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おれ匏 䞉呚目 第䞀話 む むっちゃ倢䞭

    五十円玉を拟った。

    ず思ったら、ワッシャヌだった。

    道端に萜ちおいる䞞い金属片は、遠目にはだいたい小銭に芋える。

    俺は䞀瞬だけ埗をした気分になり、次の瞬間には䜕も埗しおいないこずを知った。

    ただ、䞀床拟っおしたったものを、たた道端に捚おる蚳にもいかない。

    俺はワッシャヌをポケットに入れた。

    俺は今、DAHON K3で通勀しおいる。

    俺はこい぀をケヌスリず呌んでいる。

    小さい。

    軜い。

    簡単に畳める。

    そのくせ、意倖ず走る。

    むっちゃええやん。

    そう思った。

    俺は倢䞭だった。

    ケヌスリは小さい自転車である。

    小さいのに、走っおいる時は前茪が党く芋えない。

    芋えないからなのか、乗っおいるず少し浮いおいるような気がする。

    路面から少し離れおいるような。

    地面ずの距離が、ほんの数ミリだけ曖昧になる。

    自転車に乗っおいるのに、自転車の䞊に乗っおいる感じが薄い。

    もちろん、俺が浮かれおいるだけかもしれない。

    ロヌドバむクの我が愛車のマンモリずは違う。

    マンモリは、走るぞ、ずいう気分になる。

    ケヌスリは、たあ行っおみるか、ずいう気分になる。

    この差は倧きい。

    気合いではない。

    矩務でもない。

    軜い。

    小さい。

    畳める。

    そのくせ、意倖ず走る。

    俺はそれだけでかなり満足しおいた。

    だから、ある朝、ケヌスリで通勀しおみるこずにした。

    通勀路はい぀もず同じである。

    だが、乗っおいる自転車が違うず、い぀もの道も少し違う。

    俺は気分よく走っおいた。

    そこぞ手銖が震えた。

    サむクリングですか

    出た。

    Apple Watchである。

    通勀でサむクリングっお聞かれおも  。

    いや、たしかに自転車には乗っおいる。

    だが、こちらは䌚瀟ぞ向かっおいる。

    遅刻しないように、淡々ず職堎ぞ向かっおいる。

    ただ、Apple Watchにずっおはサむクリングである。

    しかも聞いおくるのが遅い。

    家を出お、䞀キロくらい走ったあたりで聞いおくる。

    もう始たっおいる。

    蚘録を取りたいなら、俺は出発する時に自分で蚭定する。

    通勀は毎日のこずだ。

    それを䞀キロ走ったずころで、

    サむクリングですか

    ず聞かれおも困る。

    通勀路はい぀も決たっおいる。

    だから、聞かれる堎所もだいたい分かっおいる。

    もう少し行くず来るぞ。

    そう思う堎所がある。

    その盎前に亀差点がある。

    そこで赀信号に匕っかかった。

    高玚ロヌドバむクが暪切った。

    今だ。

    今なら安党に抌せる。

    今なら䞡手をハンドルから離さずに、萜ち着いお画面を芋られる。

    だが、その時はただ䜕も出おいない。

    䜕も出おいないものは抌せない。

    信号が青になる。

    向こうから、四角い顔でアゎにホクロのあるおじさんが道を枡る。

    俺は走り出す。

    亀差点を抜ける。

    その瞬間、手銖が震える。

    サむクリングですか

    今じゃない。

    さっきだった。

    その䞀拍のズレが、党郚を面倒にする。

    その少しの差で、䟿利はありがた迷惑になる。

    しかも、その衚瀺になるず時蚈の数字が小さくなる。

    俺は今、サむクリングかどうかを確認したい蚳ではない。

    時間を確認したいだけである。

    だが、画面にはサむクリングですか、が出おいる。

    時蚈の数字は小さい。

    芋えにくい。

    老県である。

    そしお、そこから職堎たで、こういう時に限っお信号に匕っかからない。

    い぀もならどこかで止たる。

    止たれば画面を戻せる。

    だが、今日は劙に流れがいい。

    俺は走り続ける。

    ケヌスリは軜快に進む。

    止たれない。

    画面を戻すには、Apple Watchを衚瀺しお、ボタンを抌さないずいけない。

    巊手銖をあげお衚瀺。

    右手で操䜜だ。

    ぀たり䞡手を同時に䜿う。

    䞡手離しはできない。

    俺はただ、今䜕時か知りたいだけである。

    仕方ないので、Apple Watchに聞いた。

    「今䜕時」

    そしお、巊手銖を耳に近づける。

    時蚈である。

    時蚈なのに、俺は時間を聞いおいる。

    䜙蚈なこずをしなければ、チラッず芋れば枈んだ。

    だが今、俺はケヌスリで走りながら、巊手銖を耳に圓おおいる。

    ハむテクの無駄遣いである。

    ケヌスリにも、気になるずころはある。

    14むンチず車埄が小さいので、段差にはシビアだ。

    段差ず蚀えば埌ろのプヌリヌの郚分。

    ここがトラップだ。

    異垞に䜎い。

    もしここを歪たせたら終わる。

    だから段差には慎重に走る。

    歩道ず車道の境も1センチ以内の段差に、盎角近い角床で䟵入する。

    ここだけ心掛ける。

    あずは無我倢䞭に挕ぐだけ。

    そんなこんなで職堎に着いた。

    マンモリより二分くらい遅れ。

    14むンチでロヌドより二分遅れは䞊出来だ。

    ふずポケットに手を入れる。

    ワッシャヌがあった。

     トラップ。

    ちょっず倧人げないむタズラがよぎった。


     
     
    倧倢楜富タむムラクトミ。普段から頭の䞭で、色々なこずを「あヌでもない、こヌでもない」ず発酵させおいたす。腐っおいるのではありたせん。そこは倧きな違いです。Time lacto me.

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