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#創作大賞2026 #エッセイ部門 耳を澄ますということ

    私はこれまで、「聞く」という行為をあまり意識したことがなかった。

    人の話を聞く。
    音楽を聞く。
    テレビの音を聞く。

    毎日のように耳を使っているのだから、自分は十分に聞いているつもりだった。

    しかし、『「音」と身体のふしぎな関係』を読んで、その考えは少し変わった。

    本書によれば、私たちは常に膨大な量の音に囲まれて生きている。

    それなのに、そのすべてを聞いているわけではない。

    脳は必要な情報だけを選び取り、それ以外を無意識のうちに切り捨てているのだという。

    言われてみれば確かにそうだ。

    カフェにいても周囲の会話を全部聞いているわけではない。

    駅にいても、無数の音が鳴っているのに、自分が必要な情報だけを拾っている。

    人間は聞いているようで、実は選んで聞いているのである。

    この話を読んでいて、私は日常生活のことを思い出した。

    なぜなら、昔の私は「話を聞いているつもり」で、実は聞けていなかったからだ。

    仕事で指示を受けた後に内容を確認すると、全く違う理解をしていて、

    「お前、ちゃんと話聞いているのか?」

    と何度も言われたことがある。

    例えば読書をしている時。

    本に集中していると、時計の音も外の車の音も気にならなくなる。

    ところが、自分の名前を呼ばれるとすぐ反応できる。

    不思議なことだが、それだけ脳は常に重要な情報を探しているのだろう。

    また、私は毎朝「井田隆志の今日の一曲」という投稿を続けている。

    長年音楽を聴いてきたつもりだったが、本書を読んで気づいた。

    私は音楽を聞いているようでいて、実は歌詞ばかり追いかけていたのかもしれない。

    メロディーやリズム、楽器の音色、曲の奥にある空気感。

    そうしたものにも耳を澄ませば、同じ曲でも違った表情が見えてくる。

    著者は、ときには音を立てず、ただ耳を澄ませることの大切さを語っている。

    現代は情報にあふれている。

    スマートフォンを開けば次々と新しい情報が流れてくる。

    その反動かは定かではないが、SNS疲れとかにより、人目を気にして精神的に疲れてしまう等といったことも、私も含めてあるような気がする。

    そういったことがないように、デジタルデトックスを推奨している動画や本などもたくさん出ていて、自分も含めデジタルデトックスの類は積極的に取り入れた方がいいと思っている。

    私自身も、 デジタルデトックスの一環として、ときどきスマートフォンから離れる、朝の情報番組を観て余計な情報を入れないようにするなどの時間を意識的につくるようにしている。

    又、私自身もSNSで発信を続けている一人だからこそ、本書の言葉が心に残った。

    情報を集めることも大切だが、ときには立ち止まり、自分の周囲の音に耳を傾ける時間も必要なのだろう。

    鳥の声。

    風の音。

    遠くを走る電車の音。

    普段なら気にも留めない音の中に、その時その場所でしか味わえない世界がある。

    なぜなら、そんな時に新しい発想がふっと浮かぶことがあるからだ。

    私たちは目で世界を見ることには慣れている。

    しかし耳で世界を感じることには、案外慣れていないのかもしれない。

    『「音」と身体のふしぎな関係』は、そんな当たり前のことを改めて教えてくれた一冊だった。

    本を閉じた後、私は少しだけ意識して周囲の音に耳を澄ませてみた。

    すると世界は、思っていたよりずっと豊かな音で満ちていたのである。

     
     
    毎朝6時「井田隆志の今日の一曲」🎵を発信中。 今日も頑張ろうと思ってもらえるような、渾身の一曲をお届けします。 音楽を中心に、時々、料理・本・映画の感想も🍳📚🎬ゆるく発信中。

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