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地味な恋愛|空白の翻訳ー上海⑪ ー


    ちょっと人に疲れただけなのか
    と思っていた。

    すぐにまた同じ生活を。

    あれ?

    もう戻れない気がした。


    ずいぶん遠くに来てしまった心地。

    白っぽい現実。

    学校。
    教室。
    中庭。

    何しに上海に来たのか。

    何かを埋めにきて。

    何を?
    学ぶこと?

    朱さんもジンジンも、父も変わらない。

    何事もなかったかのように

    僕だけが取り残されて
    フワフワしている。

    みんな嘘をついていると
    思った。


    考えたくない。
    僕のことも誰のことも。

    windows xp。
    ジンジンの改造PCが唸っている。

    暗がりでスワロウテイルを一緒に観た。

    上海人の移民が日本で怒鳴られていた。

    ジンジンは息を呑みながら
    ワォと言った。

    朱さんが怒鳴る。
    ジンジンが言い訳する。

    近所に売ってるDVDを買い集める。

    ディスクを入れ替える。 
    また一枚。

    ウィーンと呼吸しながら
    読み込む。

    朝を迎え
    ベッドで寝込む。

    沢山の

    主義も
    主張も
    差別も


    記号が脳を埋め
    過ぎ去っていく


    軽い。
    感覚だけになる。

    重さが逃げていく。



    何日たったのか…



    電話が鳴る。

    何度も
    インインから。


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