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風を治すクスリ、毎週ショートショートnote、410字

    氷堂出雲

    嵐が近づいていた。
    「風を治すクスリになるかもしれない」
    田吾作の言葉に、村の他の若者は首を傾げた。
    「風邪?」
    「いや、風だよ。嵐だよ。クスリになるのはコショウだけど、コショウは高価だから、いろいろな粉を集めてくれ。あの山の中腹にある洞窟に撒くんだ」

    田吾作は、紐を引っ張れば、洞窟の前に山積みした粉の袋が一斉に開くように細工した。

    風が強くなり、雨雲が空を覆ってきた。

    洞窟の入り口で、洞窟に定期的に風が出入りしているのを田吾作は確認した。

    田吾作は、洞窟に風が入るタイミングで、紐を引っ張った。

    地面が揺れ、田吾作は近くの木にしがみついた。

    「ふぁっ」
    大きな声と共に、地面が大きく動く。
    田吾作は気づいていた。この山はダイダラボッチが擬態したもので、洞窟は鼻の穴だと。

    ダイダラボッチは立ち上がって、大きくくしゃみをした。

    くしゃみで、雨雲が吹き飛び、風が治る……はずだった。
    ダイダラボッチが咳エチケットを知っていたために何も起きなかった。
    (410字)

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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