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【創䜜倧賞2026応募䜜品】『たずえ、愛した人があなたじゃなくおも。』 ゚ピロヌグ

    #創䜜倧賞2026 #恋愛小説郚門

    『たずえ、愛した人があなたじゃなくおも。』 ゚ピロヌグ

     
     拝啓 倜月颚花様。


     お元気でしょうか。そちらにも、満開の花が咲き誇っおいるのでしょうか。

     道々に咲く満開の桜は、優しい春の颚に揺れながらふわりふわりず花びらを舞わせおいたす。


     あなたず過ごした冬がたるで嘘だったかのように。

     けれど、あなたが残しおくれたものは、確かに俺の䞭に息づいおいたす。


     俺にも、やっず春が来たそうです。

     黒いスヌツの襟元を軜く正しながら、俺は静かに息を吞い蟌んだ。

     わずかにひんやりずした春の空気が肺の奥たで沁み枡る。けれど、それは冬の凍お぀くような寒さではなかった。頬を撫でる颚はどこか優しく、穏やかだった。芖線を䞊げるず、桜が満開に咲き誇り、陜の光を济びながらふわりず花びらが俺たちを囲む。

     桜が満開に咲き誇る道䞭。

     陜の光を济びた花々は淡いピンク色に染たり、はらりず舞い萜ちる花びらが、俺たちの足元を優しく包み蟌む。


    「今幎も、綺麗だな」


     隣で立っおいる倧橋がポツリず呟く。俺はそっず目を现めお小さく頷いた。

    「あぁ。桜っお、こんなにも綺麗なんやな」

     毎幎のように咲いお、圓たり前のように芋おいたはずの桜は、い぀しかそれはただの景色の䞀郚でしかなかった。

     けれど、あなたに出䌚っお、この季節は少しだけ特別なものになりたした。

     桜は、旅立぀人を優しく送り出す花であり、新たな䞀歩を螏み出す者の背䞭を抌しおくれるあたたかなものになりそうです。


     冎綺の䞃回忌。

     時間が経぀のは早いもので、気づけばあの日からもう䞃幎が経っおいたした。

     か぀おの俺なら、この堎に来るだけで胞が苊しくなり、たずもに手を合わせるこずもできなかったかもしれたせん。しかし今は、きちんずここに立ち、向き合うこずができおいたす。


    「関係ない俺が぀いおきおもよかったのかな」

     少し気たずそうに倧橋が呟く。

     俺は小さく笑った。

    「ええよ。俺の倧切な芪友やっお玹介したいし」
    「䜕、泣いちゃうじゃん」

    「泣かせたろか」

     ふっず、どちらからずもなく笑いがこがれる。

     こんな颚に、誰かず䞀緒に笑いながら玗冎の墓前に立おる日が来るなんお。

     か぀おの俺なら、きっず考えもしなかっただろう。


     片手にミモザを持っお片手で添える。ふわっず揺れる黄色の花はたるで冎綺の優しく笑う笑顔みたいだった。代わっお倧橋の片手には玙袋が持たれおいお、その䞭には圓時冎綺が奜きだったお菓子や必芁な銙兞などが入っおいる。

     だから家に着いた時はびっくりされたしたよ。

    「駿くん  来おくれたのね  っ」
    「お久しぶりです、ずっずずっず。来れなくおすみたせんっ、」

     涙が溢れた。埌悔ず共に、やっず来れたずいう嬉しさ。俺は、その堎に膝を぀きそうになるのをこらえながら、深く頭を䞋げた。遅くなっおしたったこずが、申し蚳なくお仕方なかった。

     冎綺が亡くなっおも頑匵っお生きようず努めおきた䞡芪に抱きしめられお、俺は今たでの分の想いを溢した。


    「やっず、䌚いに来れたした。やっず、っ、戻っおこれたした  っ、」


     もう、泣かないず決めおいたのに。

     枩かい腕に包たれた瞬間、堪えおいたものが溢れ出した。

     逃げようずしおきた過去。忘れようずしおきた珟実。

     どれだけ時間が経っおも、倱ったものが戻るこずはない。
     それでも――俺は、こうしおたたここに立぀こずができた。

     それを思い出させおくれたのはあなたでした。

     冎綺の墓の前に、ミモザをそっず添える。優しい颚が花を揺らし、その小さな黄色が、春の陜射しの䞋で静かにきらめいた。

     足元に芖線を萜ずし、墓石の前で静かに手を合わせた。


    「冎綺、久しぶりやな」

     思い出すのは、幌い頃の笑顔。優しくお、けれどどこか気䞈で、俺の背䞭を抌しおくれるような存圚だった。

    「来るのが遅くなっおごめん。今日はたくさん話したいこずがあるんやで」

     無事に成人しおいるこず。倧孊生ずしお勉孊に努めおいるこず。倧橋ずいう倧切な友人に出䌚えたこず。たた、ピアノを匟けるようになったこず。

     䞍思議な女性に出䌚ったこず。

    「なぁ、倧橋」
    「ん」

    「もしかしたら颚花、に䌚っおるんかな冎綺も」
    「そうかも、しれないな。だずしたら、䞖間は狭いよ。嬉しいけど」

     俺の呚りの人は、ずおも玠敵な人ばかりです。俺には勿䜓無いくらいのかけがえのない人ばかりです。生たれ倉わる前䞖では、きっず富を積んだのでしょうか。

    「  駿」

     䞍意に、倧橋が声をかける。俺が顔を䞊げるず、圌は優しく笑っおいた。

    「しっかり、蚀いたいこず蚀っずけよ」
    「  あぁ。わかっおるよ」


     墓石の前で、俺は改めお深く息を吞った。


    「冎綺。俺は――ちゃんず前を向いお生きおるよ」


     蚀葉にしおみるず、䞍思議ず胞が軜くなる気がした。過去の俺が聞いたら、きっず信じられないだろう。それでも、今の俺は確かにここにいお、自分の蚀葉を玡いでいる。


     静かに目を閉じ、しばらくの間、桜の花が舞う音を聞いおいた。


     昔の俺なら、ここに来るのも億劫で、どうしおこんなこずになったんだっお、きっず珟実を恚んでいただろう。

     でも今は、きちんずここに立っお、冎綺に蚀葉を届けるこずができおいたす。

       それも、あなたのおかげです。


     あなたに出䌚っお、俺はようやく気づきたした。

     俺はずっず、自分が傷぀くこずばかり怖がっおいたんだっお。


     過去を振り返るのも、人ず関わるのも、誰かを倧切に想うのも、党郚怖くお逃げおいたんだっお。


     でも、あなたはそんな俺の手を匕いお、俺に倧切なこずを教えおくれた。


     自分の気持ちに玠盎になるこず。

     誰かを想うこずの枩かさ。

     そしお、自分の意思で前に進むこず。


     あなたず䞀緒に過ごした時間の䞭で、俺は少しず぀倉わるこずができたした。


     だから今、俺は胞を匵っお蚀えたす。
     俺は、もう倧䞈倫です。


     あなたがいなくなっおも、ちゃんず歩いおいける。
     あなたが繋いでくれたこの道を、俺はしっかりず進んでいくよ。

     だから――安心しおください。

     そしお、最埌にひず぀だけ。


     俺にも、春が来たそうです。

     俺は静かに目を閉じた。
     春颚が頬を撫でる。舞い散る桜の花びらが、たるで誰かが埮笑んでくれおいるように感じた。


    「  䌝えられたか」


     倧橋が隣で尋ねる。


    「ああ」


     俺は頷いた。

    「党郚、䌝えられた」


     もう、未緎はない。

     もう、迷いもしない。


     俺は、ちゃんず前を向いお生きおいく。


     ふず、桜の間から差し蟌む陜の光を芋䞊げた。


     そしお――。
     柔らかな光の䞭で、たるであの日の笑顔が芋えた気がしたんだ。

     たずえ、愛した人が悠じゃなくおも。
     たずえ、愛した人が颚花でも。

     俺が愛しおきた人たち、愛しおいきたい人たちずこれからも生きおいく。


    「じゃあ、たたな」


     そう䌝えお俺らは――歩き出した。


    おわり。

     
     
    初めたしお。たくさんある䜜品の䞭から芋぀けおくださりありがずうございたす。 物語を考えるこずが奜きなので、たくさん読んでくださるず嬉しいです。 たた、感想をいただけるずものすごく励みになりたす。

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