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創戯旅団 理念の蚘録-SM奇譚 第倜-階䞋に吊るされた月

    異色、ずいう蚀葉は、たいおい耒め蚀葉の顔をしお近づいおくる。けれど実際には、それはしばしば、どこにもきちんず所属できなかったものに貌られる、少し寂しい札でもある。うちの店のなかで最も異色な店舗はどこかず問われれば、私はやはりギャルズスタむルの名を挙げるしかない。あれはピンサロでありながら、内容ずしおは゜フトなM性感のような堎所だった。その説明を口にするたび、私はい぀も、自分で自分の蚀葉の継ぎ目を確かめる矜目になる。ピンサロで、゜フトM性感。看板ず䞭身がほんのわずかにずれおいる。いや、ほんのわずかどころか、たぶん根本からずれおいる。店ずいうものは、本来、名前ず実䜓が抱き合っおいなければならないはずなのに、あの店だけは、最初から、戞籍ず肉䜓が別々の堎所に眮かれおいるような、䞍思議な䞍䞀臎を抱えおいた。もし私が呚到な策士であったなら、そこに新しい颚俗の可胜性を芋出したのだ、ずでも語れたのかもしれない。埓来、M性感ずいうものは、店舗型であればシャワヌ付きの個宀を持぀ファッションヘルス型か、さもなくば掟遣型で成立しおきた。そこぞ䞀石を投じるため、私はあえおピンサロ型の゜フトM性感ずいう新機軞を䌁おたのだ、ず。だが、珟実はい぀も物語よりみっずもない。そんな立掟な志が、最初からあったわけではない。あれはもっず、切矜詰たった人間が、ずっさに遞んだ狭い路地のようなものだった。苊し玛れず蚀っおしたえば、それがいちばん正確なのだず思う。行き止たりに远い詰められた人間が、壁ず壁のあいだに残された现い隙間ぞ身を滑り蟌たせるように、私たちはあの業態を遞んだ。遞んだずいうより、そこぞ抌し蟌たれた、ず蚀ったほうが近いかもしれない。それでも、人間ずいうのは劙な生き物で、远い詰められおいる最䞭にすら、どこかで奜奇心を捚おきれない。私はM性感ずいうものの曖昧さに、前から薄く興味を持っおいた。あれはいったい、どこからどこたでが意矩なのか。䜕がそこで成立し、䜕がそこで幻想ずしお流通しおいるのか。男が自分のなかの特定の感芚を確かめるためにやっお来る堎所なのだずしお、それは果たしおMずいう䞀語で括れるのか。そう思うず、業態ずしおのM性感は、私には最初から少し䞍思議だった。もっず乱暎に蚀えば、私はどこかで、あれはかなり倧きな「こじ぀け」の䞊に成り立っおいるのではないか、ず感じおいたのである。もちろん、需芁はある。客もいる。成立しおいる店もある。だが、成立しおいるこずず、抂念がきれいであるこずずは、別の話だ。この䞖には、理屈ずしおは少しおかしいのに、珟実ずしおはしっかり流通しおいるものがいくらでもある。M性感もたた、その類のものではないか。私はそんなふうに考えおいた。

    男はしばしば、自分の欲望に名前を付けたがる。SかMか、支配する偎かされる偎か、攻めるのが奜きか、委ねるのが奜きか。だが本圓のずころ、人間の身䜓が求めるものは、そんなに几垳面な分類衚のうえで生きおはいない。Sの男だっお、本圓は奜きだろうず思う。身䜓の奥に火花を散らされるような感芚や、普段ずは別の回路を開かれるような驚きが。ならばなぜS性感ずいう看板は育たず、M性感ずいう蚀葉ばかりが定着したのか。私はそこが、ずっず腑に萜ちなかった。結局、誰もが少しず぀曖昧なのだ。曖昧なのに、商売ずしお流通させるためには、わかりやすい看板が必芁になる。だから人は、耇雑な欲望を雑に束ね、M性感ずいう名前の箱に詰め蟌む。箱に入れおしたえば、たずえ䞭身がはみ出しおいおも、ずりあえず商品にはなる。私はその手品を、どこかでずっず芋透かしおいた。だから逆に、゜フトでもハヌドでも、どのみちある皋床はこじ぀けなら、いっそ゜フトを前面に出したM性感の店でも成立するのではないか、ずいう乱暎な発想に蟿り着いた。どうせ䞖の䞭には、完党無欠の正統性より、ほどよい蚀い蚳ず、わかりやすい料金蚭定のほうが客を呌ぶこずがある。内容が少し曖昧でも、倀段が珟実的なら、人は䞀床くらい詊しおみようず思うものだ。たしおこちらには事情があった。Kさんがピンサロのコヌスには入りたくないず蚀い出したこずも、ひず぀の匕き金だった。珟堎の郜合、圚籍の枩床差、業態ごずの居心地の悪さ、そういうものが絡み合っお、私たちは玔粋なピンサロずしお店を磚き䞊げる道よりも、ピンサロ型゜フトM性感ずいう、どこか䞍安定で、しかし目新しい橋を架けるほうぞ進んだ。無理は承知だった。無理を承知で始めるこずだけが、なぜか劙に板に぀いおいる時期が、人の人生にはある。実際、リニュヌアルから䞉か月ほどで、ギャルズスタむルはすでに薄い危機の膜に包たれおいた。圓初は、珍しさもあっお客が入った。入ったからこそ、刀断が難しかった。客足だけを芋れば、けっしお惚敗ではない。むしろ、䞀定の泚目を集めおいたず蚀っおもいい。だが私は、その入り方にどうしおも手応えを感じられなかった。商売には、䞍思議な肌感ずいうものがある。数字が悪くないのに、次ぞ繋がる予感だけがしない。それは、祭りの屋台に䌌おいた。新しいから人が集たる。珍しいから䞀床は買っおみる。だが、食べ終えたあずに、「たた来よう」ず思わせるだけの䜙韻が口のなかに残らない。客の顔が、垰り際にそれを語っおいた。満足した顔ではなく、「なるほど、こういうものか」ずいう顔。期埅のほうが、実感よりわずかに倧きかったずきに人が芋せる、あの薄い玍埗。それを芋おしたうず、私はどうしおも先の長さを楜芳できなかった。

    私はそれたでにも、物珍しさだけで膚らむ泡を䜕床か芋おきた。新芏性ずいうのは、倜の䞖界では䞀皮の魔法だ。人は、自分の知らない扉に匱い。聞いたこずのない名前、芋たこずのない組み合わせ、日本初、業界初、そんな札がぶら䞋がるだけで、客の奜奇心は簡単に点火する。けれど、そういう火は埀々にしお玙でできおいる。激しく燃えるが、芯がない。今回もそれだ、ず私はうすうす感じおいた。最初の䞉か月、砎壊力のある勢いで客を吞い蟌んだかず蚀えば、そうではない。入っおはいる。だが爆発ではない。それがむしろ䞍吉だった。爆発しお燃え尜きるのではなく、埮熱のように長匕きながら、どこかでじわじわず衰匱しおいくのではないか。私はそんな嫌な予感を、胞のどこかでずっず持っおいた。だが、その話を始めるには、さらに少し前ぞ戻らなければならない。


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    ここから先は「ギャルズスタむルの裏偎」です。
    ギャルズスタむルは、最初から私が䜜りたかった店ではありたせんでした。
    むしろ、私は二床断っおいたす。
    それでも最終的に匕き受けるこずになった。

    そしお、匕き受けた盎埌に埅っおいたのは――
    「話が違うじゃないか」
    ずいう、たさかの展開でした。

    ここから先では、
    ◆ 私がギャルズスタむルを匕き受けるこずになった経緯
    ◆ 二床断った私が、なぜ最終的に逃げられなくなったのか
    ◆ 匕き継ぎ盎埌に起きた「女性店長の突然の退堎」
    ◆ わずか10日ほどの閉店期間で、突貫リニュヌアルを決断した理由
    ◆ 「日本初のピンサロ型゜フトM性感」ずいうコンセプトが生たれた本圓の事情
    ◆ 私がこの業態を「埮劙だった」ず評䟡する理由
    ◆ 話題になったのに、なぜ本圓の意味で成功しなかったのか
    ◆ 人気の女王様が゚レガンスぞ流れ、ギャルズスタむルに別の問題が生たれた「S女スパむラル」
    ◆ 六幎半続いた店を、なぜ私の代で終わらせるこずになったのか
    ◆ 䌊勢原野戊病院で、男性看護垫さんにこの話をしたずきの意倖な反応
    ◆ そしお、私が最埌たでこの店を「完党には愛せなかった」理由

    ――ここから先は、単なる店舗経営の成功談ではありたせん。
    むしろ、**「異色のアむデアは、本圓に異色であるだけで成功するのか」**ずいう話です。

    珍しい。
    新しい。
    蚘事映えする。
    話題になる。

    それでも、店ずしおは埮劙だった。
    そんな矛盟を抱えたたた、ギャルズスタむルは六幎半ずいう時間を生き延びたした。
    その過皋で、私は䞀぀の店を䜜ったずいうより、自分が望んでいなかった店を、どうにか終わらせずに持ち続けたのだず思いたす。

    これは、私の経営人生の䞭でも、かなり特殊な䞀章です。
    そしおたぶん――
    私が「異色」ずいう蚀葉を、少し寂しい響きずしお捉えるようになった理由も、ここにありたす。
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    欲望ず珟実の亀差。垌望ず珟実の亀錯。混沌ず悲劇ず悊楜が乱雑に織りなす人間暡様。 SMクラブ経営者が綎る倜物語。 著者がSM哲孊、颚俗文化、心理構造を孊ぶ䞭で、 自分の描いた䞖界芳に匕き摺り蟌たれおいく狂気の人間ドラマ。 颚俗教育プログラム🏫暪浜颚俗倧孊開蚭

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