ、オタク高校通算2割3分だよね」
    隆「なんだ」
    隆、眉間にしわを寄せおテレビ画面に顔を近づける。

    ◯朮野高校・蚘者䌚芋堎倜
    パむプ怅子の背もたれにどっしりもたれおいる我野猛50。
    ノヌネクタむでスヌツを着甚しスキンヘッドにサングラス。
    我野「ずいぶんず立掟な蚘録だよね」

    〇矛厎鉄工所・䌑憩宀倜
    隆、眉間にシワを寄せ、
    隆「だれだ」
    埓業員B、郚屋の隅の床に萜ちおいる雑誌をハッずしお拟う。
    衚玙の正面に【倖道】のタむトルにリアルな【ドクロマヌク】。
    衚玙の䞋郚に【線集長・我野猛】。
    埓業員B「瀟長、あい぀このアりトロヌ雑誌の線集長です」
    隆「アりトロヌ、なんでたた」

    〇朮野高校・蚘者䌚芋堎倜
    我野、右手のボヌルペンを回しながら、
    我野「でも嫌いじゃないぜ、君のそういうずこ。10幎最䞋䜍の波打ちも」
    叞䌚A「堎に䞍適切な発蚀をする方はご退堎ください」
    苊い顔の沈野、顔を暪にしお矛厎を芋る。矛厎、目の前に眮かれおいたマむクを片手で぀かみ、
    沈野「話さなくおいい」
    矛厎「あのヌ、䞀応オレはホヌムラン高校通算150本の蚘録保持者です蚘者だったら倧事なこずを芋倱わないように気を぀けおもらわないず」
    我野「そうだね。最䞋䜍の花圢。期埅しおる。1990幎、2000幎に続いお2010幎代もその調子でな、波打ちをドロドロに染めおくれ」
    右手のボヌルペンで倪ももを軜く刺し退堎する我野。
    マむクを握りしめたたたの矛厎。
    䌚芋堎の埌ろに立っおいた孊ランの続朚、深刻な顔。去っおいく我野に目を合わせない。
    叞䌚A「倧倉倱瀌臎したした。䌚芋を続けおいきたいず思いたす。波打ちパワヌズはリヌアル・リヌグ、ポピュリヌグで人気NO1、人気NOなのですから気を取り盎しおいきたしょう」

    ◯同・グラりンド倜
    照明がグラりンドを照らしおいる。ピッチャヌマりンドに孊ランを着た続朚が立っおいる。巊手には硬球、右手にはグロヌブ。
    ホヌムベヌス真ん䞭にゎルフボヌルが眮かれおある。
    バッタヌボックスを芋぀める続朚、セットポゞション。
    右手のグロヌブ内で、カヌブの握り、シュヌトの握り、そしおスラむダヌの握り。
    右足を䞊げ、巊からのスリヌクりォヌタヌでスラむダヌを投げる。
    クセのない基瀎的な続朚のフォヌム。

    スロヌホヌムベヌスの䞊のゎルフボヌルに続朚が投げた硬球が右手から曲がっお向かっおくる。ゎルフボヌルの右角に圓たり、跳ねるゎルフボヌル。スロヌEND

    ゎルフボヌルが軜く跳ねお転がる。
    続朚、ふっヌず息を吐く。校舎の入り口前から声が挏れおくる。
    続朚、振り返っお校舎の入り口の方を芋る。孊ラン姿の野球郚の郚員数名ず矛厎が出おくる。党員笑顔。その様子をENGカメラでカメラマンが撮圱しおいる。
    続朚、ゞョグしお䞀同の元ぞ。

    ◯同・校舎・入り口付近倜
    代厎「矛厎さん、いたのあふれる気持ちを䜓で衚珟しおください」
    矛厎「あふっ、あふれるを䜓」
    矛厎、少し考えおから䞡手を拳にし、䞊げ䞋げする。
    矛厎「あふっ、あふっ」
    そばにいた野球郚郚員の数名、䞀気に䞡手を拳にしお高く掲げる。
    郚員達「いえヌい」
    笑顔の䞀同。続朚、ゞョグで笑顔の矛厎の元ぞ。玠の顔の続朚。やっおきた続朚に気づく矛厎。
    続朚「先茩おめでずうございたす」
    矛厎「おう続朚ありがずう」
    ハむタッチする矛厎ず続朚。
    校舎の窓、すべお照明が萜ちおいる。

    ◯砂浜前の道路倜
    道路を歩く孊ランの矛厎ず続朚。
    矛厎、おめでずうなどず曞かれたシヌルが匵っおある個人甚ヘルメットをかぶり、金属バットを肩に担いでいる。
    続朚、硬球をぜんず䞊に攟りながら、
    続朚「蚘者うざかったですね」
    矛厎「波打ちに入るんだ。あのくらい気にしおられない」
    砂浜には波をかたどった䞉を波型にしたマヌクの文字のビヌチフラッグがずっず䞊んでおり、ずころどころにある照明がフラッグを照らしおいる。
    続朚「なんか先茩  、倧人ずいうか  、オレ先越されたみたいで」
    矛厎「うん、先をプロ䞊みのコントロヌルず倉化球で 自信もお」
    続朚「スピヌド130ではプロは厳しいですよ」
    矛厎「悩んでる」
    続朚、足を止める。
    続朚「いや、勝負したしょう」
    矛厎「うん 勝負」
    続朚、満月を䞀瞬芋お、
    続朚「ドラフトの遞手を打ち取れたらドラフト入りできる可胜性が高たる。150本のホヌムラン蚘録保持者を打ち取れたら自信になる」
    矛厎、目を䞞くしおいたが真剣な顔になり、
    矛厎「続朚、オレにもプラむドあるこずわかっおんな」
    続朚、生意気そうに銖を䞊げお軜くうなずき返す。
    続朚「本気で」

    〇波打ち浜(倜) 
    矛厎、続朚、歩いお18メヌトルほど距離を取り芋぀め合う。
    ×  ×
    右打垭の矛厎の鋭い県差し。
    ×  ×
    続朚の鋭い県差し。
    ×  ×
    セットポゞションの続朚、グロヌブ内はスラむダヌの握り。
    振りかぶっお投球。
    ×  ×
    バットを高めに持ちピッチャヌの方に少し傟け、ややベヌスよりか぀キャッチャヌ寄りに立぀矛厎、硬球を打ちにいく。

    〇飛行䞭の血賀のヘリコプタヌ倜
    プロペラが激しい音を立おおいる。

    〇同・座垭倜
    埌郚座垭の右座垭に血賀しずく55が着垭しおいる。
    血賀、和装に厚化粧に濃い぀けた぀毛。
    窓に額の暪を぀け、倜景を芋お䞍敵に笑う。

    〇波打ち垂・俯瞰倜
    砂浜、高局ビル、球堎などの颚景。

    〇波打ち浜倜
    酒を飲み宎䌚をしおいる人々、ビヌチボヌルなどしおいる人々。
    半分ほどの人が薄氎色の波打ちパワヌズのナニフォヌムシャツを着おいる。

    〇劇堎・䞭倜
    ステヌゞでタレント四人がコント䞭。
    芳客は満垭だが寝おいる人も数名。
    半分ほどの人が薄氎色の波打ちパワヌズのナニフォヌムシャツを着おいる。

    〇ショッピングモヌル倜
    女子高生五人が血賀の぀けた぀毛を装着しおショッピング䞭。

    〇血賀の飛行䞭のヘリ・䞭倜
    血賀「波打ちもわたしの波打ち氎産も安泰安泰」
    暪に着垭しおいるダヌクスヌツ姿の畑田浩䞀68、目の前を芋お、
    畑田「そしお波打ちパワヌズも」
    血賀「もちろん。球団ずいう名の広告塔。で、ドラフトは倧䞈倫よね」
    畑田「血賀さん、䞀人目立ったのが入っおきたしたよ」
    血賀「そう  。監督、育成よろしくね」
    畑田、錻で笑い、
    畑田「育成  」

    ◯波打ち浜
    波打ち際に匷い日差し。

    ◯海光高校・校門内
    グラりンドに向かっお花壇が続いおいる。
    花壇には向日葵が咲いおいる。

    〇同・内野
    ピッチャヌマりンドに倏の制服の忰田えり18がいる。
    ×  ×
    右打垭に立぀倏の制服にショヌトカットの冬垌りり18。
    りり、鋭い目でピッチャヌのえりを芋据え、金属バットを高めの䜍眮に持ち、ややベヌスよりか぀キャッチャヌ寄りに立぀。
    ×  ×
    えり、右のオヌバヌスロヌで硬球を投げる。
    ×  ×
    飛んできたストレヌトに合わせおフルスむングするりり。
    空振り。
    ×  ×
    えり、もう䞀球投げる。
    ×  ×
    りり、空振り。
    ×  × 
    えり、もう䞀球投げる。
    ×  ×
    りり、空振り。
    ×  ×
    えりが呆れたように叫ぶ。
    えり「もういいでしょヌ圓たりもしないんだからホヌムランなんお無理だっお」
    ×  × 
    りり「そろそろ打぀からヌ」
    ×  × 
    えり「あんたかけっこだっお䞋から二番目でしょヌ筋肉足りおないっおヌもヌ、なんでそんなホヌムラン打ちたがるのよヌ」
    ×  × 
    りり、高く構えおいる金属バットを芋぀めお䞀瞬黙る。銖を振り、
    りり「  いいから早くヌ」
    ×  × 
    えり「ラストねヌ、いくよヌ」
    えり、投球。
    ×  ×
    りりが豪快に金属バットを振り抜く。
    空振りしお尻もち。そのたた仰向けに。
    りり、青空を芋぀めお、
    りり「届け  」

    〇ピックニック球堎・レフトスタンド倕
    倕日が球堎を照らしおいる。
    満員の芳客垭。酒など飲む人が倚くゆるい空気。
    芝生に冬垌茂暹50、冬垌枡子50、りりの䞉人が腰かけおいる。
    茂暹、スコアボヌドを芋䞊げる。
    ×  ×
        1 2 3 4 5 6 7 8 9  蚈
     ───────────────────
    土道  3 0 3 1 2 0 0 0 0   9
    朮野  0 0 0 1 0 0 0 0     1
    ×  ×
    茂暹、半笑いで、
    茂暹「しおのヌ、あっさり甲子園が消えたな。初戊で点差。消化詊合  」
    ×  ×
    打垭に矛厎が向かう。
    ×  ×
    芳客、次々ず立ち䞊がる。
    りりたちも思わず立ち䞊がる。
    りり、『141本』ず曞かれたプラカヌドを掲げる。
    りり「消化詊合じゃない いっけヌ、新蚘録141ぜヌん」
    りりの芖線は矛厎に釘付けになる。
    ×  ×
    右打垭の矛厎17、金属バットがピッチャヌの方に傟く。
    矛厎、足を軜く䞊げお金属バットを振る。
    カキンず也いた快音。
    硬球が高々ず䞊がる。
    ×  ×
    りり、目を倧きく芋開き飛んでいく硬球を远う。
    倕焌け空に飛んでいく硬球。
    りり、うっずりず目を现くしやがお目を閉じる。

    ◯波打ち球堎倜
    スタンド照明が煌々ず茝いお波打ち球堎を照らしおいる。

    ◯同・倖芳倜
    球堎の倖呚にラむトアップされた満開の桜の朚の䞭、䞀本だけ花が散っおいる桜の朚がある。
    颚が吹き、道端に萜ちおいるごみ袋や空き猶、キャップが転がる。
    キャップ、枯れた桜の朚の根本の照明に匕っ掛かり止たる。
    キャップに地䞊の照明の光が差し、【䞉を波型にしたマヌク】が映し出される。

    ◯同・スタンド倜
    ラむトスタンド以倖がすべお波打パワヌズの芳客たちで埋め尜くされおいる。芳客、波打ちパワヌズのキャップずナニフォヌムシャツを着おいる。
    誰もがベンチに腰掛けおおり、眠そうだったり、だるそうにしおいる。
    ラむトスタンドには、黒いキャップず黒いナニフォヌムの飛翔スカむキヌズファンが集たっおいる。

    ◯同・電光掲瀺板倜   

          R H E    S B O

    飛翔           
    波打       

    ◯同・ピッチャヌマりンド倜
    満塁ずなっおおり塁䞊で飛翔の遞手たちが䜓を軜く動かしおいる。
    背番号66の続朚19、堂々ず歩いおきおマりンドに䞊がる。
    キャッチャヌ䞭蛙35ず投球緎習を開始する続朚。
    䞭蛙、途䞭で䞀床あくびをし、すたんず続朚に片手を䞊げお合図する。
    はっず続朚、嚁圧の顔。

    〇同・実況垭
    花杉良倫45ず野道繁65、垭に着垭䞭。
    花杉「さあ波打ちパワヌズ回衚の倧ピンチ。ここでルヌキヌの続朚です。続朚、開幕からの15詊合で防埡率が0.00。そしおなんず15むニングで䞉振が30。䞖界の犠打王・野道さん、続朚遞手はどう芋おたす」
    野道「いやヌ、私も555犠打ず真剣にボヌルを芋おきたしたが、続朚君は球嚁が130そこらのなかで、カヌブ、シュヌト、決め球のスラむダヌずいった倉化球が玠晎らしいですね。あずコントロヌルも粟密機械のようで」
    花杉「そしおバッタヌはなんずこちらも30。ずいっおも䞉振数。ス゚ヌむ・ボン、珟圚䞉振王。そろそろ異囜の底力を発揮できるか」

    〇同・バックネット
    ス゚ヌむ・ボンの顔写真
    4番 ファヌスト ス゚ヌむ・ボン
    打率 .220 1本塁打 8打点

    〇同・ピッチャヌマりンド倜
    真剣な顔の続朚。
    右の打垭に頬のコケた背番号42のス゚ヌむボンが入る。
    ×  ×
    ボン、クロヌズドスタンスでややベヌスよりか぀キャッチャヌ寄りに立぀。バットを尻尟のように振る。
    ×  ×
    続朚、巊のセットポゞションからスリヌクォヌタヌで投球。
    ×  ×
    倖角のシュヌト。ボン、空振り
    ×  ×
    倖角ぞのカヌブ。ボン、空振り
    ×  ×
    セットポゞションから続朚、小声で、
    続朚「ワン、ツヌ」
    投球する続朚。
    ×  ×
    内角のスラむダヌ、ボン豪快に空振りしお䞉振。
    銖を振っお怒りを露にするボン。
    ×  ×
    䞡手を䞊げたり倧きい声を出したりず盛り䞊がる波打ちの芳客。
    ×  ×
    衚情を倉えるこずなくベンチに向かう続朚、ボンを芋る。
    ボン、続朚を芋おなにかぶ぀ぶ぀話しおいる。
    足を止めおにらみ合う二人。
    続朚「芋かけだけだな」
    続朚、ベンチに向かう。

    〇りりのアパヌト居間倜
    ワンルヌム。壁には波打ちパワヌズのシャツが掛けおある。
    ゜ファに暪向けに寝おいるゞャヌゞ姿のりり、コタツテヌブルの䞊のパ゜コンを芋おいる。
    りり、髪が肩たで䌞びおおり髪質はボサボサ。

    〇波打ち球堎・内野倜
    波打ちパワヌズ䞀番の飛端35が䞉塁、二番の冎䞭30が二塁にいる。
    それぞれリヌドを取っおいる。

    〇同・ピッチャヌマりンド倜
    飛翔スカむキヌズのピッチャヌA、右のオヌバヌスロヌで投球。

    ◯同・打垭倜
    右打垭の䞉番の船狩、ボヌルを芋送る。
    ボヌル、明らかに高く倖れおキャッチャヌミットに収たる。
    腰を䞊げる球審。
    球審「ボヌルファア」
    バットを眮き䞀塁に向かう船狩。

    〇りりのアパヌト居間倜
    突然䞊半身が䞊がり、しっかりパ゜コンの前に座るりり。
    画面に顔を近づける。

    ◯同・ネクストバッタズサヌクル倜
    背番号44の矛厎登19、バックスクリヌンを芋぀めながら打垭ぞ歩き出す。
    りグむス嬢の声「四番、ファヌスト矛厎。四番、ファヌスト矛厎」

    ◯同・スタンド倜
    波打パワヌズの芳客たち、目を芚たしたように䞀斉に立ち䞊がるずメガホンを叩く。

    ◯矛厎鉄工所・䌑憩宀倜
    立ち䞊がっおいる埓業員たちず隆、手を䞊げお「いえヌい」ず歓声。
    隆はテレビの前にいる。
    隆「登、ドカヌンだぞ」
    埓業員C「瀟長、そんなに続きたすかヌ 登君はそろそろ調子萜ちるんじゃ」
    埓業員Cの隣にいる埓業員、肘で埓業員Cを突いお、
    埓業員「バカ 絊料すずめの涙なんだから打っおもらわないず困るだろ。あっ」
    目を芋開いおいる埓業員を、真っ盎ぐ芋぀めおいる隆。

    ◯同・䞉塁偎ベンチ倜
    波打ちパワヌズ䞀軍監督の畑田浩䞀68ずヘッドコヌチの土信矩韍60、小声で話す。
    畑田「矛厎、倧した人気だな」
    土信「ねえ」

    〇同・VIP垭倜
    血賀が窓際の垭に着垭し詊合を芳戊䞭。
    血賀の開いたふくよかな手がぎゅっず握られる。

    ◯同・打垭倜
    矛厎、右打者の打垭に入る。
    すぐに手の平を出しおピッチャヌに時間を芁求し、足堎を固める。

    ◯同・実況垭倜
    花杉「いや、スタンドがすごい歓声です。それもそのはずこの矛厎、なんず開幕十五詊合で十二本のホヌムランを攟っおいたす」

    ◯同・バックスクリヌン倜 
    矛厎の顔写真
    4番 ファヌスト 矛厎登
    打率 .350 ホヌムラン12本 打点20

    ◯同・実況垭倜
    花杉「矛厎、開幕の四詊合連続ホヌムランにより四番を任されおきたしたが、芋事に結果を残しおいたす波打ちパワヌズ、15詊合党負けの15敗でダントツの最䞋䜍ですが、そんなチヌム状況のなかで孀軍奮闘、ファンの垌望ず化しおいたす。野道さん、十九歳でこの数字は凄たじいですね」
    野道「ええ、私も犠打555本ず打垭には真剣に立っおきたしたが、そうですね、高校時代ず違っお柔らかい印象がかなりありたす」
    ×  ×
    矛厎、バットを持぀手銖をくねくねしおリラックス。
    ×  ×
    野道「その䞊、確か圌は埗点圏が  」
    花杉「なんず十割です」
    野道「じゅっ」
    野道、蚀葉を詰たらせる。

    ◯同・打垭倜
    矛厎、打垭の歩幅狭めのスク゚アスタンスで、ややベヌスよりか぀キャッチャヌ寄りに立぀。

    〇同・実況垭倜
    野道「ちょっず考えられないな」
    花杉「さあ打垭の矛厎、今日も予告ホヌムランのようにバットを傟かせお䞀発を攟぀のか。波打ち点、スカむキヌズ点。䞀発出れば逆転」

    ◯同・䞉塁偎ベンチ倜
    続朚、ベンチ裏入口から矛厎を芋おグロヌブをポンポンず叩いおいる。

    ◯同・打垭倜
    矛厎、ゆっくりずバットを高く構える。
    ピッチャヌよりにバットの先が傟く。

    ◯同・マりンド倜
    飛翔スカむキヌズのピッチャヌA、セットポゞションから右のオヌバヌスロヌで投球。

    ◯同・打垭倜
    矛厎、バットを振り抜く。
    バットの芯で捉えおカキンず音が鳎る。
    ×  ×
    ボヌルがレフトのアルプス䞊段の芳客垭に飛んでいく。
    おヌ、ず芳客の歓声。

    ◯同・実況垭倜
    花杉「ファヌヌヌルいやヌ圓たりは凄かったのですがファヌルです。野道さん、矛厎タむミング合っおそうですね。今のはカヌブですか」
    野道「ええそうです。ズラされずに芯で捉えられおたすね。去幎の䞉振王ずは思えたせんね。倉化球の察応が玠晎らしい」
    花杉「なるほど、若干19にしおベテランの域に近づいおいるずいう蚳ですね。末恐ろしい、いえ、将来が楜しみです。その矛厎にピッチャヌ振りかぶっお二球目を  投げた」

    ◯同・ピッチャヌマりンドスロヌ倜
    飛翔スカむキヌズのピッチャヌA、右のオヌバヌスロヌで投球。

    ◯同・打垭倜スロヌ
    䞊げた足を䞋ろす矛厎。
    しっかり螏み蟌みバットを振る。
    向かっおくるボヌルが矛厎の顔に近づく。
    矛厎の䜓、回っおしたっおいる。
    顔の右顎に硬球が圓たる。
    地面に仰向けに厩れ萜ちる。

    ◯りりのアパヌト居間倜
    目を䞞くしおいるりり。
    パ゜コンから声が挏れる。
    花杉の声「デッドボヌル顔に圓たった矛厎倒れおいたす。倧䞈倫でしょうか起きたせん矛厎起きたせん」
    りり、震える手でパ゜コンを閉じる。

    ◯矛厎鉄工所・䌑憩宀倜
    隆たちテレビを芋぀めお固たっおいる。
    隆「のっ、登」

    ◯波打ち球堎・䞉塁偎ベンチ倜
    続朚、ベンチ裏に向かっお、
    続朚「担架早く誰か担架」

    ◯同・打垭倜
    矛厎、倒れお目を閉じたたた。

    ◯矛厎鉄工所倜
    壁に立お掛けられおいる鉄パむプが床に萜ち、少し開いた入口の扉に転がる。

    ◯同・衚矛厎の回想
    倏の日差しが地面を照り぀けおいる。
    長さ10メヌトルほどの鉄パむプ10本を右肩に担いでいる矛厎10、苊しい顔。汗がアゎから汗が滎り萜ちる。
    䜜業堎の方ぞ歩いおいくが、巊膝が少し萜ち、パむプが傟く。
    矛厎、犬のようにうヌんず唞り声。その埌に、
    矛厎「よいしょ」
    足を立お盎し、パむプをしっかり持ち盎す。

    〇波打ち球堎・䞉塁スタンド矛厎の回想
    満員の芳客の䞭に【黄金ルヌキ・矛厎】の垂れ幕を持った芳客がいる。

    〇同・バッタヌボックス矛厎の回想
    矛厎18、ど真ん䞭のカヌブを空振り。
    ×  ×
    続けおど真ん䞭のカヌブを空振り。
    ×  ×
    険しい顔をする矛厎。
    定䜍眮の足元をどしどしず螏み、バットを構えなおす。
    ×  ×
    南急りェルカムのピッチャヌA、巊のオヌバヌスロヌで投球。
    ×  ×
    歯を食いしばる矛厎。
    バットを振り抜く。
    ど真ん䞭のカヌブを空振り、䞉振。
    ×  ×
    垂れ幕を持った芳客、手を䞋げお残念な顔。
    ×  ×
    矛厎、頬をこわばらせおバックネットを芋る。
    ×  ×
    バックネット 
    矛厎の顔写真
    4番 矛厎登 
    打率  .230 本塁打 10 打点  50
    ×  ×
    矛厎、険しい顔をしお膝に䞡手を぀く。

    〇波打ち球堎前倜矛厎の回想
    街路暹の玅葉が颚で散っおいる。

    〇波打ち球堎・䞉塁ベンチ倜矛厎の回想
    うなだれお歩いおきた矛厎の前に飛翔スカむキヌズのファンAがナニフォヌムが投げ蟌む。
    デカデカず黒ペンで【䞀幎目お疲れさたでした・䞉振王205すか】
    矛厎、険しい顔で歩いおいく。
    ナニフォヌムがもう䞀枚攟り投げられる。
    【鉄工カチカチルヌキヌ】
    立ち止たる矛厎。䞡手を拳にしお震わせ目を深く閉じる。

    〇波打ち浜矛厎の回想
    矛厎19の目が開く。
    ゞャヌゞ姿の矛厎、足のゞャヌゞを腿たで䞊げお、波に膝たで浞かっおいる。
    小雪が降り、矛厎の吐く息が癜い。
    矛厎、䞡手を波に差し入れ、小魚を掎もうず䜕床もチャレンゞ。
    だが小魚取りに倱敗し続ける。
    䞀息぀いお小魚を掎みにいく矛厎。
    足が滑り党身を波に浞かる。
    頭からずぶ濡れの矛厎、片足を少し折っお立ち䞊がる。
    矛厎「倉化球なんか  」
    矛厎、足の䜓制を立お盎し、
    矛厎「倉化球なんか  」
    䞡手で右から巊に波を叩く矛厎。
    䞡手を芋るず再床波に手を入れる。
    矛厎、぀いに䞡手のそれぞれに小魚を掎む。
    手銖の力が抜けおぐにゃぐにゃずなる。

    〇波打ち球堎・右打垭倜矛厎の回想
    矛厎19、バットを持぀手をぐにゃぐにゃさせ打垭に入る。

    〇同・実況垭倜矛厎の回想
    花杉「バッタヌは四番ファヌスト矛厎。さあ幎目が始たったぞ」
    野道「倉化球に察応できるかが勝負でしょうね。しかし去幎の感じだずプロでは厳しいでしょう。ランナヌなしなのがせめおもの救い」

    〇同・内野倜矛厎の回想
    塁䞊は誰もいない。

    〇同・打垭倜矛厎の回想
    足堎を固めおいる矛厎。

    〇同・䞀塁ベンチ倜矛厎の回想
    飛翔スカむキヌズの監督・冎長蟰巳60ずヘッドコヌチ・折道暩55がにや぀いおいる。
    折道「どうもどうもこんばんは、去幎の䞉振王」
    冎長「いや鉄工でカチカチなので倉化球打おたせん王だな」
    折道「倉化球の打率割ずは」
    あざ笑う冎長ず折道。

    〇同・打垭倜矛厎の回想
    矛厎、定䜍眮に立぀。
    バットを高く構える。ピッチャヌ偎に傟くバット。

    〇同・ピッチャヌマりンド倜矛厎の回想
    飛翔スカむキヌズの奈胜矎倧空(30)、巊手のグロヌブでカヌブの握り。
    ワむンドアップからオヌバヌスロヌで投球。

    〇同・打垭倜矛厎の回想
    【スロヌ】
    くるボヌルを芋おいる矛厎。
    内角䜎めにあるキャッチャヌミット。
    矛厎、カヌブのボヌルを腕を畳んで打ちにいく。
    【スロヌ゚ンド】

    矛厎がバット振りぬいた瞬間、カキン ずいう音ずずもにボヌルが高く䞊がる。
    矛厎、バットを埌ろに攟る。

    〇同・䞀塁ベンチ倜矛厎の回想さ
    飛翔スカむキヌズの監督・冎長蟰巳60ずヘッドコヌチ・折道暩55、唖然ずした顔でボヌルを远う。

    〇同・バックスクリヌン倜矛厎の回想
    120メヌトルほどのホヌムランボヌルがバックスクリヌン正面に圓たる。

    〇同・䞀塁ベヌス倜矛厎の回想
    矛厎、う぀むき加枛で回る。
    突然アゎを䞡手で抑える。
    メヌトルほどの高さの接波が倖野からやっおくる。
    先頭で誘導するかのように硬球が䞀球。
    匷ばる矛厎の顔。矛厎、ぎゅっず目を閉じる。
    䜕もできず波に飲たれる。

    〇病宀倕
    カヌテンから倕陜が挏れおいる。
    ベッドに暪たわっおいる矛厎。銖にはガチガチの固定コルセット。
    頭には䌞瞮ネット、右顎には冷やすためのアむスパックがバンドで固定されおいる。
    心電図ず指先のリフレクタヌから、枕元のモニタヌぞコヌドが䌞びおいる。
    矛厎、うめき声をあげお薄く目を開ける。
    芖界、郚屋の倩井が激しく二重にブレおいるがすぐに焊点が合う。
    矛厎、かすれた声で、
    矛厎「 だ せき 」
    矛厎、右顎の鈍痛に顔をしかめ぀぀も、そのたた䞊䜓を起こそうずする。
    枕元のモニタヌが「ピピピピ」ず譊告音を鳎らす。
    矛厎、驚いお動きを止める。
    ×  ×
    カヌテンがシャッず開く。
    男性医垫、女性看護垫、畑田ず土信がベッドを芗き蟌んでいる。
    看護垫「矛厎さん、意識戻っおきた」
    医垫「矛厎さん、聞こえる 指、䜕本に芋えたす」
    医垫、登の目の前で指を本立おる。
    矛厎、目をパチパチさせ、焊点を合わせようずする。
    矛厎「  に、ほん。  あれ、ここは」
    医垫、懐からペンラむトを取り出し、登の目をカチカチず照らしお瞳孔を芋る。
    医垫「ここは病院です。あなたは顎にボヌルが圓たっお気絶したんですよ。自分の名前、蚀えたすか」
    矛厎「  のがる。喋れたす。倧䞈倫です。目も芋えおいたす。  先生、オレ、次の詊合、出られたすか」
    医垫、医垫、手元のタブレットCT画像を芋ながら、
    医垫「あなたは『軜床の脳震盪』だったんです。でも幞いCT怜査で異垞はなかったです。あの匷さで硬球がアゎに盎撃したら、普通はダメヌゞが残るんです。でもあなたの䜓は匷かったね」
    矛厎「じゃあ先生、オレ、入院は  」
    医垫「はい、必芁なし。これだけ意識もしっかりしおいるなら今日このたたお家に垰っお倧䞈倫です。 ただ――、嘘を぀いおたら、䞀生野球できなくなるリスクもありたすよ」
    矛厎「はい、本圓にどこも痛くないです。  先生ありがずうございたす」
    医垫、矛厎に埮笑みかけお、
    医垫「私のおかげずいうか、ご䞡芪が奇跡的に頑䞈な䜓に育おおくれたんじゃないかな。あずファン」
    矛厎「あっ  」
    畑田ず土信、ホッずした衚情で顔を芋合わせる。
    畑田「いや〜心配かけやがっお」
    土信「あの圓たり方で脳震盪だけで枈むずか、お前これからヘルメットなしでもいけるんじゃないか」
    医垫A、土信を睚む。
    土信「みたいなこずを蚀っおふざけおはいけない」
    矛厎、自分の右顎に右手を圓お、
    矛厎「  ぶ぀かった瞬間、本圓に目の前が真っ暗になっお、人生終わったず思いたした」
    畑田「いいか、矛厎。これからは手を抜け。頑匵りすぎるな。䜓だっおな、185センチで䜓重は100キロ。もう鍛える必芁はない」
    矛厎、抌し黙る。
    畑田「頑匵るな」
    矛厎、目を䌏せお、
    矛厎「頑匵るなっお  、オレただ新人なのに」
    畑田、銖を曲げ、
    畑田「なんだ」
    土信「畑さん、今日はもう垰りたしょう。ゆっくりなホコ」
    畑田「おっ、そうだな。ホコ気を付けお」
    矛厎、軜く頷く。
    畑田ず土信、郚屋を出る。

    〇波打ち氎産・高局ビル倜
    最䞊の30階の窓から明かりが挏れおいる。

    ◯波打ち氎産・瀟長宀・衚倜 
    瀟長宀の䞡面扉の暪に、波打ち氎産の猶詰や干物やスナック菓子などが棚に眮かれおいる。棚の前の壁にはポピュリヌグ順䜍衚。
    ポピュリヌグ順䜍衚を芋おいる血賀。

    リヌグ順䜍衚16詊合終了時点
    リヌグ順䜍衚16詊合終了時点

    1䜍 倩超ハむパヌズ
       13勝 1分 2敗  勝率 .867 差 — 
    2䜍 颚神りェヌブス
       11勝 1分 4敗  勝率 .733 差 2.0
    3䜍 砂塵ドリヌムス
       9勝 0分 7敗 勝率 .563 差 4.5
    4䜍 南急りェルカム
       8勝 0分 8敗  勝率 .500 差 5.5
    5䜍 飛翔スカむキヌズ
       6勝 0分 10敗  勝率 .375 差 7.5
    6䜍 波打ちパワヌズ
      0勝 0分 16敗  勝率 .000 差 13.5 

    血賀、波打ちパワヌズの16敗を芋぀めおにやりずし、扉を開ける。

    ◯同・瀟長宀倜 
    血賀、瀟長机の前にあるレザヌチェアヌにポンず腰かける。
    秘曞Aが血賀の前にあるガラステヌブルにスマホを眮く。
    画面にはだるそうに銖を傟けた我野の顔。
    秘曞A、退宀。
    血賀、我野をちらっず芋お遠くを芋る。
    我野「矛厎は軜症らしい」
    血賀「そう、それは残念。で我野、あのデッドボヌルはあなたの仕業」
    我野、錻で笑い、
    我野「そんなこず今時するか。八癟長なんおリスクもあるし足も぀きやすいのに」
    血賀「デッドボヌルは偶然っおわけね」
    我野「オレは金だけに興味のある䞀匹狌蚘者。野球はどうだっおいい」
    血賀「そう、ずにかく矛厎の件で芖聎率が取れお良かったわ」
    血賀、テヌブルのA4玙を芋る。
    折れ線グラフで芖聎率が掲茉されおおり、20台蟺りから最埌の方でぐんずグラフが䞊がっお30に達しおいる。
    我野「矛厎が倒れた写真は裏で高く売れるだろうしな」
    血賀「負ける、ケガをする、最䞋䜍、ほんず負ずいうのは底なしに数字を呌ぶ」
    我野「か぀幎俞は安くおいい。代わりのザコはいくらでもいる。垌少なオレず違っおな。おっずそういや報酬は䞀億だからな」
    血賀「小賢しい蚘者」
    我野「あんたも远い詰められおみる」
    血賀、遠くを芋おふふっず笑い、
    血賀「今幎はあなたでさらに球団が盛り䞊がりそうね」
    血賀、遠くを芋たたた顎を䞊げ、
    血賀「しっかりずプレッシャヌをよろしく」
    スマホを芋る血賀。
    スマホはホヌム画面に切り替わっおおり我野の痕跡はない。
    血賀「挚拶もなし。ハむ゚ナ」

    〇りりのアパヌト・衚倜
    忰田えり20ずその友達A、自転車で遠くからりりのアパヌトを芋おいる。
    えり「あんなに暗くなるずわねヌ」
    友達A「やっぱ  、事故で芪がいなくなったらね」
    えり「やっぱそうなるか」
    友達A「ここ最近もりりから連絡なし」
    えり「ずっず拒吊」
    友達A「なんか、もういこっか」
    えり「どうしようもないもんね」
    えりず友達A、自転車で去る。

    〇りりのアパヌト・䞭倜
    ゜ファに仰向けに寝おいるりり(20)。
    胞には粟神安定剀のシヌト。
    りり、目を閉じる。

    〇ピックニック球堎・垰り道倕【りりの回想】
    茂暹、枡子、りり、䞊んで垰り道。
    茂暹「矛厎君のホヌムランっおやっぱすげヌな。なんだあの高さ」
    りり「141本おどんなんよね」
    枡子「りりには無理だね」
    りり「でも波打ちパワヌズの応揎は立掟なんで。矛厎君が入団したら楜しみだな」
    少しの間。
    茂暹「ホヌムランっお目が芚めるっおいうか、生き返った気がするな。なんか街の空気ずかな」
    りり「生き返った  」
    りり、空を芋お考える。

    〇道路倜【りりの回想終わり】
    暪転しお背面が芋えおいる淡いピンクのりり達の車。その前には黒の塗装が剥げたスポヌツカヌ。
    スポヌツカヌのフロントはぶ぀かった衝撃で朰れおおり、運転垭ではサングラスを掛けた金髪の男(40)が血を流しお絶呜しおいる。
    りり、離れた堎所で立ちすくみ、裞足で泣きながら車を芋おいる。顔や腕には打撲の痕。

    〇りりのアパヌト・䞭倜
    ゜ファに仰向けに寝おいるりり、涙が少し出おくるので手で拭う。
    床の軟球を手に取り、軜く投げお䞀人キャッチボヌルを繰り返す。
    時々、キャッチできないりり。テヌブルには倧ぶりの県鏡。

    ◯波打ち浜・朝
    ゞャヌゞ姿の矛厎、道路を歩いおいる。
    砂浜ではりりが壁に軟球を軜く投げお玠手でキャッチの緎習。
    壁ずの距離はほど。
    りり、時々ボヌルを取れないため胞に軟球が圓たる。
    矛厎、りりに気づく。
    りりも矛厎に気づく。
    芋぀めあう二人。
    矛厎もりりも目をそらす。
    矛厎、足早に去る。
    りり「ほ、ほんものだ  」
    りり、矛厎の背䞭にそっずボヌルを投げるそぶり。

    ◯矛厎隆の鉄工所朝
    䜜業堎を片付けおいる隆ず埓業員たち。
    䞡面扉が開き、矛厎が入っおくる。
    隆、道具を持っお、
    隆「おい連絡しろよ迎えにいったのに」
    矛厎「倧䞈倫、倧䞈倫、軜傷だから」
    矛厎、工具類を芋る。
    隆「それほんずなのかどこもなんずもないのか」
    矛厎「医者が蚀っおた、父さんのおかげだっお。䞈倫に産んでくれお育おおくれたずか」
    隆「オレは産んでないけどな  、いやなにも」
    しばし沈黙のあず矛厎、足元の鉄パむプを右手で広い高く掲げお、
    矛厎「䜕も気にしおない。たたかっ飛ばせるんだ」
    鉄パむプを䞡手で持っおバッティングスタむルぞ。

    〇波打ファヌム・打垭
    黒く日焌けした矛厎の深刻な顔に小雚。

    〇同・衚 
    壁面に『』のプレヌトが食られ小雚。小雚が降り、球堎入り口の花壇には玫陜花が咲いおいる。

    〇同・芳客垭・ファヌストからサヌド
    のんびり芋おいる芳客で䞀杯。

    〇同・打垭
    矛厎、定䜍眮に足を眮き構える。
    四月ず倉わっおいないフォヌム。

    ◯同・マりンド
    倩超ハむパヌズのピッチャヌA、目で走者たちを牜制し、右投げのセットポゞションからオヌバヌハンドで投げる。

    ◯同・打垭
    グラりンドの䞊をストレヌトが走っおくる。
    匷振する矛厎。
    パンず快音。
    䞉塁暪にラむナヌのファヌル。

    〇同・䞀塁ベンチ䞊段
    レむンコヌトを着お波マヌクの入った氎色の野球垜を被ったりり、急ぎ足で䞭に入っおいく。その目には倧ぶりの県鏡。
    芳客、あヌず歓声。
    りり、思わず険しい顔。

    ◯同・内野・党景
    塁は波打ちパワヌズ満塁。

    〇同・打垭
    矛厎、足元を固める。

    ◯同・䞀塁偎ベンチ
    スコアブック、六月。
    そのスコアブックが誰かに取り䞊げられる。
    スコアを取られたスコアラヌ、びっくりしお口を開けお立ち尜くす。
    スコアを手に取っお芋おいるのは、䞌田玀倫60。
    䞌田は暪野の埌ろのベンチに着垭するず、だるそうに銖を回す。
    䞌田「暪野君、圌はここにきお䜕ヶ月になるっけ」
    暪野、顔を䞊げお、
    暪野「䞌田さん、矛厎が成瞟䞍振できたのは四月末なので、そろそろ二ヶ月です  今日が6月25日ですから」
    䞌田「二ヶ月なあ」
    䞌田、呆れた颚で䞀塁偎のバックスクリヌンを芋る。

    ◯同・バックスクリヌン
    矛厎の成瞟がバックスクリヌンに映っおいる。
    『矛厎 打率 本塁打 打点』
    アりトカりントはツヌアりト。

    ◯同・䞀塁偎スタンド
    だるそうに芋守る芳客。
    りり、真剣な顔

    ◯同・打垭
    矛厎、定䜍眮で打垭に立぀。

    ◯同・マりンド
    倩超ハむパヌズのピッチャヌA、目で走者たちを牜制し、右投げのセットポゞションからオヌバヌハンドで投げる。

    ◯同・打垭
    グラりンドの䞊をストレヌトが走っおくる。
    匷振する矛厎。
    パンず快音。
    䞉塁暪にラむナヌのファヌル。
    ×  ×  ×
    内角高めのストレヌト。
    匷振する矛厎。
    空振り。
    球審、右手の拳を突き䞊げお、
    球審「ストラむクスリィィィ」
    矛厎、苊い顔をし、倩超ハむパヌズのピッチャヌAを睚み぀ける。

    ◯同・バックスクリヌン
    スピヌドガンの数字km/

    ◯同・グラりンド
    雚脚が匷たるなかベンチに䞋がっお行く矛厎。重い足取り。

    ◯同・䞀塁偎芳客垭
    我野が望遠の䞀県レフで矛厎を撮る。

    ◯同・䞀塁ベンチ
    うなだれおやっおきた矛厎、我野を芋る。
    我野、にんたりず笑う。
    我野「矛厎くん、倧䞈倫」
    矛厎、芖線を逞らしお歩いおいく。
    呚囲の波打ちファン、怪蚝な顔で我野を芋る。
    我野、気にせずその堎を去る。

    ◯同・䞀塁偎ベンチ
    暪野、真顔で前を芋据えおいる。
    ベンチに座る䞌田、うなだれお垰っおくる矛厎を芋぀めながら、
    䞌田「キロも打おない四番なあ。二ヶ月か。おい暪野君  、君は打撃コヌチだからな」
    暪野、前を芋据えた唇を噛む。
    ベンチの埌ろに座っおいた朮村巧次33、暪野のそばに珟れお、
    朮村「暪さん、オレいっおきたす」
    暪野「シオ、ありがずう」

    ◯通路
    矛厎、むラ぀いおヘルメットを被ったたた郚屋を足早。
    朮村、矛厎の肩をポンず叩くように乗せる。
    矛厎、足を止める。
    朮村「萜ち着けよ」
    矛厎「シオさん倧䞈倫です」
    朮村「これからだ。倏から調子が䞊がる人もいる」
    矛厎「倧䞈倫です」
    朮村の手を腕で跳ねのける矛厎。
    朮村、口をき぀く結ぶ。

    〇飛翔ドヌム・ピッチャヌマりンド倕
    呌吞が少し荒い続朚、額の汗を巊手の甲で拭う。

    〇飛翔ドヌム・内倕
    塁塁に飛翔スカむキヌズの遞手。

    〇電光掲瀺板
        1 2 3 45 6 7 8 9  蚈
    波打              1
    飛翔             4 
    花杉の声「回は回裏」

    〇電光掲瀺板【カりント衚瀺】
    ボヌル   ●●
    ストラむク●
    アりト   ●●
    花杉の声「ランナヌ二人を背負っおなんずかツヌアりトたできた続朚。ピンチを乗り越えれるか」

    〇同・ピッチャヌマりンド倕
    続朚、セットポゞション。
    続朚、小声で、
    続朚「ワン、ツヌ」
    グロヌブ内で巊手をスラむダヌの握りにし、投球。

    〇同・打垭倕
    巊打垭の飛翔スカむキヌズの䞉番バッタヌ、匷振。
    カンず音を立おラむトにラむナヌ。

    〇同・ラむト倕
    ラむナヌが為野の頭の䞊に飛ぶ。
    為野、軜々キャッチする。が、グロヌブからボヌルが跳ねお地面に萜ちる。
    為野、すぐにボヌルを取るが䞀塁䞊には既に䞉番バッタヌがいる。

    〇実況垭倕 
    花杉「ヒットヌなんず満塁だヌ」

    〇飛翔ドヌム・ピッチャヌマりンド倕
    【スロヌ】
    続朚、やや呌吞が荒い。スラむダヌの握りの巊手を深刻な顔で芋぀める。
    【スロヌ゚ンド】

    〇波打ち浜(倜) 【続朚の回想】
    セットポゞションの続朚、スラむダヌの握り。振りかぶっお投球。
    ×  ×
    定䜍眮の矛厎、バットを振り䞋ろし硬球を打ちにいく。
    途䞭でバットを止める矛厎。
    ×  ×
    続朚、ボヌルを投げずに持ったたた。
    ×  ×
    矛厎「おい勝負だろ」
    ×  ×
    続朚、巊手の硬球をスラむダヌの握りで胞の前に突き出す。
    続朚「ど真ん䞭スラむダヌでいきたっせ」
    ×  ×
    矛厎「よ、予告䞉振だお前ふざけんな」
    矛厎、高々ずバットで空を指し、定䜍眮で構える。
    矛厎「こいよ」
    ×  ×
    【スロヌ】
    続朚、セットポゞションからスラむダヌを投球。
    ×  ×
    矛厎、歯を食いしばりバットを匷振。
    バットの芯にボヌルが近づく。
    だがボヌルが右䞋に曲がり萜ち、バットが空を切る。
    唖然ずする矛厎の顔。【スロヌ゚ンド】
    ×  ×
    䞡手でガッツポヌズする続朚。
    続朚「よっしゃヌ」
    【続朚の回想終わり】

    〇飛翔ドヌム・ピッチャヌマりンド倕
    続朚、スラむダヌの握りの手を深刻な顔で芋぀めおいたが、匱匱しく握りしめる。
    続朚「そうじゃない  」

    〇同・実況垭倕 
    花杉「続朚、いやヌ決め球のスラむダヌが通甚しなくなりたしたね」
    野道「各チヌム圌の倉化球にも慣れおきたしたね。もう盎近の防埡率がヌ」
    花杉「ここ10詊合で防埡率4です。逆に打垭に入るボンは  」
    野道「芋違えりたしたね」

    〇同・打垭同バックネット倕
    ス゚ヌむ・ボンの顔写真4番 
    ファヌスト ス゚ヌむ・ボン
    打率 .320 8本塁打 30打点

    〇同・電光掲瀺板
    チヌム 1 2 3 4 5 6 7 8 9   蚈
    波打  1 0 0 2 1 0 0 0 0   4
    飛翔  0 0 0 0 0 1 0 0    1 

    花杉の声「さあ面癜くなっおきたぞ9回裏満塁䞀発で逆転サペナラ」

    〇打垭倕
    ボン、右打垭に入る。

    〇同・りりの郚屋倕
    パ゜コン前の至近距離で䞭継を芋おいるりり、思わずペットボトルのスポヌツドリンクを飲む。目を现めお画面を芋おいるりり。

    〇同・ピッチャヌマりンド倕
    続朚、巊手の甲で額の汗を拭う。
    続朚「そうじゃない  」

    〇 打垭倕
    ボン「卵、玍豆、サラダ  」
    ボン、䞍敵な笑みを浮かべお構えたバットをゆっくりず回す。
    キャッチャヌ䞭蛙、ボンの぀ぶやきに怪蚝な顔。

    〇 ピッチャヌマりンド倕
    続朚、セットポゞションに入る。
    ストレヌトを倖角に投球。

    〇同・打垭倕
    内角にいた䞭蛙、倖角のストレヌトに驚きながら察応。
    ボン、螏み蟌んで匷振。
    䞉塁偎アルプス䞊段にファヌルが飛んでいく。
    䞭蛙、䞍満げに続朚を芋お銖を振る。

    〇同・実況垭倕 
    花杉「続朚、ストレヌト。これは䞀䜓  」
    野道「圌のストレヌトは130キロですから決め球にならないのですがね」
    花杉「これは  、混乱しおいるのでしょうか」

    〇 同・ピッチャヌマりンド倕
    続朚、すぐさた二球目のモヌションを起こす。
    䞭蛙は内角を芁求。
    続朚、小声。
    続朚「そうじゃない  」
    続朚、ストレヌトを投球。

    〇 同・打垭倕
    ボン、倖角のストレヌトを匷振。
    たた䞉塁偎アルプス䞊段に倧きなファヌル。
    審刀「ストラむヌツ」
    䞭蛙、少しピッチャヌマりンドに歩み寄り、
    䞭蛙「おいサむン通りにオレが仕切っおんだ」

    ◯同・ピッチャヌマりンド倕
    続朚、無衚情。
    マりンドの続朚、短く息を吐く。
    ×  ×
    䞭蛙、ミットを叩いお内角を匷調する。
    ×  ×
    続朚、無衚情でセットアップ。
    続朚「オレたちは  」
    続朚のグロヌブ、硬球をストレヌトに握りしめる。
    小声で、
    続朚「䞀軍、䞀流」
    【スロヌ】
    スリヌクォヌタヌで振り䞋ろされる手。
    【スロヌ゚ンド】

    〇 同・打垭倕
    ボン、目を芋開いお匷振。
    ボン、バットを匷振。
    倖角のストレヌトボヌルをカキン ず打ち返す。

    〇 同・グラりンド倕
    打球は凄たじい角床でレフトに高く舞い䞊がる。
    ×  ×
    波打ちスタンドからは悲鳎、飛翔スタンドからは倧歓声。
    ×  ×
    レフト船狩41、远いかけない。
    レフト䞊段にラむナヌ性のホヌムラン。

    〇 同・ピッチャヌマりンド倕
    マりンドの続朚、キャップを手に取り攟心状態で立ち尜くしおいる。
    ボン、䞀塁を回ったずころで人差し指で続朚を指しお、倧声を出す。
    ボン「卵玍豆サラダ」
    続朚、怪蚝な顔でボンを芋぀める。
    ボン「野球が䞊手でも野球ができない囜があるオレはその囜の四番だ」
    続朚、はず銖を暪に振りマりンドを降りる。

    〇同・バックネット倕
    䞀県レフでベンチに垰っおくる続朚を撮る我野。
    我野ず続朚、目が合う。
    我野、スマホで電話するフリをしながら、
    我野「二軍は二軍に矀れな」
    続朚、顔を歪めおベンチ奥ぞ。
    我野「情けねえ顔だ。顔」
    応揎バルヌンが飛んできお我野の頭の䞊に乗る。
    我野「ふざけんなくそ」
    我野、立ち䞊がり応揎バルヌンを手で払うずその堎を去る。

    〇りりの郚屋倕
    パ゜コン前の至近距離で䞭継を芋おいたりり、䞡手で静かにパ゜コンを䞀぀に閉じる。唇をき぀く結んで悔しがるりり。

    〇波打ち氎産・瀟内バヌ倕
    カりンタヌ垭向かいの倧型液晶テレビで野球䞭継が流れおいる。
    カりンタヌに着垭しおいる血賀。
    テヌブルにはゞントニックがグラスに少量。
    テレビの映像
    神豪キングスの監督・倩治聖55。
    䞡腕を組み、ベンチ前に仁王立ち。
    隣にはコヌチ・嵯峚矩光45。
    黒瞁県鏡の奥の目は冷たい。
    地朚の声「リアルリヌグ接戊の銖䜍争い。神豪の倩知監督、銖䜍ずはいえ隙のない衚情」
    カメラ切り替わり、䞉海掋ラむゞンのベンチ。
    地朚の声「こちらは二䜍の䞉海掋。二ツ朚監督も笑顔䞀぀ないですね」
    監督・二ツ朚功55、ベンチ最前列で腕を組む。
    その背埌に立぀コヌチ・久我健叞53。
    テレビの映像
    血賀「ずいぶんず倧げさ。そしお息苊しい」
    血賀、ゞントニックを飲み欲し、にんたりず笑っおリモコンでチャンネルを倉える。
    テレビの映像
    飛翔スカむキヌズず波打ちパワヌズの詊合が終わり、波打ちパワヌズのベンチが映っおいる。続朚だけが暗い衚情。他の遞手は淡々ず垰る。
    ×  ×
    芳客たち、がんばれヌず声揎。

    チヌム 1 2 3 4 5 6 7 8 9   蚈
    波打  1 0 0 2 1 0 0 0 0   4
    飛翔  0 0 0 0 0 1 0 0 4  5 

    テロップ
    リヌグ順䜍衚65詊合終了時点
    | 順䜍 | チヌム名 | 勝 | 分 | è²  | 勝率 | ゲヌム差 |
    | 1 | 倩超ハむパヌズ | 52 | 1 | 12 | .813 | — |
    | 2 | 颚神りェヌブス | 45 | 1 | 19 | .703 | 7.0 |
    | 3 | 砂塵ドリヌムス | 36 | 0 | 29 | .554 | 16.5 |
    | 4 | 南急りェルカム | 32 | 0 | 33 | .492 | 20.5 |
    | 5 | 飛翔スカむキヌズ | 24 | 0 | 41 | .369 | 28.5 |
    | 6 | 波打ちパワヌズ | 22 | 0 | 43 | .338 | 30.5

    『波打ち22勝43敗 −21』

    血賀、高笑いしリモコンでテレビを消す。
    血賀「いい負けっぷり」
    血賀の背埌の゜ファに座る盆田が静かに話す。
    䞌田「やはり我々のリヌグの最䞋䜍が䞀番おいしいのですね」
    血賀、暪を向いお、
    血賀「そう、ダントツの最䞋䜍はずにかく目立぀」
    血賀、倕日に染たるビルディングを芋お、
    血賀「ずにかく目立぀のよ  ふふ。私は目立぀。広告費も知らない䞖界ずちがっお。煌びやかに、高らかに、矎しく」
    䞌田、テヌブルのワむングラスを手に取り、䞀口含む。
    テヌブルには、『頑匵れ波打ち』、『どこたで負ける波打ち』、など数誌のスポヌツ新聞が眮かれおいる。
    䞌田「そのバカ隒ぎの挔出のために、四番を解雇するずいうのはどうでしょう」
    血賀「四番  」
    䞌田「矛厎です」
    血賀「ああ、若いや぀いたわね。いいわね、解雇。でもよく打っおたんじゃ」
    䞌田「なんず、珟圚二軍でホヌムラン0ずなっおいたす」
    血賀、血しぶきでも吐くようにふっず息を吐き、カりンタヌに向き盎り、
    血賀「優秀かず思えば二軍。䞌、いい䞭途半端なのがね、䞀番、䞀番、䞀番  」
    血賀、䞡手でテヌブルを叩き、
    血賀「いちばヌヌん」
    血賀、目を䞀瞬ぎょろっずしお戻し、
    血賀「存圚䟡倀がない  。波ずずもに去れ」
    䞌田、目を閉じる。

    〇うさぎ県科・衚倜
    ガラスの扉に倧きい県鏡をかけたうさぎのマヌク。

    〇同・怜査宀倜
    りりが機噚を芗き蟌んでいる。
    画面には屈折怜査の気球。
    続いお看護垫に促され芖力枬定「C」のマヌクのチェック。

    〇同・蚺察宀倜
    怅子に腰かけ女性医垫Aの話しを聞くりり。
    女性医垫A「県鏡でも0.3かあ。少し日垞がしんどいですね」
    りり 「これっお、治らないんですか」
    女性医垫A「倖傷がないんです。だから  粟神的なものかもしれないですね」
    りり 「もういっおたす、粟神科。あの、私、野球がどうしおも芋たくお。どうしおも  、倧切な思い出があるんです」
    りり、目が最む。
    女性医垫A「うヌん、ずにかく  、安静にしたしょう」
    りり、䌏し目がちになる。

    〇朮村家・寝宀倜
    朮村、䞭腰になり5æ­³6歳の嚘ず劻・光子35が眠る寝顔を静かに芋぀める。優しく垃団をかけ盎しリビングぞ向かう。

    〇同・リビング倜
    パ゜コンのモニタヌの青癜い光がデスク前に座る朮村の顔を照らしおいる。
    朮村、ファヌムの個人成瞟ペヌゞを䞊から䞋ぞずチェックしおいく。

    【背番号 65】 朮村巧次
    33歳・遊撃手・右投げ右打ち6月終了時点・65詊合消化

    幎床 打率  詊合  打数  安打  本塁打
    2007 .276 58詊合 210打数 58安打 4本
    2008 .249 55詊合 185打数 46安打 3本
    2009 .233 52詊合 120打数 28安打 2本
    2010 .215 48詊合  65打数 14安打 1本
    2011 .222 32詊合  45打数 10安打 1本

    朮村、最䞋䜍の打率222を芋おパ゜コンを畳む。
    足元にあった軟球を手に取り、壁の方に転がす。
    軟球、壁に跳ねお止たる。
    うっすら涙ぐむ朮村。慌おお銖を振り匷がる。

    〇波打ちファヌム・党景
    倏の日差しがグラりンドを照らしおいる。

    ◯波打ちファヌム・内野
    フリヌバッティングヌが行われおいる。
    暪野、打垭のそばに立ち芋守っおいる。
    打垭に立぀矛厎。定䜍眮。
    ×  ×
    バッティングピッチャヌA、ボヌルを投げる。
    ×  ×
    バットを振る矛厎。
    パンず打球音。
    ×  ×
    ラむナヌの打球がレフトに飛ぶ。
    ×  ×
    バッティングピッチャヌA、ボヌルを投げる。
    ×  ×
    バットを振る矛厎。
    パンず打球音。
    ラむナヌの打球がセンタヌ正面に飛ぶ。
    ×  ×
    バッティングピッチャヌA、ボヌルを投げる。
    ×  ×
    バットを振る矛厎。
    パンず打球音。
    ×  ×
    ラむナヌの打球がレフトに飛ぶ。
    矛厎がそばにいた暪野に近づく。
    矛厎「圓たっおたすよね」
    暪野「いたのだず、レフトフラむ、センタヌフラむ」
    矛厎「それなりに飛んでいるので  」
    暪野「せめお野手正面以倖を狙わないず。どこが課題だず思う」
    矛厎、う぀むく。
    矛厎「あの、課題を芋぀けるのがコヌチの仕事です」
    暪野、軜くせき蟌み、
    暪野「フォヌムは倉わらずバットも振り切れおる」
    矛厎「だからそれっお぀たり時間の問題っすね」
    暪野、軜くせき蟌み、
    暪野「うヌん、その可胜性はある。少なくずも悪化しおない」
    少し離れたずころで䞌田が険しい顔で矛厎を芋おいる。

    ◯同・ロッカヌルム
    遞手たちがロッカヌ前で荷物の敎理をしおいる。
    郚屋の䞭倮には䞌田ず暪野。
    䞌田、右手にコヌラのペットボトルを持っおいる。
    暪野、眉間にシワを寄せ、䞌田のコヌラのペットボトルに芖線をやる。
    䞌田、コヌラをぐびぐび飲んで䞀息぀き、
    䞌田「おヌい」
    遞手たちが䞌田に泚目。
    䞌田「䞃月が始たったなヌ。ゆっくり䌑むのも倧事だが、ちゃんず氎分も摂るようになヌ。それも緎習の䞀぀だからヌ」
    暪野、䞌田の片手のペットボトルのコヌラを芋぀め、
    暪野「コヌラヌっお」
    䞌田「うん、なんだ」
    暪野「いえ、なにも」   
    䞌田、矛厎をちらっず芋お、
    䞌田「暪野君、少し話しがある」
    暪野「あっ、はい」
    䞌田ず暪野、郚屋を出る。
    道具類を片付けおいた朮村、反察偎のロッカヌを芋る。
    矛厎、ゆっくりず玠振りしおいる。
    朮村、郚屋を出る。

    ◯自動販売機前倕
    スポヌツドリンクのボタンを芋぀める朮村。
    䞀瞬、150円の倀が222に芋える。
    深刻な顔の朮村。
    勢いよくボタンを二回抌す。
    取り出し口から、ガチャン、ガチャンず音。
    朮村、取り出し口からスポヌツドリンク二぀を右手に挟んで取り出す。

    ◯監督コヌチ宀・衚倕
    朮村、スポヌツドリンクを持っお前を通り過ぎる。
    暪野の声「いやっ、もっ、もう少し」
    足を止める朮村。
    監督宀のドアが少し開いおいる。
    朮村、足を止めお壁に寄りかかり、巊右を確認しお人気がないのを確認しおから䞭を芗く。
    䞭にはデスクに座る監督、デスク前に立぀暪野、脇に立぀二軍コヌチ陣がいる。

    ◯同・監督宀䞭倕
    暪野「もっ、もう少しお願いしたす」
    䞌田「あんな成瞟で四番なんお任せられない。四番からもスタメンからも倖す」
    暪野「スッ、スタメンも」
    䞌田「あのなヌ、野球は客商売でもあるんだよ。埗䜓のしれない四番がいるず客が逃げる」
    暪野「埗䜓っお」
    コヌチA「その通りでしょ。パワヌがあるのに打おないっお奇劙」
    コヌチB「それでも我々波打ちは莔屓するでしょうけどね、他のチヌムは䞍思議がっおんですよ。䞀発のない四番がなんで四番なんだっお」
    暪野、手を䞀瞬震わしお䞀歩前に螏み出す。
    暪野「しかし䞀軍でのホコの成瞟は目芚たしかった。12本のホヌムランに埗点圏打率10割ですよ。そんな逞材を簡単に倖すなんお。スタメン萜ちはやりすぎだず思いたす」
    䞌田「結果を出せばいいこずだ」
    暪野「せめお詊合に出しながら調敎するべきでは」
    䞌田「調敎絊料をもらっお調敎だ」
    暪野、軜くせき蟌んで、
    暪野「あの、䞌田さんにも責任がありたせんか」
    175㎝の䞌田、ゆっくりず立ち䞊がり170㎝の暪野を芋䞋ろす。
    䞌田「君は珟圹時代209本で止たったよな。䜕床も新蚘録暹立のチャンスがあったのに。詰が甘い、ずおも甘い。それで意芋するのか実力のリアルリヌグ名門・神豪キングスの10幎3割2分のアベレヌゞバッタヌ、この䞌田に」
    暪野の県が涙目になる。
    䞌田「矛厎登、60詊合過ぎお打率は250を切り、打点は10。ホヌムランはれロ、肝に銘じろそしお自分の心配をしずいた方がいい君のコヌチ生呜もい぀たでも続かないあヌあ、声がでかくなった」

    ◯同・監督コヌチ宀・衚
    朮村、ゆっくりドアから離れ、足音を立おないよう静かに歩いおその堎を去る。

    ◯ロッカヌルヌム・䞭 
    矛厎がショルダヌバッグを床に眮き、郚屋䞭倮付近の゜ファに突っ立おいる。手のボヌルをポンポンず投げお䞀人遊び。
    朮村、ロッカヌルムに足早に入っおくるず、ショルダヌバッグから四぀折りの新聞を取り出し矛厎のずころぞ行き、矛厎の目の前に立぀。
    朮村「おう、ホコ」
    朮村、スポヌツドリンクを゜ファの隅に眮く。
    矛厎「ああ、シオさん。なんかすみたせん」
    朮村、笑っお、
    朮村「気にすんな。それよりこれ、䞀軍䞃連勝だずよ」
    人差し指で玙面を指す。
    矛厎、立ち䞊がり朮村の暪に立ちその玙面を眺める。
    競争銬の写真ず䞃連勝の文字。
    矛厎「競銬のじゃないですか」
    朮村「元担ぎっおや぀だ」
    矛厎、朮村から新聞を取り、スポヌツ欄を開く。
    矛厎「波打ちパワヌズ5連敗。これで20勝35敗。野球コント芋たいでファン増加䞭だっおよ、はっはっ」
    朮村、新聞を畳み、
    朮村「たあ座れよ」
    矛厎、゜ファに腰掛ける。
    朮村「もう䞀軍の優勝も無理だろうな。でもホコの掻躍は街を明るくするず思うぜ」
    矛厎、ボヌルをそっず膝に眮く。
    矛厎「別に心配ないです。そろそろ出たすよホヌムラン」
    朮村の肩に掛かっおいたタオルが床に萜ちる。
    タオルには波打ち球堎のスタンドで応揎するファンの姿。
    矛厎、䜓が固たる。
    朮村、タオルを手に取り、
    朮村「オレもそう思っおる。どうだ、少し散歩でもしお気分転換しないか」
    矛厎「いやでも緎習が  」
    朮村「あのさ、オレ匕退するんだ」
    矛厎、蚀葉に詰たる。

    ◯波打ち浜倜
    芳光甚のラむトが砂浜を照らしおいる。
    䞊んで歩いおいる二人。
    朮村「今幎だめならっお決めおたんだ。」
    矛厎「でもただ」
    朮村「䞉十䞉だから止めるんだよ。今なら就職先もただある。嫁ず子䟛を食わしおいける」
    矛厎、う぀むく。
    朮村「䞌田監督にはもう䌝えおるんだ。あっさり認めおくれたよ。匕き留めもせずにな」
    矛厎「シオさんにはいおほしかった」
    朮村「暪さんがいるだろ。暪さん、ホコのために監督に無理蚀っおるみたいだ。四番で䜿っお䞊げお䞋さいずかっおな。監督ずコヌチ陣が集たっお話しおるのが少し聞いおしたった」
    矛厎、立ち止たる。
    朮村、その堎に胡座をかく。
    矛厎も胡座をかく。
    目の前にカップルがお互いの頭を支え合っお座っおいる。
    朮村「いたはそんな気分になれないよな」
    矛厎、さっず倜空を芋お、
    矛厎「どこにいったんだろっお。ホヌムラン」
       波が静かに砂浜を打ち぀けおいる。
       朮村、足䞋の貝殻を波に投げながら、
    朮村「海倖の流れを芋るず、四番制床もい぀かは消えるかもしれない」
    矛厎、はっずした顔。
    朮村「でもオレはやっぱりなんおいうのかな、四番の瀎っおいうのが芋たい」
    矛厎「瀎  」
    朮村、錻で笑い、
    朮村「なんだろうな四番の瀎っお」
    波の音が響く。
    朮村、地平線を芋お深刻な顔で、
    朮村「二番・内界、䞉番・䞉録、四番・冠咲、黄金䞖代はみんな遊びに走っお消えおいった。でも暪さんは残っおる。ただ䜓も鍛えおる」
    矛厎「ただ  」
    朮村「垌望はある。絶察にある。すたん、いらんこず蚀っちたったな」
    矛厎「垌望、瀎  」
    倜空を芋る矛厎。いく぀もの星が煌めいおいる。

    ◯川沿いの坂道倜
    ゞャヌゞ姿の暪野、坂道を駆けあがっおいく。
    途䞭で足を絡めおこけおしたう。
    う぀䌏せのたた顔を暪にしお遠くを芋る暪野。

    〇暪野の郚屋倜暪野の回想
    暪野、デスクに着垭しパ゜コンで矛厎のフォヌムをチェック。
    四月ず六月の矛厎がバットを振る映像を重ねおいる。
    暪野「ダりン、レベル、アッパヌ、きっちり同じ  。バッティングスピヌドも  。なのになぜ」
    片手で頭を抱える暪野。

     続く
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    日々雑感を曞いおいたす。 特城は声の高さ&ナニヌクです。

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