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青春の初恋のポヌトレヌトは今も手枡せないたた長線版




      序章 青春


     もし「倏」ずいえば䜕を䞀番に思いだすかず尋ねられたずしたなら、私は迷うこずなく「恋」ず答えるこずでしょう。私たちの青春時代には「倏」ず「恋」がしばしばセットで甚いられ、倏はたさに恋の季節だずいうのが定番ずなっおいたした。

     青春ずは初めお自らの足で立っお倧人になるための道のりを歩み始めるチャレンゞです。その道のりは決しお平坊ではなく、私たちにもいく぀もの詊緎の連続が埅ち構えおいたした。青春の初恋もたたその道のりの途䞭にある䞀぀の通過点に過ぎたせん。

     私たちはその詊緎を乗り越えようずするこずで䞀歩ず぀倧人に近づいおきたしたが、青春の蚘憶ずいうのはたずえそれが望んだような結末ではなかったずしおも、なぜかい぀も懐かしい思い出ずしお蚘憶されるのは人間の䞍思議さずしかいいようがありたせん。

     この物語は倧孊生になったばかりの男女がはじめおの恋に挑戊する青春の䞀コマを衚したものです。登堎する人物はあるずきはただ成長しきれおいない子どものようにぎこちない振る舞いをしたすが、たたあるずきには自分をよりよく芋せようしおわざず倧人ぶった玠振りをしたりもしたす。
     
     そしお圓時の「恋」にはカメラが倧切なツヌルになっおいたした。旅先で奜みの女性に巡り合うずたず写真に撮り、埌日枡したいからず蚀っお連絡先を聞きだそうずする䜜戊が倚かったようです。このような時代的な背景を螏たえ、この物語でもカメラが重芁な圹割を果たしおいたす。

     たた、圓時はディスコの党盛期で倧孊生になるずたずはディスコずいう若者も倚く、その堎で女性ず連絡先を亀換するこずもあったようです。女性の方には倱瀌になりたすが、ディスコの䞭の暗がりのため、埌日顔を䌚わせおみるずかなり印象が違っおいたずいうケヌスもあったようです。

     最近の若いみなさんはスマヌトフォンの出䌚い系アプリを䜿っお出䌚うこずが倚いようなので、アナログの時代のこのような陳腐な䜜戊は想像しがたいかもしれたせんが、圓時の若者も出䌚いを求めお懞呜に努力しおいたこずだけは理解しおいただければありがたいです。

     なお、この物語は私が倧孊生のずきに愛知県立䞀宮高校の同玚生だったSさんから聞いた実話を題材にし぀぀、これに倧幅な脚色を加えお創䜜した䜜品です。この堎をお借りしおSさんに深く感謝申し䞊げたす。 




      第章 緊匵


     
     玺碧の空に入道雲がもくもくず湧き䞊がりはじめ、今にも倕立がきそうな怪しげな雲行きに倉わるず、それたで隒がしかった蝉時雚もようやく合奏を終えようずしおいたした。
     私は今幎もたたカメラを携えるず、少しドキドキしながら急いで近所の神瀟の倏祭りに出かけたした。 
     すでに参道は涌やかな济衣姿で走りたわる子どもで溢れ、䞡偎に立ち䞊ぶ昔ながらの出店や屋台には芪⌊連れや若者が長い行列を䜜っおいたした。
     陜気なリズムに誘われるように広堎たで進んでいくず、「マツケンサンバ」の曲に乗っお老若男女が汗だくになりながら盆螊りに興じおいたした。 


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    マツケンサンバの陜気なリズムはノリがいい


     必死になっお境内をあちこち探したわっおみたしたが、お目圓おの少女はどこにも芋圓たりたせん。あたりは暗闇が芆いはじめおいたしたが、雚はただなんずか降らないたたでいたした。  
     今幎はもう無理かなずあきらめかけたずき、ひず気のない池の片隅にうずくたり線銙花火を楜しむ少女をようやく芋぀けるこずができたのです。この少女に出䌚うのは䜕床目になるこずでしょう。 


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    やっずのこずで線銙花火を楜しむあの少女を芋぀けた

     
     私はその少女に近づき声かけるず、あの倜ず同じように急いでカメラを構え、そのあどけない埮笑みが満面の笑みに倉わる瞬間を逃さないようにシャッタヌチャンスがくるのをじっず埅ちたした。
     そのずき私の䞭には、カメラのシャッタヌを必死になっお切り続けたあの倜の緊匵感ずずうずうシャッタヌを切るこずができなかったあの倜の緊匵感が同時に湧き䞊がっおきおいたした。 
     そしお今幎もたた、青春の初恋の蚘憶がたるで県前に珟れたかのような鮮明な映像ずなっおよみがえっおきたのです。


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    線銙花火を楜しむ少女の満面の笑みを逃さぬように



     

      第章 虚栄


     倏の海に向かう自動車の䞭は熱気が満ちおいたした。初めおの出䌚いがディスコだったので印象が少し違う女性も䜕人かいたように蚘憶しおいたす。
     海に到着しおテントの蚭営を終えるず、泳いだり肌を焌いたり、たずは思い思いに過ごしたのですが、女性陣による男性陣の品定めはすでに始たっおいるようすでした。
     お埅ちかねのバヌベキュヌは午埌五時前には始たっおいたした。その際、隣の垭になったその圌女は玙の皿やコップを配ったり食べ物を焌くのをさりげなく手䌝っおくれる気配りのできる女性でした。


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    倏の海蟺でのキャンプは開攟感がバツグン



     そのあずのんびりず倕日を眺めおいるず、浜蟺にぜ぀んずたたずむ圌女の姿が目にずたり、勇気を振り絞っお声をかけおみたのが最初でした。
     たずはバヌベキュヌでの圌女の心遣いにお瀌を䌝えたのですが、そのあずは緊匵のせいで、最近はたっおいる趣味ずか奜きな食べ物ずかよく行くお店ずか、ありきたりな話を途切れないようにくりだすのがやっずでした。
     こんなに長い時間、女性ずふたりきりで話をするのは初めおだったのです。それは圌女も同じたったように芋えたした。
     やがお、面癜そうな話を思い぀きそうにない私のぎこちないようすに呆れたのか、かえっおこわばりぎみだった圌女の衚情が次第にほころび、少女のような無邪気な苊笑に倉わっおいきたした。
     私は少しほっずしたしたが、その埌のふたりの䌚話はずぎれずぎれになっおいったのでした。
     

     すでに倕日は氎平線の向こうにすっかりず沈み、ふたりのたわりは暗闇に支配されおいたしたが、倜空には無数の星屑が瞬き、東の空からは満月が䞊り始めおいたした。


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    倕凪の浜蟺にぜ぀んずたたずむ



     私が「将来の倢」などずいう堅苊しい話題を持ち出したのは、話題に行き詰たったせいだけではありたせんでした。
     そもそも私にたいそうな「倢」などなかったのですが、少し背䌞びをしお倧人ぶったずころを圌女の前で芋せたかったのです。
     圌女の「倢」が小孊校の音楜の先生だったこずは少々うる芚えではありたすが、圌女が「倢」を語りながら、自分の意思をきちんず䌝えようずするかのような凛ずした県差しを返しおきたシヌンははっきりず芚えおいたす。
     芋た目のあどけない雰囲気の䞭でずきおり垣間芋せる、圌女の倧人びた衚情に私はドキッずしながら次第に惹かれおいったのです。

     こうしお、ふたりのおしゃべりは続いたのですが、圌女ずの出䌚いは期埅しおいた以䞊の思いがけない出来事だったのです。


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    緊匵のためありきたりな話題しか繰り出せない



     

      第章 沈黙

     

     午前二時をすぎるころ、私たちは玄束したずおりそれぞれのテントをそっず抜け出しお萜ち合うず、月明かりの波打ち際に腰を降ろしたした。
     そしお、甚意しおきた線銙花火のうちから䞀本を圌女に手枡し、煙草甚に持っおいたラむタヌで火を぀けたした。
     線銙花火の先端の火の玉がじわじわず倧きくなり、パチパチず力匷い火花を勢いよく散らしはじめるず、私は急いでカメラを構えたした。 


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    真倜䞭の浜蟺で圌女の線銙花火に火を぀ける



     圌女は「ずおもきれいだね!」ず息を匟たせるず、カメラを意識したのか、恥ずかしそうに少しう぀むき加枛になっお無邪気に埮笑んだのがずおも印象的でした。
     お目圓おの笑顔のシヌンを目にしお、私はドキドキしながら倢䞭になっお無蚀でシャッタヌを切り続けたした。
     フラッシュの閃光ず也いたシャッタヌ音が暗闇ず静寂の䞭に溢れ、その残像はふたりの目ず耳に幟床ずなく生たれおは消えおいきたした。 


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    線銙花火の矎しさに無邪気に埮笑む



     するず圌女は驚いたように「眩しいよ!」ず぀ぶやくずあわおお顔をそむけ、突然䞍機嫌そうにう぀むいたたた黙り蟌んでしたったのです。
     圌女の気持ちがすぐには飲み蟌めたせんでしたが、カメラを拒絶しようずしおいるこずだけは分かりたした。
     これたでの写真撮圱の経隓から、思春期の少女の䞭には自分の容姿に自信が持おないのか、写真に撮られるのをあたり奜たない人が倚いこずを私は知っおいたした。
     もしかしたら圌女もそうなのかず少々がっかりずしたしたが、同時に聞き分けの悪い子どものような頑なな態床に苛立ちを芚えたした。
     しかし、ここは圌女の気持ちを尊重しようず仕方なくカメラを降ろし、私も同じように沈黙せざるをえたせんでした。

     ふたりの間に生たれた感情のすれ違いは、気たずい沈黙の時間ずなっお静寂の空間の䞭に流れおいきたした。い぀しか穏やかだったはずの海颚は圌女の黒髪をなびかせるほどの勢いに倉わっおいたした。


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    突然䞍機嫌になっおう぀むいたたた黙り蟌む




      第章  決心


     圌女にずっおどのくらいの時間が必芁だったのか、今ではもう正確に思い出すこずができたせん。

     線銙花火の火花はすでに止たり、赀く熟した火の玉だけが闇の䞭でがっず優しい光を攟っおいたした。やがおその火の玉がポトリず闇の䞭に消えおいくず、私は海颚をよけるようにしお新たな線銙花火に慎重に火を぀け、圌女に手枡そうず静かに差し出したした。


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    新たな線銙花火に火を぀けお女性に手枡そうずする



     圌女はしばらく考え蟌んだすえその線銙花火を受け取るず、黙り蟌んでしたったこずを蚀い蚳するかのように「颚が匷くお」ずささやきながら片手でその黒髪をかきあげるようにしお耳にかけなおしたした。
     そしお、先ほどの無邪気な少女のような笑顔ずは違い、たっすぐな芖線ずわずかに結んだ口元から倧人びた雰囲気が滲み出るような笑顔を぀くっおみせたのです。それはしっかりずした自分の意思を衚そうずするずきの圌女の自然䜓に近い衚情だったように感じたした。


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    「颚が匷くお 」ずささやきながら倧人びた笑顔を぀くる


     圌女のポヌズの倉化にいささか戞惑いながらも、急いでカメラを構えるず懞呜にシャッタヌを切ろうずしたしたが、胞の錓動が䞍自然に速さを増し、うたく焊点を合わせるこずができたせんでした。
     私はやむなくカメラの調子が悪いように蚀い繕うずカメラをゆっくりず降ろしたした。
     カメラを降ろしおもなお、圌女のたっすぐな芖線ずその倧人びた笑顔がいささかも倉わるこずがなかったのは、それが写真撮圱のために䜜られた単なるポヌズではないこずを意味しおいたした。
     私は意を決しお、圌女の倧人びた笑顔を今床は自分の脳裏に焌き぀けようず初めおその瞳に芖線を泚ぎたした。圌女の瞳が少し最んでいるように芋えたのは、線銙花火の煙のせいだけではなかったように思いたす。
     思えばそれは圌女にずっお勇気を振り絞っお倧人の䞖界に少しだけ足を歩み螏み出そうず決心した瞬間であったに違いありたせん。

     そのずき、私は今倜の月明かりがい぀たでもふたりを照らし続けおくれるに違いないず確かな根拠もないたた信じはじめおいたした。 


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    カメラを降ろし意を決しお初めお芖線を合わせる




      第章  蚘憶


     それにしおも波間に挂う小さな⟙殻ずいうのはじ぀に神秘的なものです。 
     曇り空の匱い光に反射しお䞀瞬きらめいたかず思えば、ひるがえっお今床はさざ波の倧きな振動にもほずんどゆらめかなかったりするのです。
     氎のルヌペの䞭では眺める角床を倉えるごずにその姿も刻々ず倉化しおゆき、その色、圢、倧きさでさえも䞍確かなたたです。 

     それを確かめるため、波間に⌿を䌞ばしすくい䞊げようずしおも、するりず掌からこがれ萜ちおしたうのは私が䞍噚甚すぎるせいだけではなかったように思えおなりたせん。
     そしお、萜ずした貝殻を⟒倱いそうになりあわおお✔をかきわけたりすれば、砂が舞い䞊がりたすたす芋えなくなっおしたうこずにそのずきはただ気づいおいたせんでした。
     

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    波間に挂う小さな貝殻のじ぀に神秘的な存圚である


     
     蚀葉がうたく䌝えられず、想いが少しず぀すれ違っおゆけば、次第に広がっおゆく距離感に盞手の本心がどんどん掎めなくなっおゆきたす。
     ふたりの隙間から生たれおくる耇雑な感情が高波のようになっお抌し寄せおくれば、もはや自分の本圓の気持ちにさえ気づくこずができたせん。
     あきらめたくない情動ずあきらめようずする理性の間で䜕床も揺り戻されおは、なんずか収束点を芋぀けだそうずしお苊悶する自分がいたした。

     そしお、ずうずう初恋の玄束は叶うこずがなかったのです。

     青春の初恋はあたりにもぎこちなかったのですが、それはふたりずも同じはずだったに違いありたせん。
     

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    沈んでゆく倕日を芋るず䜕かを倱うかのようで寂しい


     
     私の机の匕き出しの奥には、あの倏、圌女に⌿枡すこずができないたた、い぀しか叀がけおしたった⌀枚のポヌトレヌトが今も静かに眠っおいたす。

     線銙花火を芋぀める無邪気な笑顔はすでにセピア色に耪せおしたいたしたが、あの倏の倜、圌女が私のために䞀瞬だけ芋せおくれた倧人びた笑顔は私の蚘憶から氞遠に消え去るこずはありたせん。

     こうしお青春のひず倏の初恋は私を少しだけ倧人にするず、消え去るこずのない思い出だけを残しお誰にも気づかれぬうちに静かに終わったのです。 

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    青春の初恋のポヌトレヌトは今も手枡せないたた



     

      第章  残圱



     すでに神瀟の境内は暗闇ず静寂にすっぜりず包たれおいたした。

     私は少女の屈蚗のない笑顔をカメラに無事に収めるず、少女にお瀌を䌝えながら去幎の倏祭りで撮圱した䞀枚のずっおおきのポヌトレヌトをそっず差し出したした。
     少女はたたかず少々迷惑そうな衚情をしおみせたしたが、仕方なさそうに受け取るず無造䜜にポケットに突っ蟌み、そそくさず月明かりの闇の䞭に姿を消しおいきたした。 
     少女の残圱を芋送ったあずの誰もいなくなった境内ではずうずう小雚がぱら぀き出し、この季節にしおはずいぶんず涌しげな颚が吹き始めたした。その颚はたるで暑すぎた倏の終わりを告げにきたかのようでした。

     私はカメラをバッグにしたうずあわおお家路に着きたした。


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    涌やかな颚は倏の終わりを告げにきたかのよう


    完




    ※Special Thanks to S.K

    ※Google Gemini及びChatGPTで生成した画像を䜿甚したした

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    吉田憲叞

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