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#10 私の中にあるASD 〜序文〜


 発達障がい。昔の呼び名は「自閉症」でした。やがて「自閉症スペクトル」「自閉症スペクトラム」「自閉スペクトラム症」などの表記が増え始めました。ちょうど私が支援者になりたての頃、専門書で「自閉症スペクトル」等の表現が増え始めた気がします。私は基本的にアホなので、当時「スペクトルってなんだ。ちょっとかっこいいじゃねーか。ヒーローの必殺技みたいだ」と思った事を覚えています(笑)。
 時代は流れて令和の世。この「スペクトラム」という概念が、発達障がいという障がいを理解する上で非常に重要なものとなりました。今回の記事では、この「スペクトラム」をめぐる基礎の基礎の話と私の考え方について、触れてみようと思います。




「スペクトラム」とはなんぞや?

 自閉スペクトラム症…以前は単に“自閉症”と呼ばれていたものが、近年ではこう呼ばれるようになりました(経緯は「自閉スペクトラム症」「DSM-Ⅴ」などで検索すると簡単に出てくるかと思います)。
 スペクトラム、つまり“連続体”。自閉スペクトラム症の障がい特性や特徴は多岐に渡っており、またその発現の仕方(=どの特徴が色濃く出るか)も千差万別である事から、
▶︎ここからここまでを、“重度”とする(ここからここまでを“軽度”とする)
▶︎この特徴があるから、発達障がいとする(この特徴は見られないから、発達障がいではない)
のように区分する(出来る)ものではなく、「自閉的傾向が同一線上で連続しているものである」という考え方が為されている訳です…いや、よく分かりませんね。誤解や反論を恐れずにざっくり言うと、私の解釈としては、自閉的傾向というものは「色相環のようにあらゆる要素が隣り合い重なり合い繋がり合っている状態」をイメージするのが良いのではないかと思います。

図①   色相環(イメージ)

色相環と異なる点があるとすれば、例えば「緑の要素が強いからといって、隣り合う黄色や水色の要素も強いとは限らない」という所でしょうか。そう考えると、レーダーチャート的な捉え方も出来るのかもしれません。項目ごとのバラつきが激しい、レーダーチャート(決して、全ての項目が低いという事ではない)。

図②   レーダーチャート(イメージ)


全ての人が“連続体”の上にいる

 皆さんは、(発達障がいに限らず)「障がい」という表現によって、その当事者の方の事を「自分とは別の世界を生きる人」という認識で捉える事はありませんか? それは決して差別的な意味合いではなく、例えばテレビの向こう側にいる芸能人に対して「別の世界の人」という認識をする感覚に近しい。かく言う私も、発達障がい以外で「障がい」と名の付くあらゆるものに対して、「別の世界の住人だなんていう認識は一切無いよ」「誰もが隣人。先入観も固定観念もなく、全ての人のありのままを受け入れるだけです」と言い切る事は、正直なところ出来ません。
 DSM-Ⅴにおける“連続体”の捉え方について、もう一つ重要なポイントがあります。それは、「その“連続体”の中に、健常者も含む」という点。つまり、私を含め「健常者」と言われる人間であっても、連続体の中のどこかに属している。言い換えれば、健常者の中にも幾らかの、そして何かしらのASD的要素が備わっている。私たちの誰しもがASDの方々と地続きの世界を生きており、「別の世界の人」などではないという事が、既にアメリカ精神医学会によって明示されている訳です。


共通点が親近感に、親近感が理解に繋がる(かも)

 これまでにも端々で軽く触れてきましたが、私自身にも少なからず、発達障がい的な特性があります(特に診断が下っている訳ではなく、属性としては“健常者”に該当しています)。私は今後、このnoteの中で、「これは“自分の中にあるASD”かも」と思う点を挙げていくシリーズを展開しようと考えています。健常者と呼ばれる人とASD当事者の方々とが同一線上に立っているという繋がりを示し、相互理解を深める一助となりたいという想いからです。全く別の世界の人だと思っていた芸能人が自分と同じアクセサリーを身につけている事を知った途端に、親近感が湧くように。
 こういった試みはともすると、障がい当事者の方々に「その程度の事を、自分の辛さや生きづらさと同列で語らないで欲しい」というお気持ちを抱かせる可能性も考えられます。ただ、私の意図としては「健常者といわれる層とASD当事者の方との間が、スペクトラムで繋がっている」という事の感覚的な理解を促進したいという想いが全てであり、対立を生んだり何らかの恣意的な誘導を狙っている訳ではない事はここに記しておきます。「ショッキングピンクと桜色、どちらがよりピンクか?」という議論を生みたいのではなく、単に「ピンクにも色々なピンクがありますよね」という事を例示したいまでです。

図③   ショッキングピンクと桜色






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