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七夕の歩幅、毎週ショートショートnote、410字

    氷堂出雲


    七夕祭り。彼は不思議な姿をして登場した。足首に鎖。そしてその先には鉄球。
    「何、その格好」

    彼は微笑んだ。
    「周りを見てごらん」

    アイドルみたいなステージ衣装の女の子。宇宙服を着た子。プロ野球球団のユニフォーム。

    「今年から七夕は、短冊だけじゃなく、その願いの姿に仮装することになったんだ。文字だけより、星に願いが届きやすいだろ」

    「で、その姿は?」
    「僕の願いは、君と同じ歩幅で歩くこと。ゆっくり歩くのって辛いんだ」

    「まあ、そういうことなら」
    そして、手を繋いで歩き出した。私のいつものペースで歩いている。彼を追って早足になることも、彼を待たせることに申し訳なく思うこともない。

    話し声が聞こえてきた。

    「おい、あいつ、奴隷になりたいのかよ」
    「隣の子、可愛いぞ。俺もあんな子の奴隷ならなりたい」
    「待て。女の子の願いなのかもしれない。あいつを奴隷にしたいとか」

    「もうやめて、そんな格好」
    私はカバンから、底にスプリングのついた靴を取り出した。

     
     
     
    ・ソニー・ミュージックエンタテインメントのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。 ・第20回Yomeba!で優秀作 ・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年) ・島根県文芸公募 金賞 その他はプロフィールページで

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