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合格奇岩、毎週ショートショートnote、441字

    氷堂出雲


    受験生の間で密かに知られている奇岩があった。
    祈願すれば、必ず合格する。

    岩に触れ、願うだけでいい。僕もそこで祈った。
    春、合格通知が届いた。奇岩の噂は本当だった。

    問題は、その先だった。

    講義が理解できない。周囲の会話についていけない。試験は落とす。単位も落とす。

    気づけば留年が現実味を帯びてきた。

    あの岩に、もう一度祈れば、きっと今度も…そう思った。

    岩は、なかった。

    どこかに移動したのでは?
    もともと説明できない岩なのだから、そんなこともあるかもしれないと思った。

    ネットで検索した。
    そして、あるページに辿り着いた。

    「都市伝説ー合格奇岩」
    願えば、必ず合格できる岩。
    実は未来から実験のために送られてきた量子演算装置。触れた瞬間、パラレルワールドのうち、「合格する世界線」にのみその人を分岐させる。
    風化・欠け・歪みを含む奇岩は、あらゆる方向に面を向け、人をそのどれかの世界線へ分岐させる。
    この世界で、岩はすでに回収済み。

    なるほど。これなら、不合格の世界線にいた方が、まだ救いがあったのかもしれない。

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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