
短編小説「校外学習」
「今日は、お天気がとてもいいので、学校のお外に出てお勉強しましょう」
あきら君は小学一年生。今日は初めての校外学習です。
社会の勉強の一環として、住んでいる町にある色々な建物や自然を見て回ることになりました。
「みんな、おしゃべりはほどほどにして、しっかりと自分の町には何があるかを勉強しましょう。あれが郵便ポスト。あれはバス停です。あれは何かな?」
「はいパン屋さん」
「いや、お菓子屋さんだよ」
「あれはコンビニっていうの」
子どもたちは、思い思いに喋ります。道を歩きながら、先生はどんどん質問してきます。
しかし、あきら君は先生の声が耳に入らない様子。今は誰も住んでいない、古い建物が気になっています。あのスリガラスの向こうはどうなっているのだろう?真っ暗で中が見えません。
あきら君は、窓に近づいて中を覗きました。中には誰もおらず、古ぼけた機械がいくつか置かれていました。
「先生、あれは何の機会ですか?」
あきら君が振り返ると、先生もみんなも、そこにはいませんでした。
「先生…みんな…どこにいるの?」
あきら君は心細くなって、みんなを探します。
道を歩き始めますが、道はいくつかに分かれていて、どちらに行けばいいのかわかりません。
「でも、どこかの道を進まなければ…」
しかし、どんなに速足で歩いても、走っても、みんなの姿は見えません。
ずんずんと歩いて、みんなを探すうち、あきら君は見たこともない一本道を歩いていました。
あきら君は気づくと山を登っていました。山の向こうはなぜだか光っており、そこに何かがありそうな気がして、山を登り続けました。
光が見えました。
光の中に向かってたくさんの人が入っていき、なぜだか、光の中にはたくさんの赤ちゃんがいました。
「なぜだろう?」
「この光はいったい何?」
あきら君は、何だか怖くなって逃げ出しました。今来た、山道を走って、走って。
すると、急に声が聞こえました。
「あきら君、どこに行っていたのだ? みんな心配していたのだぞ」
先生は、何だか起こりながら泣いていました。
そして、あきら君を抱きしめました。
あきら君は、今見たことを話そうと思いましたが、なんとなくやめておきました。
終