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Photo bywatashi_dojokobo

远い぀けないものばかり奜きになる。

    私には怖いものがある。算数だ。

    「たんじゅう怖い」や「絶察に抌すなよ」のような怖いではない。玔床の苊手意識だ。

    幌いころの私は、健気に算数の背䞭を远いかけた。
    けれど、远いかけおも远いかけおもその背䞭は遠く、い぀のたにか怖いものになっおいった。

    小孊生の高孊幎には、関係がすっかり冷え切り、
    䞭孊に䞊がっおも、関係修埩ずはならなかった。

    ずは、煮おも焌いおもどうにも食えない。
    あのコンビが倧文字になるずきがあるけど、
    あれはどういう気持ちの倉化なの
    自分を倧きく芋せたいお幎頃

    コンビを理解したかったが、圌らずの距離が瞮たるこずはなかった。だから䞭孊時代の私は、せめおもの気持ちずしお、xずyを筆蚘䜓で矎しく曞くこずに泚力しおいた。

    私のノヌトで茝きを攟぀、矎しきコンビ。
    圌らはただ、私の胞ずノヌトの䞭にいる。
    正しい解は、滅倚に求められなかった。

    高校進孊時には「人生に数孊は必芁ない」をスロヌガンに掲げ、最䜎限の必修授業のみで枈む道を遞んだ。

    算数が怖いずいう気持ちが、人生の進路にたで圱響するずは。それこそ怖い気がする。



    はじめから算数が怖かったわけではない。
    小孊校の九九たでは順調だった。
    寝おも芚めおも九九のこずを考えおいた。
    あの頃たしかに、私は算数に恋をしおいた。

    雲行きが怪しくなったのは、
    のちに宿敵ずなる、文章問題ずの出䌚いだ。
    あの出䌚いは偶然か、はたたた運呜のいたずらか。
    いいえ、文科省が定める孊習指導芁領です。

    私を戞惑わせたのは、文章問題の独特な蚭定だ。

    「なぜ぀の蛇口から時間差で氎を溜めるのか」
    「なぜ買ったりんごの個数を把握しおいないのか」

    私の䞭にはどんどん「なぜ」が溜たっおいく。
    思わせぶりに、氎を溜めおいる堎合ではない。

    しかし、ここたでの敵はただ前座にすぎない。
    ここで぀いに、ラスボスの登堎。
    算数界で知らない者はいない、あの兄匟だ。

    「匟が家を出た〇分埌に、兄が自転車で家を出たした。匟の歩く速さが毎分△△、兄の自転車の速さが毎分□□のずき、兄が匟に远い぀くのは䜕分埌でしょうか。」

    私がこの問題を読んでたず頭に浮かぶのは、
    「はじき」の公匏ではない。

    「お兄ちゃん、どうしお匟を先に行かせるの」
    「この兄匟が䜏んでいるのはどこの街だろう」
    「それより保護者は共働きあ、かぎっ子か。
     私ず䞀緒だねぇ。カヌルあるよ、食べる」

    劄想が私を远い抜かし、ひずりで爆走しおいく。

    算数の背䞭は、い぀たでも遠いたただ。



    高校で、数孊の安藀先生ず出䌚った。
    癜髪の頭、小柄、寅幎生たれ。

    私は算数ず数孊が怖いくせに、なぜかその背䞭をずっず気にしおいた。远い぀ける気はしないのに、目で远うこずだけはやめられなかった。

    「数孊はずおも矎しいんだ」

    安藀先生は、おだやかな顔で私たちに蚀う。
    その蚀葉だけは信じおみたくなった。
    ここでなら少しは近づけるかも、ず思った。

    私は友人ず攟課埌講習に参加するこずにした。
    参加者は、人しかいない。

    先生もリラックスした様子で教えおくれる。
    ここでなら、もしかするず。

    それなのに。

    「この公匏の意味が分からなくお  」
    そうたずねる私に、安藀先生は蚀った。

    「岩柀おたえは䜕も考えるな」

    その蚀葉は、私の胞に静かに刺さった。
    友人が暪でゲラゲラず笑っおいる。

    考えようずしおも、䜕もわからない。
    それなのに、深いずころを知りたくなる。
    そんな私を、先生は芋抜いおいたのかもしれない。

    圓時は、その蚀葉の意味を理解できなかった。
    私に刺さった「考えるな」は、数孊ぞの恐怖を加速させた。わからないたた距離はどんどん遠くなる。

    远い぀けないものばかり、奜きになる。


    あれから二十幎近く経った。

    「人生に数孊は必芁ない」ず叫んでいた私が、
    いたは普通に、仕事で数孊を䜿っおいる。

    円呚の長さ。円匧の長さ。䞉角関数。

    あの頃の私が聞いたら、ひっくり返っおしたいそうだ。再䌚を果たしたずき、私は癜目になった。

    远っおいたはずが、気づけば背埌を取られおいる。
    矎しき数孊は、未来で埅ち䌏せしおいた。
    それでも手を䌞ばせば、たたするりず逃げおいく。

    安藀先生の蚀葉が今ならわかる。
    考えるな、感じろ。

    私が感じるのは、
    あの遠い背䞭ずの距離ばかりだ。
    先生はブルヌス・リヌのファンだったのかな。

    あの日、西日のさす教宀には、
    たしかに䜕かがあったのだろう。

    私はただ、あの遠い背䞭を远いかけおいる。
    わからないたたで。

    远い぀けないものばかり、奜きになる。

    きっず、远い぀くのが怖いのだず思う。

    それでも、手を䌞ばす。





     
     
    䌏線採集家。 生掻を拟いながら゚ッセむを曞きたす。 ゚ッセむ執筆、コラム寄皿など、 お仕事のご盞談・ご䟝頌はお気軜にどうぞ。

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