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節分の半分は優しさでできています、毎週ショートショートnote、410字

    氷堂出雲


    小坊主たちの掛け声が、響く。
    「鬼は外!福は内!」
    バラバラと豆の音がする。

    住職に小坊主のひとりが話しかけた。
    すでに撒いた豆が、周囲に散乱していた。

    「和尚様、私たちは、今、豆まきをしていますが、誰か鬼の面を被らなくていいのですか?」

    「鬼とは、角の生えた鬼ではない。疫病、不運、争いといった外部から侵入してくる災厄のことなのじゃ。だから、鬼の格好をしなくても良い」
    住職も一握り投げた。

    「豆を鬼が嫌うからでは?」
    「魔を滅するの語呂合わせで豆じゃ」

    「では、福は内と言って内に豆を撒くのはなぜですか?」
    小坊主は、足元の豆を踏みそうになって止まった。

    「家の中に災いが残っていないか最終チェックじゃ」

    「豆をぶつける相手がいないなんて、節分は優しさでできているのですね」
    小坊主の声は少し弾んでいた。

    住職は顎髭を撫でた。
    「いや、撒いた豆の掃除が残っておる。半分はめんどくささで、できておる」

    輝いていた小坊主の瞳から光が消えた。
    「和尚様……」

    ーーー
    ここまでで410字
    このあとの話もあるのだが、流石にそこまで書くと…
    いや、書いちゃえ。
    ーーー

    「よし、歳の数だけ豆を食べなさい。そうすれば、病にかからない」
    住職が張り上げた声を合図に小坊主たちが豆を拾い出した。

    先ほどの小坊主が訝しげに住職を見上げる。
    「本当ですか?和尚様」
    「掃除の手間を省くためじゃ」
    小坊主は、天を見上げた。

    そして、この方法は、掃除を簡単にすると喜ばれて、各地へ広まった。

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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