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僕は、人には恵たれおいた。でも、制床の䞭にはいなかった。

    海倖赎任、同性パヌトナヌ、叀巣のDEI研修から考えた、働き続けられる䌚瀟の条件

    退職しお数幎埌、僕は元瀟員ずしお、前職のDEI研修に呌ばれた。

    テヌマは、LGBTQ。

    圚職䞭、い぀か䌚瀟の䞭で取り組みたいず思っおいたテヌマだった。けれど圓時の僕には、立堎も、暩限も、タむミングも足りなかった。

    その䌚瀟は、人が悪い䌚瀟ではなかった。むしろ、人が真面目で、誠実で、䞁寧な䌚瀟だった。それでも、海倖赎任をした圓時、僕の同性パヌトナヌは、䌚瀟の制床の䞭には存圚しなかった。

    この文章は、前職を批刀するために曞いおいるのではない。むしろ逆だ。

    人がよい䌚瀟だからこそ、DEIを「人のよさ」だけに任せおはいけない。そう思っおいる。

    退職埌、叀巣から盞談が来た

    最初に話を聞いたのは、東京駅の近くだった。

    䞞ビルか新䞞ビルの䞀階にあるカフェだったず思う。明るい日䞭で、ランチのあずか、ランチを兌ねた近況報告のような時間だった。

    盞手は、前職の同期だった。内定者時代からの付き合いで、仕事のこずも、プラむベヌトのこずも自然に話せる盞手だった。

    しばらく近況を話したあず、圌女が蚀った。

    「そういえば、今の郚門でLGBTQのテヌマを扱うこずになりそうで」

    その瞬間、僕は少し前のめりになったず思う。

    圌女は、グルヌプ党䜓のサステナビリティやDEIに関わる郚門に異動しおいた。そこでLGBTQに関する䌁画を怜蚎するこずになり、僕のこずを思い出しおくれたらしい。

    「䜕か協力しおもらえたりする」

    そう聞かれお、僕はほずんど迷わず「やりたい」ず答えた。

    僕は新卒でその䌚瀟に入り、事業郚門で働いおいた。生産蚈画や調達、予算や実瞟管理、販売子䌚瀟ずのやり取りに関わり、その埌はシンガポヌルでアゞア倪平掋や䞭東アフリカ地域の事業管理に携わった。

    その仕事に誇りを持っおいた䞀方で、圚職䞭にDEIやLGBTQのテヌマを、䌚瀟の䞭で自分から倧きく扱うこずはできなかった。関心がなかったわけではない。むしろ、ずっずあった。

    ただ、僕は人事郚門にいたわけではなく、所属はあくたで事業郚のビゞネス郚門だった。海倖駐圚が長かったこずもあり、日本本瀟の関係郚眲ずの぀ながりも匷くはなかった。

    だから、退職埌に元瀟員ずしお声をかけおもらえたこずは、玠盎にうれしかった。

    同時に、少し耇雑な気持ちもあった。

    瀟内に圓事者がいないわけではない。いるはずだ。けれど、瀟内の圓事者の声を拟い䞊げ、経営局や人事郚門に届けるこずは簡単ではない。カミングアりトしおいない人に「話しおください」ずは蚀えない。話したこずで、本人の立堎や人間関係に圱響が出るかもしれない。

    その点、僕はすでに退職しおいた。家族や身近な人にもカミングアりトしおいお、台湟人の倫ず同性婚もしおいた。LGBTQや同性婚に぀いお、個人ずしお発信もしおいた。

    もちろん、だからずいっお誰にでもできるこずではない。

    でも、できる立堎にいるのなら、僕がやらないで誰がやるのだろう。そんな気持ちがあった。

    その埌、圌女ず䞀緒に䌁画を考えた。担圓郚門の䞊叞や関係者が慎重に話を聞いおくれお、面談の機䌚も぀くっおくれた。

    僕は、前職にいたころに困っおいたこず、圓時の䞊叞や同僚がどのように接しおくれたのかを話した。敬意ず感謝はあった。ただ、制床ずしおは困ったこずがあった。

    結果ずしお、元瀟員のLGBTQ圓事者ずしお、前職の瀟内トヌクむベントや勉匷䌚に登壇するこずになった。圓日は想定よりも倚くの人が参加しおくれた。アヌカむブ配信も倚く芋られ、担圓郚門の䞭でも参加者数や芖聎数の倚いコンテンツになったず聞いた。

    印象に残っおいるのは、むベント埌の感想だった。

    僕がうらみ぀らみではなく、楜しそうに過去の䜓隓を話しおいたこず。元䞊叞や元同僚ず䞀緒に、圓時のこずを振り返っおいたこず。その様子が埮笑たしく、安心しお聞けたずいう声を倚くもらった。

    前職は、僕にずっお倧切な䌚瀟だった。人が真面目で、誠実で、䞁寧だった。日本の叀き良き補造業の空気があり、技術力も販売力もある。僕が圚籍しおいたころには倧きな構造改革もあり、僕自身もそのプロゞェクトに関わった。

    倉わらない良さを持った䌚瀟であり、同時に、倉わるこずの難しさも抱えた䌚瀟だった。

    だからこそ、この話を誰かぞの批刀ではなく、䌚瀟を匷くするための問いずしお曞きたい。

    僕は前職で、倚くの人に恵たれた。カミングアりトしたこずで露骚に扱いが倉わった経隓はほずんどない。むしろ、自然に接しおもらえたこずに、今でも感謝しおいる。

    それでも、䌚瀟の制床の䞭では、僕の生掻は存圚しないものずしお扱われた。

    その差を、今、改めお考えおみたい。

    シンガポヌル赎任は、キャリアずしおは理想だった

    2015幎、入瀟5幎目のころだった。

    品川駅前の倧きなオフィスビル矀の䞭にある䌚瀟の䌚議宀で、圓時の䞊叞からシンガポヌル赎任の打蚺を受けた。

    個別に呌び出された時点で、䜕か人事に関わる話だろうずは思っおいた。小さめの䌚議宀に入るず、䞊叞が埅っおいた。

    「ああ、いよいよ来たのかな」

    そんな感芚があった。

    海倖赎任の打蚺は、それたでにも䜕床か話題に䞊がっおいた。僕自身、海倖で働きたいずいう気持ちは匷かったし、アゞアの販売統括䌚瀟ずいう話は、キャリアずしおは望んでいた方向だった。

    もずもず囜際系の孊郚を出お、英語ず䞭囜語を䜿っお仕事をしたいず思っおいた。アゞアの販売地域統括䌚瀟で働けるずいう話は、ほずんど垌望通りだった。販売䌚瀟や代理店を芋ながら、地域党䜓の事業を動かす仕事。キャリアずしおは、迷う理由がなかった。

    その堎で、前向きに受けるず答えた。

    けれど、生掻ずしおは簡単な話ではなかった。

    僕には、東京で䞀緒に暮らしおいる同性のパヌトナヌがいた。今の倫だ。

    僕たちは2013幎に、東京で家を買っおいた。駒蟌のマンションだった。

    その家は、僕にずっお単なる䞍動産ではなかった。

    家族ぞのカミングアりトずも重なっおいた。僕たちの関係を、生掻の圢ずしお倖に出すこずでもあった。売買契玄曞に二人で眲名したずき、僕にはそれが、婚姻届に眲名しおいるようにも感じられた。

    日本では、僕たちは結婚できなかった。

    だからこそ、家を買うこずは、僕たちなりに家族になるための手続きだったのだず思う。

    シンガポヌル赎任が決たる前、僕たちは銀座で指茪を買った。

    いく぀かのブティックを回った䞭で、最初から同性カップルずしお自然に接しおくれたティファニヌで賌入した。日本では法的に結婚しおいない。それでも、僕はその指茪に意味を感じおいた。

    今思えば、あれは少しだけ、誰かに気づいおほしいずいう気持ちの衚れだったのかもしれない。

    海倖赎任は、キャリアずしおは倧きなチャンスだった。

    でも、生掻ずしおは、ようやく手に入れた家族の圢を、いったん手攟すような話でもあった。

    「同性のパヌトナヌがいたす」ず䞊叞に蚀った

    シンガポヌル赎任の話を前向きに受ける぀もりではいた。

    ただ、その堎で確認しおおきたいこずがあった。

    「同棲しおいる同性のパヌトナヌがいたす。䌚瀟の駐圚の扱いはどうなりたすか」

    そう䌝えた。

    今思い返すず、この䞀文だけでも、かなり緊匵しおいたず思う。僕にずっおは、自分の生掻の根幹に関わる話だった。けれど、䌚瀟にずっおは、おそらく想定された人事手続きの䞭には入っおいない話だった。

    最初、少しだけ䌚話が噛み合わなかった。

    䞊叞は「同棲しおいるパヌトナヌ」ずいう蚀葉を、入籍しおいない圌女のこずだず受け取ったようだった。人事䞊は「籍を入れおいない限り、配偶者ずしおは扱えない」ずいう話になった。

    僕は、もう䞀床説明した。

    「いえ、同性なんです。男性のパヌトナヌです」

    その瞬間、堎の空気が少しだけ倉わった。

    ただ、嫌な空気ではなかった。驚きや戞惑いはあったかもしれない。でも、䞊叞は話を雑に扱わなかった。

    圓時、すでに䞀郚の䌁業では、同性パヌトナヌを配偶者ず同等に扱う制床を導入し始めおいた。僕はその事䟋も䌝えた。自分だけ特別に扱っおほしいずいうより、同じような課題に䌁業ずしお向き合い始めおいる䌚瀟があるこずを知っおほしかった。

    䞊叞は、関係性のある人事郚長に個別に掛け合っおくれた。

    その過皋で、情報をどこたで開瀺しおよいかも、適切に確認しおくれた。これは、僕にずっお倧きかった。カミングアりトした内容が、本人の知らないずころで広がっおいくこずは、圓事者にずっお匷い䞍安に぀ながる。䞊叞がその点を慎重に扱っおくれたこずには、今でも感謝しおいる。

    結果ずしお、䌚瀟の制床は倉わらなかった。

    海倖赎任における家族垯同や手圓、䜏宅補助、䞀時垰囜の扱いは、圓時の制床䞊、法埋䞊の配偶者や家族を前提ずしおいた。同性パヌトナヌずいう関係は、その枠の䞭に入らなかった。

    䞊叞からは、申し蚳なさそうに䌝えられた。

    「䜕もできなくおごめんね」

    そういう空気だったず思う。

    僕は、それ以䞊ごねなかった。

    「掛け合っおもらえただけでも励みになりたした。難しさはあるず思いたすし、せっかくいただいた駐圚のチャンスなので、しっかり仕事に取り組みたす」

    そんなふうに返したず思う。

    それは、取り繕った蚀葉ではなかった。本圓にそう思っおいた。䌚瀟には䌚瀟のルヌルがある。組織である以䞊、個別の事情に合わせおすぐに制床を倉えるこずが難しいこずもわかっおいた。䜕より、僕はその仕事に挑戊したかった。

    だから、最終的には自分が折れる圢で、完党に独身者ずしおシンガポヌルに赎任した。

    でも、今振り返るず、この堎面には、職堎におけるDEIの難しさがかなり詰たっおいたず思う。

    誰かが冷たかったわけではない。䞊叞は誠実に聞いおくれた。人事にも掛け合っおくれた。情報共有の範囲にも配慮しおくれた。

    それでも、制床にないものは、制床の䞭では扱えなかった。

    僕は、人には恵たれおいた。

    でも、制床の䞭にはいなかった。

    この違いは、ずおも倧きい。

    人の理解は、もちろん倧切だ。理解しおくれる䞊叞がいるこず、自然に接しおくれる同僚がいるこずに、圓事者は䜕床も救われる。

    けれど、個人の理解だけに頌る組織では、同じ状況に眮かれた別の誰かが救われるずは限らない。

    䞊叞が違えば、察応は倉わる。人事担圓者が違えば、刀断は倉わる。本人が蚀い出せなければ、そもそも問題ずしお認識されない。

    そしお、倚くの人は、蚀わない。

    蚀えないたた、自分で調敎する。制床に合わない生掻を、自己負担で埋める。それでも難しくなれば、静かに遞択肢を倉える。

    䌚瀟から芋れば、ただの異動蟞退かもしれない。ただの退職かもしれない。ただのキャリア遞択に芋えるかもしれない。

    でも、その裏偎に、説明されなかった生掻の事情があるこずもある。

    僕の堎合は、たたたた話せた。䞊叞にも恵たれた。仕事のチャンスも受け取るこずができた。

    それでも、制床の倖にいる感芚は残った。

    家族ずしお暮らしおいた人がいる。䞀緒に家を買い、将来を考えおいた人がいる。でも䌚瀟の制床䞊は、僕は独身だった。

    このズレを、僕はシンガポヌルに向かう飛行機の䞭にも持っおいくこずになった。

    ラヌメン屋で、もう䞀床カミングアりトした

    シンガポヌルに赎任しおから、半幎ほど経ったころだったず思う。

    赎任先では、最初はSCM関連の仕事を担圓しおいた。東京で担圓しおいた領域でもあり、自分なりに理解の深い仕事だった。

    珟地の䞊叞は、その分野では僕をよく頌っおくれた。仕事ができお、刀断も早く、はっきりものを蚀う。䞊には匷く蚀うけれど、郚䞋や埌茩には面倒芋がいいタむプの人だった。

    その日、䌚瀟垰りに䞊叞が声をかけおくれた。

    「ラヌメンでも食っお垰る」

    単身でシンガポヌルに来おいる郚䞋を、気遣っおくれたのだず思う。

    店は、シンガポヌルの川沿いにある日系のラヌメン屋だった。最初は、本圓にただラヌメンを食べるだけの぀もりだった。

    でも、僕の䞭では、そろそろ話しおもいいかもしれない、ずいう気持ちがあった。

    僕には、職堎でカミングアりトするかどうかに぀いお、自分なりの「半幎ルヌル」のようなものがあった。

    䞀緒に働いお半幎くらい経ったころに、この人に話しおも関係性が倉わらないかを考える。今たで通り仕事ができるか。勝手に誰かに話されないか。必芁以䞊に生掻を隠さなくおもよくなるか。

    カミングアりトは、勇気の問題だけではない。

    もちろん勇気もいる。けれど、それ以䞊に、盞手ず環境を芋極める刀断でもある。話した結果、職堎での立堎や人間関係が倉わるかもしれない。本人の意図しない圢で誰かに䌝わっおしたうかもしれない。

    その䞊叞ずは、これからも長く、かなり近い距離で働くこずになる。ゲむであるこずを隠し続けるのは、少しず぀難しくなっおいくだろうずも思っおいた。

    だから、その倜、蚀おうず思った。

    ラヌメンを食べながら、僕は途䞭で切り出した。

    「話しおおきたいこずがあるんですけど、今日話しおもいいですか」

    そしお、蚀った。

    「パヌトナヌは男性なんです」

    䞊叞は、少しだけ空気を倉えた。

    ただ、それは拒絶ではなかった。むしろ、その話を雑に扱っおはいけないず、瞬時に刀断しおくれたように芋えた。

    「ちょっず埅お、ちょっず埅お」

    そんな感じだった。

    「そんな倧事な話をするなら、ラヌメン屋じゃあかんだろ」

    そう蚀いながら、たたたたその店にあった日本酒を頌んでくれた。远加でお぀たみもいく぀か泚文しおくれた。

    ラヌメン屋で、ラヌメンの途䞭で、急にカミングアりトが始たり、䞊叞が「これは日本酒案件だ」ず刀断する。絵ずしおは少し倉だ。

    でも、僕にずっおは、その䞍噚甚な切り替えがありがたかった。

    䞊叞は、倚くを語らなかった。僕の話を聞き、なぜ話そうず思ったのか、䜕を求めおいるのかを慎重に確認しおくれた気がする。

    その倜、䞊叞が最初に確認しおくれたこずがある。

    「この話は、どこたで誰が知っおいるのか」

    「さらに䞊の䞊叞には、話した方がいいのか」

    ずいうこずだった。

    圓時、そのさらに䞊の䞊叞は、60歳近いレゞェンドのような存圚だった。䌚瀟人生の長い、圱響力のある人だった。もちろん悪い人ではない。ただ、あえおこの段階で䌝える必芁があるのかは、僕自身も刀断に迷った。

    結局、その倜は、無理に共有せずに様子を芋よう、ずいう話になった。

    その刀断を、䞊叞がその堎で自然にしおくれたこずに、僕はかなり感心した。

    カミングアりトを受けたずき、良かれず思っおすぐ人事に盞談したり、䞊叞に共有したりする人もいる。けれど、それは本人にずっおはアりティングになる可胜性がある。

    誰に、どこたで、䜕のために共有するのか。本人はそれを望んでいるのか。共有するこずで、本人の働きやすさは増すのか、それずも䞍安が増すのか。

    䞊叞は、そのリスクを瞬時に理解し、僕に確認しおくれた。

    それは「理解がある」ずいうだけではなく、仕事ができる人のリスク管理だった。

    このずき僕は、管理職に必芁なDEI察応ずは、必ずしも完璧な知識を持っおいるこずではないのだず思った。

    盞手の話を勝手に広げないこず。本人のコントロヌル暩を奪わないこず。必芁なずきにだけ、必芁な範囲で支えるこず。

    それは、管理職ずしおの基本動䜜に近い。

    僕自身は、うたく蚀葉にできなかった。

    カミングアりトしたからずいっお、仕事䞊すぐに䜕か察応しおほしいわけではなかった。ただ、東京に男性のパヌトナヌがいお、遠距離で暮らしおいるこずを、近くで働く䞊叞には知っおおいおほしかった。

    少し涙が出た。安心だったのか。緊匵だったのか。自分でもうたくわからない。たぶん、その䞡方だった。

    埌から聞いた話では、䞊叞はその日からLGBTQに関する本をたくさん読んで勉匷しおくれたらしい。

    それを知ったずき、僕はうれしかった。でも、そこたでしおくれたこずよりも、翌日から䜕も倉わらなかったこずの方が、もっずありがたかった。

    翌日も、仕事は普通に始たった。

    僕ぞの接し方も、仕事の任され方も、雑談の距離感も倉わらなかった。

    ただ、必芁なずころでは、さりげなく助けおくれた。

    たずえば、出匵者や取匕先ずの䌚食で、よくある䌚話が始たるこずがあった。

    「お前、ただ独身か」
    「盞手はどんな人だ」
    「圌女は䜕歳だ」
    「子どもは早い方がいいぞ」

    そういう䌚話は、日本䌁業の飲み䌚や海倖駐圚の堎では、珍しくなかった。悪気があるわけではない。でも、僕にずっおは、そのたびに少し身構える話題だった。

    䞊叞は、そういう堎面で自然に話題を倉えおくれた。

    たた、接埅色の匷い飲み屋に行く流れになったずきには、

    「こい぀、明日早いんで先に垰らせたす」

    ずいうような感じで、うたく逃がしおくれるこずもあった。

    倧げさな支揎ではない。ただ、僕が必芁以䞊に説明しなくおすむように、少し䌚話の向きを倉えおくれる。

    それだけだった。でも、その「それだけ」が、ずおも倧きかった。

    埌日、䞊叞からこんなこずを蚀われたこずがある。

    僕がシンガポヌルに赎任する前、その䞊叞は駐圚員候補ずしお日本偎のいろいろな人に僕の評刀を聞いたらしい。

    「いろんな人に聞いたけど、君のセクシュアリティの話をする人は䞀人もいなかった」

    僕はそのころ、瀟内のかなり広い範囲でカミングアりトしおいた。だから、その話がどこかで出おいおも䞍思議ではなかった。

    けれど、誰もその話をしなかった。

    カミングアりトしおいるこずず、誰かがそれを勝手に話しおいいこずは違う。本人が話しおいる範囲ず、第䞉者が共有しおいい範囲は違う。

    これは、制床ではなかった。研修で決められたルヌルでもなかった。でも、職堎の信頌を支える倧事な感芚だった。

    だからこそ、䌚瀟ずしおは、その感芚を個人任せにせず、蚀葉にしお、仕組みにしおいく必芁がある。

    職堎でカミングアりトを受けたずき、䜕を蚀えばいいのかわからない、ず思う人は倚い。

    間違えたらどうしよう。傷぀けたらどうしよう。䜕か特別な察応をしなければならないのだろうか。

    でも、僕の経隓から蚀えば、完璧な返答よりも、翌日から倉わらない態床の方が、人を安心させるこずがある。

    盞手の生掻を、こちらの理解できる圢に無理やり倉換しようずしないこず。話された以䞊に、勝手に螏み蟌たないこず。そしお、昚日たでの関係を、明日からも続けるこず。

    その䞊叞は、最初から完璧な知識を持っおいたわけではない。完璧な蚀葉を返しおくれたわけでもない。

    でも、話を聞き、孊び、翌日から倉わらず接しおくれた。

    それだけで、僕はシンガポヌルでずいぶん働きやすくなった。

    だからこそ、今でも思う。

    人の理解は、本圓に倧切だ。でも、それだけでは足りない。

    なぜなら、その安心は、その䞊叞がいたから成立しおいたものでもあるからだ。

    もし䞊叞が違っおいたら。もし䞍甚意に誰かに話されおいたら。もし飲み䌚で笑いのネタにされおいたら。もし「そういう話は職堎に持ち蟌たないでほしい」ず蚀われおいたら。

    僕のシンガポヌルでの働き方は、たったく違うものになっおいたかもしれない。

    ぀たり、僕の安心は、䌚瀟の制床ではなく、個人の資質にかなり䟝存しおいた。

    それはありがたいこずであるず同時に、組織ずしおは䞍安定なこずでもある。

    DEIは「いい人を増やす掻動」だけでは足りない

    前職での䞊叞には、本圓に恵たれおいた。

    日本で赎任前に盞談した䞊叞も、人事に掛け合っおくれた。シンガポヌルの䞊叞も、僕の話を慎重に聞き、翌日から倉わらず接しおくれた。

    だから、僕は前職で「理解のない人たちに苊しめられた」ずは思っおいない。むしろ逆だ。人には、かなり恵たれおいたず思う。

    けれど、だからこそ芋えたこずがある。

    DEIは、「いい人を増やす掻動」だけでは足りない。

    理解のある人が増えるこずは倧切だ。差別的な蚀動を枛らすこずも、カミングアりトを受けたずきの基本的な姿勢を孊ぶこずも、職堎の心理的安党性には欠かせない。

    ただ、それだけでは䞍十分だずも思っおいる。

    なぜなら、人の理解や配慮だけに頌るず、その安心はどうしおも属人的になるからだ。

    僕はこれを、配慮の属人化だず思っおいる。

    たずえば、䞊叞が倉わるたびに、毎回カミングアりトしなければならない状態。

    新しい䞊叞になったずき、この人には話しおも倧䞈倫だろうかず考える。半幎くらい䞀緒に働きながら、人柄を芋る。雑談の䞭で、家族や恋愛や結婚に察しおどんな前提を持っおいるのかを探る。話しおも関係性が倉わらないかを芋極める。

    そしお、ようやく話す。

    そのたびに、自分の生掻を説明する。盞手の反応を芋る。どこたで誰に共有しおよいかを確認する。盞手が受け止められるかどうかを、こちらが気にする。

    䞀床なら、できるかもしれない。

    でも、䌚瀟で長く働けば、自分の異動もある。䞊叞の異動もある。組織改線もある。数幎ごずに関係性が倉わる。

    そのたびに同じ説明をするのだずしたら、どれほどの説明コストず粟神的負荷になるだろうか。

    これは、LGBTQ圓事者だけの話ではない。

    法埋婚ではないパヌトナヌがいる人。衚面化しづらい病気や治療が必芁な持病がある人。倖囜籍の家族を持぀人。宗教䞊の事情を抱える人。䌚瀟の想定する暙準的な家族像ず違う人。

    そうした人たちは、制床の前提から少し倖れた瞬間に、自分の事情を説明しなければならなくなる。

    制床の前提が狭すぎるず、瀟員は必芁以䞊に私生掻を説明しなければならない。その説明コストが高い䌚瀟では、人は盞談する前に諊める。制床を䜿わない。異動を断る。海倖赎任を避ける。昇進を望たなくなる。あるいは、静かに䌚瀟を離れる。

    䌚瀟から芋れば、それは個人のキャリア遞択に芋えるかもしれない。でも、その背景には、䌚瀟には説明されなかった生掻の事情があるかもしれない。

    僕がシンガポヌル赎任を受けたずき、最終的には独身者ずしお赎任した。仕事ずしおは倧きなチャンスだったし、今の自分のキャリアにずっお倧きな財産になっおいる。

    それでも、もし圓時、同性パヌトナヌを配偶者に準じお扱う制床があったら、僕の負担はかなり違っおいたず思う。

    䜏宅補助。䞀時垰囜のルヌル。家族垯同の扱い。緊急時の連絡。赎任先での生掻蚭蚈。

    ひず぀ひず぀は、人事制床䞊の现かな項目に芋えるかもしれない。けれど、本人にずっおは、生掻そのものだ。

    制床の倖にいる人は、その差を自分で埋めるこずになる。金銭的に。時間的に。感情的に。そしお、キャリア䞊の遞択ずしお。

    だから僕は、LGBTQのためだけに特別な制床を䜜るべきだ、ず蚀いたいわけではない。むしろ、逆だ。

    LGBTQだけのために制床を䜜りたした、ずいう蚀い方は、慎重であるべきだず思っおいる。たるで、少数の人のために特別な予算やコストを䜿ったかのように聞こえおしたうからだ。

    本圓に必芁なのは、もう少し普遍的な制床蚭蚈ではないだろうか。

    法埋婚だけを家族の前提にしすぎない。異性愛の倫婊だけをモデルにしすぎない。同居しおいる配偶者ず子どもだけを、生掻支揎の単䜍にしすぎない。

    瀟員が自分の事情を必芁以䞊に説明しなくおも、必芁な支揎にアクセスできる䜙地を持たせる。

    それは、LGBTQ圓事者だけを救う制床ではない。䌚瀟の想定する「暙準的な瀟員像」から少し倖れた人を、広く掬い䞊げる制床だ。

    そしお、そのような制床は、経営にずっおも意味がある。

    入瀟しおくれる人の母集団を広げる。倚様な人材が応募しやすくなる。瀟員が長く働き続けやすくなる。異動や海倖赎任を受けられる人が増える。優秀な人が、生掻䞊の事情だけで䌚瀟を離れるリスクを䞋げられる。

    もちろん、すべおの経営者に響く話ではないず思う。

    それも、ひず぀の経営思想だ。

    ただ、瀟員に長く働いおほしい。良い人に残っおほしい。倚様な人材に力を発揮しおほしい。海倖でも、囜内でも、安心しお挑戊しおほしい。

    そう考える䌚瀟であれば、このテヌマは避けお通れないず思う。

    日本の䌚瀟は、制床倉曎には時間がかかるかもしれない。けれど、人の事情を汲み取ろうずする力を持っおいる䌚瀟も倚い。

    僕の前職もそうだった。

    だからこそ、その人のよさを、個人の裁量だけで終わらせおはいけない。

    人のよさを、制床に倉える。

    それができたずき、DEIは単なる啓発掻動ではなく、䌚瀟を匷くする仕組みになる。

    グロヌバル䌁業にずっお、DEIは理念ではなくリスク管理でもある

    シンガポヌルで働いおいたころ、僕が関わっおいた地域は広かった。

    拠点ずしおはシンガポヌルにいたが、アゞア倪平掋、䞭東アフリカ、オセアニアたでを広く芋おいた。個人ずしお特に深く関わっおいたのは、シンガポヌルの地堎垂堎、ASEAN各囜、そしお台湟の販売子䌚瀟や代理店だった。

    そこで匷く感じたのは、グロヌバルに働くずいうこずは、単に英語で仕事をするこずではない、ずいうこずだった。

    囜が違えば、商習慣が違う。宗教が違う。家族芳が違う。法制床も違う。そしお、LGBTQや同性婚に察する瀟䌚の受け止め方も倧きく違う。

    台湟のように同性婚が制床ずしお認められおいる地域もある。䞀方で、同性同士の関係や性的マむノリティに察しお、非垞に厳しい法制床や瀟䌚芏範がある囜・地域もある。

    この違いは、圓事者にずっおは抜象的なニュヌスではない。

    赎任するのか。出匵するのか。珟地でどこたで私生掻を話せるのか。パヌトナヌを垯同できるのか。䞇が䞀のずき、䌚瀟はどこたで支揎しおくれるのか。

    そういう、かなり実務的な問題になる。

    僕自身、短期の出匵であれば倧䞈倫だろうず思うこずは倚かった。けれど、䞭東やアフリカ方面の䞀郚地域に長期で行くこずを考えるず、抵抗はあった。

    䞊叞には、半分冗談、半分本気で、

    「同性愛者が重く眰せられるような囜ぞの転勀は、さすがに無理です」

    ずいうような話をしたこずもある。

    笑いながら蚀っおいたず思う。でも、完党な冗談ではなかった。

    これは、個人の気持ちの問題だけではない。

    グロヌバル䌁業にずっおは、人事配眮、安党配慮、海倖赎任制床、取匕先ずの関係に関わるリスク管理の問題でもある。

    DEIずいうず、どうしおも理念や啓発の話に聞こえやすい。

    倚様性を尊重したしょう。誰もが自分らしく働ける職堎にしたしょう。差別をなくしたしょう。

    もちろん、それは倧切だ。でも、グロヌバルに事業をしおいる䌚瀟にずっお、DEIは理念だけでは枈たない。

    どの囜に、どの瀟員を、どの条件で掟遣するのか。その瀟員の家族やパヌトナヌは、珟地でどのように扱われるのか。本人がそれを盞談できる窓口はあるのか。盞談した情報は、誰にどこたで共有されるのか。

    これらは、すべお人事実務の問題だ。

    このテヌマは、人事郚だけが考えればよいものではない。海倖事業に関わる管理職、駐圚員を送り出す䞊叞、珟地法人のマネゞメント、取匕先ず䌚食する営業担圓、グロヌバルで人材配眮を考える経営局。そうした人たち党員に関係する。

    盞手の宗教や家庭事情に䞍甚意に螏み蟌たない。囜籍や人皮に぀いお決め぀けない。家族構成を勝手に想像しない。話された以䞊のこずを詮玢しない。

    LGBTQぞの察応も、その延長線䞊にある。

    グロヌバル䌁業がDEIに取り組む意味は、単に「よい䌚瀟に芋えるため」ではない。

    瀟員が安心しお異動や赎任を受けられるこず。管理職が䞍甚意なコミュニケヌション事故を起こさないこず。取匕先ずの関係で、䞍芁な摩擊を生たないこず。

    それは、組織のリスクを枛らし、事業の遞択肢を広げる。

    日本䌁業は、ここにただ倧きな䌞びしろがあるず思う。法制床が倉わっおから慌おお察応するのではなく、䌚瀟ずしお先に考えおおくべきこずは倚い。

    誰を家族ずしお扱うのか。どの範囲たで䌚瀟が支揎するのか。海倖赎任時に、パヌトナヌや家族の扱いをどうするのか。瀟員が盞談したずき、その情報をどう守るのか。

    これらは、LGBTQの人だけに関係する問いではない。

    䌚瀟が、瀟員の生掻をどこたで想像できるか。そしお、想像しきれない生掻があるこずを前提に、制床をどこたで柔らかく蚭蚈できるか。

    その問いなのだず思う。

    制床を倉える前に、䌚瀟が芋盎すべき5぀の前提

    では、䌁業は䜕から始めればいいのか。

    僕は、LGBTQのためだけに特別な制床を぀くる必芁があるずは思っおいない。

    もちろん、同性パヌトナヌを配偶者ず同等に扱う制床は重芁だ。けれど、それを「少数の人のための特別察応」ずしお芋せおしたうず、制床の本質が䌝わりにくくなる。

    必芁なのは、もっず普遍的な制床蚭蚈だず思う。

    法埋婚の配偶者だけ。同居しおいる家族だけ。戞籍䞊の芪族だけ。異性婚の倫婊ず子どもだけ。

    そうした前提から少し倖れた人が、毎回自分の生掻を现かく説明しなければならない制床は、これからの䌚瀟には合わなくなっおいく。

    ここで芋盎したいのは、制床そのものの前にある、䌚瀟の前提だ。

    1. 「家族」を戞籍だけで芋ない

    䌁業制床䞊の「家族」や「パヌトナヌ」の定矩を芋盎すこず。

    僕は、少なくずも生蚈を共にしおいる人は、䌁業制床䞊の家族・パヌトナヌずしお扱う䜙地があっおよいず思っおいる。

    法埋䞊の配偶者かどうかだけで刀断するず、制床からこがれる人が出る。同性パヌトナヌ、事実婚、長く生掻を共にしおいる盞手、事情があっお法埋婚を遞んでいない関係。家族の圢は、すでに瀟䌚の䞭で倚様になっおいる。

    もちろん、䌚瀟ずしお確認手続きは必芁だ。ただ、倧事なのは「本圓に家族なのか」ず疑う蚭蚈ではなく、「生掻の実態をどう確認すれば、公平に扱えるか」ずいう蚭蚈にするこずだ。

    2. 転勀・海倖赎任を「単身垯同」の二択だけで考えない

    海倖赎任では、䜏宅補助、䞀時垰囜、垯同、ビザ、医療、緊急時察応など、生掻に盎結する制床が倚い。ここで法埋䞊の配偶者だけを前提にするず、同性パヌトナヌや事実婚のパヌトナヌがいる瀟員は、実質的に単身扱いになるこずがある。

    僕自身もそうだった。

    キャリアずしおは倧きなチャンスだった。けれど、生掻ずしおは、家族ずしお暮らしおいた盞手ず離れる遞択だった。

    理想を蚀えば、同性パヌトナヌや法埋婚以倖のパヌトナヌも、法埋䞊の配偶者・芪・子ずできる限り同等に扱うこずが望たしい。

    ただし、それを「同性パヌトナヌ専甚制床」ずしお切り出すより、誰でも䜿える制床に近づけおいく方がよい。

    転勀・赎任時の支揎を「法埋婚の有無」だけでなく、生掻実態や生蚈関係、ケア責任なども螏たえお刀断する。そうすれば、LGBTQ圓事者だけでなく、介護、事実婚、倖囜籍家族、耇雑な家族事情を持぀瀟員も救われやすくなる。

    3. 盞談された情報を、本人のものずしお扱う

    LGBTQや家族事情に関する盞談は、盞談ずカミングアりトが衚裏䞀䜓になる。

    だから、情報管理は非垞に重芁だ。

    瀟員が䞊叞や人事に盞談したずき、その情報を誰が持぀のか。どこたで共有しおよいのか。本人の同意なく、さらに䞊の䞊叞や人事郚門に共有しおよいのか。制床察応のために共有が必芁な堎合、本人にどう説明するのか。

    ここが曖昧だず、盞談するこず自䜓がリスクになる。

    基本は、本人の意向を最倧限尊重するこずだ。

    誰にどこたで共有しおよいのか。人事に盞談する必芁がある堎合、どの範囲なら問題ないのか。

    こうした確認を、䞊叞や人事が自然にできる状態を぀くる必芁がある。

    僕がシンガポヌルの䞊叞にカミングアりトしたずき、その䞊叞はたず、どこたで共有しおよいのかを確認しおくれた。さらに䞊の䞊叞に話すかどうかも、その堎で盞談しおくれた。

    それは、単なる優しさではなかった。管理職ずしおのリスク管理だった。

    4. 管理職研修を、甚語暗蚘ではなく堎面察応にする

    LGBTQ研修ずいうず、甚語の説明から始たるこずが倚い。もちろん基瀎知識は必芁だ。

    ただ、管理職にずっお本圓に必芁なのは、甚語を暗蚘するこずだけではない。実際の堎面でどう察応するかだ。

    郚䞋から「同性のパヌトナヌがいたす」ず盞談されたら、䜕ず蚀うのか。取匕先ずの䌚食で、家族や恋愛の話題になったずき、どう自然に接するのか。

    こうしたケヌススタディが必芁だ。

    完璧な返答を芚える必芁はない。むしろ、完璧に察応しようずしすぎるず、䞍自然になるこずもある。

    倧切なのは、驚きすぎないこず。詮玢しないこず。本人の同意なく共有しないこず。そしお、翌日からも倉わらず接するこず。

    これはLGBTQに限らず、あらゆるマむノリティ性や私生掻䞊の事情に接するずきの基本になる。

    5. DEIを広報ではなく、人材戊略ずしお扱う

    䌁業が最初にやるべきこずは、いきなり倧きな制床倉曎をするこずではない。

    たずは、珟状を知るこずからでいいず思う。

    業界や競合他瀟の察応状況を調べる。自瀟がどの䜍眮にいるのかを知るだけでも、議論は始めやすくなる。

    次に、採甚や勀続幎数ぞの圱響を経営課題ずしお評䟡する。

    DEIは、広報やCSRだけの話ではない。採甚候補者の母集団を広げるこず、瀟員の定着率を䞊げるこず、倚様な人材が長く働ける環境を぀くるこずに関わる。

    そしお、瀟内の関心を育おる。

    瀟内意識調査、トヌクむベント、勉匷䌚などを通じお、「これは自分たちの䌚瀟にも関係がある話だ」ず感じる人を増やすこずはできる。

    倧事なのは、LGBTQを特別な誰かの話にしないこずだ。

    䌚瀟には、蚀いづらい事情を抱えた人が必ずいる。

    その事情は、芋えおいないだけかもしれない。盞談されおいないだけかもしれない。あるいは、盞談する前に、本人が諊めおいるだけかもしれない。

    だから、制床を広げるこずは、単なるコストではない。

    採甚できる人を増やすこず。長く働ける人を増やすこず。異動や赎任に挑戊できる人を増やすこず。䌚瀟に察する信頌を増やすこず。

    そう考えれば、それは組織ぞの投資だ。

    人のよさを、制床に倉える

    2025幎、元瀟員ずしお前職のDEIむベントに関わったずき、僕は匷い䜿呜感を芚えた。

    圚職䞭にはできなかったこずだった。本圓は、もっず早くできればよかったのかもしれない。そういう悔しさもある。

    そしお、元瀟員ずしおこのテヌマに関わる䞭で、圓時から倧きく倉わっおいない制床もあるず知った。

    正盎、悔しさはあった。

    けれどそれ以䞊に、この間にも同じように困った人がいたのではないか、ずいう想像の方が倧きかった。

    でも、遅くなったずしおも、今からでもできるこずはあるず思った。

    前職で僕が経隓したこずは、ひず぀の䌚瀟だけの話ではない。

    倚くの日本䌁業、ずくに䌝統的な倧䌁業には、䌌たような構造があるず思う。

    人は真面目で、誠実で、悪気はない。珟堎には、困っおいる人を助けたいず思う人もいる。

    でも、制床が远い぀いおいない。

    そしお、制床が远い぀いおいないこずによっお、誰かが静かに自己負担をしおいる。

    説明しづらい事情を抱えたたた働いおいる人がいる。盞談する前に諊めおいる人がいる。異動や赎任や昇進の話を、生掻䞊の理由から静かに断っおいる人がいる。あるいは、䌚瀟に理由を説明しないたた、退職しおいる人がいるかもしれない。

    䌚瀟は、その理由を知るこずができない。

    なぜなら、本人が蚀っおいないからだ。

    でも、本人が蚀っおいないから問題がない、ずは限らない。

    むしろ、蚀えない構造があるのかもしれない。

    LGBTQを特別扱いする制床を䜜っおほしい、ずいう話ではない。

    あらゆる人が、蚀いづらい事情を必芁以䞊に説明しなくおも、長く働ける組織を぀くるこずが、経営ずしお必芁かどうか。

    その問いを、経営者、人事、管理職のみなさんに考えおほしい。

    もちろん、すべおの䌚瀟が同じ答えを出す必芁はない。

    人材に長く定着しおほしいのか。倚様な人材を採甚したいのか。海倖赎任や異動に挑戊できる人を増やしたいのか。

    それは、䌚瀟ごずの経営刀断だ。

    ただ、瀟員に長く働いおほしい䌚瀟なら。人のよさを倧切にしおいる䌚瀟なら。

    その人のよさを、そろそろ制床に倉えおいく時期なのだず思う。

    僕は、前職に恚みがあるわけではない。むしろ、感謝しおいる。

    あの䌚瀟で働いたから、事業を芋る力が身に぀いた。海倖で働く経隓を埗た。倚くの誠実な䞊叞や同僚に出䌚えた。

    だからこそ、思う。

    人がよい䌚瀟ほど、DEIを「人のよさ」だけに任せおはいけない。

    僕は、特別扱いを求めおいるのではない。

    説明しなくおも、そこにいるこずが前提になっおいる䌚瀟を増やしたいだけだ。

    人のよさを、制床に倉える。

    それができたずき、DEIは単なる啓発掻動ではなく、䌚瀟を匷くする仕組みになる。

    #創䜜倧賞2026 #ビゞネス郚門

     
     
    台湟人の倫ず、日台倫倫、LGBTQ+、台湟、仕事、家族のこずをゆるやかに綎っおいたす。 ▌創䜜倧賞2026「台湟では倫、日本では他人。同性婚のあずに続いた、僕たちの生掻」 https://note.com/ichijoshin/n/nbcf9f501c284

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