
バースディ・プレゼント
月曜と木曜は、じぃじとばぁばの出番だ。3歳の孫の航世を保育園に迎えに行き、公文へ連れて行く。時計とにらめっこの小さな任務。その日も昼寝をして、目を覚ましたじぃじは時計を見て青ざめた。「あっ、4時半を過ぎてる!」慌ててばぁばに連絡をし、車を飛ばす。だが保育園に着いてみると、時計は4時を指していた。早とちりだったのだ。
「時間、余っちゃったね」
「そうだ…今日はじぃじの誕生日だろ?」
ばぁばが思いついた。ささやかなお祝いをしよう。立ち寄ったシャトレーゼで、航世はばぁばから渡された千円札を握りしめ、ショーケースとにらめっこ。栗のタルト、チョコのムース、柿のパイ。目移りするが、1000円では豪華なホールケーキは買えない。
小さな指が最後に差したのは、真っ赤な苺のショートケーキだった。
夕暮れの車の中、三人でケーキを分ける前に、航世が小さな声で歌い出した。
「ハッピーバースデー、dear じぃじ〜」
その瞬間、ケーキより甘い贈り物が胸に広がった。時計に追われた日常の中で、不意に訪れた時間の贈り物。それが、じぃじにとって何よりのバースディ・プレゼントだった。