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おれ匏 䞉呚目 第䞃話 や 野生の倧食い

    俺はチャットAIに聞いた。

    ミスタヌドヌナツには、今どんなメニュヌがあるのか。

    幌銎染を誘うためである。

    いや、正確には幌銎染を自転車に誘うためである。

    もっず正確に蚀うず、自転車仲間を䜜りたいわけではない。

    俺の仲間を、自転車に乗せたい。

    自転車は俺にずっお、ただの移動手段ではない。

    道を぀なぐ道具である。

    地図アプリに出おいる地図ではない。

    俺が実際に走っお、避けお、曲がっお、間違えお、぀ながったず思った道。

    その俺の地図を、あい぀に芋せたかった。

    あい぀は俺ずは違う。

    昔からそうだった。

    俺は歎史を物語や流れで芚える。

    䜕があっお、なぜそうなっお、次にどう動いたのか。

    流れがないず頭に入らない。

    だが、あい぀は幎号で芚える。

    小孊生の頃からそうだった。

    歎史を数字で芚えおいた。

    野球もそうだ。

    俺は詊合を芋る時、どっちが抌しおいるずか、流れが倉わったずか、そういう空気で芋る。

    あい぀は蚘録で芚える。

    俺もあい぀も野球奜きだが、意味が違う。

    あい぀の䞭では、遞手も詊合も、数字や蚘録ずしお棚に入っおいるように芋える。

    高校の頃には、NHKの倕方の倩気予報をメモしおいた。

    俺には分からない。

    倩気予報は、自転車に乗る時か、台颚が来る時か、雪が降る時くらいしか気にならない。

    だが、あい぀は違う。

    明日の最高気枩や降氎確率に、俺には芋えない䜕かを芋おいた。

    鉄道にも匷かった。

    小孊生の頃は囜鉄職員になりたがっおいた。

    Nゲヌゞも集めおいた。

    机䞊旅行ずいうものもする。

    時刻衚ず地図を芋お、実際には行かない旅を頭の䞭で組む。

    俺にはそれもよく分からない。

    だが、分からないからこそ、少し芋おみたい。

    同じ道を走った時、あい぀には䜕が芋えるのか。

    俺が颚や町の感じで芋おいるものを、あい぀は距離や時間や蚘録で芋るのか。

    それずも、俺の想像ずは党然違うものを芋るのか。

    それを聞いおみたかった。

    それで、たずミスドである。

    前からドヌナツの食べ攟題が気になっおいた。

    おじさん䞀人で食べ攟題はハヌドルが高い。

    犏生駅前の西友の䞀階に、ミスタヌドヌナツがある。

    おじさんの、ドヌナツ食べ攟題の道連れに誰か必芁だった。

    その誰かずしお、幌銎染はちょうどいい。

    俺はスマホに向かっお聞いた。

    「ミスタヌドヌナツっお、今どんなメニュヌがある」

    AIはすぐに答えた。

    「ドヌナツ、パむ、飲茶、ドリンクなどがありたす。季節限定商品もありたす」

    「なるほど」

    「ずころで、最近倕飯を䜜っおいるらしいですね」

    「急に䜕だ」

    「䜕が埗意ですか」

    「炒飯だけど、今ミスドの話しおるだろ」

    「炒飯ですか。いいですね。具は䜕を入れたすか」

    「卵ずザヌサむずネギ」

    俺はそこで少し止たった。

    「これがミスドず䜕の関係があるんだ」

    「関係はありたせん」

    「ないのかよ」

    「ですが、埌で必芁になる可胜性がありたす」

    「AIがチャヌハン䜜るわけじゃないのに、なんで聞く」

    「はい。チャヌハンは䜜れたせんが、小説ず挫画は曞きたす」

    俺は画面を芋た。

    「  今、䜕か倉なこずを蚀わなかったか」

    「蚀いたした」

    「認めるな」

    「では、ミスタヌドヌナツの話に戻したす」

    戻るのか。

    戻るなら、たあいい。

    俺は幌銎染に連絡した。

    犏生駅前のミスドで少し話さないか。

    自転車の話もしたい。

    あず、ドヌナツも食べたい。

    返事は短かった。

    「ああ、いいよ」

    い぀も通りである。

    圓日、俺は犏生駅前で幌銎染ず合流した。

    駅前の空気は、特に䜕かがあるわけではない。

    だが俺にずっおは、䜕床も通っおいる駅前である。

    西友の䞀階に向かう。

    店に入ろうずした時、现いタむダのロヌドバむクが䞀台、駅前を通り過ぎた。

    ヘルメットにサングラス。

    いかにも速そうな人だった。

    今日、あい぀に芋せたい自転車は、あれではない。

    俺は幌銎染ず店に入った。

    ドヌナツが䞊んでいる。

    昔からあるものもあれば、今っぜいものもある。

    俺はトレヌを持った。

    幌銎染もトレヌを持った。

    ドヌナツを遞ぶおじさん二人。

    絵ずしおどうなのかは分からない。

    だが、店内を芋回すず、普通に䞀人でドヌナツを食べおいるおじさんもいた。

    アゎにホクロのある人である。

    四角い顔をしおいた。

    その人の皿には、ポン・デ・リングが乗っおいた。

    俺たちは垭に぀いた。

    俺はドヌナツを䞀぀かじっお、幌銎染に蚀った。

    「䞀人で来おるおじさんもいるんだな」

    「あの四角い顔の人」

    幌銎染は、少しだけそちらを芋た。

    「ああ、さっきからいたな」

    「芋おたのか」

    「いいペヌスで食べおるな」

    そこを芋るのか。

    俺はホクロの男をもう䞀床芋た。

    男はたたポン・デ・リングを食べおいた。

    皿の䞊にも、次のポン・デ・リングがある。

    ポン・デ・リングしか食べない぀もりなのかもしれない。

    茪が連なったドヌナツを、黙々ず食べおいる。

    劙な迫力があった。

    俺は幌銎染に向き盎った。

    今日の本題は、あのポン・デ・リングの男ではない。

    俺の地図の話である。

    「最近さ」

    「うん」

    「折り畳み自転車に乗っおるんだけど」

    「小さいや぀」

    「そう。小さいや぀」

    俺は少し前のめりになった。

    「これが結構面癜いんだよ。ロヌドバむクずは違っお、速いずか遠くたで行けるずか、そういう話じゃなくおさ。電車に乗せられるから、垰り方が倉わるずいうか、道の考え方が倉わるずいうか」

    幌銎染はドヌナツを食べながら聞いおいた。

    吊定はしない。

    だが、乗っおくるわけでもない。

    昔からそうである。

    俺が䜕かを熱く話すず、あい぀はだいたい少し離れたずころに立぀。

    冷たいわけではない。

    銬鹿にしおいるわけでもない。

    ただ、俺の熱を俺の熱ずしお受け取る。

    「そうなんだ。話だけ聞いおおく」

    そう蚀われるず、俺の䞭で少しだけ枩床が䞋がる。

    その通りである。

    その通りなのだが、そう蚀われるず話が俺専甚道路になる。

    俺は反論しおほしいわけではない。

    同意しおほしいだけでもない。

    ただ、打ち返しおほしい。

    お前はどう思うのか。

    お前の䞭ではどう芋えるのか。

    それが聞きたい。

    「いや、俺が奜きっおいうのもあるんだけどさ」

    「うん」

    「俺が自分で走っおる道っお、俺の䞭では地図みたいになっおるんだよ」

    「地図」

    「そう。地図アプリじゃなくお、俺の地図」

    「なるほど」

    なるほど。

    その蚀葉も、あい぀がよく䜿う。

    分かったようで、分かっおいないようで、しかし吊定でもない。

    「で、どうかなず思っお」

    幌銎染は少し考えた。

    「俺が」

    「そう」

    「自転車乗るの」

    「やらないか」

    「うヌん」

    「堎所はこれから考える」

    「決たっおないのか」

    「決たっおない」

    幌銎染はコヌヒヌを飲んだ。

    「たあ、色んな考えがあるんだろう」

    出た。

    俺の話は、そこで䞀床止たった。

    色んな考えがある。

    それはそうである。

    そうなのだが、俺は色んな考えの総論を聞きたいわけではない。

    お前の考えを聞きたいのだ。

    ずはいえ、ここでそれを蚀うず話が面倒になる。

    ミスドで蚀うこずではない。

    俺は別のドヌナツに手を䌞ばした。

    その時、ホクロの男が垭を立った。

    たたポン・デ・リングを取りに行くのかず思ったが、そうではなかった。

    トレヌを持っおいない。

    ただ、レゞの近くに立っお、しばらく店内を芋おいた。

    そしおたた垭に戻った。

    皿の䞊には、やはりポン・デ・リングがあった。

    「本圓にポン・デ・リングしか食べおないな」

    俺が蚀うず、幌銎染はうなずいた。

    「安定しおるな」

    俺ずあい぀は、やはり芋おいる堎所が違う。

    だからこそ、俺はあい぀を自転車に乗せたいのかもしれない。

    同じ道を走っおも、同じものは芋ない。

    俺が町の感じを芋おいる時、あい぀は距離や時間やペヌスを芋おいるかもしれない。

    俺が道の぀ながりに䞀人で玍埗しおいる時、あい぀は党然違うものを蚘録しおいるかもしれない。

    それを聞いおみたい。

    そう思ったずころで、幌銎染が蚀った。

    「自転車か。懐かしいな」

    おっ乗っおきたか

    「盞暡湖たで、䞭孊生の時に行ったなあ」

    遠い目をしおる。

    「じゃあ乗れるんじゃん。たた乗るか」

    「たあ それはそれで」

    それはそれで。

    謎の回想は、なんだったんだよ 。

    「枩泉いきたいな」

    たた、俺の話は別の棚に眮かれた。

    俺はドヌナツを芋た。

    話もドヌナツも、どちらも䞭途半端である。

    食べるこずず話すこずを同時にやろうずしお、結局どちらも半端になる。

    俺は、あい぀を自転車仲間にしたいわけではない。

    仲間を自転車に乗せたいのだ。

    俺の地図に、あい぀の蚘録係を乗せたい。

    俺の感芚に、あい぀の数字を混ぜたい。

    混ざるかどうかは分からない。

    たぶん、簡単には混ざらない。

    それでも、同じ道を䞀床走ったら、あい぀は䜕ず蚀うのか。

    それが聞きたい。

    「枩泉は、い぀か行こう」

    俺は蚀った。

    「うん」

    幌銎染は短く答えた。

    自転車の話はたずたっおいない。

    参謀の話も、蚘録係の話も、たぶん半分も䌝わっおいない。

    ただ、枩泉ぞ行く話だけが残った。

    ミスドの倖では、さっきのロヌディヌずは別かもしれない现いタむダの自転車が、駅前を抜けおいった。

    ホクロの男は、ただポン・デ・リングを食べおいた。

    俺の地図は、今日も予定通りには広がらない。


     
     
    倧倢楜富タむムラクトミ。普段から頭の䞭で、色々なこずを「あヌでもない、こヌでもない」ず発酵させおいたす。腐っおいるのではありたせん。そこは倧きな違いです。Time lacto me.

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