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バースディ・プレゼント

    月曜と木曜は、じぃじとばぁばの出番だ。3歳の孫の航世を保育園に迎えに行き、公文へ連れて行く。時計とにらめっこの小さな任務。その日も昼寝をして、目を覚ましたじぃじは時計を見て青ざめた。「あっ、4時半を過ぎてる!」慌ててばぁばに連絡をし、車を飛ばす。だが保育園に着いてみると、時計は4時を指していた。早とちりだったのだ。

    「時間、余っちゃったね」
    「そうだ…今日はじぃじの誕生日だろ?」

    ばぁばが思いついた。ささやかなお祝いをしよう。立ち寄ったシャトレーゼで、航世はばぁばから渡された千円札を握りしめ、ショーケースとにらめっこ。栗のタルト、チョコのムース、柿のパイ。目移りするが、1000円では豪華なホールケーキは買えない。

    小さな指が最後に差したのは、真っ赤な苺のショートケーキだった。

    夕暮れの車の中、三人でケーキを分ける前に、航世が小さな声で歌い出した。

    「ハッピーバースデー、dear じぃじ〜」

    その瞬間、ケーキより甘い贈り物が胸に広がった。時計に追われた日常の中で、不意に訪れた時間の贈り物。それが、じぃじにとって何よりのバースディ・プレゼントだった。

    #創作大賞2026

     
     
    教師歴46年、国語教師の一蛇天(いだてん)。72歳の今、AIと手を携え「中高生と中高年のための国語教室」をnoteで開講!古典、俳句、論理的思考力を鍛える「コラム+実践問題」を発信します。受験生も大人の学び直しも、世代を超えて言葉の力を磨きましょう。

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